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【解決事例】見逃された骨折が後遺障害に-脊柱変形で11級認定を獲得

【解決事例】見逃された骨折が後遺障害に-脊柱変形で11級認定を獲得

【解決事例】見逃された骨折が後遺障害に─脊柱変形で11級認定を獲得

ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。

本事例の概要
事故内容交差点で衝突事故
後遺障害等級11級7号
傷病名胸椎の圧迫骨折
後遺障害脊柱の変形障害

当事務所では、交通事故の被害に遭われた方に対して「事故直後からの弁護」を行うことを重視しています。特に後遺障害が問題となるケースでは、症状の経過を継続的に確認することで、適切な検査を早期に提案できるほか、残存する症状と後遺障害等級の認定内容との食い違いを迅速に把握できるという大きなメリットがあります。

今回ご紹介する依頼者は、信号機による交通規制のある交差点を青信号で直進していたところ、赤信号を無視した相手方車両が交差点に進入し、交差点内で激しく衝突。依頼者は救急搬送され、総合病院で緊急治療を受けました。

しかし、総合病院での初期診断では、明確な骨折所見が確認されませんでした。ところが、その後も続く腰背部の強い痛みを訴え、後日通院した整形外科でMRI検査を受けたところ、胸椎に圧迫骨折があることが判明しました。

弁護士の対応

この診断を受けて、依頼者は後遺障害申請に強い当事務所にご相談くださり、すぐにご依頼いただいたことでサポートを開始しました。当事務所では、必要な治療期間の確保について保険会社と交渉を行い、後遺障害申請の手続きに着手。その結果、脊柱の変形障害として後遺障害等級11級7号が認定されました。

脊柱変形による後遺障害については、示談交渉でも裁判でも、労働能力喪失率や労働能力喪失期間が争点となる傾向が非常に強く、交渉には慎重かつ高度な判断が求められます。被害者の年齢・性別・骨折の程度・脊柱の変形状況・後遺障害の内容などを総合的に考慮したうえで、示談にとどめるべきか、訴訟に踏み切るべきかを見極める必要があります。

本件では、依頼者が若年の男性であったため、仮に裁判となった場合には、労働能力喪失期間を制限される可能性が高く、また喪失率についても時間の経過とともに逓減される恐れがありました。こうしたリスクを踏まえ、当事務所では示談交渉において骨折所見の重大性や予後の不良性を丁寧に説明し、労働能力喪失率については一部譲歩しつつも、就労可能年数いっぱいまでの労働能力喪失期間を認定させることに成功しました。

その結果、本件は訴訟リスクを回避しながら、依頼者にとって十分な補償を確保し、早期解決を実現することができました。

このように、交通事故の被害にあった場合は、できるだけ早い段階から交通事故案件に詳しい弁護士に相談することが非常に重要です。当事務所は、年間数百件の自賠責案件を取り扱う、静岡の交通事故に強い法律事務所です。

「事故に遭ったらすぐHOPE」(商標登録済)そう覚えていただき、万一のときはぜひ、弁護士法人HOPE法律事務所にご相談ください。

【解決事例】異議申立てで後遺障害等級が12級から併合11級に

【解決事例】異議申立てで後遺障害等級が12級から併合11級に

【解決事例】異議申立てで後遺障害等級が12級から併合11級に

ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。

本事例の概要
事故内容バイク事故
後遺障害等級併合11級
傷病名左鎖骨遠位端骨折
右下腿皮膚剥離脱創
後遺障害下腿の醜状痕
足関節可動域制限

当事務所の依頼者がバイクで信号機のある交差点を青信号で直進していたところ、信号無視をした相手方車両が側面から衝突し、交通事故が発生しました。

この事故により、依頼者は左鎖骨遠位端骨折および右下腿の皮膚剥離脱創(いわゆるデグロービング損傷)などの重傷を負い、救急搬送・緊急手術が実施されました。

事故後は一定期間の治療を受けましたが、右下腿には醜状痕が、また右足関節には可動域制限といった後遺障害が残る結果となりました。

その後、後遺障害等級の申請を行ったところ、「下腿の醜状痕」により12級が認定されました。しかしこの認定には問題がありました。

というのも、醜状痕による12級では労働能力喪失率の評価において争点になりやすく、また、実際に生じている右足関節の可動域制限については一切認められていなかったからです。

弁護士による対応

そこで当事務所では、右足関節の可動域制限が交通事故と因果関係があることを立証し、右足関節の可動域制限による12級の追加認定、さらに醜状痕との併合によって11級の認定を目指して、異議申立てを行うこととしました。

もっとも、本件における可動域制限については、右足関節の骨折など明確な受傷が確認されておらず、客観的な医学的所見に乏しいという課題がありました。

そこで当事務所では、提携している整形外科専門医と協議し、右足関節の可動域制限は右下腿のデグロービング損傷に起因するものであるとの医学的意見書を作成していただきました。

この新たな医学的証拠をもとに自賠責へ異議申立てを行った結果、交通事故と右足関節の可動域制限との因果関係が認められ、後遺障害等級12級、併合11級の認定を受けることができました。

このように、同じ12級の認定がされていたとしても、内容を精査し、より有利な認定が得られる可能性を検討・主張することが極めて重要です。そのためには、弁護士自身の医学的知識の研鑽はもちろん、信頼できる協力医との連携が不可欠であるという実例としてご紹介いたしました。

交通事故の過失割合とは?決まり方・基準・修正要素を解説

交通事故の過失割合とは?決まり方・基準・修正要素を解説

交通事故の過失割合とは?決まり方・基準・修正要素を解説

交通事故では、示談がすぐにまとまらないことがあります。その大きな要因の一つが、過失割合に関する争いです。被害者が、保険会社から提示された過失割合に納得できない場合、示談交渉が長期化することになります。

では、交通事故における過失割合は、どのようにして決まるのでしょうか。

以下では、過失割合とは過失割合の決まり方過失割合の基準基本となる過失割合および過失割合の修正要素などについて説明します。

過失割合とは

交通事故の多くは、当事者の一方だけに原因があるのではなく、双方に過失があるケースが一般的です。

過失割合とは、双方に過失がある場合に、それぞれの責任の度合いを比率で表したものです。たとえば、どちらにどれだけの責任があるのかを、30:7050:50といった数値で示します。

ところで、民法722条2項は「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と定めており、これは過失相殺に関する規定です。

過失相殺とは

損害賠償額を定める際に、被害者にも過失がある場合には、その割合に応じて賠償額を減額する制度です。

また、多数の交通事故訴訟をある程度統一的に処理するため、事故の態様ごとに過失割合を定めた過失相殺基準が設けられています。


このように、過失割合は損害賠償額を算定する上で非常に重要な要素となっています。

過失割合の決まり方

交通事故では、保険会社が独自に考えた過失割合に基づいて過失相殺を行い、その上で示談金を提示してくるケースが多いと考えられます。そのため、交通事故の過失割合は保険会社が決めていると思っている方も少なくありません。

しかし、交通事故の損害賠償について示談が行われる場合、過失割合も当事者同士の話し合いによって決める必要があります。つまり、過失割合は当事者双方の合意によって決定されるのです。

また、過失割合について当事者の合意が得られず訴訟に発展した場合には、当事者双方の主張や立証に基づき、裁判所がこれまでの裁判例などを参考にしながら、事案に応じて個別具体的な事情を考慮し、過失の有無やその割合を認定することになります。

過失割合の基準

過失割合については、前述のとおり、当事者双方の合意、あるいは訴訟となった場合には裁判所の判断によって決定されますが、まったく基準がないわけではありません。

裁判所は、基本的に、過去の裁判例を参考にして過失割合を判断しています。特に、実際の事故の態様と類似した事案で、どのような判断がなされたのかを基準とすることが多くあります。

また、当事者同士で過失割合を決める場合にも、仮に裁判となったときにどう判断されるかを見越して検討されるため、やはり過去の裁判例が参考にされるのが一般的です。

さらに、実務の現場では、東京地裁民事交通訴訟研究会編「別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂5版〕」(以下「判タ38号」といいます)や、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準辺)」(以下「赤い本」といいます)が広く用いられており、事案の態様ごとに、基本となる過失割合や修正要素を踏まえて判断されるのが一般的です。

そこで、次に「判タ38号」や「赤い本」をもとに、基本となる過失割合および修正要素について見ていきましょう。

基本となる過失割合および過失割合の修正要素

一般的な事故態様の場合、基本となる過失割合およびその修正要素が、どのような割合になるのかを以下に示します。

修正要素には、当事者に不利となる加算要素と、有利となる減算要素があります。ただし、複数の修正要素がある場合には、それぞれの数値を累積的に適用するか、あるいは限定的に適用するかは、事故の態様に応じて判断されます。

下記の説明で用いている「著しい過失」と「重過失」の意味は、以下のとおりです。

「著しい過失」に該当する行為の例

  • 脇見運転などによる著しい前方不注視
  • 酒気帯び運転
  • ハンドルやブレーキの著しく不適切な操作
  • 概ね時速15km以上30km未満の速度違反(※高速道路は除く)
  • 携帯電話などの無線通話装置を使って通話したり、画像を注視しながら運転する行為

「重過失」に該当する行為の例

  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • 概ね時速30km以上の速度違反(※高速道路は除く)
  • 過労・病気・薬物の影響などにより、正常な運転ができないおそれがある状態での運転

なお、歩行者側の黄信号には、歩行者専用信号機の青点滅も含まれます。

歩行者と自動車の事故

自動車直進の場合の基本となる過失割合

道路状況歩行者の
過失割合(%)
自動車の
過失割合(%)
信号機のある
横断歩道上
青信号(0)赤信号(100)
青信号で横断を開始したが、途中で黄信号に、さらに赤信号に変わった(0)赤信号(100)
赤信号で横断を開始したが、途中で青信号に変わった(10)赤信号(90)
黄信号(10)赤信号(90)
赤信号(20)赤信号(80)
黄信号で横断を開始したが、途中で赤信号に変わった(30)青信号(70)
赤信号(50)黄信号(50)
赤信号(70)青信号(30)
信号機のない
横断歩道上
(0)(100)

自動車右左折の場合の基本となる過失割合

道路状況歩行者の
過失割合(%)
自動車の
過失割合(%)
信号機のある
横断歩道上
青信号(0)赤信号(100)
青信号で横断を開始したが、途中で黄信号に、さらに赤信号に変わった(0)赤信号(100)
赤信号で横断を開始したが、途中で青信号に変わった(10)赤信号(90)
黄信号(10)赤信号(90)
赤信号(20)赤信号(80)
黄信号(20)黄信号(80)
赤信号(30)黄信号(70)
青信号(0)青信号(100)
黄信号(30)青信号(70)
赤信号(50)青信号(50)
信号機のない
横断歩道上
(0)(100)

自動車直進・右左折の場合における歩行者の過失割合の修正要素

道路状況加算・減算(%)加算要素減算要素
信号機のある
横断歩道上
5夜間、幹線道路、直前・直後横断、佇立、後退
5~10住宅街・商店街、児童(6歳以上13歳未満)、高齢者(65歳以上)、集団横断、歩車道の区別なし
5~20幼児(6歳未満)、身体障害者等、自動車の著しい過失
10~30自動車の重過失
信号機のない
横断歩道上
5夜間、幹線道路、直前・直後横断、佇立、後退住宅街・商店街、児童(6歳以上13歳未満)、高齢者(65歳以上)、集団横断、自動車の著しい過失、歩車道の区別なし
10幼児(6歳未満)、身体障害者等、自動車の重過失

※歩行者と自動車の過失割合を一部抜粋して紹介しましたが、他にも様々な組み合わせがあります。

まとめ

交通事故では、過失割合をめぐって、示談交渉や裁判で争いになることが少なくありません。過失割合は、当事者双方の合意によって決定されますが、訴訟に発展した場合には、裁判所が判断することになります。

実務上は、「判タ38号」や「赤い本」といった資料が参考にされており、事故の態様ごとに、基本となる過失割合や修正要素が定められています。

交通事故に遭い、過失割合についてお困りの方は、どうぞお気軽に弁護士法人HOPE法律事務所までご相談ください。

交通事故による車の修理費用・時価賠償・塗装問題

交通事故による車の修理費用・時価賠償・塗装問題

交通事故による車の修理費用・時価賠償・塗装問題

交通事故で車に損傷を受けた場合、修理費用の請求時価賠償塗装に関する問題など、物損対応にはさまざまな論点があります。今回は、これらの問題を整理して解説します。

修理費用請求と未修理の場合

未修理でも修理費相当額の請求は可能

実際に修理を行わなくても、修理費用相当額の請求は認められるという裁判例が多数あります。

ただし、損傷が軽微で外観から修理内容が特定できる場合は、概算見積で算定可能ですが、

  • 車体内部に深い損傷がある場合
  • パーツを外さないと損傷が確認できない場合

には、査定費用を誰が負担するかという問題が生じ、概算見積による賠償にとどまることが多いのが実情です。

消費税も賠償に含まれる

過去には「修理しないなら消費税分は支払わない」という損保担当者もいましたが、「消費税も修理費の一部に含まれる」という裁判例などを紹介しながら交渉をよく行ったものです。

経済的全損と買替差額

赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)では、次のように説明されています。

  • 修理費が車両時価(消費税含む)+買替諸費用を上回る場合
    ➔ 経済的全損となり、買替差額が認められる。
  • 修理費が下回る場合
    ➔ 修理費の賠償が認められる。

経済的全損の確認ポイント

経済的全損と判断された場合は、まず以下をチェックします。

  1. 車両時価が適正か
    ➔ 時価評価が低く見積もられていないか確認
  2. 消費税が車両時価に含まれているか
    ➔ 消費税も含めた評価かどうか
  3. 買替諸費用が考慮されているか
    ➔ 登録費用など、買替にかかる諸費用が算入されているか

これらを確認してもなお経済的全損となる場合、買替差額による賠償を受けることになります。

賠償額を最大化する方法

もし事故車を引き上げられる場合でも、事故現状車の相当額を賠償金から控除する方法を検討することで、手元に残る金額(経済的利益)を最大化できることがあります。

このように、経済的全損の交渉は地道な作業の積み重ねですが、適切に進めることで、単に「全損」と言われた場合に比べ、数十万円単位で手元に残る金額が変わることもあります

時価とはどのように判断されるか

交通事故で車が全損となった場合、賠償額の上限となる「時価」はどのように決まるのでしょうか。

最高裁は、時価を次のように定義しています。

時価とは

同じ車種・年式・型式で、使用状態や走行距離が同程度の車両を、中古車市場で購入するために必要な価格

ただし、具体的にどの資料で価格を決めるかまでは示していないため、実務では複数の資料を使い分けます。

オートガイド自動車価格月報(レッドブック)

  • 表示価格の種類:
    • 下取価格(買取業者に売却する場合)
    • 卸売価格(業者間取引価格)
    • 中古小売価格(整備・保証付きで店頭販売される価格、消費税別)
  • 実務では「中古小売価格」を基準とすることが多いです。

インターネット中古車検索サイト

  • 同じ車種・型式・程度の平均価格を算出
  • レッドブックと比較し、高額な方を基準にするケースが多く、市場平均と乖離しにくいです。

この車両の検索をする際に必要となる「車両のグレード」については、車両の所有者に聞いてもわからないことがあります。グレードは車台番号がわかると検索が可能です。車検証等から車台番号を調べ、その自動車のメーカーがグレード検索システムを提供しているケースがありますので、車台番号を入力するとグレードが判明することがあります。

特殊な改装や希少車両などについては、レッドブックや一般的な中古車販売サイトには記載がないことから

  • 購入時資料
  • 改装内容資料
  • 業界の販売実績

などをもとに個別に認定が必要です。

他には、古い年式や、状態の悪い車両の場合には、税法上の減価償却の考え方に準拠する方が残存価値が多いといったケースもあります。

これらの時価交渉を行えば、時価交渉を行わなかった場合と比較して数十万円の賠償額の違いが生じることがありますので、物損についても弁護士に相談されることをお勧めいたします。

塗装に関する問題と全塗装の可否

交通事故で車の塗装が損傷した場合、全塗装を求めたいという相談がよくあります。

裁判例の基本的な考え方を解説した青い本(交通事故損害算定基準)によると

塗装に関する考え方

一部塗装による色むらがあるとしても、特別な事情がない限り全塗装は認められないとされています。

実際の裁判例でも、以下のように判断されています。

  • 補修用塗料の性能は新車時の焼付塗装と基本的に変わらない(東京地裁平成元年7月11日交通民集22巻4号825頁)
  • 色や光沢の差は、修理業者や車愛好家が気付く程度に過ぎず、原状回復の範囲には含まれない(神戸地裁平成2年1月26日交通民集23巻1号56頁)
  • 部分塗装による光沢の差は、差異は車両の外観に重大な影響を与えるものではなく、また光沢の差はもともと被害車両に色褪せがあったことが原因であると判断されています。さらに全塗装の高額費用を負担させる相当性はない(東京地裁平成7年2月14日交通民集28巻1号188頁)

その他、特殊な塗装が問題となった事例として、フレーク塗装に関するものがあります。フレーク塗装や、これにキャンディ塗装を併用した場合であっても、全塗装の必要性は裁判で認められませんでした。

一方で、全塗装が認められたケースもあります。例えば、バッテリー液が車体に飛散し、その影響範囲が不明確であったため、塗装と下地の腐食を防ぐ必要があった事案や、損傷の程度が大きくボンネットの半分が剥がれてしまった事案などです。

また、塗装に関連する事例として、金メッキのように実用性はなくても嗜好性が高いものや、デコレーショントラックのように車の標準的な機能を超える趣味性が強いものについては、賠償金額が部分的に認定されたり、通常の塗装範囲内での補修費用に限定されることがあります。

このように、塗装に関する問題は多くのケースで部分塗装にとどまるため、全塗装を認めてもらうには、特別な事情があることを立証する必要があります。

まとめ

交通事故で車が損傷した場合、修理費用の請求や時価賠償、塗装補償など、対応にはさまざまな論点があり、個別の事情によって判断が大きく変わります。

時価の算定方法や全塗装の可否などを正しく理解し交渉しなければ、数十万円単位で賠償額に違いが生じることも珍しくありません。事故に遭ってしまったときは、交通事故に強いHOPE法律事務所へご相談ください。

後遺障害とは?等級認定のポイントと慰謝料相場について

後遺障害とは?等級認定のポイントと慰謝料相場について

後遺障害とは?等級認定のポイントと慰謝料相場について

交通事故で怪我を負い、症状固定の時点で後遺症が残った場合、その症状の内容や程度が、自動車損害賠償保障法施行令(以下「自賠法施行令」といいます)で規定されている後遺障害等級表(別表第1および別表第2)のどの等級に該当するかによって、被害者が受け取れる損害賠償金の額は大きく変わります。

被害者にとって、適切な後遺障害等級の認定を受けられるかどうかは非常に重要です。

そこで記事では、後遺障害とは後遺障害の内容後遺障害等級認定のポイント後遺障害慰謝料の相場について説明します。

後遺障害とは

交通事故で怪我を負った場合、一定の期間治療を続けても完治せず、将来的に回復が見込めない身体上または精神上の症状が残ることがあります。これらの症状のことを「後遺症」といいます。症状固定(治療を続けても、それ以上の症状の改善が望めない状態)時に後遺症が残ったと表現されることもあります。

後遺症と似た言葉に「後遺障害」があります。この2つの言葉は、同じように使われることもありますが、厳密には意味が異なります。

後遺障害」とは、「傷害が治ったとき身体に存する障害をいう」と定義され(自賠法施行令2条1項2号)、具体的には、自賠法施行令別表第1および別表第2の等級に該当する障害をいいます。

すなわち、後遺障害とは、交通事故で怪我を負い、治療を続けても完治しない後遺症のうち、「後遺障害等級認定」の申請を行い、「損害保険料率算出機構」の自賠責損害調査事務所の審査を経て認定された、身体上または精神上の障害のことをいいます。

後遺障害の内容

どのような症状が後遺障害になるのか、その内容について見てみましょう。

介護を要する後遺障害

介護を要する後遺障害は、下記表のとおりです。

自賠法施行令別表第1

等級介護を要する後遺障害
第1級1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

介護を要しない後遺障害

介護を要しない後遺障害は、下記表のとおりです。

自賠法施行令別表第2

※各等級の詳細はタップで開きます

第1級

1.両眼が失明したもの
2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3.両上肢をひじ関節以上で失ったもの
4.両上肢の用を全廃したもの
5.両下肢をひざ関節以上で失ったもの
6.両下肢の用を全廃したもの

第2級

1.一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2.両眼の視力が0.02以下になったもの
3.両上肢を手関節以上で失ったもの
4.両下肢を足関節以上で失ったもの

第3級

1.一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
2.咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5.両手の手指の全部を失ったもの

第4級

1.両眼の視力が0.06以下になったもの
2.咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3.両耳の聴力を全く失ったもの
4.一上肢をひじ関節以上で失ったもの
5.一下肢をひざ関節以上で失ったもの
6.両手の手指の全部の用を廃したもの
7.両足のリスフラン関節以上で失ったもの

第5級

1.一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4.一上肢を手関節以上を失ったもの
5.一下肢を足関節以上で失ったもの
6.一上肢の用を全廃したもの
7.一下肢の用を全廃したもの
8.両足の足指の全部を失ったもの

第6級

1.両眼の視力が0.1以下になったもの
2.咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの 
3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
4.一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
5.脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6.一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
7.一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
8.一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失ったもの

第7級

1.一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
2.両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3.一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
4.神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5.胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6.一手のおや指を含み三の手指を失ったもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの
7.一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
8.一足をリスフラン関節以上で失ったもの
9.一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10.一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11.両足の足指の全部の用を廃したもの
12.外貌に著しい醜状を残すもの
13.両側の睾丸を失ったもの

第8級

1.一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの
2.脊柱に運動障害を残すもの
3.一手のおや指を含み二の手指を失ったもの又はおや指以外の三の手指を失ったもの
4.一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
5.一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
6.一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
7.一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8.一上肢に偽関節を残すもの
9.一下肢に偽関節を残すもの
10.一足の足指の全部を失ったもの

第9級

1.両眼の視力が0.6以下になったもの
2.一眼の視力が0.06以下になったもの
3.両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5.鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6.咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9.一耳の聴力を全く失ったもの
10.神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11.胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12.一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの
13.一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
14.一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの
15.一足の足指の全部の用を廃したもの
16.外貌に相当程度の醜状を残すもの
17.生殖器に著しい障害を残すもの

第10級

1.一眼の視力が0.1以下になったもの
2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの
3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
4.十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
6.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
7.一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
8.一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
9.一足の第一の足指又は他の四の足指を失ったもの
10.一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
11.一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

第11級

1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4.十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
6.一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7.脊柱に変形を残すもの
8.一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
9.一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

第12級

1.一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4.一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6.一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
7.一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
8.長管骨に変形を残すもの
9.一手のこ指を失ったもの
10.一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
11.一足の第二の足指を失ったもの、第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの
12.一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
13.局部に頑固な神経症状を残すもの
14.外貌に醜状を残すもの

第13級

1.一眼の視力が0.6以下になったもの
2.正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3.一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4.両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5.五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
6.一手のこ指の用を廃したもの
7.一手のおや指の指骨の一部を失ったもの
8.一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
9.一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの
10.一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
11.胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

第14級

1.一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2.三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3.一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6.一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7.一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8.一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの9.局部に神経症状を残すもの

後遺障害等級認定の申請手続きとポイント

以下で、後遺障害等級認定の申請手続と認定のポイントについて見ていきましょう。

後遺障害等級認定の申請手続

後遺障害等級認定の申請手続には、被害者請求事前認定の2つがあります。

いずれの申請手続きの場合も、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が、自賠責保険会社または任意保険会社から送付された必要書類に基づき、症状固定時に残存する交通事故の怪我による後遺症が、上述した後遺障害等級表(別表第1および別表第2)のどれに該当するかを審査して認定します。

当事務所では、被害者請求を基本としています。被害者請求は、症状に合わせた資料を提出できるため、被害者に有利だからです。

一方、事前認定では最低限の資料しか提出されず、場合によっては保険会社担当者が後遺障害に該当しない旨の意見書を添付するケースもあります。

後遺障害等級認定のポイント

後遺障害等級認定を受けるためには、いくつか重要なポイントがあります。

では、そのポイントにはどのようなものがあるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

適切な通院と治療

交通事故で怪我を負った場合、被害者は通常、まず病院へ行き、医師の診察を受けて必要な治療や検査を受けることになります。

その後も、適切な頻度で通院し、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。初診時はもちろんですが、治療が続いている間は、受診のたびに医師へ自覚症状を伝え、診断書やカルテに記載してもらう必要があります。

また、症状固定の時点まで継続的に治療を受け、自覚症状が一貫して続いていたことがわかるように、カルテや後述する後遺障害診断書にきちんと記載してもらうことも重要です。 

必要な検査

自覚症状および医師の診断に合わせ、画像検査理学的検査神経学的検査を適切に受ける必要があります。画像検査では、MRI検査が必須ではありませんが重要な検査の一つとなります。

医師は、必要な検査結果に従い、後述の後遺障害診断書に画像所見、理学的所見および神経学的所見を記載します。

後遺障害診断書の作成

後遺障害の申請には、主治医に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。この診断書の作成費用は、これまで治療費を相手保険会社が支払ってくれていた場合でも、一旦は被害者自身が負担するのが原則です。

ただし、後遺障害として認定されれば、診断書作成費用も事故と相当因果関係のある損害として、相手保険会社から支払ってもらえます。しかし、認定結果が非該当となった場合は自己負担となってしまいます。

後遺障害診断書は、後遺障害等級認定において最も重視される書類です。後遺障害診断書に記載されていない症状は、審査の対象とされません。

したがって、後遺障害診断書には、一般的な診断書とは異なり、傷病名のほか、詳細な自覚症状の記述と、それを裏付ける他覚的所見(たとえば、MRIやレントゲンなどの画像所見、各種検査結果を踏まえた電気生理学的所見や神経学的所見)を過不足なく記載してもらう必要があります。

申請に必要な資料と注意点

通常、症状固定時までの治療費は相手保険会社が支払っているため、自賠責様式の診断書や診療報酬明細書など、後遺障害申請に必要な資料は相手保険会社から一式受け取れます。

注意が必要なのは、

  • 相手保険会社が自賠責一括対応を早期に打ち切った場合
  • 最初から一括対応をしておらず、被害者が治療費を自己負担している場合

こうしたケースでは、症状固定時までの診断書や診療報酬明細書を求められます。適切な時期に後遺障害診断書を作成していないと、長期間通院した後に作成する際には、必要となる診断書・明細書の範囲が広くなり、文書料の負担が大きくなります。

文書料は、診断書と明細書の作成で1カ月あたり約8,000円ほど請求されるため、症状固定時期を適切に判断することが重要です。

弁護士による後遺障害診断書のチェック

後遺障害診断書は、医師が医学的な観点から判断し、客観的に作成する書類です。しかし、医師は診察や治療の専門家であって、後遺障害等級認定の専門家ではありません。そのため、適切な後遺障害等級認定を受けるために必要な情報が、後遺障害診断書に過不足なく記載されているとは限らないのです。

そのため、弁護士によるサポートが重要です。弁護士は、後遺障害等級認定を申請する際に、被害者の後遺症の状態を詳しく調査します。そして、自覚症状を裏付ける他覚的所見に関する検査データなどの資料を集め、被害者が訴えている症状がすべて診断書に反映されているか、必要な検査データが漏れていないかなどを確認します。

このように、弁護士は法的観点から、後遺障害診断書に必要な内容が過不足なく記載されているかをチェックし、必要であれば医師にアドバイスすることも可能です。

なお、自賠責損害調査事務所の審査は基本的に書面審査で行われるため、医師が作成する後遺障害診断書が、後遺障害等級認定を受けるうえで非常に重要なポイントとなります。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は、交通事故により怪我を負って後遺症が残り、正式に「後遺障害等級認定」を受けた場合にのみ支払われる慰謝料です。

被害者は、一生「後遺障害」の症状を抱えながら生きていかなければならず、多大な精神的苦痛を受けることになります。そのため、被害者には、入通院慰謝料とは別に、後遺障害慰謝料が支払われます。

交通事故の後遺障害は、内容や程度に応じて、介護を要する場合が2の等級に、介護を要しない場合が14の等級に分けられ、第1級が最も重く、第14級が最も軽い症状となっています。等級が上位になればなるほど慰謝料が高額になります。

後遺障害慰謝料については、自賠責保険基準弁護士基準など、どの基準でも等級ごとのおおよその相場が決まっています。これらの基準を比較すると、後遺障害慰謝料の相場は下記の表のとおりです。弁護士基準は、赤い本(日弁連交通事故相談センター東京支部編「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」)の基準によっています。

等級自賠責保険基準弁護士基準
第1級別表第1の場合
1,650万円(被扶養者がいるときは1,850万円)

別表第2の場合
1,150万円(被扶養者がいるときは1,350万円)
2,800万円
第2級別表第1の場合
1,203万円(被扶養者がいるときは1,373万円)

別表第2の場合
998万円(被扶養者がいるときは1,168万円)
2,370万円
第3級861万円(被扶養者がいるときは1,005万円)
1,990万円
第4級737万円1,670万円
第5級618万円1,400万円
第6級512万円1,180万円
第7級419万円1,000万円
第8級331万円830万円
第9級249万円690万円
第10級190万円550万円
第11級136万円420万円
第12級94万円290万円
第13級57万円180万円
第14級32万円110万円

後遺障害慰謝料には3つの算定基準、すなわち自賠責保険基準任意保険基準弁護士基準があり、どの基準で算定するかによって金額が異なります。任意保険基準の金額は非公表ですが、自賠責保険基準と弁護士基準の中間程度の金額といわれています。

まとめ

交通事故により怪我を負った場合、後遺障害として、自賠法施行令別表第1および別表第2の後遺障害等級に認定される可能性があります。

必要な内容を過不足なく網羅した後遺障害診断書を作成してもらうためには、弁護士のサポートが欠かせません。

交通事故で怪我を負い後遺症が残った場合に、後遺障害等級認定を受けるためのポイント後遺障害慰謝料の相場を知りたい方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

後遺障害逸失利益とは?算定方法と労働能力喪失率の重要性

後遺障害逸失利益とは?算定方法と労働能力喪失率の重要性

後遺障害逸失利益とは?算定方法と労働能力喪失率の重要性

交通事故で怪我を負い、完治せず後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害逸失利益を相手に請求できる可能性があります。

後遺障害については以下の記事で詳しく解説しています。

この記事では、後遺障害逸失利益について詳しく解説しています。

後遺障害逸失利益とは

後遺障害逸失利益とは、後遺症(後遺障害)が残り、労働能力が全部または一部失われたことで将来発生すると認められる収入の喪失・減少による財産的損害を指します。

休業損害が治癒または症状固定までの現実化した収入減少であるのに対し、逸失利益は症状固定後の将来の収入減少を対象とする点が異なります。

後遺障害による逸失利益の算定は、残った後遺障害の内容や程度を踏まえたうえで、将来の収入にどのような影響があるかを予測する必要があります。そのため、基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間など、さまざまな点で争いが生じやすく、議論が複雑になることも少なくありません。

後遺障害に関する問題は幅広いため、今回は後遺障害逸失利益を請求する際の基本的な算定方法について説明します。

算定方法の基本

後遺障害逸失利益

基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数

基礎収入事故に遭わなければ得られたはずの収入額のこと。通常は、事故前年の収入や賃金センサス(統計上の平均賃金)などを基準に決定されます。
労働能力喪失率後遺障害によって失われた労働能力の割合を示す数値。後遺障害等級ごとに目安が定められており、逸失利益算定の重要要素となります。
ライプニッツ係数将来の収入を一括して現在価値に換算するための係数。逸失利益を計算する際に、労働能力喪失期間に応じて適用されます。

被害者の年齢によって計算方法は2つに分かれます。

有職者または就労可能者
基礎収入(年収) × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

18歳未満(症状固定時)の未就労者
基礎収入(年収) × 労働能力喪失率 × (症状固定時から67歳までのライプニッツ係数 − 症状固定時から18歳までのライプニッツ係数)

ここで注意が必要なのは、たとえば20歳で労働能力喪失率100%の後遺障害を負った場合、単純に年収×47年(67歳まで)ではなく、47年分に対応するライプニッツ係数を乗じるという点です。

これは将来貰える賠償金を一括で前倒しして受け取るため、将来の運用利益(利息相当分)を控除する考え方です。

労働能力喪失率とは

逸失利益の算定で特に重要なのが労働能力喪失率です。

  • 赤い本では、労働省労働基準局長通牒(昭32.7.2基発第551号)別表の労働能力喪失率表を参考に、職業、年齢、性別、後遺症の部位・程度、事故前後の稼働状況を総合的に判断するとされています。
  • 青い本では、自賠責保険の後遺障害等級に対応する労働能力喪失率を基準とし、職種、年齢、性別、障害の部位・程度、減収の有無・生活上の障害の程度など具体的事情を踏まえて定めるとされています。

※赤い本・青い本はいずれも交通事故の損害賠償額を算定する際に参考とされる基準書です。

実務上、自賠責の等級認定は非常に尊重されます。損害保険料率算出機構が認定事務を担い、多数の認定実績と蓄積されたノウハウをもつため、保険会社や裁判所でもその判断が重要視されます。

注意すべき後遺障害

ただし、後遺障害の種類によっては実際の労働能力への影響が少ないものもあります。

労働能力への影響が少ない後遺障害

  • 脊柱変形
  • 鎖骨変形
  • 歯牙欠損
  • 味覚脱失

などは、労働能力喪失率が争われやすい典型例です。このような場合、訴訟で厳密な立証を行うよりも、保険会社との交渉で部分的に認めてもらう方が被害者に有利なこともあります。

ただし、こうした判断には、残存した後遺障害の内容や医学的裏付けの強さを的確に評価できる専門的知識が必要です。

まとめ

後遺障害逸失利益は、金額が大きく計算も複雑であり、基礎収入、労働能力喪失率など多角的な検討が必要です。

HOPE法律事務所は、年間数百件の交通事故被害者の賠償交渉を取り扱っており、後遺障害等級認定案件も多数対応しています。顧問医師と連携した医学的分析も可能ですので、後遺障害でお悩みの方は、ぜひご相談ください。

もらい事故の特徴と適正な賠償を受けるために行うべきこと

もらい事故の特徴と適正な賠償を受けるために行うべきこと

もらい事故の特徴と適正な賠償を受けるために行うべきこと

もらい事故」とは、事故の原因がもっぱら相手にあり、自分には全く過失がない事故のことをいいます。

例えば以下のようなケースです。

もらい事故の代表例

  • 赤信号で停止中に後続車に追突された
  • 赤信号無視の車と衝突した
  • 対向車がセンターラインを越えてきて正面衝突した
  • 駐車場で正しく駐車していたら、走行してきた車にぶつけられた

なお、一時停止標識のある道路から交差点に進入してきた車と衝突した場合、優先道路を走行していた自分には過失がないと思いがちですが、法的には10~40%程度の過失が認められることが多いです。「全く過失がない事故」は意外と限られる点に注意が必要です。

もらい事故の特徴

(1)損害負担がない

通常の事故では「過失割合」が問題となりますが、もらい事故の場合、被害者に過失がないため、原則として加害者側が全ての損害を負担します。また、違反点数が加算されることもありません。

(2)自分の保険会社が介入できないことがある

被害者に過失がない場合、自分の自動車保険(特に対人・対物賠償保険)は使えず、保険会社が示談交渉を代行できないケースがあります。

双方に過失のある事故の場合には、保険会社が自社負担を減らす利益があるため、弁護士法72条に反せず示談交渉が可能です。しかし、もらい事故の場合は相手が全額負担するため、自分の保険会社には独自の利益がなく、示談交渉は被害者自身が行わなければなりません。

これは、弁護士法72条が弁護士や弁護士法人以外の者が報酬を得る目的で法律事務をすることを禁じていることによります。

そのため、もらい事故の場合は、被害者が自ら示談交渉を行って治療内容や通院期間が適切であることを主張する必要があり、その手続のために精神的・時間的な負担が大きくなりがちです。

被害者が請求できる損害

もらい事故に限らず、交通事故の被害者は、加害者や加害者側の保険会社に対して以下の損害を請求できます。

被害者が請求できる損害

  • 車両の修理費などの物的損害
  • 治療費、通院交通費、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益などの人身損害

実際にいくら支払ってもらえるかは、損害を受けた車両の状態や怪我の状況などによって異なります。事故によって怪我をした場合の傷害慰謝料額は、概ね事故日から症状固定までの通院期間によって算定されます。

もらい事故に遭った場合の対応

(1)事故状況の記録

現場写真、ドライブレコーダー映像、事故証明書(自動車安全運転センター都道府県方面事務所長が発行)など、過失がないことを証明するための証拠を残しておきましょう。

(2)医師の診断を受ける

事故直後には痛みを感じなくても、後から症状が出ることがあります。もし症状が出た場合は、できるだけ早く医師の診察を受けて、必要な治療や処方を受けることが大切です。

医師の診断書は、相手の保険会社に治療費などを請求する際に重要な役割を果たします。保険会社は診断書を確認して、治療が本当に必要だったのか、通院期間が妥当だったのかを判断します。

また、被害者側としても、診断書があれば必要な治療であったことを証明でき、交渉を有利に進められます。治療費の請求だけでなく、傷害慰謝料を算定する際にも診断書は重要な資料となります。

(3)弁護士へ相談する

もらい事故の場合、被害者が加入している保険会社が示談交渉を代行してくれないため、被害者が不利な立場に置かれてしまうことがあります。

事故の被害者は、相手に対して、通院慰謝料、通院交通費、休業損害、後遺障害慰謝料など、さまざまな損害賠償を請求できます。しかし、加害者側の保険会社は、支払額をできるだけ抑えようとする傾向があり、提示される金額が本来の相場より低くなることも少なくありません。

そのため、適正な賠償額を受け取るためにも、また保険会社との交渉をスムーズに進めるためにも、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士費用特約の活用

ご自身の保険に弁護士費用特約がついていれば、弁護士費用を心配せずに、相手の保険会社との交渉を弁護士に任せることができます。

弁護士費用特約は、事故発生から示談成立まで、いつでも利用可能です。

通常、弁護士に示談交渉を依頼すると、相談料や着手金、成功報酬などで数十万円以上かかることがあります。しかし、弁護士費用特約を使えば、相談費用は10万円まで、依頼費用は1回の事故につき1人あたり300万円まで保険でカバーされます。ほとんどの場合、この補償範囲を超えることはなく、追加費用なしで弁護士に依頼できます。

さらに、弁護士への費用は保険会社が直接支払うため、被害者が立て替える必要はありません。

また、個人契約(ノンフリート契約)の自動車保険であれば、弁護士費用特約を利用しても保険等級が下がらず、保険料が上がる心配もありません。ただし、会社などのフリート契約の場合は保険料が増額される可能性があるため注意が必要です。

この特約は、ご自身が加入していなくても、同居家族が加入していれば利用できることがあります。また、事故に遭った際の同乗者であれば、友人や恋人など家族以外でも適用されるのが一般的です。

ご自身が弁護士費用特約に加入していない場合でも、ご家族や運転者の保険に付帯していないか、ぜひ確認してみてください。

まとめ

もらい事故は、自分に落ち度がないにもかかわらず、精神的・手続的負担が大きい事故です。保険会社が交渉を代行してくれないため、早期に弁護士へ相談することが重要です。

当事務所では、もらい事故を含む交通事故全般のご相談を承っております。「自分で対応するのは不安」「保険会社の対応に納得できない」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。特に、弁護士費用特約をご利用いただければ、費用負担なく交渉を任せることができます。

非接触事故とは?接触なしでも損害賠償が争われる理由とポイント

非接触事故とは?接触なしでも損害賠償が争われる理由とポイント

非接触事故とは?接触なしでも損害賠償が争われる理由とポイント

交通事故は通常、加害者と被害者の車両や身体が接触して発生します。しかし、接触がないにもかかわらず、当事者の一方が転倒や衝突、急ブレーキによって損害を被る場合があります。これが非接触事故です。

非接触事故では、通常争いにならない以下の事項が問題となることがあります。

非接触事故で問題になること

  • 運転行為と事故との因果関係
  • 事故と損害の因果関係など

非接触事故に関する争いは多岐にわたります。特に、加害者の運転行為と事故発生との因果関係や、事故の過失割合、さらに事故と損害との因果関係などが問題となることが多いです。これらについて、順を追って説明していきます。

運転行為と事故との因果関係

例えば、道路を走行している際に、歩道を自転車で走っていた小学生が突然車道へ飛び出そうとし、それを避けるためにハンドルを切った結果、対向車と接触した場合です。

通常の事故であれば、加害者の運転行為によって接触が生じているため、因果関係が問題になることはほとんどありません。しかし、このような非接触事故では、

  • 小学生の行動(道路へ飛び出そうとしたこと)
  • 運転者が回避行動を取った結果発生した事故

この二者間の因果関係が争点となります。

因果関係が認められる場合

小学生が道路を横断しようとした場合、その行動によって事故発生の危険性が客観的に高ければ、小学生の行動と運転者が起こした事故との間に因果関係が認められます。

因果関係が否定される可能性がある場合

一方で、実際には小学生が横断しようとしたのではなく、歩道に落ちていた空き缶を避けるために一時的に車道側へハンドルを切り、すぐ歩道に戻った場合などはどうでしょうか。

このようなケースでは、

  • 空き缶を避ける行為の危険性が低く
  • 被害者の回避行動との因果関係が薄い

と判断される可能性があります。

さらに、缶を避ける動作が差し迫ったものではなく、また自動車との距離に余裕があった場合には、被害者が驚いて急ハンドルを切ったとしても、因果関係が否定される方向で判断されるでしょう。

過失割合への影響

このように、非接触事故では、

  • 加害者の行為のタイミング
  • 危険性の程度

によって、因果関係そのものが否定される場合もあります。また、因果関係が認められたとしても、通常の接触事故に比べ、加害者側の過失が軽減され、結果として過失割合も低く評価されることがあります。

事故と損害の因果関係

次に、事故と損害との因果関係について説明します。特に問題となるのが、非接触事故で回避行動を取った車両の乗車人が怪我をした場合です。

非接触事故では、加害車両と直接接触していないため、乗車人に加わる衝撃は、主にハンドルを急に切ったときの振動や急ブレーキによる衝撃となります。そのため、本当に事故によって怪我が生じたのかを判断するには、乗車人の座っていた姿勢や、お互いの速度、回避行動や急ブレーキの程度などを客観的に明らかにする必要があります。

また、仮に怪我が認められたとしても、通常の衝突事故と比べて身体に加わる衝撃が小さい傾向があるため、治療期間が適正かどうかをめぐって争いになることが多いです。

さらに、急ブレーキや急ハンドルを切った際には、車内の積載物が破損することもありますが、その損傷の有無は、車体に加わった衝撃の大きさや積載物の置き方によって異なります。このため、積載物の損傷に関しても意見が対立しやすいと言えるでしょう。

非接触事故では、車両同士が接触しないため、車体に衝突痕が残らず、事故の衝撃度を推測する手がかりがなくなってしまいます。

したがって、もし非接触事故に遭ってしまった場合には、ドライブレコーダーや付近の防犯カメラ映像があれば、必ず保全しておくことが重要です。また、事故直後の車両の位置関係を、手持ちのスマートフォンなどで撮影して記録しておくことも必要です。

警察による実況見分では、相手がどの位置でどのような運転をしたのかが非常に重要となるため、妥協せずにきちんと説明するようにしてください。加えて、車内の積載物についても、事故直後に撮影して状況を記録しておくことが望ましいです。もし怪我をしている場合には、事故当日かできるだけ早い段階で病院を受診し、非接触事故による衝撃で負傷したことを医師に伝えておく必要があります。

さいごに

交通事故賠償に強い弁護士法人HOPE法律事務所では、非接触事故についても事案ごとに問題点を丁寧に検討し、依頼者の方にわかりやすく説明いたします。

非接触事故で事故手続きにお困りの方は、静岡県全域対応の交通事故に強いHOPE法律事務所へぜひご相談ください。

自転車事故の賠償責任|過失割合と保険について

自転車事故の賠償責任|過失割合と保険について

自転車事故の賠償責任|過失割合と保険について

交通事故というと、車同士の事故を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実際には車やバイク、自転車、歩行者、さらには様々なマイクロモビリティが関わる事故が増えています。特に最近では、自転車と歩行者が衝突し、1億円を超える賠償責任が認められるケースも出ています。

自転車事故と一口にいっても、様々な問題があることから、今回は、原動機付自転車に該当しない、昔からの自転車、電動アシスト付自転車の過失問題、賠償問題について解説します。

過失割合の基礎知識については以下の記事も併せてご覧ください。

自転車の負う義務

自転車は道路交通法上「軽車両」に該当します。そのため、交差点における義務(法36条)や車両運行時の灯火義務(法52条)、酒気帯び運転の禁止(法65条)など、車両に関する規定が適用されます。ただし、自動車とは異なり、自転車特有の規制も定められています。

他方で、自動車などの車両とも同一ではなく、自転車の特有の規制もなされています。

自転車特有の規制

  • 歩道通行に関する特例(法63条の4)
    原則として車道通行が義務付けられていますが、例外的に歩道を通行できる場合があります。
  • 自転車運転者講習制度(法108条の3の4以下)
    危険行為を繰り返した場合の講習義務。
  • 並進の禁止(法19条)
    特定の場合を除き、二人並んで走行してはいけない。
  • 二人乗りの禁止(法57条の2、都道府県条例等)
    原則として二人乗りは禁止されています。

自転車の過失割合

自転車の過失割合は、一般的に4輪車やバイクと比べると、交通弱者として有利に設定されることが多いです。

ただし、ロードバイクのように高速走行が可能な自転車で時速30km近くで走行していた場合には、通常よりも不利な過失割合が適用される可能性があります。逆に、歩行者と同じくらいの速度で走行していた場合には、歩行者に準じた過失割合が認められることもあります。

このように、事故時の状況によって判断が大きく変わるため、ドライブレコーダーや防犯カメラなどで事故当時の状況が再現できることが重要です。

自転車の賠償責任保険

自転車事故で特に問題となるのが、賠償責任保険への加入有無です。自転車でも運転方法によっては相当程度の過失を問われる可能性があり、実際に高額な賠償責任を負うケースもあります。賠償責任保険に加入していない場合には、こうした高額な賠償金を自己負担しなければなりません。

例えば、静岡県では「静岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」により、2019年10月1日から自転車保険の加入が義務付けられました。最近購入した自転車であれば、購入時に店舗で保険加入を勧められていることが多いと思われますが、2019年以前に購入した自転車や、その後購入したものでも保険を更新していない場合は未加入の可能性があります。

もし、ご自身が自転車で事故に遭ってしまい、相手に賠償責任を負う場合には、今後の支払いのために賠償責任保険の有無についてまずは確認をしてみましょう。

代表的な賠償責任保険

  • 自動車保険
  • 火災保険
  • 共済
  • クレジットカードの保険
  • 学校で加入する団体保険
  • 自転車にTSマークが張ってある場合の加入保険

などで保障されていることがあります。

自転車事故でも、場合によっては1億円を超える賠償責任を負う可能性がありますし、そこまで高額でなくても数十万円から数百万円の賠償が必要になることも珍しくありません。金額としては、自動車事故と大差がないと言えるでしょう。

ただし注意点として、個人賠償責任保険には示談交渉サービスが付帯していないことが多く、事故に遭った際に保険会社による交渉サポートが受けられない場合もあります。

このように、自転車事故は自動車やバイクの事故と異なり、そもそも法律上車両としての扱いも独自であり、過失割合も自転車という軽量な乗り物であることや通行区分の特殊性により特別な考慮が必要となります。

また、賠償責任に関しても保険によるカバーの有無や、事故手続きを代行してくれる保険会社が居ないことが多いなどの特殊性があります。

まとめ

当事務所では、自転車事故における過失割合の判断、保険の加入有無の調査、示談交渉、事故手続きの代行までサポートしています。自転車事故に遭い、不安を感じている方は、静岡県全域対応の交通事故に強いHOPE法律事務所へぜひご相談ください。

交通事故裁判の基礎知識|必要になる理由・期間・賠償金は増えるのか

交通事故裁判の基礎知識|必要になる理由・期間・賠償金は増えるのか

交通事故裁判の基礎知識|必要になる理由・期間・賠償金は増えるのか

交通事故に遭われた被害者の方は、通常、相手方が加入している任意保険会社の担当者とやり取りをし、賠償内容について合意ができれば示談が成立し、事故手続きは解決となります。

しかし、全ての事故手続きが示談だけで解決するわけではなく、裁判が必要になることもあります。

そこで今回は、どのようなときに交通事故で裁判が必要になるのか、また裁判がどのように進むのかについて解説します。

裁判が必要となる主な理由

裁判を必要とする理由はいくつかあります。

裁判を必要とする理由

  • 過失割合や損害に関する見解の相違
  • 相手と協議ができない場合
  • 保険制度上、訴訟による解決の必要性が高い場合

過失割合や損害に関する見解の相違

例えば、双方が事故の過失割合について納得できない場合には、裁判が必要となります。

  • ドライブレコーダーや防犯カメラがなく、双方が「青信号」で交差点に進入したと主張する事案
  • 一時停止の有無や、その他の過失修正要素をめぐる争い

特に歩行者、自転車、バイク事故のように「人身傷害保険」がついていない事故では、過失割合が被害者の受取額に直接影響するため、激しく争われる傾向にあります。

相手と協議ができない場合

相手が無保険(自賠責や任意保険に未加入)の場合、賠償交渉は相手本人と行う必要がありますが、途中で連絡が取れなくなることがよくあります。

また、相手が任意保険に加入していても、保険会社の担当者と協議が進んだものの担当者が相手方に承諾を求めた際に連絡がつかないということも稀にあります。

このような場合には、相手本人に対して訴訟を提起したり、保険会社への直接請求も併せて行うことになります。

保険制度上、訴訟が必要な場合

相手保険会社との間で過失割合や損害額について大きな争いがない場合でも、被害者に過失がある程度生じると、訴訟を提起し裁判上の和解を行うことで、人身傷害保険から「訴訟差額基準説」に基づく保険金を請求できるメリットがあります。

このため、人身傷害保険の約款上の条件を満たすために提訴されることもあります。

裁判に関するよくある質問

ご依頼者からは、以下のような質問をよく受けます。

Q. 裁判には出席が必要ですか?

弁護士を代理人として訴訟を提起する場合、基本的には弁護士が出廷やWEB裁判を行うため、依頼者が出席する必要はありません。ただし、全ての裁判において出席が必要ないわけではなく、以下の場合は出席が必要となることがあります。

裁判への出席が必要となる場合

  • 過失割合の争いが深い
  • 事故態様について当事者尋問が必要
  • 後遺障害の症状経過について供述が必要

といった場合には、尋問期日に出頭してもらうことがあります。

もっとも、多くの交通事故裁判は尋問まで進まず、裁判上の和解で解決するため、当事者が出頭することは稀です。

Q. 裁判はどのくらいの期間がかかりますか?

裁判で争う内容の複雑さによって期間が大きく変わるため、一概には言えません。

比較的シンプルな案件であれば、訴訟提起から半年ほどで裁判官から和解案が提示されることが多いです。一方で、内容が複雑な案件では、解決までに1年前後かかることもあります。

また、医療に関する問題が絡む場合には、さらに長期間かかることもあるため、実際には個別のケースによるというのが実情です。

Q. 裁判になると賠償金は増えますか?

多くの方が気になるのは、「裁判になると示談交渉のときより賠償金が増えるのか」という点です。

この問題は非常に難しく、一概には言えません。

結論としては、裁判で主要な争点の多くで勝てば、示談交渉時よりも賠償金が増えることが多いと思います。

しかし、相手の保険会社は、示談で解決できる場合にはあえて争わない争点もありますが、訴訟になると、問題となる全ての争点について争ってくることが一般的です。

そのため、裁判になることで、示談交渉では問題とならなかった争点まで争われ、結果的に賠償金が大きく減額されるケースも珍しくありません。

重要なのは、裁判で勝訴した場合のメリットと、敗訴した場合のリスクを正確に見極めたうえで、示談で解決するのか、それとも訴訟に進むのかを判断することです。

さいごに

交通事故賠償に強い弁護士法人HOPE法律事務所なら、事案ごとに訴訟のメリット・デメリットを検討し、十分にご依頼者に説明を行います。

交通事故で裁判を検討している方は、静岡の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談いただくのをお勧めいたします。