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交通事故で被害者が死亡した場合に請求できる損害

交通事故によって被害者が死亡した場合に、加害者に請求できる損害には、入通院治療費、付添介護費、入院雑費、入通院交通費等の治療にかかった費用のほか、①葬儀関係費用・遺体搬送費用、②死亡による逸失利益、③慰謝料などがあります。今回は、被害者が死亡した場合特有の損害項目について説明します。
多くの損害項目は定型化・定額化されていますが、自賠責保険が用いる基準、任意加入の保険会社が用いる基準、弁護士や裁判所が用いる基準といった、複数の異なる基準があります。今回は、弁護士や裁判所が用いる基準をもとに説明しますが、いずれもあくまで一応の目安にとどまることにご留意ください。

1 葬儀関係費用・遺体搬送料とは

加害者に請求できる葬儀関係費用には、葬祭費、供養料、墓碑建立費、仏壇費、仏具購入費などがあります。他方で、香典返しは損害として認められませんが、受領した香典(の価額)が損害から控除されることはありません。
葬儀関係費用の基準額は150万円前後でこれを超える支出があっても損害として認められないことが多いほか、反対に、支出額がこれを下回る場合には実際に支出した金額のみを損害として計上できるにとどまることがあります。
なお、遺体搬送料は、葬儀関係費用とは別個の損害として計上します。

2 死亡による逸失利益(いっしつりえき)とは

交通事故の被害者が死亡すると、もし被害者が生きていれば得られるはずであった将来の収入がなくなってしまいます。そこで、その分の損害を「死亡による逸失利益」として被害者の「遺族」が請求することができます。
しかし、被害者が死亡した場合には、将来得られたはずの収入が損害となる一方で、被害者自身の生活費の支出はないので、逸失利益からは生活費が控除されます。
逸失利益の計算方法は、被害者の基礎となる年収から、本人の一定割合の生活費を控除した額に、原則として就労可能年数に対応するライプニッツ係数を乗じて算出します。
逸失利益=[被害者の年収]×[1-生活費控除率]
×[就労可能年数に応じたライプニッツ係数]

※生活費控除率は、被害者が一家の支柱である場合には30~40%、被害者が独身男性の場合は50%など、それぞれ異なります。
※将来得られる収入を一度にもらうため、将来の分は一定割合の利息分を差し引く必要があり、そのためにライプニッツ係数をかけることとされています。
(1) 給与所得者
給与所得者は、原則として事故前の現実の収入額を基礎として算定します。
(2) 事業所得者
自営業者、自由業者、農林水産業者などについては、原則として事故前の申告所得を逸失利益額算定の基礎として算定します。
ただし、申告額が実際の収入額よりも低いときは、申告額よりも実際の収入額より高いことを立証できれば、実際の収入額を逸失利益額算定の基礎とすることになります。
(3) 会社役員
会社役員の報酬のうち、労務提供の対価と考えられる部分は算定の基礎として認定されますが、利益配当の実質をもつ部分は、算定の基礎として認められない場合もありますので注意が必要です。
(4) 主婦(夫)
主婦(夫)は、原則として賃金センサス(厚生労働省が毎年発行する平均給与の総計表)の女性労働者の平均賃金を基礎として算定します。
ただし、仕事をしながら家事をしている場合で、実際の収入が賃金センサスの平均賃金以上のときは実際の収入を算定の基礎とし、通常は、家事労働分の加算は認められません。
(5) 幼児など年少者・学生
原則として、賃金センサスの男女別全年齢平均の賃金額を基礎として算定します。
また、事故時に進学していなくても、短大や専門学校、大学への進学が確実視されている被害者については、既卒としてそれぞれの学歴の賃金センサスを基礎として算定に用いる例が多いです。
(6)失業者
無職者であっても、事故時に通常の労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性がある場合には、逸失利益が認められます。再就職によって得られるであろう収入を基礎とすべきで、その場合、特段の事情のない限り失業前の収入を用いて算定します。ただし、失業以前の収入が平均賃金以下の場合には、平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスを基礎に算定することになります。
(7)年金受給者
被害者が死亡時に年金等の支給を受けていた場合には、年金の受給について、逸失利益の発生が認められることがあります。国民年金(老齢年金)は逸失利益が認められる一方、遺族年金や障害年金の加給分は逸失利益が認められないなど、年金といっても種類によって異なりますので、一度ご相談いただくことをおすすめします。
(8)高齢者
事故時に就労していた場合には、逸失利益を請求できることがあります。
他方、事故時に就労しておらず、年金の受給もなかった場合には、通常、逸失利益を請求することはできません。ただし、家族のために家事労働をしていた場合や、労働能力、労働意欲、就労の可能性が高かったことなどからから、事故にあわなければその後、仕事に就き収入を得ていたと考えられるときは、就労の可能性があれば、賃金センサスの学歴計、男女別、年齢別平均の賃金額を基礎とすることができます。

3 死亡慰謝料とは

被害者が死亡した場合には、被害者本人分の慰謝料と被害者の遺族の慰謝料を損害賠償として請求できます。
弁護士や裁判所が用いる基準による金額の目安は、次のとおりです。(あくまでも目安であって、裁判上もこの金額で満額が認められることばかりではありません。)
一家の支柱であった者 2800万円
母親・配偶者の場合  2500万円
その他の場合     2000~2500万円
この金額には、近親者固有の慰謝料が含まれているものとして運用がされていることから、通常は、別途近親者固有の慰謝料請求をすることはありません。

注意点

事故の原因が被害者にもある場合には、被害者の過失割合を控除した金額を請求することになりますので、上述の金額がすべて認められるわけではありません。この点については、別の記事で説明しますので、そちらをご覧ください。

まとめ

上記のように、請求できる金額は、過失割合、被害者の立場や属性によって異なります。適切な金額を請求するために、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故賠償に強い当事務所なら、事案ごとに問題点を検討し、適切な賠償額をご提案いたします。交通事故の慰謝料等で困ったら、静岡の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談ください。

非接触事故について

交通事故は通常であれば、こちら側と相手側が接触して物の損傷や怪我が生じます。しかし、事故の形よっては、お互いの接触が無い場合で、当事者の一方が転倒、衝突、急制動によって損害を被る場合があります。これらが非接触事故であり、非接触事故の場合には、①運転行為と事故との因果関係、②事故と損害の因果関係など通常問題にならない事項について、争いが発生します。そこで、非接触事故をめぐる争いは多岐にわたりますが、争われる可能性のある、運転行為と事故発生の因果関係、事故の過失割合、事故と損害の因果関係などを適宜説明させていただきます。
通常、加害者の運転行為によって被害者の車両や身体に接触が生じるため、加害者の運転行為との間の因果関係が問題になることは多くありません。しかし、道路を走行していたところ、歩道を自転車に乗った小学生が通行しており、小学生に近づいたところ、突然道路を横断しようとして車道方向へ進路を急に変えたことから、それをよけるためにハンドルを回避したところ、反対車線を通行してきた対向車と接触した場合のような、非接触事故の場合には、加害者の運転行為と事故発生との因果関係がそもそも問題となります。
この場合、加害者の位置や進行の方向などから、間近に事故発生の客観的な危険性が確認できる場合には、加害者(小学生)の運転と被害者が起こした事故の因果関係は認められます。
しかし、このケースで実は、小学生は道路を横断しようとしたのではなく、歩道に落ちていた間近に迫った空き缶をよけるために道路側に急にハンドルを切ってすぐに歩道に戻ったような場合には、小学生の運転行為の客観的な危険性は下がっていきます。この缶を避ける行為が時間的に差し迫っていなければいないほど、因果関係は否定される方向になるかと思います。また、ある程度まだ自動車との距離があり余裕がある距離間で缶を避けようとしたが、自動車の運転者がびっくりして回避行動をした場合には、その缶を避ける行為がなされた距離感や、缶を避ける動作と横断動作との区別の困難性などからして、小学生は横断しようとした際の過失ではなく、横断をするような誤解を与えた運転をした過失が問題とされ、過失考慮における帰責性の内容が変わる可能性があります。
このように、非接触事故の場合には、どのタイミングで加害者の運転行為がなされたか、その危険性がどのようなものだったのかによって、因果関係が否定されるところから、通常問題となる過失割合よりも軽減された過失内容で過失割合を判断される場合があるのです。
次に、事故と損害との因果関係ですが、特に問題となるのが非接触事故における回避車両乗車人の受傷の問題です。この場合には、直接の接触による衝撃が加わらず、乗車人に加わるのは、ハンドルの急転把による衝撃や、急制動による衝撃が主たるものになります。そのため、非接触事故により怪我が生じたという場合には、乗車姿勢、お互いの速度、回避動作・急制動動作の大きさなどが客観的に明らかにされる必要があります。また、仮に受傷が認められたとしても、通常の衝突事故よりも、身体に加わる衝撃が小さくなる傾向があるため、治療期間の相当性をめぐる争いが生じやすいと言えます。
また、急制動や急転把を行うと、車内の積載物が損傷することが多いのですが、車内の積載物が損傷するかはどのような衝撃が車体に加わったのか、積載物の積載状況などによって異なるため、積載物の損傷をめぐって意見が対立しやすいという構造があります。
以上の争いは、非接触事故という特殊性から、車体に衝突の痕跡が残らないことから、車体の痕跡を通じた事故衝撃度を推し量る尺度が失われてしまうという点にあります。そのため、非接触事故に遭ってしまったときは、ドライブレコーダーや付近の防犯カメラ映像がある場合には、確実に保全を行う必要があります。また、事故直後の車両の位置関係などをできる限り手持ちのスマートフォンなどで撮影し、事故状況の保全を行う必要があります。警察の実況見分に対しても、どの位置で相手方がどのような運転動作を行ったかが非常に大切な問題となることから、妥協せずに事情を説明していく必要があります。さらに、積載物の積載状況をすぐに車内撮影するなどして保全する必要もありますし、受傷があるならば事故当日又はできるだけ早期に受診して、非接触事故による衝撃で受傷した旨を診察医に説明する必要があります。
交通事故賠償に強い弁護士法人HOPE法律事務所なら、事案ごとに非接触事故の問題点を検討し、十分にご依頼者に説明を行います。非接触事故で事故手続きにお困りの方は、静岡(静岡市、浜松市、沼津市、焼津市、藤枝市、富士市など全域対応)の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談いただくのをお勧めいたします

交通事故と裁判について

交通事故に遭われた被害者の方は、通常であれば、相手が加入している任意保険会社の担当者と事故手続きを進めていくことになり、賠償の内容について合意できれば示談となり、事故手続きは解決となります。
ただ、全ての事故手続きが訴訟外の示談により解決できるわけではなく、裁判を行わなければならないこともあります。
そこで、今回のブログでは、どのようなときに交通事故において裁判が必要になるか、また裁判はどのように進んでいくのかについて説明をさせていただきます。
裁判を必要とする理由はいくつかあります。①過失割合や損害に関する見解の相違②相手と協議ができない③保険制度上訴訟による解決の必要性が高い場合などが典型的な理由です。
①の過失割合や損害に関する見解の相違についてですが、まず双方の運転者が、事故の過失割合について納得しない場合には裁判が必要になります。ドライブレコーダーや防犯カメラなどがなく、双方が「青信号」で交差点に進入したと主張する事案や、一時停止の有無などの過失の修正要素の有無を巡って裁判になるケースです。特に、歩行者、自転車、バイク事故のように、「人身傷害保険」が付保されていない事故については、過失の割合が直接、被害者の受領額に影響を与えるため激しく過失が争われる傾向にあります。
②相手が無保険(自賠責、任意保険)の場合には、賠償交渉にあたって相手と直接話をしなければならないことが多いですが、協議途中で相手と連絡が取れなくなることがよくあります。また、相手の任意保険会社と協議できている場合でも、相手任意保険会社の担当者と協議した解決案について、相手保険会社担当者から相手方に承諾の連絡を入れても繋がらないとして連絡が取れなくなってしまうことが稀にあります。このような場合には、相手方本人へ訴訟を提起したり、保険会社への直接請求も併せて提訴するということが行われます。
③また、相手保険会社担当者との間で、過失の割合や損害額について特段相違点が無い場合であっても、被害者の過失割合がある程度生じると、訴訟を提起し、裁判上の和解を行うことで、人身傷害保険から訴訟差額基準説に従った人身傷害保険金を請求するメリットが大きくなります。そのため、人身傷害保険の約款上の条件を満たすために提訴がなされることもあります。
次に、ご依頼者からは裁判に関して、「裁判は私も出席しないといけませんか」「裁判はどれくらいの長さで解決するのですか」「裁判になると賠償金が増えるときいたのですが本当ですか」といった質問を受けます。
まず、裁判の出席ですが、弁護士を代理人として訴訟を提起する場合には、基本的には弁護士が裁判所に出頭したりWEB上で裁判を行ったりすることから、ご依頼者は裁判に出席する必要がありません。ただし、過失割合の争いが深く、事故態様について当事者から事故の状況を尋問で供述してもらったり、後遺障害の残存が問題となっていて症状経過などを供述してもらったりする必要がある場合には、尋問期日に出頭してもらう必要があります。しかし、交通事故の裁判の多くは、尋問まで進まずに裁判上の和解で解決するため、当事者が出頭することは稀だと思います。
また、裁判はどれくらいの期間かかりますかとの質問は、裁判上の争点の深さによって変わるため一概には言えないところがあります。比較的簡明な裁判であれば、訴訟提起から半年程度で裁判官からの和解提案まで進めますし、複雑な案件であれば1年前後かかる事案もあります。医療の問題が関わる事案については、それ以上の期間がかかることもありますのでやはり個別のケースによるというのが実情です。
多くの方が興味があるのが、裁判になると示談交渉時よりも賠償金が増えるのかという点ですが、これは非常に難しい問題です。結論として、裁判で主要な争点の多くに勝てば賠償金が示談交渉時より増える場合が多いと思います。しかし、相手保険会社は、示談交渉で解決できるのであれば、争わない争点などもあり、訴訟になれば問題となるすべての争点について争ってきますので、裁判になり、示談交渉時には争わなかった争点について争われた結果、賠償金が大きく減少することも珍しくはありません。大切なことは、裁判になった際の勝訴メリット・敗訴リスクを正確に予測し、示談交渉で解決するのか、訴訟提起へと進むのかを判断することです。
交通事故賠償に強い弁護士法人HOPE法律事務所なら、事案ごとに訴訟のメリット・デメリットを検討し、十分にご依頼者に説明を行います。交通事故で裁判を検討している方は、静岡(静岡市、浜松市、沼津市、焼津市、藤枝市、富士市など全域対応)の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談いただくのをお勧めいたします。

自転車の交通事故ついて

交通事故は、車と車だけではなく、車、バイク、自転車、歩行者、そして最近様々なタイプのマイクロモビリティによる事故がニュースとなっています。特に、近年、自転車と歩行者の事故で、場合によっては1億円を超える賠償責任が認められる事故も見られるようになりました。
そこで、今回は、自転車による事故について触れたいと思います。
まず、「自転車」も、道路交通法上の「軽車両」に該当することから、交差点における他の車両との関係で一定の義務を負ったり(法36条)、車両運行時の灯火(法52条)、酒気帯び運転等の禁止(法65条)などの車両に関する規定の適用を受けます。
他方で、自動車などの車両とも同一ではなく、自転車の特有の規制もなされています。
自転車事故と一口にいっても、様々な問題があることから、今回は、原動機付自転車に該当しない、昔からの自転車、電動アシスト付自転車の過失問題、賠償問題について説明します。
自転車の過失割合は、4輪自動車、自動2輪車と比較して交通弱者として有利に過失割合が設定されていることが多いです。もっとも、自転車も、過失割合を定めるにあたっては、通常の速度(時速15km程度)で走行していることを前提としていることから、高速走行に適したロードバイクなどで時速30kmに近い速度で走行している場合には、過失算定上通常より不利益に扱われる可能性があります。また、それとは逆に、歩行者と同視できる速度、状況にある場合には、歩行者に準じた過失割合で算定されることもあります。いずれにしても、個別の運転状況を考慮するには、当時の事故状況がドライブレコーダーや防犯カメラなどである程度再現できる必要があります。
自転車事故の問題で切実なのが、賠償責任保険への加入の有無となります。
自転車であっても、運転態様によっては相当程度の過失を負担する可能性があります。
冒頭にも記載したとおり、自転車であっても高額の賠償責任を負う場合があります。その場合には、その賠償責任をカバーする個人賠償責任保険に加入していないと、自らの負担で賠償責任を果たさなければなりません。
当事務所のある静岡県では、「静岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」により、2019年10月1日より、自転車の賠償責任保険の加入が義務付けられています。同年以降に購入した自転車は、店舗において賠償責任保険の加入をすることが多いとは思いますが、同年以前に購入した自転車や、同年より後に購入した自転車であっても賠償責任保険を更新していない場合には、対応できる賠償責任保険がないことになります。
もし、ご自身が自転車で事故に遭ってしまい、相手に賠償責任を負う場合には、今後の支払いのために賠償責任保険の有無についてまずは確認をしてみましょう。
代表的な賠償責任保険は、個人賠償責任保険といいまして
・自動車保険
・火災保険
・共済
・クレジットカードの保険
・学校で加入する団体保険
・自転車にTSマークが張ってある場合の加入保険
などで保障されていることがあります。
冒頭の記載のように、場合によっては1億円を超える賠償責任を負う可能性はありますし、そこまでの責任ではなくても数十万円~数百万円の賠償責任を負う可能性は自動車事故とそう大差ありません。
また、個人賠償責任保険は、保険会社による示談交渉サービスが付保されていないケースが多く、事故に遭ってしまった場合でも、ご自身の保険会社の協力を得られないケースが多くなります。
このように、自転車事故は、自動車やバイクの事故と異なり、そもそも法律上車両としての扱いも独自であり、過失割合も自転車という軽量な乗り物であることや通行区分の特殊性により特別な考慮が必要となります。また、賠償責任に関しても保険によるカバーの有無や、事故手続きを代行してくれる保険会社が居ないことが多いなどの特殊性があります。
交通事故賠償に強い弁護士法人HOPE法律事務所なら、事案ごとに自転車事故の特殊性を判断し、個人賠償責任保険の付保の有無の調査や示談交渉、事故手続きの代行についてサポートいたします。そのため自転車事故にあって、不安を感じられている方は、静岡(静岡市、浜松市、沼津市、焼津市、藤枝市、富士市など全域対応)の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談いただくのをお勧めいたします。

レッカー費用・搬送費用

交通事故に遭って車両が損傷し、事故現場で走行ができなくなってしまうことがあります。その場合には、事故現場から修理工場まで、レッカー移動をしなければなりませんが、その搬送費用はレッカー費用として通常交通事故による損害賠償の対象になります。
ただ、レッカー費用と一言でいっても様々なケースがあり、レッカー費用をめぐって争いが起こることもありますが、他方で法律書籍ではこのレッカー費用について取り上げたものはほとんどありません。
そこで、今回はこのレッカー費用・搬送費用について解説したいと思います。
まず、事故にあった車両が傷ついているから走行に不安があるといってもすべての場合にレッカー費用が損害と認められるわけではありません。レッカー費用が損害と認められるには、レッカーの必要性を満たす必要があります。
レッカーの必要性は、典型的には①事故によりエンジンや電気系統の故障が生じて走行ができない②計器類は正常であるが、タイヤがボディに干渉するなど故障により安全な走行ができない場合③ウインカーが転倒しない、ランプ類が破損しているなどの保安基準を満たさないものなどが該当します。
レッカーの必要性を満たした後は、レッカーの相当性も充足する必要があります。
明確な定義はありませんが、実務上一次レッカーと二次レッカーでレッカーの相当性の判断が異なる場合があります。一次レッカーは、事故現場から最初にレッカーされた場合のレッカーのことを指すようですが、これは基本的に賠償の対象になります。問題は二次レッカーで、これが紛争の対象になりやすいです。典型的には、当初ディーラーに修理のために入庫したが、その後知り合いの業者で修理をすることになり、ディーラーから知り合いのモータースに再搬送するような場合です。
このような二次レッカーは事故当事者の都合で搬送を行うので相当因果関係を欠く場合が多いと言えます。
他方で、二次レッカーでも賠償の対象になる場合があります。例えば、遠方の高速道路での事故などで最寄りの警察や保管所に一旦保管するために一時レッカーし、その後実際の修理業者へ二次レッカーする場合や、夜間レッカーで保管のために一旦保管場所に一次レッカーし後日修理業者にレッカーをする場合など、一次レッカー先が十分な考慮のもとで修理場所に適するところとして運ばれていないケースについては、賠償の対象になりやすいと言えます。
また、レッカーの相当性については、レッカー費用の相当性、レッカー距離の相当性なども問題になり、あまりに高額な搬送費用や、合理的理由なく遠方の修理工場に入庫するために搬送を依頼する行為による搬送費用はレッカーの相当性を欠く場合が多いと言えます。
このように、明確な基準がなく、事故発生の場所、搬送の経緯、二次レッカーの必要が生じた理由、費用、距離などを総合してレッカー費用の相当性を判断していくことになります。
当事務所でも、レッカー費用について必要になった際には、損害調査報告書や事故車の現状から、走行上の安全性、保安基準との整合性などを調査し、相手保険会社とレッカー費用の交渉を行い、レッカー費用を認めさせた実績が複数ございます。
交通事故賠償に強い弁護士法人HOPE法律事務所なら、事案ごとにレッカー費用の請求可能性を判断し、請求が可能な場合には、必要な資料の作成についてサポートいたします。そのため事故にあってレッカー費用・搬送費用などの損害が気になる方は、静岡(静岡市、浜松市、沼津市、焼津市、藤枝市、富士市など全域対応)の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談いただくのをお勧めいたします。

解決事例②

当事務所で扱った過失解決事例において成果を収めました事例をご紹介いたします。ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。
当事務所の交通事故弁護の取り組みの特徴として、「事故直後からの弁護」があります。事故直後からの交通事故弁護を必要とする理由はいくつかありますが、事故直後からご依頼いただくことで、ドライブレコーダー映像の保存、実況見分の実施や対応の助言、防犯カメラ映像の獲得、事故目撃者の確保、示談前の過失交渉などが可能となることから、過失を争う際にも事故発生からなるべく早期にご相談いただくのが大切となります。
ところが、色々なご事情で、治療期間中に弁護士に相談が出来ずに、事故の怪我が完治していないけれども治療が終了してしまうことがあります。
今回ご紹介の事案は、事故によって強い追突に遭い、車内事故ですが外傷性硬膜下血腫で救急搬送され、入院先の病院で数日入院して経過を見ていたところ、出血傾向がないということで退院し、経過観察として1週間後再診して出血拡大がないということで有事再診となった事案となります。
ここで注意しなければならないのは、①外傷性硬膜下血腫が生じるほどの追突事故ではあるものの、総合病院では生命にかかわるような重大な傷病しか診断名に載ってこないこと②もちろん本人には頚椎捻挫や腰椎捻挫、頭痛の残存があったにも関わらず、退院後の総合病院での外来受診が、脳出血に関することのため脳神経外科であり、打撲捻挫の治療が見落とされてしまったことになります。
そのため、退院後1週間後の外傷性硬膜下血腫の受診後は、総合病院を受診する必要がなくなったものの、首や腰の痛み頭痛の症状が続いたものの、処方されていた痛み止めを飲んで我慢して過ごしていたところ、すでに最終通院より1カ月が経過し、自賠責の保険対応が打ち切られてしまい、わずか10日分ほどの賠償提案がなされた事案となりました。
当事務所で通院終了後にご相談を受け、通院の再開自体はあまりに最終通院日から経過してしまっていたため難しいとの判断に至りました。
しかし、通院の再開が難しいことと、賠償の範囲が最終通院日になってしまうことは同じではなく、相当な治療期間と予定される範囲で賠償を認めるべきと交渉する方針となりました。
当初の賠償提案は約15万円ほどでしたが、当事務所で交渉を行ったところ30万円を超える賠償を相手方が認め、ご本人もこれ以上の長期化を望まないこともあり、示談となりました。
このように、交通事故の弁護は、なるべく事故直後から、交通事故に詳しい弁護士に依頼することが重要です。当事務所は、年間数百件の自賠責患者を取扱う静岡の交通事故に強い弁護士事務所となります。「事故に遭ったらすぐHOPE」(商標登録済)と覚えて事故にあったらまず弁護士法人HOPE法律事務所にご相談いただくことをお勧めいたします。

車載物や携行品の損害~車載物の損害②~

交通事故に遭うと、乗車している人だけではなく、車内外に積んでいる積載物に破損などの損傷が生じることがあります。そこで、今回は、この車載物や携行品に関する問題についてみていきましょう。
車両と車両の衝突などにより、事故車両に積載してあった荷物、仕事道具、携行品などが破損することがあります。当然、事故との因果関係が認められる場合には、相当な損害額について賠償の対象となります。
しかし、車載物や携行品特有の問題がありますので注意が必要です。
まず、当然ですが、事故により当該車載物・携行品の損傷が立証できなくてはなりません。一般に、車内にある積載物が損傷するにはある程度の衝撃が加わらなくてはならないため、事故の規模が小さい場合には、積載物などの損傷の立証が強く求められることになります。
多くのケースでは、円満解決のために少額の動産に関しては、損傷写真や損傷の申告をもとに処理されていますが、あくまで円満解決を前提にした扱いであり、裁判になった場合には争われてしまう可能性があることに注意が必要です。
特に、素材などから損傷が生じることが稀である品物、事故の規模に比して損傷が激しすぎる品物、被害品目からして被害申告の時期が遅すぎるものなどは争いになりやすいので注意が必要です。対策としては、事故直後の車内の様子を撮影しておくことや、事故後損傷が生じたものがないかできる限り相手方保険会社に網羅的に、迅速に申告しておく、できる限り損傷が生じた機序を説明できるようにしておく、被害品目は損傷部位のアップの写真とともに全体の写真も撮影し、どの部分のどの程度の損傷かがわかるようにしておくことなどが必要です。
損傷が認められた場合でも、基本的に動産は使用による減価を免れませんので、購入時からの減価償却を求められます。もっとも、物の耐用年数を法的に定めたものはなく、様々な制度目的の中で定められた耐用年数などを参考に協議をしていく必要がありますので、保険会社から提案された減価償却の内容が唯一の正解ではありません。
交通事故賠償に強い弁護士法人HOPE法律事務所なら、事案ごとに積載物・携行品の請求可能性を判断し、請求が可能な場合には、必要な資料の作成についてサポートいたします。そのため事故にあって積載物・携行品などの損傷が気になる方は、静岡の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談いただくことをお勧めいたします。

後遺障害事例⑧

当事務所で扱った後遺障害申請事例において成果を収めました事例をご紹介いたします。ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。
当事務所の交通事故弁護の取り組みの特徴として、「事故直後からの弁護」があります。事故直後からの交通事故弁護を必要とする理由はいくつかありますが、後遺障害との関係では、経時的に症状を確認していることから、必要な検査を提案できること、残存症状と認定症状との齟齬が無いかを迅速に確認できることが大きなメリットと言えます。
今回の依頼者は、自転車で信号機の規制のない交差点を直進中、一時停止規制のある交差道路の一時停止線に相手自動車が停止していたので、先に進路を譲ってもらえたと考えて直進したところ、相手自動車の前に進んだ時点で突然相手自動車が発進したことから側面から衝突し、その勢いで自転車ごと地面に転倒し、足に脛骨高原骨折の傷害を負いました。
1カ月ほど入院し、その後外来で8カ月ほどリハビリを続けましたが、骨折部分の痛みや可動域制限が残存したことから、後遺障害の申請を実施することになりました。
申請を行いましたが初回申請では、後遺障害には非該当という結果となりました。
自賠責では、骨折部の骨癒合が得られていることや、その他の症状経過や治療状況に照らすと将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉えられないという判断でした。
しかし、脛骨高原骨折は、骨癒合自体は得られていても骨折面の不整が残りやすく、疼痛や可動域制限の原因となったり、二次性の変形性膝関節症に進行しやすいとの特徴があることから、医療調査を実施する方針となりました。
当事務所の顧問医師とも協議をしたところ、やはり、高原骨折受傷時に、脛骨の外顆の陥没が存在し、さらに受傷時よりもその陥没が進行して変形癒合していること、受傷時のCTでは関節面の骨折のみならずさらには軟骨骨折にも著しい損傷があることがわかりました。また、軟骨骨折による変形性膝関節症の進行を確認するため、追加の検査を指示したところ、事故前からも若干の変形性膝関節症があったものの、事故後急速に同膝関節症が進行してしまったことが検査で確認ができました。
そこで、異議申し立てにおいて、受傷当時の関節面の不整、軟骨にまで及ぶ骨折の指摘、事故前と比べて検査画像上も変形性膝関節症の大幅な進展があること、丁寧な日常生活の支障状況の聞き取りにより後遺障害に整合する支障の存在を裏付ける資料とともに、自賠責に2回目の後遺障害申請を実施したところ、自賠責もこの点の当方の主張を全面的に受け入れ後遺障害等級12級13号に該当するとの判断となりました。
このように、交通事故の弁護は、なるべく事故直後から、交通事故に詳しい弁護士に依頼することが重要です。当事務所は、年間数百件の自賠責患者を取扱う静岡の交通事故に強い弁護士事務所となります。「事故に遭ったらすぐHOPE」(商標登録済)と覚えて事故にあったらまず弁護士法人HOPE法律事務所にご相談いただくことをお勧めいたします。

休業損害⑤~会社役員の休業損害・逸失利益~

会社の役員(取締役・監査役など)が交通事故に遭い、会社を休業した場合の休業損害や、会社役員に後遺障害が残存した場合に逸失利益を算定する上で基礎収入をどのように考えるかについては非常に難しい問題があります。
この問題は非常に難しいため、今回は、会社役員の休業損害について説明します。
まず、会社役員が事故にあって、通院などで本来の業務に支障が出た場合に、よく言われるのが「会社役員は休業損害が請求できない」とのフレーズですが、これは正確ではありません。正しくは、「休業損害が請求できないことが多い」となります。
なぜ休業損害を請求することができないことが「多い」かというと、役員個人の「損害」が無いことが多いためです。会社と役員との法律関係は「雇用契約」ではなく、「委任契約」であるため、基本的に出社義務がなく、仮に交通事故で多少休んだり、通院に時間を取られたとしても、株主総会(又は委任を受けた取締役会)で決められた役員報酬が支給されることから、役員個人には「損害」が生じません。
他方で、会社役員がまったく休業損害が請求できないかと言えばそうではなく、重大な骨折などで長期通院が必要であることから、正規の手続きで役員報酬を減額または不支給とされた場合には、役員個人の「損害」を観念できるようになり、休業損害の対象となります。もっとも、会社の役員は、株主総会等で役員報酬の減額決議を取れば直ちに税制上有効と扱われるわけではありませんので、事故手続きとの関係でのみ役員報酬を減額すると、会社経費に算入されない可能性がありますので注意が必要です。
では、会社役員が一定期間休業していたにも関わらず、会社が役員報酬を支払った場合には、休業損害は請求できないかというと、個人の役員については損害がありませんので既述のとおり休業損害を請求できません。しかし、会社は、委任契約で決まっているとはいえ、休業中の取締役のために既定の役員報酬を支払ったのですから、会社には休業期間に対応する役員報酬相当額の損害が生じたとみることができます。この場合は、「反射損害」という概念で、役員や従業員への休業損害の支払に伴った賠償者代位と類似の考えで会社に賠償請求が成立すると考えられています。
このように、会社役員への休業損害は認められる余地があるものの、その内容は複雑ですし、必要となる書類(株主総会議事録)の複雑性などもあり、ほとんど請求がされていません。
しかし、交通事故賠償に強い弁護士法人HOPE法律事務所なら、事案ごとに休業損害の請求可能性を判断し、請求が可能な場合には、必要な資料の作成についてサポートいたします。そのため事故にあって休業損害が気になる方は、静岡の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談いただくのをお勧めいたします。

通院方法⑥

交通事故に遭い被害者が怪我を負った場合、医療機関等で支払いが必要となる治療費については、交通事故による治療として必要性があり相当な範囲で相手方が支払義務を負うことになります。
もっとも、相手方保険会社が、自賠責保険の一括対応をしている場合には、相手方保険会社が、医療機関に対し、治療費を直接支払うことになるのはこれまでもブログでご説明した通りです。
今回は、この治療費の一括対応がいつまでなされるか、打切りをどの段階でしてくるのか、その判断を相手保険会社がどのようにしているのかを説明したいと思います。
まず、事故の後すぐに保険担当者は、被害者の方に連絡をしてきて、受傷状況を確認します。そこでは、事故態様を聞き取り、自社の契約者(相手方)の事故態様と齟齬がないか、衝突による受傷の合理性などを判断していきます。例えば、追突事故である場合に、「頚椎捻挫」や「腰椎捻挫」といった診断書が発行されていれば、それ自体不自然ではありませんが、「肘関節打撲」「下腿部打撲」といった傷病名の場合には、追突という事故態様でどのように受傷したのか疑義を生じさせます。
また、症状が強く出ている場所などを聞かれた際に、腰が一番痛い、肩関節が上がらないなどの症状が真っ先に出てくると、事故前から身体の不調があったのではないか(事故前からの腰痛、事故前からの凍結肩)と疑われる場合があります。
他には、受診した医療機関で、通常ならば医師が撮影すべきレントゲンを撮影していない、鎮痛剤の処方がされていない、途中で処方が中止された、受診の際に消炎鎮痛処置を実施されていないなど、医師の見立てが軽症を疑わせるような経過の場合にも打切り要因となります。
他の治療の内容としては、漫然と同じ内容の治療が繰り返されている、治療回数が少ない、又は濃密に一定期間減少がないなどの症状の改善が乏しく、慢性症状となっている場合には、治療の必要性が乏しくなり打切りが考慮されます。
また、相手保険会社は営利企業ですので、自賠責保険の保障枠120万円をどれだけ超えてしまうかということも考慮にいれています。
例えばタクシー通院が多い、休業が多い、治療の対象部位が多い、高額な検査を多数回行っているなどの事情により、自賠責の保障枠を大きく超えてしまう場合には、保険の打切り要因となってしまいます。
このほかにも、事故車両の損傷の程度、治療が進むにしたがって治療回数が増える等外傷の治癒経過に合致しない、整形外科への定期診療が1カ月以上空いてしまうなど無数の考慮要素があります。
これらの要因の中から、不当な早期打ち切りを避けるために、必要となる対応をしなければなりませんが、これらの要素を適切に把握、統合そして臨床経過に反映するのは非常に困難です。
そこで、必要なのは、事故に遭ったらなるべく早期に、「治療期間中の弁護に強い弁護士」に相談することですね。治療期間中の保険会社の対応に困ったら、静岡の交通事故の弁護に強いHOPE法律事務所にご相談ください。