交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットは?

2025年7月24日 カテゴリー:交通事故弁護

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットは?

交通事故の被害に遭った際、相手方保険会社との示談交渉は、多くの方にとって大きなストレスとなるものです。示談金の金額や過失割合後遺障害の等級など、交渉の結果によっては、受け取れる賠償額に大きな差が生じることも少なくありません。

こうした重要な交渉を有利に進めるためには、専門的な知識と交渉力を持つ弁護士のサポートが欠かせません。実際に弁護士へ依頼することで、慰謝料の増額や適正な後遺障害等級の認定保険会社への対応負担の軽減など、さまざまなメリットが得られます。

この記事では、交通事故の示談交渉を弁護士に依頼することによって得られる具体的なメリットについて、わかりやすく紹介します。

事故手続きに対する情報格差

交通事故の手続きは、通常、加害者側の任意保険会社の担当者によって進められます。

保険会社の担当者は、日々多数の案件をこなすプロですが、被害者は多くの場合、人生で初めての事故です。知識や経験に大きな差があるため、交渉がうまく進んでいるのかどうかさえ分からないケースも珍しくありません。これは、初心者がプロと将棋やチェスで勝負するようなものです。

保険担当者が親切だった」という声もありますが、担当者は保険金の支払いを抑える立場にある社員であり、被害者の利益を優先してくれるわけではありません。そのため、不利な条件に気づかないまま示談が成立してしまうこともあります。

また、被害者が最も困るのは、事故直後からです。

「入庫先?全損?代車期間?買替?車両保険?物損と人損?整形外科と接骨院?保険の打切り?後遺障害?」など、慣れない対応を迫られますが、相手保険会社がすべて親切に教えてくれるわけではなく、自分の保険会社も対応には限界があります。特に、過失がゼロのもらい事故では、「保険を使わないなら対応できない」と断られることもあります。

相手が保険会社というプロを使う以上、こちらも交通事故に強い弁護士を早期に代理人として立てるべきです。ただし、交通事故対応に消極的な弁護士もいるため、初動から熱意を持って対応してくれる弁護士を選ぶことが重要です。事故発生直後からのサポートこそが、適切な後遺障害認定や賠償に直結するのです。

適正な過失割合に修正できる

過失割合は、交通事故に対する責任の割合を比率で表したものですが、被害者にも不注意(過失)がある場合には、その賠償額は過失割合に応じて減額されます。

被害者の過失割合が大きくなるほど、賠償額の減額幅も大きくなりますので、過失割合は被害者が受け取れる金額に大きな影響を与えるのです。

このように、交通事故では、いかにして適正な過失割合で示談できるかが重要になります。

過失割合の判断は、実務上、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)」(別冊判例タイムズ38号)の過失割合認定基準表(以下「基準表」といいます)を参考にしています。しかし保険会社は、基準表に準拠するのではなく、自らの判断に基づき過失割合を提示してきます。 

そして、過失割合に争いが生じた場合、弁護士は、被害者から事故の状況をよく聞き取るとともに、手続を踏んで取得した刑事記録を検討します。

さらに、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像など種々の証拠を踏まえて検討します。

事故態様が「基準表」の類型にあてはまる場合にはそれに基づき、あてはまらない場合には過去の裁判例を調査し、実際の事故と類似したケースがどのように判断されているかを参考にします。

そのうえで、保険会社の提示する過失割合が適正かどうかを十分に検証し、客観的なデータに基づいた適正な過失割合を提示すれば、保険会社の担当者を説得することも可能になります。

保険会社の担当者も、調停や訴訟といった裁判になっても、客観的なデータを示されれば、弁護士の提示した過失割合と同じ判断になると理解できますので、結果的に、保険会社の提示した過失割合を適正な過失割合に修正できるのです。

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慰謝料を増額できる

交通事故で請求できる慰謝料には、実務上、被害者が入通院した場合の入通院慰謝料、後遺障害が残った場合の後遺障害慰謝料、死亡した場合の死亡慰謝料の3種類があります。

3つの算定基準

実務では、ある程度統一的に処理する必要から、損害賠償額の算定基準としては、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあり、慰謝料もこの基準により算定されています。そして、慰謝料は、上述した算定基準の順に従い、順次高額になります。

保険会社は、自賠責保険基準あるいは任意保険基準で慰謝料を算定して示談交渉に臨みますが、弁護士は、弁護士基準で慰謝料を算定して示談交渉に応じます。保険会社が提示する慰謝料と弁護士が提示する慰謝料では、算定の基準が異なるため、かなり顕著な差となります。

保険会社が弁護士の提示額を拒否すれば、被害者側は訴訟を起こすこともできますが、裁判所の算定基準も弁護士基準と同じなため、現状では、保険会社も弁護士基準を受け入れ増額に応じていますので、結果的に、慰謝料を増額できるのです。

具体的な例として、入通院慰謝料の場合は、次のようになります。

自賠責保険基準では、入通院慰謝料は1日あたり4,300円です。対象となる日数は、支払基準においては「傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内」とされ、実務上、治療期間と実入通院日数を2倍したものを比べて、どちらか少ない方の日数を使います。

入院1か月、通院1か月(実通院日数10日)の場合、治療期間が2か月(60日)、実入通院日数の2倍が80日ですので、60日の方を使います。4,300円×60日で、入通院慰謝料は25万8,000円になります。

ただし、自賠責保険で補償される傷害による損害は、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料およびその他の費用を含めて、被害者1人につき最大120万円までです(したがって、それを超える分については、任意保険で補填する必要があります)。

任意保険基準では、各社とも非公表ですが、自賠責保険基準を下回るものではないものの、弁護士基準よりも低額とされています。

弁護士基準では、赤い本(日弁連交通事故相談センター東京支部編「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」)を基準とした金額が参考とされます。弁護士基準での入通院慰謝料は、2か月で77万円になります。

このように、入通院慰謝料1つをとっても、大きな差が出ることがわかります。後遺障害慰謝料や死亡慰謝料についても、弁護士基準が高額になります。

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適切な後遺障害等級認定を受けられる

交通事故の損害賠償額は、適切な後遺障害等級が認定されるか否かに大きく左右されます。症状固定時に後遺障害が残った場合、その症状の内容や程度が後遺障害等級表のどの等級に該当するかが問題になります。

そして、後遺障害の等級は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が、自賠責保険会社または任意保険会社から送付された必要書類に基づいて審査をし、認定を行います。

後遺障害等級認定は、書面審査が基本となっていますので、提出される書類が、後遺障害等級を正しく判断できるのに相応しく、後遺障害の等級認定に必要な資料である必要があります。その中でも、最も重視されるのが主治医作成の「後遺障害診断書」です。

後遺障害診断書に記載されていない症状は、審査の対象とされませんし、自覚症状を裏付ける他覚的所見(たとえば、MRIやレントゲンなどの画像所見、各種検査結果を踏まえた電気生理学的所見や神経学的所見)が非常に重視されます。

後遺障害診断書は、主治医が医学的観点から判断し、客観的に作成するものです。

しかし、主治医は、診察や治療を行う専門家であって、後遺障害等級認定の専門家というわけではありませんので、適切な後遺障害等級認定を受けるのに必要な情報を過不足のないように、後遺障害診断書を作成してくれるとは限りません。

しかし、弁護士は、「どのような等級が見込めるか」、「症状に見合った等級が認定されるためには後遺障害診断書にどのような記載があることが望ましいか」などが判断でき、その旨を主治医に伝えて、症状に見合った適切な後遺障害診断書を作成してもらうことができます。

また、弁護士であれば、被害者の訴えている症状を全部カバーしているか、後遺障害等級認定のために必要な検査データが落ちていないかなどにも注意を払って、等級認定に必要な内容の後遺障害診断書かどうかをチェックし、主治医作成の後遺障害診断書が、必要な情報を網羅した内容になるように、主治医に対し、アドバイスしてもらうことも期待できます。

このように、弁護士が必要資料や後遺障害診断書の内容をチェックし、万全の準備を整えたうえで、後遺障害等級認定の申請を行うことで、適切な後遺障害等級認定を受けられるのです。

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示談交渉を有利に進められる

弁護士は、被害者が保険会社の担当者と接触を持っていた場合には、被害者から保険会社の対応について聞き取りをし、その問題点を把握したうえ、交通事故に関する知識と経験を踏まえ、保険会社の担当者が納得できるだけの根拠を示しながら、示談交渉にあたります。

示談交渉では、上述したように、保険会社は、自賠責保険基準あるいは任意保険基準で算定した賠償額を提示し、弁護士は弁護士基準で算定した賠償額で対応します。

弁護士は、保険会社の提示する内容を十分に検討し、賠償額や過失割合で不合理な点があればその旨を指摘し、裁判になれば弁護士基準によることになる旨を説得します。

示談の話合いが長引くような場合には、弁護士としても、裁判も辞さないという姿勢を示して保険会社の再考を促せば、裁判になれば不利な結果になると察し、保険会社も示談に応じることもあり、結局、弁護士基準を前提とした示談交渉を行うことになるため、保険会社から提示される示談金よりも高額な賠償金を得ることが期待できます。

このように、弁護士は、弁護士基準に基づき、保険会社との示談交渉を有利に進められます。

肉体的・精神的な負担から解放される

被害者自らが保険会社と示談交渉をすることになれば、保険会社の担当者は、交通事故の示談交渉に精通し、その分野のプロともいえるわけですから、被害者がその担当者と対等な立場で交渉することは大変に難しく、被害者にとって肉体的・精神的な負担は計り知れません。

他方で、被害者が弁護士に示談交渉を依頼すれば、自分自身で示談交渉に臨まなくてもよくなるため、肉体的・精神的な負担から解放され、治療や本来の仕事等に専念できるようになります。

まとめ

交通事故に遭った場合、その損害賠償額や過失割合をめぐって、保険会社との間で争いが生じやすいものです。示談交渉は、法律のプロである弁護士に依頼するのが賢明です。

示談交渉を弁護士に依頼すれば、保険会社とは、弁護士基準に基づく損害賠償額や事故態様に沿った適正な過失割合で合意され、被害者にも納得できる内容での示談が可能になります。交通事故の示談交渉でお悩みの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。