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後遺障害③~労働能力喪失率~

後遺障害が残存しますと、働く能力が事故前より低下し、財産上の損害が生じるとされ後遺障害逸失利益の賠償請求ができるようになります。
問題は、この後遺障害逸失利益をどのように算定していくかですが、今回は、後遺障害の残存によってどの程度働く能力が失われてしまったのかという労働能力喪失率について説明します。
赤い本では、「労働能力の低下の程度については、労働省労働基準局長通牒(昭32.7.2基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考とし、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の稼働状況等を総合的に判断して具体例にあてはめて評価する」とされています。青い本では「労働能力喪失率は、自賠責保険の後遺障害等級に対応する労働能力喪失率を基準として、職種、年齢、性別、障害の部位・程度、減収の有無・程度や生活上の障害の程度など具体的稼働・生活状況に基づき、喪失割合を定める」とされています。
青い本の記述にもあるように、実務では「自賠責保険の後遺障害等級」が重要な位置を占めています。自賠責保険は、多数の交通事故を公正・適正に処理するために統一的な判断を行っており、損害保険料率算出機構が障害認定事務を行っていますが、認定業務に関し相当程度の情報とノウハウが蓄積されています。そのため、訴訟外で保険会社と示談交渉を行う場合や、民事訴訟になった際にも自賠責における等級認定の判断はかなり尊重されているといえます。裁判官の一般的な感覚としても、「後遺障害等級に認定された事実があると、特段の事情の無い限り、後遺障害等級に見合った労働能力喪失率と慰謝料の額について一応の立証ができたと考えられる。」とされています。
もっとも、後遺障害の内容によっては、実際の労働に与える影響がとても少ないものもあります。労働能力喪失率を争われる典型的な後遺障害としては、脊柱の変形、鎖骨変形、歯牙欠損、味覚脱失といった身体能力そのものに直ちに影響を与えるとは限らないものが挙げられます。
そのような場合には、訴訟において厳密な立証活動を迫られるよりは、保険会社との訴訟外の交渉によって後遺障害逸失利益を部分的に認定してもらうほうが被害者にとって有利なケースも多くあります。しかし、そのような判断を行うには、残存した後遺障害の内容や、労働能力喪失に関する医学的な裏付けの強さがどの程度かなどを判断できる専門知識が必要になります。
交通事故の弁護につよいHOPE法律事務所は、後遺障害等級が認定された事案を数多く扱うとともに、顧問医師がいるため後遺障害に対する医学的な分析やアプローチも十分にできますので、後遺障害でお悩みの交通事故被害者様は、静岡で交通事故弁護の得意なHOPE法律事務所への相談をお勧めいたします。

休業損害④~給与所得者の休業損害~

交通事故に遭い、身体に怪我を負ってしまうと仕事を休まざるを得ない場合があります。その場合、相手からは休業損害を支払ってもらえますが、どのような休業損害が支払ってもらえるのか、算定方法にはどのようなものがあるかなど実は多くの問題があります。
今回は、事故被害者の大半を占める給与所得者の休業損害について説明いたします。
まず、休業損害を請求するためには、休業に伴って給与所得の減少が無くてはなりません。公務員の病気休暇のように、事故による怪我で仕事を休んでも、会社(国など)から給与が支払われる場合には、休業はあるが「損害」がないとして休業損害が請求できません。
次に、給与所得者は、基本的に会社に休業日、事故3か月前の給与支給状況、給与の支給の有無などの休業情報について、「休業損害証明書」を作成してもらいます。休業損害証明書の記載方法で注意が必要なのは、仕事を休んだ場合、有給で休んだ場合でも賠償請求の対象になるため、有給を利用して休んだ場合には会社にその旨の記載をしてもらう必要があります。また、会社は事故による休業をした期間、事故とは関係ない理由で休業した場合でも休業損害証明書に「事故による休業」として記載してしまう場合もあります。そのため作成された休業損害証明書はきちんと確認しないと、私的な休暇を事故の休業損害として請求してしまい不要な誤解を招いてしまうケースもあります。
給与所得者の休業損害の計算自体は、休業損害=休業日額×休業日数と表せますが、この休業日額の算出方法については複数の考え方があります。
保険会社は、「休業損害証明書」記載の3か月の「基本給」と「付加給」部分の合計額を「90日」で割って(除して)1日の基礎収入額を算出してきます。しかし、この計算方法は、基本的には妥当ではないです。
3か月間の総収入を、「90日」で割ってしまうと、仕事をしていない休日も含んで1日の単価を算出されてしまいます。労働契約上、休日は労働義務を免除され、実労働日を対象に給与が支払われているため基本的には、3か月の総収入を「実労働日」で割ることが妥当です。
具体的な例でみてみますと、10月1日に事故に遭い、10月31日まで仕事を休みました。この方は、事故前3か月の7月8月9月の給与総額が90万円、土日祝が休みの方なので7月8月9月の実労働日が60日、10月の実労働日は21日(休業日)となります。
   保険会社計算 90万÷90日=1万円/日額
          1万円×21日=21万円
   弁護士計算  90万÷60日=1万5000円/日額
          1万5000円×21日=31万5000円
このように、休業損害については保険会社と弁護士の計算で約1.5倍程度の違いが出てしまいます。
保険会社は、支払が少ない方がよいので決して弁護士が採用する計算方法に準拠して提案することはありません。知らないと休業損害で損をしてしまうかもしれません。そのため事故にあって休業損害が気になる方は、静岡の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談いただくのをお勧めいたします。

弁護士費用特約③

交通事故は多くの方にとって慣れない出来事です。事故によって日常が失われ、車を始めとする重要な財産が壊れ、場合によっては身体に大きな怪我を負います。怪我の治療のために医療機関に通院したり、治療の期間、賠償の内容、保険制度を巡る難しい問題とも対峙しなくてはなりません。
そんな非日常の出来事を代わりに手続きをしてくれるのが被害者側弁護士の役割となります。
現在では、自動車保険や火災保険などに弁護士費用特約が付保されていることも多く、多くの方が交通事故の手続きを弁護士に依頼することができるようになりました。
一方で、弁護士費用特約に加入していない方は、自費で弁護士に依頼をしないといけませんが、場合によっては弁護士費用を加害者に負担させることができることがあります。
最判昭和44年2月27日判決も、「相手方の故意または過失によって自己の権利を侵害された者が損害賠償義務者たる相手方から容易にその履行を受け得ないため、自己の権利擁護上、訴えを提起することを余儀なくされた場合においては、一般人は弁護士に委任するにあらざれば、充分な訴訟活動をなし得ない」から、「訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に損害」については相手方に請求することを認めています。
訴訟での弁護士費用の算定方法ですが、弁護士費用を除いた総損害額を確定し、これに過失相殺・損益相殺・既払金控除をおこなった残額の1割程度を弁護士費用相当額の損害として計上することが多いと思います。
この計算基準は、主に判決を念頭においたものであり、訴訟における和解の場ではこの金額よりも部分的なものとなります。静岡地方裁判所では、和解協議では、弁護士費用と不法行為時からの遅延損害金を含めて半分程度とすることが多いかと思います。簡易裁判所では、弁護士費用は数%の付加にとどまったり、弁護士費用の加算がない場合も多くあります。
弁護士費用特約が付保されていても、損害の項目自体としては弁護士費用相当額の損害が認められます。裁判例でも「仮に、原告甲野が自動車保険契約の弁護士費用特約を利用していたとしても、弁護士費用相当額の保険金は、原告甲野の負担した保険料の対価として支払われるものであるから、原告甲野に弁護士費用相当額の損害が発生していないとはいえない」として弁護士費用を損害として認めています。
もっとも、保険の理屈からすれば、弁護士費用特約も損害保険ですので、弁護士費用特約から保険金が支払われた場合には、保険代位により弁護士費用の請求権は自身が加入する保険会社に移転してしまいます。そのため、判決で弁護士費用相当額の損害が認められても、弁護士費用特約から支払われた限度で、判決で認められた弁護士費用相当額の支払を相手から受けた場合には、加入の任意保険会社に返金する必要があります。ただし、判決と異なり、和解の場合には、弁護士費用特約と遅延損害金の一部を調整金として支払いを受けることが多い為、弁護士費用としての返金を行わなくてもよいことが多いです。
このとおり、解決の仕方によっては依頼者の手元に残る賠償金に違いが出てしまいますので、事故の賠償のことは静岡で交通事故弁護が得意なHOPE法律事務所にご相談いただければと思います。

後遺障害獲得事例④

当事務所で扱った後遺障害申請事例において成果を収めました事例をご紹介いたします。ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。
当事務所の交通事故弁護の取り組みの特徴として、「事故直後からの弁護」があります。事故直後からの交通事故弁護を必要とする理由はいくつかありますが、後遺障害との関係では、経時的に症状を確認していることから、必要な検査を提案できること、残存症状と認定症状との齟齬が無いかを迅速に確認できることが大きなメリットと言えます。
今回ご紹介する依頼者は、幹線道路を自動車で直進中、前方の信号機が赤になったことから停車したところ、突然背後から後続車両に追突されたことから右肩関節の亜脱臼の傷害を負いました。その後も治療を行いましたが、右肩関節の痛み、痺れ感は改善しなかったことから後遺障害申請を行いましたが、画像所見上肩鎖関節の脱臼は認められないとして、非該当の通知がなされました。
しかし、依頼者よりお聞きする日常生活状況の支障は大変重く、これまでの治療経過からすると右肩鎖関節の受傷及び他覚的所見はあるものと考えておりました。
もっとも、ご依頼者は弁護士費用特約の加入が無かったことから、医学的資料の収集や分析にかかる費用が自己負担になってしまうという保険上の制約もありました。
そこで、弊所顧問医師と相談し、医学的意見書ではなく、肩鎖関節の他覚所見について画像鑑定報告書という簡易な医証を作成し、異議申立ての資料とする方針としました。
また、非該当になった理由として、肩鎖関節の受傷を裏付ける医学的証拠の他、車内事故のため肩鎖関節の脱臼の機序が不明なこと、事故の規模が不明瞭なこと、事故による症状の推移が初回申請では十分に伝わっていないことなどが原因であると考えその点に対する補足説明や資料を十分に取り付けました。
その結果、車内での乗車姿勢、シートベルト位置と受傷位置の整合性、車両の損傷状況からみる衝突規模の重大性、臨床経過上残存症状に整合性があること、症状固定後も一貫した症状を訴えていることなどを指摘し、異議申立てにおいて後遺障害等級12級5号(鎖骨の変形障害)が認定されました。
鎖骨の変形障害は、労働能力喪失率が大きく争われる障害であることから、引き続いての任意保険会社との交渉も慎重に行いました。
その結果、労働能力喪失率を14%、労働能力喪失期間を就労可能年数まで認定させた非常に良い内容の示談を成立させることができました。仮に本件で訴訟に移行した場合には、裁判において労働能力喪失率や、労働能力喪失期間を強く争われるため、訴訟になったことによる弁護士費用の増額や、遅延損害金の上乗せを考慮しても示談時点の金額より減少してしまう可能性が非常に高い事案でした。
本件の成功要因は、事故態様や症状経過、症状固定後の症状残存の丁寧な説明による後遺障害獲得と、訴訟になった際のリスクを考慮して示談交渉において依頼者に有利な解決ラインを確保できたことにあると思います。
このように、交通事故の弁護は、なるべく事故直後から、交通事故に詳しい弁護士に依頼することが重要です。当事務所は、年間数百件の自賠責患者を取扱う静岡の交通事故に強い弁護士事務所となります。「事故に遭ったらすぐHOPE」(商標登録済)と覚えて事故にあったらまず弁護士法人HOPE法律事務所にご相談いただくことをお勧めいたします。

後遺障害獲得事例③

当事務所で扱った後遺障害申請事例において成果を収めました事例をご紹介いたします。ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。
当事務所の交通事故弁護の取り組みの特徴として、「事故直後からの弁護」があります。事故直後からの交通事故弁護を必要とする理由はいくつかありますが、後遺障害との関係では、経時的に症状を確認していることから、必要な検査を提案できること、残存症状と認定症状との齟齬が無いかを迅速に確認できることが大きなメリットと言えます。
今回ご紹介する依頼者様は、大きな交通事故に遭われた患者様で、車内事故にも関わらず、脊柱の圧迫骨折を含む全身の多発骨折をされていました。事故発生直後より、入院中でしたが当事務所をインターネットで検索いただき、ご依頼をいただきました。入院中からのご依頼のため、やりとりはメール等の間接手段を主として、入院中の診療経過、退院後の通院、症状固定と至るルートまでを適宜サポートさせていただきました。
幸い事故後の経過は良好で、全身の骨折については癒合し、必要な期間の機能改善のためのリハビリ期間の確保も保険会社との間でスムーズに交渉が進みました。
症状固定を迎えましたので、後遺障害の申請をしたところ、脊柱の変形癒合ということで後遺障害等級11級7号が認定されました。
しかし、自賠責が認定した後遺障害は不十分ではないかと考えていました。
依頼者様は、これまでの症状経過では、3つの脊柱に破裂骨折又は圧迫骨折があったはずであるのに、自賠責では2つの圧迫骨折は認定されていましたが、もう一つの脊柱の圧迫骨折については「提出の経時的なX-P上、胸椎破裂骨折は判然としない」とされ、骨折の認定がされておりませんでした。
当事務所では①経時的な症状経過のチェックでは骨折部位は3つであったにも関わらず、認定が2部位であること②圧迫骨折の評価には、レントゲンだけではなく、MRI画像も有用であり、実際に主治医もMRIによる評価によって骨折を評価していたにも関わらず、自賠責が認定に(非該当認定に)利用した画像所見はなぜかレントゲンのみを挙げており非常に不可解でした。
実際に、私が、依頼者様の胸椎~腰椎のMRI画像を確認したところ、T1強調画像とSTIR画像において、骨折を疑わせる輝度変化が確認できたことから、専門医の読影による医学的証拠をつければ骨折の認定が得られるのではないかと考えました。
そこで、当事務所の顧問医師に確認したところ、やはり自賠責が認定しなかった脊柱にも骨折が確認できるし、その脊柱の骨折の変形を考慮すれば、現在の11級7号から8級2号への上位等級への変更も可能ではないかとの意見でした。
顧問医師が作成した上記医学的な意見書とともに、事故状況、症状経過を端的に記載した異議申立書を自賠責保険に提出したところ、後遺障害等級が変更され、無事「脊柱に中程度の変形を残すもの」に該当するとして後遺障害等級8級2号が認定されました。
認定された後遺障害等級が妥当かどうかは、交通事故弁護に強い弁護士でなければわかりません。当事務所にように、日常的に多数の交通事故案件や医療過誤事件を扱い、医療記録やレントゲン・CT・MRI画像を確認していなければ、脊柱の圧迫骨折に関する画像所見という医師からみたら比較的簡単な画像読影さえできない弁護士が多いです。
そのため、交通事故の弁護は、なるべく事故直後から、交通事故に詳しい弁護士に依頼することが重要です。当事務所は、年間数百件の自賠責患者を取扱う静岡の交通事故に強い弁護士事務所となります。「事故に遭ったらすぐHOPE」(商標登録済)と覚えて事故にあったらまず弁護士法人HOPE法律事務所にご相談いただくことをお勧めいたします。

解決事例①

当事務所で扱った事案の中で一定の成果を収めた解決事例をご紹介させていただきます。
事案としては、軽微物損の追突事故のため、加害者側保険会社が自賠責保険に対し、事故と傷害との因果関係につき、事前認定を行ったため自賠責が因果関係を否定した事案がありました。
そのため、依頼者は事故による体調不良にも関わらず、相手保険会社からの自賠責一括対応を受けることができず、困っていました。また、追突事故のため、依頼者に過失がなく、示談交渉サービスの対象外になることから、依頼者の加入保険会社も相手と事故に関する交渉が出来ず、依頼者は自身の保険会社の手助けが得られませんでした。加えて、自賠責保険が事前認定に対し、事故と傷害の因果関係を否定してしまったことから、依頼者自身の保険会社の人身傷害保険での通院もできない状態でした。
その状況を見かねた保険代理店が当事務所をご紹介いただき、当事務所において自賠責に対し、事故と傷害との因果関係の存在につき、異議申立てを実施することにいたしました。
自賠責は、軽微物損であることを理由として事故と怪我との因果関係を否定した事案については、異議申立てを行っても、その判断を覆すことはないのが実情です。
そこで、当事務所では、事故状況を詳しくヒアリングするとともに、本件事故が起きた道路状況や、加害者車両の進路、依頼者車両の修理見積書だけではなく、損傷写真や修理見積書との比較などを丁寧に行い、損傷こそ大きくないが車体には一定程度の外力が生じ、その外力が身体に与えた力は無視できないことを丁寧に論じました。また、医療機関から医療記録を取り寄せ、事故後の診療経過の自然性、治療内容の正当性や相当性を丁寧に記載し、異議申立てを実施しました。
その結果、自賠責において、事故と傷害との相当因果関係を肯定する判断をするに至り、依頼者には治療費や、自賠責が定める基準での慰謝料や休業損害が支払われました。自賠責で傷害との因果関係が肯定されたことから、加害者加入保険会社に対しても自賠責保険をこえる、いわゆる弁護士基準(裁判基準)での賠償請求を行い、追加の賠償金を支払ってもらうことができました。
この事故は、代理店が、契約者のために早期に専門家である弁護士への相談を勧め、弁護士による医療的なアドバイスを受けるとともに、事故状況や治療状況を異議申立てにおいて丁寧に説明したことが自賠責の判断が覆るに至った要因だと思います。
このように当事務所では、他の法律事務所ではあまり担当しない、事故早期に軽微物損などにより因果関係を否定された案件なども多数経験があります。交通事故の慰謝料、後遺障害、休業損害等で困ったら、静岡の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談ください。

通院方法⑤

前回のブログに引き続き、「保険の打切り」を招いてしまう要因である①保険制度②治療経過③その他のうち、②治療経過から説明させていただきます。
「治療経過」を理由とした「保険の打切り」として、まず問題となるのが「過少通院」が挙げられます。
「過少通院」は、打撲捻挫系の受傷で、受傷直後から月に数回しか通院しないなど受傷内容からして通院が僅少な場合を指します。骨折などは骨癒合するまで安静加療をするので通院回数が月に1回であっても不自然ではないのですが、打撲捻挫系の治療で月に1、2回の治療しかないと、保険会社担当者からは「通院回数が少ないので、大分症状も収まってきていますね」「そうであれば今月末で保険対応は終了させていただきますね」というように、症状が軽いことの理由とされてしまいます。また、通院回数が少ないと、弁護士が介入した際に、弁護士基準と自賠責からの求償額との間に大きな差が出てしまうことから長期通院を許した場合のリスクが跳ね上がります。
次に「症状の変遷がなく症状固定とみられること」になります。
治療費を保険で賄うということは、保険制度を健全に運営するため、医学的治療効果が認められる状態でなければいけません。
しかし、ご相談者の中にも、事故当時を10とすると今の痛みはどれくらいですかとお聞きすると、数カ月経っているのに「7、8痛いです」「10痛いです」「15とかです」という回答が返ってくることがありますが、これは外傷の治療経過としておかしいため、保険打切りの対象となります。乱暴な言い方ですが、骨がめちゃくちゃに折れても、数カ月すれば自発痛自体は大幅に改善するはずです。しかし、数カ月経っても7割8割程度にしか改善していないとか、受傷時と痛みが変わらないとか、場合によって受傷時より悪化しているとの答えは、その怪我にとって治療が功を奏していないことを示しています。これはその怪我がこれ以上医学的に改善しないことを示していたり、今の症状が外傷以外の別の要因での疼痛であることを示すと考えられてしまいます。保険会社だけでなく、主治医にとっても、このような通常の整形外科的な症状経過と異なる申告を長期間されると、診察するモチベーションが下がります。主治医にとっては、交通事故による怪我以外の何らかの理由による症状申告があるのではないかと考えられてしまい、面倒ごとに関わりたくないとして保険会社に「症状固定相当」と医療照会に回答してしまう動機となります。主治医も、治療効果が現れているからこそ、治療を見直し、診療計画を立てて対応していくので、それに必要な期間は治療必要として保険会社に意見を出してくれるのです。
そして、「保険の打切り」を招くその他の要素として「法的な基準を超える要求」を行ってしまっていることです。
「完治するまで通わせてくれればよい」「元の身体にしてくれればよい」「この症状は事故のあとからだからこれも当然保険でみて欲しい」「通院が終わるまで休業補償を見て欲しい」「症状が辛いので通院はすべてタクシーで通いたい」「私の身体を一番わかっている鍼や整体の費用を必ず負担して欲しい」などです。これらは法的な因果関係が肯定できるか不明で、自賠責からの償還がなされない可能性が高いことから、このような要求を強く持つ患者に対して、保険対応を打ち切らざるを得ないケースもあります。このような対応を主張してしまう患者に多いのが、患者自体の過失が「0」の場合が多いです。「こちらは完全な被害者なんだから加害者が責任を持つのが当然だ」との感情が根底にあるのかもしれませんが、治療が相当か、保障が相当かは、事故の過失の割合とは関係がありません。過失が9割ある加害者でも、骨癒合が遷延していれば通常より長期間の治療期間をみる必要がありますし、過失が0の被害者でも症状がほとんどなくなれば治療期間が短くても保険治療は終わります。過失の割合は保険治療の長さを決めるファクターではないのです。
また「事故態様が一般的に小規模損害といわれるもの」も早期打ち切りの対象です。
例えば、修理金額が30万円以下、駐車場内での事故、重量差のある衝突、低速度での衝突などです。
いずれも事故による衝撃が小さいため、長期通院が必要ではないとされて保険が打ち切られます。修理金額のみでは衝撃の大きさや怪我の重篤性はわかりませんが、大雑把に事故の規模からする衝撃の程度を計る一つのわかりやすい基準となります。自賠責の審査にも影響するのも大きいですね。また、駐車場内の事故も、車両が高速度で走らない場所ですので大きな怪我が生まれにくい場所のため自賠責の審査が厳しくなります。また、ダンプにコンパクトカーがぶつかったとか、車に自転車や原付がぶつかったという場合は、重量差があるため大きな衝撃が伝わらないとされるためやはり保険期間を短期間に設定される傾向にあります(場合によっては受傷との因果関係を争われます。)。低速度(ブレーキを離したさいに進むクリープ現象や、渋滞中にうっかり発進してしまった場合など)での衝突も、重量差がある衝突と同じような判断をされてしまいます。
これまで、色々な打切り要因を見てきましたが現実にはこれらの要因が複数に絡んだり、これ以外の要因が絡むこともよくあります。やはり大事なのは、こういった「治療期間中の弁護に強い弁護士」に相談することですね。治療期間中の保険会社の対応に困ったら、静岡の交通事故の弁護に強いHOPE法律事務所にご相談ください。

通院方法④

以前通院方法に関する記事で、整形外科と接骨院の違いや通院頻度について説明をさせていただきました。今回は、「保険の打切り」を理解するために自賠責一括制度の説明と保険の「早期」打切りを避けるための通院方法を説明いたします。
まず前提問題として、よく聞く「保険の打切り」とはどういう現象なのでしょうか。ご相談者から、被害者の意見も聞かずに、一方的に打ち切るなんて許されるのでしょうかとのご質問を受けます。結論として、保険の打切りが一方的になされてしまうのは制度の仕組み上仕方がありませんし、違法の問題が生じる余地は殆どありません。その理由は自賠責一括制度の仕組みにあります。
そもそも、交通事故にあった被害者は、誰に何を請求できるかといいますと、基本的には事故の加害者に対し、直接治療費などの損害の賠償請求ができるにとどまります。法律的には、被害者が怪我の治療のために医療機関や接骨院などへ通院した場合、診療契約は、被害者とその医療機関の間に生じますので、治療費の支払義務は、法的には被害者の方に発生し、加害者の方が直接医療機関に治療費を支払う義務を負うわけではありません。あくまで被害者の方が、先に医療機関などに治療費を支払い、その支払額を加害者に対し請求できるにとどまります。
最終的には、適正な治療費は確かに自賠責から出ますが、あくまで被害者の方が受診し治療費を支払った後(医療機関は被害者からの申出による指図払いは基本的に応じてくれません。)に、自賠責に被害者自身で支払いを求めるのが自賠責制度の基本的な構造になっています。しかしこれでは、事故にあった被害者に重い負担となるため、各任意保険会社は、自身の契約者が加害者となった場合に、被害者が行うべき自賠責保険への治療費償還手続を代行し、任意保険と一括して治療費や慰謝料などの支払いを行う対応をしています。これを自賠責の一括対応と呼んでいます。
そして、相手が加入している任意保険会社は、相手が加入している自賠責保険では賄えない損害の賠償義務があるに過ぎず、自賠責保険で賄える範囲の損害については対応義務がありません。また、被害者の方が直接相手の任意保険会社に保険金の支払いを請求できるケースは保険約款上限られていますので、任意保険会社に当然に治療費などを支払うように請求はできません。
つまり、あくまで、この自賠責一括対応は、任意保険会社による被害者のためのサービスに過ぎません。そのためそのサービスをどの段階で撤回しても基本的に違法の問題も生じません。被害者の意見を聞くのはあくまで全体的な円満な解決を目指すという側面と、被害者の治療状況を確認して、治療期間を適切な範囲にとどめたいという保険会社の思惑とが重なって対応されているだけでして、被害者の通院継続の意見があっても任意保険会社が保険対応を終了することに法的な問題はありません。
そのため保険の打切りを回避するためには、この自賠責一括対応はあくまで円満解決のためのサービスに過ぎないという出発点を押さえなくてはなりません。
では次に、保険の「早期」打切りを回避するためのポイントを説明します。
「早期」打ち切りを招いてしまうポイントを知ることで、「早期」打ち切りを避けることができると思いますのでこの点を挙げていくと
・過剰通院、濃厚通院がなされていないか
・過少通院となっていないか
・症状の変遷がなく症状固定とみられるような主訴の申告になっていないか
・法的な基準を超える要求を行っていないか
・長期のタクシー利用や長期の休業損害の請求を行っていないか
・多部位の治療を行っていないか
・事故態様が一般的に小規模損害といわれるものになっていないか
となります。
上記ポイントを一つずつ説明したいのですが、分量も多くなってしまうため次回の記事に譲って今回はここまでにしたいと思います。

通院方法③

前回のブログでは、「保険の打切り」がどういう制度に基づいてなされるかについて説明させていただきました。今回は、その中で触れた保険の打切りを招く要因について説明させていただきます。
交通事故による怪我の治療に対して、保険制度を利用して治療費を支払うという制度であることを念頭におき、保険の打切りを招いてしまう要因を独断で①保険制度②治療経過③その他に分けて説明します。
【保険制度上の打切り要因】
保険制度上の打切り要因としては、「過剰通院、濃厚通院」「多部位の治療」「長期タクシー利用、長期の休業損害の請求」といったものがあります。
前回のブログで、自賠責一括制度の説明をさせていただきました。加害者が加入している保険会社は、自賠責の範囲(傷害枠120万円)を超える責任部分を担当しているけれども、自賠責部分も一緒に対応していることを説明させていただきました。
冒頭で説明しました保険制度上の打切り要因は、この自賠責の傷害補償枠120万円の限度枠と関連します。
簡単にいえば、被害者の方の治療費、交通費、文書料、休業損害、慰謝料などが自賠責保険の保証枠120万円に収まれば、保険会社は自分の責任部分(保険会社のお財布)からの出捐はないことになるため、保険会社には早期打ち切りを行う絶対的な動機が存在するのが原因です。
保険会社は、独自のシステムで治療中の通院の回数や休業損害の支払等から、賠償金の積算を行っており、その金額が120万円に近づくと自賠責保険の打切りを検討します。もちろん120万円に近付けばすぐに打切りをするわけではありませんが、多くの他覚所見のないむちうち損傷事案では、自賠責の枠を超えてまで補償を行おうという姿勢は低いことから打ち切りの対象となります。
このような観点から、上記打切り要因を説明しますと、
まず①の要素ですが、「過剰通院、濃厚通院」は、毎日通院に行ったり、通常の治療頻度を越えて消炎鎮痛処置、機能改善リハビリ、ブロック注射の施行などを頻回に行うことを指しています。
外傷による保存療法は、毎日実施したからといって回数分治療効果が比例的に増加するわけではありません。
過剰・濃厚な通院は医学的な正当性が薄弱になるとともに、不用に治療費を増大させることで、早期に保険会社のお財布から治療費を支出しなければならない状態になります。保険会社の肩を持つわけではありませんが、大きな事故で数百万円の治療費がかかっても保険会社は、受傷が相当で、それに対する治療費が適正であれば治療費が高額になっても支払わないわけではありません。あくまで、他覚所見がないむちうち損傷のような症状の保存療法を典型例とする治療については、どうしても自賠責の枠との関係で打ち切りの問題がでてきます。
同様に、「長期タクシー利用」は交通費という被害者の手元に残らない費用で自賠責保険の枠を使うため早期打ち切りに繋がります。タクシー利用が認められるかは、過失の多寡とは関係ありませんので、追突事故のような自身に過失がない事故だからといって症状からして必要性の薄いタクシーでの通院を継続していれば打切りはすぐに迫ってきます。また、「休業損害」についても、確かに事故で身体が辛く仕事を受傷直後に数日休むのは一般的にはあるかもしれません。しかし、他覚的所見がないむちうちの症状で1カ月以上も連続して全休したりすれば、本来働けばもらえたお給料を、自賠責の枠から支出するだけで早期の打切りを招きます。最終的に手元に残るお金は働いていない分少ないのが通常です。「多部位の治療」についても、身体に多くの負傷部位が生じるのはやむを得ないことですが、全ての怪我が同じように症状が続くわけではないため、症状が軽快した部位については治療対象から外していくことが大切です。保険会社も、傷害部位が多いことは多少考慮しますが、部位が増えた分だけ支出できる治療費の予算が倍増していくわけではないため、治療費の削減を被害者も意識する必要があります。
分量が多くなってきましたので、打切り要素②以降は次回のブログに持ち越させていただきますね。

~通院方法②~

以前通院方法に関する記事で、整形外科と接骨院の違いや通院頻度について説明をさせていただきました。今回は、「保険の打切り」を理解するために自賠責一括制度の説明と保険の「早期」打切りを避けるための通院方法を説明いたします。
まず前提問題として、よく聞く「保険の打切り」とはどういう現象なのでしょうか。ご相談者から、被害者の意見も聞かずに、一方的に打ち切るなんて許されるのでしょうかとのご質問を受けます。結論として、保険の打切りが一方的になされてしまうのは制度の仕組み上仕方がありませんし、違法の問題が生じる余地は殆どありません。その理由は自賠責一括制度の仕組みにあります。
そもそも、交通事故にあった被害者は、誰に何を請求できるかといいますと、基本的には事故の加害者に対し、直接治療費などの損害の賠償請求ができるにとどまります。法律的には、被害者が怪我の治療のために医療機関や接骨院などへ通院した場合、診療契約は、被害者とその医療機関の間に生じますので、治療費の支払義務は、法的には被害者の方に発生し、加害者の方が直接医療機関に治療費を支払う義務を負うわけではありません。あくまで被害者の方が、先に医療機関などに治療費を支払い、その支払額を加害者に対し請求できるにとどまります。
最終的には、適正な治療費は確かに自賠責から出ますが、あくまで被害者の方が受診し治療費を支払った後(医療機関は被害者からの申出による指図払いは基本的に応じてくれません。)に、自賠責に被害者自身で支払いを求めるのが自賠責制度の基本的な構造になっています。しかしこれでは、事故にあった被害者に重い負担となるため、各任意保険会社は、自身の契約者が加害者となった場合に、被害者が行うべき自賠責保険への治療費償還手続を代行し、任意保険と一括して治療費や慰謝料などの支払いを行う対応をしています。これを自賠責の一括対応と呼んでいます。
そして、相手が加入している任意保険会社は、相手が加入している自賠責保険では賄えない損害の賠償義務があるに過ぎず、自賠責保険で賄える範囲の損害については対応義務がありません。また、被害者の方が直接相手の任意保険会社に保険金の支払いを請求できるケースは保険約款上限られていますので、任意保険会社に当然に治療費などを支払うように請求はできません。
つまり、あくまで、この自賠責一括対応は、任意保険会社による被害者のためのサービスに過ぎません。そのためそのサービスをどの段階で撤回しても基本的に違法の問題も生じません。被害者の意見を聞くのはあくまで全体的な円満な解決を目指すという側面と、被害者の治療状況を確認して、治療期間を適切な範囲にとどめたいという保険会社の思惑とが重なって対応されているだけでして、被害者の通院継続の意見があっても任意保険会社が保険対応を終了することに法的な問題はありません。
そのため保険の打切りを回避するためには、この自賠責一括対応はあくまで円満解決のためのサービスに過ぎないという出発点を押さえなくてはなりません。
では次に、保険の「早期」打切りを回避するためのポイントを説明します。
「早期」打ち切りを招いてしまうポイントを知ることで、「早期」打ち切りを避けることができると思いますのでこの点を挙げていくと
・過剰通院、濃厚通院がなされていないか
・過少通院となっていないか
・症状の変遷がなく症状固定とみられるような主訴の申告になっていないか
・法的な基準を超える要求を行っていないか
・長期のタクシー利用や長期の休業損害の請求を行っていないか
・多部位の治療を行っていないか
・事故態様が一般的に小規模損害といわれるものになっていないか
となります。
上記ポイントを一つずつ説明したいのですが、分量も多くなってしまうため次回の記事に譲って今回はここまでにしたいと思います。