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交通事故の通院をやめるタイミングはいつ?

交通事故の通院をやめるタイミングはいつ?

交通事故の通院をやめるタイミングはいつ?

交通事故で怪我を負い、治療のために通院を続けることは、被害者にとって時間的・精神的・経済的など、さまざまな面で負担となります。そのため、中には自己判断で通院をやめてしまう方もいます。

しかし、通院をやめるタイミングを誤ると、怪我が悪化するだけでなく、通院後の治療費を請求できなくなったり、慰謝料が減額されたり、後遺障害等級認定を受けにくくなったりするおそれがあります。

通院をやめるかどうかについては、弁護士に相談すれば、いろいろな助言を受けられ、不利益を免れることができます。

以下では、通院はいつまで続けるのか通院期間の目安通院をやめるタイミング被害者が勝手に通院をやめるデメリット弁護士に相談するメリットなどについて説明します。

通院はいつまで続けるのか

交通事故で怪我を負った場合、通院はいつまで続けるのでしょうか。

怪我を負った場合は治療が必要ですので、常識的に考えれば、通院は治療の必要がなくなるまで続けるのが基本といえます。

治療の必要がなくなるのは、怪我が治癒したとき、または治療を続けてもこれ以上の症状改善が見込めない「症状固定」と判断されたときです。

通院は、怪我が治癒した時点か、症状固定と判断された時点で終了するのが一般的です。

治癒や症状固定の判断は、一般的に専門的な知識と経験を持つ医師が行います。治癒については異論の余地はありません。しかし、症状固定は医学的な概念ではなく、損害賠償における損害の範囲を定める法的概念であるため、その時期が争いになった場合は、最終的に裁判所が判断します。

しかし、症状固定の時期が争いになるケースは少なく、訴訟で解決するのはごく一部です。実際には、被害者の治療経過を客観的に判断できる医師の意見が尊重されます。実務上は、医師が「今日で症状固定しましょう」「次回の受診日で症状固定しましょう」などと打診し、被害者の了承を得て症状固定日を決めることが多いです。また、被害者と保険会社が合意して決めた症状固定日を、事後報告を受けた医師が異論なければ追認するケースもあります。

通院期間の目安

交通事故における打撲むち打ち骨折の通院期間の目安は、俗に「DMK136」と呼ばれます。Dは打撲Mはむち打ちKは骨折を指し、数字の1・3・61か月、3か月、6か月で、DMKに対応する通院期間を示しています。

以下で示す通院期間はあくまで目安であり、怪我の程度や部位、被害者の年齢や健康状態によって変動します。それぞれのケースについて見ていきましょう。

打撲の場合

打撲の通院期間は、おおむね1か月が標準です。打撲は交通事故で最も軽く、一般的な怪我の一つです。単純な打撲や打ち身であれば、痛みや腫れが治まれば治癒とされます。

むち打ちの場合

むち打ちの通院期間は、おおむね3か月が標準です。ただし、被害の程度が大きい場合は、3か月以上かかることもあります。

骨折の場合

骨折の通院期間は、おおむね6か月が標準です。交通事故による骨折は、指や脚にとどまらず広範囲に及ぶことも多く、打撲やむち打ちよりも長い通院期間が想定されます。

通院をやめるタイミング

上述のとおり、通院をやめるタイミングは、怪我が治癒したとき、または症状が固定したときです。

被害者が勝手に通院をやめるデメリット

被害者が、自分の都合で医師からの指示もなく通院をやめた場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。治療を受けないことで怪我の回復が遅れるのはもちろんですが、ほかにもさまざまな不利益があります。以下で詳しく見ていきましょう。

通院をやめた後の治療費を請求することができなくなる

勝手に通院をやめると、治療が途中で終わり、症状が悪化する可能性があります。仮に再び通院を始めても、事故との因果関係を疑われ、保険会社から治療費の支払いを拒否されるおそれがあり、その結果、通院をやめた後の治療費を請求できなくなることがあります。

慰謝料を満額受け取れない

交通事故の慰謝料には、入通院によって発生する「入通院慰謝料」があります。

入通院慰謝料は、実際の入通院期間実治療日数をもとに算定されます。そのため、勝手に通院をやめると、その時点で怪我の治療は終了したとみなされ、通院を続けていれば受け取れたはずの入通院慰謝料が減額されてしまいます。

適切な入通院慰謝料を受け取るためには、医師の指導に従って治療を続け、通院記録を確実に残すことが重要です。

適切な後遺障害等級認定を受けづらくなる

後遺障害等級認定を受けるには、交通事故で怪我を負い、症状固定時に後遺症が残った場合に申請を行い、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所による審査を経る必要があります。

勝手に通院をやめると治療日数が減り、後遺症の診断治療経過が不明確になります。その結果、継続的な回復状況を確認・把握できず、適切な後遺障害等級認定を受けにくくなります

後遺障害等級認定を受けられない場合、加害者に「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」を請求できなくなります

弁護士に相談するメリット

通常の通院期間の目安から見て治療が長引くと、被害者はしびれを切らし、通院をやめようと思うことがあるかもしれません。また、仕事の都合など、個人的な事情で通院をやめようとする場合もあるでしょう。

しかし、ここで早まってはいけません。どのような事情があっても、通院をやめる前に弁護士へ相談すべきです。いったん通院をやめてしまうと、上述したように、被害者が受けるデメリットが大きいからです。

弁護士は、被害者から通院をやめたいという相談を受けると、今後の治療の必要性や期間、内容を確認する必要がある場合には、電話、書面、面談で医師に意見を求めることもあります。。主に確認する内容は次のとおりです。

医師に確認する主な項目

  • 現在の症状
  • 現在行っている治療の内容と効果の程度
  • 治癒または症状固定の時期
  • 現在の症状が仕事に与える影響の有無
  • 休職中であれば、職場復帰の時期

弁護士は、医師の意見を踏まえて通院をやめることが適切かどうかを判断し、法律の専門家として被害者に助言できます。

そして、弁護士は、被害者と十分に話し合ったうえで、治癒または症状固定まで通院を続けることが望ましいと判断すれば、その方針を支援します。

もし通院をやめる場合は、損害賠償額が確定したものとして保険会社と速やかに示談交渉を進めます。

また、症状固定時に後遺症が残る場合は、適切な後遺障害等級認定を受けられるよう申請手続を行い、被害者に不利にならないよう尽力します。

このように、弁護士に相談することで、上述したようなメリットが得られます。

まとめ

交通事故で怪我を負い、通院を続けている場合、そのやめどきについて悩む被害者もいるでしょう。しかし、被害者が自己判断で通院をやめてしまうと、上述したようにさまざまなデメリットがあります。

交通事故で怪我を負い、通院をやめるタイミングのことでお悩みの際は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。

医師が後遺障害診断書を書いてくれない場合

医師が後遺障害診断書を書いてくれない場合

医師が後遺障害診断書を書いてくれない場合

交通事故で怪我を負い、症状固定の時点で後遺症が残った場合、それが後遺障害等級表のどの等級に該当するかが問題となります。

適正な後遺障害等級認定を受けるためには、医師によって過不足なく記載された後遺障害診断書の作成が不可欠です。

以下では、後遺障害診断書とは医師が後遺障害診断書を書いてくれない理由適切な後遺障害診断書を取得するために必要なこと後遺障害診断書の重要性と弁護士によるサポートなどについて説明します。

後遺障害診断書とは

後遺障害診断書とは、交通事故で怪我を負い、症状固定(治療を続けても、それ以上の症状の改善を望めない状態)時に後遺症が残ってしまった場合に、医師がその症状や内容を記載した診断書のことをいいます。

正式名称は「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」といいます。後遺障害診断書については、医師が医学的な観点から判断し、客観的に作成するものですが、全身の各部位の後遺障害の内容について、詳しく書き込むための書式が用意されています。

後遺障害診断書は、後遺障害等級認定の申請をする際には、必ず提出しなければならない書類です。

後遺障害等級認定の審査は、「損害保険料率算出機構」の自賠責損害調査事務所で行われますが、その審査の対象とされるのは、後遺障害診断書に記載されている内容に限られ、症状の記載漏れがあると、その症状は審査の対象外になってしまいます。

後遺障害等級認定は、基本的に「書面主義」のため、後遺障害診断書には症状固定時の状態が正確に記載されている必要があります。 

このように、後遺障害等級認定を受けるためには、医師作成の後遺障害診断書が最も重視されるのです。

医師が後遺障害診断書を書いてくれない理由

医師には、医師法19条2項により、原則として診断書を発行する義務があります。しかし実際には、医師が後遺障害診断書を書いてくれないケースも見られます。

その理由としては、主に以下のようなケースが挙げられます。

医師が後遺障害診断書を書いてくれない理由

  • 医療機関の受診が少ない場合
  • 医師が整形外科医や脳神経外科医でない場合
  • 転院直後の場合
  • 治療がまだ必要で、症状固定の時期ではない場合
  • 後遺症が残っていない場合
  • 交通事故との因果関係が疑わしい場合
  • 交通事故であることを初診時に申告していない場合

それぞれの理由を順に見ていきましょう。

医療機関の受診が少ない場合

初診と症状固定時のみ病院を受診し、その間は接骨院に通っていたケースや、遠方の救急病院を受診した後、接骨院に通い、症状固定時に近くの医療機関を受診したケースでは、受傷から症状固定までの経過が把握できません。

そのため、医師が責任をもって後遺障害診断書を作成するのが難しいとされています。

医師が整形外科医や脳神経外科医でない場合

開業医が整形外科医や脳神経外科医ではなく、外科や内科を主な診療科目としているケースでは、専門的な後遺障害診断書の作成が難しく、専門外の複雑な事案に関しては後遺障害診断書の作成を断ることもあるとされています。

転院直後の場合

転院直後のケースでは、転院先の医師は、自分で治療や検査を行っておらず、受傷から症状固定までの経過が把握できないため、後遺障害診断書を書いてくれない可能性が高いといえます。

治療がまだ必要で、症状固定の時期ではない場合

医師が治療の継続が必要で、まだ症状固定の時期ではないと判断している場合には、後遺障害診断書を書いてもらえない可能性が高いといえます。

なお、症状固定は医学的な概念ではなく、損害賠償における法的な概念であり、本来は医師の判断だけで決まるものではありません。しかし、治療効果や症状改善の見込みについては、医学の専門知識をもつ医師が最も適切に判断できるため、実務上は医師の判断が重視されます

なお、症状固定の時期が争いとなった場合には、最終的に裁判所が判断することになります。

後遺症が残っていない場合

医師が後遺症が残っていないと判断しているケースでは、後遺障害診断書を書いてくれない可能性が高いといえます。

交通事故との因果関係が疑わしい場合

医師が外傷の原因(たとえば、骨粗鬆症のある高齢者の圧迫骨折)と交通事故との因果関係が疑わしいと判断したケースでは、後遺障害診断書を書いてくれない可能性があります。

交通事故であることを初診時に申告していない場合

交通事故に遭ってから、1か月ほどして痛みが出てきたものの、本人が当初交通事故が原因だとは思っていなかったため、治療終了時の段階になって、「交通事故が原因だ」と思い至ったというケースでは、むち打ちなどの症状が交通事故から1か月して発症することはないとされていることから、後遺障害診断書を書いてくれない可能性が高いといえます。

適切な後遺障害診断書を取得するために必要なこと

被害者は、交通事故で怪我をした場合、将来的に後遺症が残る可能性を考慮して対応することが大切です。

専門医の診察を受けること

交通事故で怪我をした場合は、すぐに病院を受診し、適切な治療を受ける必要があります。特に重要なのは、怪我の部位に応じて専門の診療科を受診することです。

たとえば、骨折や捻挫、むち打ちなどの身体的外傷がある場合は整形外科を、脳や脊髄など神経系に損傷がある場合は脳神経外科を受診するのが望ましいといえます。

これは、専門外の医師では後遺障害診断書の作成を断られることがあるため、そのような事態を避けるためでもあります。

定期的に通院し、継続的に適切な治療を受けること

被害者は、事故直後の初診から症状固定まで、定期的に通院し、継続して適切な治療を受ける必要があります。

また、受診のたびに自覚症状を医師に伝え、それが症状固定まで一貫して続いていたことが分かるように、カルテや後遺障害診断書にきちんと記載してもらうことが大切です。

必要な検査を受けること

被害者は、自覚症状や医師の診断内容に応じて、適切な検査を受ける必要があります。特に以下のような検査が重要とされています。

必要とされる主な検査の種類

  • 画像検査:X線検査、CT検査、MRI検査
  • 理学的検査:身体検査・整形外科的検査
  • 神経学的検査:Jacksonテスト・Lasegue

これらの検査結果をもとに、医師は画像所見理学的所見神経学的所見を後遺障害診断書に記載します。これら3つの所見は、まとめて「他覚的所見」と呼ばれ、後遺障害等級認定において重要な判断材料となります。

後遺障害診断書の重要性と弁護士によるサポート

後遺障害診断書には、以下の内容が正確かつ具体的に記載されている必要があります。

後遺障害診断書に記載すべき主な内容

  • 受傷日時:事故によるけがを負った日時
  • 症状固定日:症状がそれ以上改善しないと判断された日
  • 傷病名:診断されたけがや病気の名称
  • 既存障害:交通事故以前に精神的・身体的な障害があったかどうかに加え、現在の症状と事故との関係を、画像所見などに基づき具体的に記載
  • 自覚症状:被害者が訴える症状が網羅され、かつ症状のある部位が具体的かつ詳細に記載されていること
  • 他覚的所見:画像所見、理学的所見、神経学的所見など、医師が客観的に把握した内容が具体的かつ詳細に記載されていること
  • 検査結果:X線、CT、MRIなどの画像により外傷の有無が確認できること。また、画像の種類ごとに撮影日が明記されており、必要な検査データがすべて記載されていること
  • 障害の見通し:障害の今後の悪化(増悪)や回復(緩解)の可能性についての見通し

これらの情報が正確に記載されていなければ、後遺障害等級認定において適切な評価を受けられないおそれがあります

後遺障害等級認定は、上述したように、「書面主義」が基本となるため、症状固定時の状態が記載された後遺障害診断書が最も重視されます。

後遺障害診断書を作成するのは医師ですが、医師は診察や治療を行う専門家であって、後遺障害等級認定の専門家ではないため、必ずしも後遺障害等級認定の申請に適した内容を記載してもらえるとは限りません。

そこで、重要になるのが、弁護士によるサポートです。

弁護士は、適正な後遺障害等級認定を受けるために、さまざまな支援を行います。

被害者やその家族への聞き取りを通じて後遺症の状態を把握し、必要な資料を収集・精査したうえで、等級認定の可能性診断書に求められる記載内容を検討します。

また、医師に対して真摯に対応し、信頼関係を築いた上で、必要に応じて記載漏れの補完修正の依頼を行うこともあります。

弁護士が行う主なサポート内容

  • 被害者や家族から、後遺症の状況について詳細な聞き取りを実施
  • 後遺障害等級取得に必要な資料を収集・整理・精査
  • 以下の観点から等級認定の可能性を判断
    -どのような等級が見込めるか
    -症状に見合った等級を得るには、診断書にどのような記載が必要か
  • 被害者の訴える症状が漏れなく記載されているかを確認
  • 必要な検査データが適切に含まれているかを確認
  • 医師との信頼関係を構築し、医療照会などを通じて記載内容の補完・修正を依頼
  • 診断書が等級認定に必要な情報を網羅しているか、法的な観点からチェック

このように、弁護士は診断書の作成過程にも関与し、後遺障害等級認定に向けた適切なサポートを行います。

まとめ

後遺障害等級認定においては、審査が「書面審査」で行われるため、医師が作成する後遺障害診断書が最も重視されます。

したがって、症状を過不足なく網羅した後遺障害診断書の作成が重要なポイントとなります。

しかし実際には、医師が後遺障害診断書を作成してくれないケースも少なくありません。

そのため、被害者は交通事故で怪我を負った場合、将来的に後遺症が残る可能性を見据えて、あらかじめ適切な対応をとっておくことが大切です。

交通事故によって怪我を負い、後遺症が残ったものの、後遺障害診断書の取得にお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。

【解決事例】軽微な追突事故でも判断を覆し賠償獲得

【解決事例】軽微な追突事故でも判断を覆し賠償獲得

【解決事例】軽微な追突事故でも判断を覆し賠償獲得

ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。

本事例の概要
事故内容追突事故
後遺障害等級12級5号
傷病名右肩関節の亜脱臼
後遺障害鎖骨の変形障害

当事務所の交通事故弁護の大きな特徴は、「事故直後からの弁護」にあります。特に後遺障害が問題となる事案においては、症状の経過を把握しながら、必要に応じて適切な検査を提案できる点、また残存する症状と後遺障害等級の認定内容との間に齟齬(食い違い)がないかを早期に確認できる点が大きなメリットです。

本件は、依頼者が軽微な物損を伴う追突事故に遭い、加害者側の保険会社が自賠責保険に対して「事故と傷害に因果関係がない」とする事前認定を行った結果、自賠責から因果関係を否定されたケースでした。

そのため、依頼者は体調不良が続いていたにもかかわらず、自賠責の一括対応を受けることができず、大変困っていました。さらに、追突事故であるため依頼者に過失はなく、加入していた保険の示談交渉サービスの対象外となり、自身の保険会社も相手方との交渉に関与できない状況でした。

また、自賠責保険が因果関係を否定したため、人身傷害保険による通院費の補償も受けられず、依頼者は多方面から支援が受けられない状況に陥っていました。

こうした状況を見かねた保険代理店が当事務所をご紹介くださり、当事務所において、自賠責保険に対して異議申立てを行うことになりました。

弁護士の対応

もっとも、自賠責保険は「軽微物損=因果関係なし」とする傾向が強く、異議申立てをしても判断が覆ることは稀です。

そこで当事務所では、まず事故状況を丁寧にヒアリングしたうえで、道路状況や加害車両の進路、依頼者車両の修理見積書・損傷写真を比較し、見た目の損傷は小さくても、車体には一定の外力が加わり、その衝撃が身体に影響を与えたことを詳細に論じました。

さらに、医療記録を取り寄せ、事故後の診療経過や治療内容の妥当性・相当性を医学的な観点から整理し、異議申立書においてわかりやすく説明しました。

その結果、自賠責において「事故と傷害との相当因果関係」を肯定する判断をするに至り、治療費や慰謝料、休業損害が支払われました。

さらに、自賠責で因果関係が肯定されたことにより、加害者側の保険会社に対して、裁判基準(いわゆる弁護士基準)での追加賠償請求を行い、慰謝料等の上乗せも実現しました。

まとめ

この事案は、保険代理店が早期に弁護士への相談を勧め、医療面・法的観点から丁寧に対応したことで、自賠責の判断を覆すことができた好例です。

当事務所では、他の法律事務所ではあまり扱われない、軽微物損による因果関係否定案件にも数多く対応しております。

交通事故における慰謝料、後遺障害、休業損害などでお困りの方は、静岡の交通事故に強い【HOPE法律事務所】までぜひご相談ください。

玉突き事故の責任は?過失割合の考え方

玉突き事故の責任は?過失割合の考え方

玉突き事故の責任は?過失割合の考え方

玉突き事故では、3台以上の車両が絡むため、誰の責任になるのか、また過失割合がどうなるのかが問題になります。

しかも、高速道路での玉突き事故は、高速走行中に起きることが多いため、責任や過失割合の判断がより複雑になります。

以下では、玉突き事故とは玉突き事故の責任は誰にあるのか玉突き事故における過失割合の考え方などについて説明します。

玉突き事故とは

玉突き事故とは、後方の車両が前方の車両(中間の車両)に追突し、その反動で中間の車両がさらに前方の車両(先頭の車両)に追突するなど、3台以上の車両が絡む事故のことをいいます。

このように、玉突き事故は、2つ以上の追突事故が連続して起こっているため、事故の責任は誰にあるのかをめぐって争いになりやすいのが特徴です。

玉突き事故の責任は誰にあるのか

追突事故では、追突した側の運転者に前方不注視や車間距離不保持といった過失があるのが一般的です。そのため、追突した車両の運転者が過失責任を負うのが基本的な考え方です。

そして、玉突き事故も基本的に追突事故の一種とされ、原則として追突事故と同様に扱われます

追突事故では、最初に追突した車両、つまり事故のきっかけを作った車両の運転者の責任が問われるのが一般的です。事故の状況によっては、過失割合が100%になることもあります。

ただし、玉突き事故では、発生時の状況によって過失の割合が変わります。そのため、誰にどの程度の責任があるかもケースによって異なります

玉突き事故の場合には、その事故の発生の原因を作った側の過失割合が、一般的に大きくなる傾向があり、前方の車両に追突した後方の車両にはある程度の過失割合が認められます。

その一方で、先頭の車両や中間の車両に何らかの落ち度(過失)があり、そのことが原因で追突事故が起きた場合には、後方の車両以外の車両にも一定の過失割合が認められます。

以上から、玉突き事故では、過失割合が認められる車両の運転者に責任があるため、損害賠償の観点からは、賠償責任を負う者が1人の場合もあれば、2人以上となる場合もあります

玉突き事故における過失割合の考え方

以下では、一般道路と高速道路に分けて、玉突き事故における過失割合の考え方について見てみましょう。

一般道路での玉突き事故の場合

一般道路での玉突き事故の場合、基本となる過失割合は以下のとおりです。

後方の車両が追突したケース

後方の車両が追突したケース

後方の車両が追突したケースでは、先頭の車両、中間の車両、後方の車両の順で走行中に、あるいは、先頭の車両と中間の車両が赤信号で停車中に、後方の車両が中間の車両に追突したことで中間の車両が押し出され、中間の車両が先頭の車両に追突したことで起こる玉突き事故になります。

このケースの場合には、後方の車両の一方的な過失になるため、後方の車両の過失割合は100%、中間と先頭の各車両の過失割合はいずれも0%になります。

このケースの玉突き事故では、中間および先頭の各車両には過失がなく、後方の車両の前方不注視や車間距離不保持といった一方的過失によるものと考えられます。

もっとも、先頭の車両、中間の車両、後方の車両の順で走行中であれば、道路交通法24条では、「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、またはその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」とされていますので、先頭や中間の各車両にこのような違反(以下「法24条違反の急ブレーキ」といいます)がある場合には、先頭や中間の各車両にも過失が認められます。

中間の車両が急ブレーキをかけたケース

中間の車両が急ブレーキをかけたケース

中間の車両が急ブレーキをかけたケースでは、先頭の車両、中間の車両、後方の車両の順で走行中に、中間の車両が法24条違反の急ブレーキをかけたことが原因で、後方の車両が中間の車両に追突し、さらに中間の車両が先頭の車両に追突したことで発生する玉突き事故です。

このケースの場合には、中間の車両に法24条違反があるため、後方の車両の過失割合は70%、中間の車両の過失割合は30%、先頭の車両の過失割合は0%になります。

先頭の車両が急ブレーキをかけたケース

先頭の車両が急ブレーキをかけたケース

先頭の車両が急ブレーキをかけたケースでは、先頭の車両が法24条違反の急ブレーキをかけたことにより中間の車両が急ブレーキをかけたため、後方の車両が中間の車両に追突したことで中間の車両が押し出され、中間の車両が先頭の車両に追突したことで起こる玉突き事故になります。

このケースの場合には、急ブレーキをかけた先頭の車両の過失割合は30%、中間の車両の過失割合は0%、後方の車両の過失割合は70%になります。

中間の車両が先頭の車両に追突し、さらに後方の車両が中間の車両に追突したケース

このようなケースでは、2つの追突事故として扱われます。「順次追突事故」または「順次衝突」と呼ばれ、中間の車両と先頭の車両の間で最初の事故が起きており、それに対して後方の車両がまた別の事故を起こしたという扱いになるのです。

過失割合の考え方も、玉突き事故とは異なります。

中間の車両と先頭の車両との関係では、中間の車両の過失割合は100%、先頭の車両の過失割合は0%になります。ただし、先頭の車両が法24条違反の急ブレーキをかけた場合には、先頭の車両にも過失が認められます。

一方、後方の車両と中間の車両の関係では、後方の車両の過失割合は100%、中間の車両の過失割合は0%になります。この追突事故は、後方の車両の前方不注視や車間距離不保持などの一方的過失によるものと考えられます。

高速道路での玉突き事故の場合

高速道路での玉突き事故は、高速走行が前提とされているため、一般道路での玉突き事故と過失割合の考え方が若干異なる点があります。

玉突き事故の基本となる過失割合に影響する修正要素

玉突き事故の過失割合は、実際の事故の状況によって大きく変わります。

玉突き事故の基本となる過失割合に影響する主な修正要素としては、次のようなものが挙げられます。

玉突き事故の主な修正要素

  • 15km以上(高速道路では20km以上)の速度違反
  • 著しい前方不注視
  • 酒酔い運転
  • 運転操作ミス
  • 車両の整備状況
  • 車間距離不保持
  • 住宅街・商店街
  • 事故が一般道路で起きたか高速道路で起きたか
  • 故障や事故によって車両が駐停車した際の後続の車両への警告措置(ハザードランプの点滅、停止表示器材の設置等)の有無
  • 危険を防止するためやむを得ない場合を除き、車両を急に停止させ、またはその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキの有無

まとめ

玉突き事故では、上述したように、誰の責任になるのか、また過失割合がどうなるのかが問題になります。

玉突き事故に巻き込まれ、示談交渉や過失割合についてお困りの方は、早期に交通事故に詳しい弁護士へ相談することが重要です。交通事故の被害に遭い、お困りの際は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。

後遺障害等級1級とは?最も重い等級が認定される症状や賠償金の相場などを解説

後遺障害等級1級とは?最も重い等級が認定される症状や賠償金の相場などを解説

後遺障害等級1級とは?最も重い等級が認定される症状や賠償金の相場などを解説

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までに分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。後遺障害等級1級は、14の等級の中で最も重い症状が分類される等級です。

最も重い等級にはどのような症状が分類されるの?」「後遺障害1級の慰謝料相場はどのくらい?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級1級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級1級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、前述のとおり1級から14級に分かれており、数字が大きくなるほど障害の程度は軽くなります。1級は最も重度の後遺障害が該当し、認定対象となる症状は全部で8種類です。

以下では、後遺障害等級1級に該当する主な症状について解説します。

別表第1:介護を必要とする症状

  • 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  • 2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

別表第2:介護を必要としない症状

  • 1.両眼が失明したもの
  • 2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  • 3.両上肢をひじ関節以上で失つたもの
  • 4.両上肢の用を全廃したもの
  • 5.両下肢をひざ関節以上で失つたもの
  • 6.両下肢の用を全廃したもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

別表第1-1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要する」状態とは、脳や脊髄といった神経系統に重い障害が残り、生命維持に欠かせない身の回りの処理を自分自身では行えず、常に介護が必要な状態のことを言います。

生命維持に欠かせない身の回りの処理とは、排泄や食事、入浴、着替えなどのことです。

別表1の1級1号は、高次脳機能障害、外傷性脳損傷、脊髄損傷などを原因とするケースが多くなっています。なお、常に介護が必要な状態とは言えず、状況によっては介護が必要な状態の場合には、1級1号ではなく2級1号の認定対象となります。

別表第1-2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要する」状態とは、胸腹部の臓器、主に呼吸器の障害により、生命維持に欠かせない身の回りの処理を自分自身では行えず、常に介護が必要な状態のことを言います。

常に介護が必要な状態とは言えず、状況によっては介護が必要な状態の場合には、1級2号ではなく2級2号の認定対象となります。

別表第2-1.両眼が失明したもの

後遺障害認定における「失明」とは、次のいずれかの状態のことです。

失明の状態

  • 眼球を摘出した状態
  • 光の明暗がわからない、もしくはかろうじてわかる程度の状態

視力低下の後遺障害等級は細かく分類されていますが、両目の失明については最も重い1級1号が認定されます。

別表第2-2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの

咀嚼機能を廃した状態とは、スープ状の流動食以外は食べられない状態のことです。

言語機能を廃した状態とは、口唇音(ま行、ぱ行など)、歯舌音(な行、さ行など)、口蓋音(か行、や行など)、喉頭音(は行)の4種の子音のうち3種類以上の発音が十分にできない状態のことです。

咀嚼機能と言語機能の両方を廃した状態になった場合、1級2号が認定されます。咀嚼機能と言語機能のうちいずれか一方を廃した状態になったときは、3級2号の認定対象となります。

別表第2-3.両上肢をひじ関節以上で失つたもの

1級3号は、両方の上肢がひじ関節以上で切断された場合に認定される等級です。片方の上肢がひじ関節以上で切断された場合には、4級4号の認定対象となります。

別表第2-4.両上肢の用を全廃したもの

上肢の用を全廃したものとは、上肢の三大関節(肩・肘・手首関節)がすべて「用を廃した」状態にあることを指します。上肢の三大関節が「用を廃した状態」とは、次のいずれかの状態のことです。

関節が用を廃した状態

  • 関節が強直した状態(癒着により動かなくなった状態)を画像所見で確認できる状態
  • 関節の可動域が10分の1以下に制限された状態

上肢の全廃が片側にとどまる場合には5級6号の認定対象となりますが、両方が全廃となった場合には1級4号が認定されます。

別表第2-5.両下肢をひざ関節以上で失つたもの

1級5号は、両方の下肢がひざ関節以上で切断された場合に認定される等級です。片方の下肢がひざ関節以上で切断された場合には、4級5号の認定対象となります。

別表第2-6.両下肢の用を全廃したもの

下肢の用を全廃したものとは、下肢の三大関節(股関節・膝関節・足首の関節)がすべて「用を廃した」状態にあることを指します。「用を廃した」の基準は、1級4号と同様です。

下肢の全廃が片側にとどまる場合には5級7号の認定対象となりますが、両方が全廃となった場合には1級6号が認定されます。

後遺障害等級1級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級1級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級1級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:1150万円(要介護状態となり被扶養者がいるときは1850万円・要介護状態となり被扶養者がいないときは1650万円・要介護状態ではなく被扶養者がいるときは1350万円)
  • 弁護士基準:2800万円

このように、自賠責基準と弁護士基準とでは、慰謝料の金額に倍以上の差があります

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は4,000万円です。

弁護士基準では、慰謝料と逸失利益を合わせた金額に上限の設定はありません。後遺障害等級1級の逸失利益は、被害者が若年または高収入の場合など、1億円を超えるケースも多く見られます。自賠責基準と弁護士基準とでは大きな差になるため、必ず弁護士に相談してください

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級1級の場合、労働能力が完全に失われた状態となるため労働能力喪失率は100%です。

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、高齢者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間が適用されます。

まとめ

後遺障害等級1級は、日常生活や就労に重大な影響を及ぼす極めて重度な後遺障害に該当します。適正な等級認定を受け、正当な賠償を得るためには、医療や法律の専門的な知識が欠かせません。

当事務所では、交通事故や後遺障害に関する豊富な実績をもとに、被害者の方の権利を最大限に守るためのサポートを行っております。後遺障害の申請や賠償請求でお困りの方は、どうぞお気軽にHOPE法律事務所へご相談ください。

示談後に交通事故の後遺症が発覚した場合

示談後に交通事故の後遺症が発覚した場合

示談後に交通事故の後遺症が発覚した場合

交通事故の被害に遭った場合、被害者が「怪我で済んだのか」「後遺症が残ったのか」「死亡したのか」といった状況によって、損害賠償額は大きく変わります。

交通事故の多くは示談によって解決されるといわれていますが、示談の後に後遺症が発覚すると、示談の効力をめぐってトラブルになることがあります。

以下では、示談とは、示談で決める内容、示談後に後遺症が発覚した場合はどうなるのか、被害者側にとって示談をしても差し支えない時期、弁護士が示談交渉に介入することが望ましいケースや、弁護士に示談交渉を依頼する適切な時期などについて説明します。

示談とは

示談とは、事故の当事者同士が話し合い、損害の各項目ごとに金額を確定し、その合計額について、加害者が被害者に一定の金額を支払うことで合意し、紛争を解決する方法のことです。                                   

示談の当事者は、被害者(あるいはその遺族。以下「被害者側」といいます)と加害者になりますが、実際の示談交渉の相手方は、一般的に、任意保険会社の担当者か、加害者の代理人弁護士になり、もし加害者が保険に加入していなければ加害者本人になります。

被害者側が弁護士に依頼している場合、実際の示談交渉は被害者側の代理人弁護士が行います。

示談で決める内容

示談では、以下のような項目について取り決めを行います。

示談で決める主な項目

  1. 損害の種類:どのような損害(損害の種別)について賠償するか
  2. 損害賠償額:それぞれの損害について、いくら支払うか
  3. 責任(過失)割合:事故の責任割合に応じて、双方がどの程度の負担をするか
  4. 支払条件:いつ、どのような方法で支払うか(例:一括払い、分割払いなど)

損害の種別は、人身損害か物的損害かに分かれます。人身損害の場合は、傷害(後遺障害の有無を含む)または死亡のいずれかになります。

損害賠償額は、人身損害であれば、損害の種類ごとに分類して積算するのが一般的です。示談交渉の段階では、それぞれの項目について内訳を明示し、妥当かどうかを検討していきます。そして、双方が合意に至れば、最終的に示談書には合計金額のみを記載すれば足ります。

人身損害における損害賠償額の内訳

  • 積極損害:治療関係費、付添看護費、交通費、入院雑費、葬儀関係費など
  • 消極損害:休業損害、逸失利益
  • 慰謝料:入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料

過失割合は、損害賠償額をどのように分担するかを決める際の基準となります。つまり、事故当事者それぞれの責任の程度に応じて、負担額が決まります。

支払条件には、一括払いにするか、分割払いにするかといった支払い方法が含まれます。

また、示談では紛争を最終的に解決することを目的として、通常、示談で定めた内容以外の損害賠償請求権は放棄するという旨を示談書に明記するのが一般的です。

示談後に後遺症が発覚した場合はどうなるのか

示談後に後遺症が発覚した場合はどうなるのかについては、以下の最高裁判決が解決の手がかりとなります。

最高裁昭和43年3月15日判決は、示談後に重傷であることが判明し、再手術を余儀なくされ、後遺症が残った事案について、

「一般に、不法行為による損害賠償の示談において、被害者が一定額の支払いを受けることで満足し、その余の賠償請求権を放棄したときは、被害者は、示談当時にそれ以上の損害が存在したとしても、あるいは、それ以上の損害が事後に生じたとしても、示談額を上回る損害については、事後に請求できないという趣旨と解するのが相当である。(中略)全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもって満足する旨の示談がされた場合においては、示談により被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時に予想していた損害に限られると解すべきであり、その当時予想できなかった不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない」

などとしました。

この最高裁判決は、請求権放棄条項の文言を踏まえるとともに、示談の周辺事情も考慮したうえで、当事者の合理的意思解釈という視点から示談内容の確定をしたといえます。

予測できなかった後遺症による損害は、示談で解決することが予定されていたものとは別のものとみなされるため、請求権放棄条項の適用対象には含まれないと解されます。

もっとも、示談は、被害者と加害者の間で一定の金額を支払うことで紛争を解決するための手続きであるため、示談後に損害が拡大したとしても、原則として改めて損害を請求することはできません

ただし、後日請求が認められるのは、示談当時には予想できなかった重大な損害が発生し、その結果、示談額と実際の損害額との間に明らかな不均衡が生じた場合に限られると解されています。

そのため、示談において将来の後遺症の取り扱いを定める場合には、後日のトラブルをできるだけ避けるための工夫が必要です。たとえば、

「本示談は、被害者に後遺症がないことを前提とし、後日後遺症が生じた場合には、その損害賠償について別途協議するものとする」

といった文言を示談書に盛り込むことで、将来の後遺症に関する対応をあらかじめ明確にしておくのが望ましいといえます。

被害者側にとって示談をしても差し支えない時期

以下で、被害者側にとって示談をしても差し支えない時期について見てみましょう。

事故時に近い段階

事故時に近い段階では、人身事故か物損事故かによって対応が異なります。さらに、人身事故であれば、怪我だけで済んだのか、後遺症が残るのか、あるいは死亡したのかによっても判断が分かれます。

物損事故の場合には、修理費、代車料、休車損害などの物的損害が確定できるのであれば、事故時に近い段階は、被害者にとって示談を行っても差し支えない時期といえます。

人身事故のうち死亡事故については、被害者が一定期間治療を受けた後に亡くなった場合には、怪我にとどまったケースや後遺症が残ったケースと同様に扱われます。

人身事故の場合、怪我にとどまったケースでも、一般的にある程度の治療期間が必要です。さらに、後遺症が残る場合には、症状固定(治療を続けてもそれ以上の改善が見込めない状態)に至るまで、より長い時間がかかります。

そのため、怪我の治療が続いている段階では、事故時に近い段階で示談をするのは、被害者にとって適切な時期とはいえません

怪我が後遺症を残さずに治癒した段階

被害者の怪我が後遺症を残さずに治癒した場合には、損害賠償額の算定が可能になります。具体的には、積極損害、休業損害、入通院慰謝料などが対象となります。

したがって、この段階は、被害者にとって示談をしても問題のない時期といえるでしょう。

症状が固定して後遺症が残った段階

被害者の怪我が症状固定となり後遺症が残っていても、まだ後遺障害等級の認定を受けていない段階では、後遺障害の内容や程度(等級)を確定することができません。

この段階でも、積極損害、休業損害、入通院慰謝料などの算定は可能ですが、後遺障害逸失利益や後遺障害慰謝料の算定はできません。

そのため、全体としての損害賠償額はまだ確定できず、この時点で示談を行うのは、被害者にとって適切な時期とはいえません

症状が固定して後遺症が残り後遺障害等級認定を受けた段階

被害者の怪我が症状固定となり、後遺症が残ったうえで後遺障害等級の認定を受けた場合には、すべての損害項目について賠償額を算定することが可能になります。

そのため、この段階は、被害者にとって示談を行っても差し支えない時期といえるでしょう。 

以上のことから、示談を行っても差し支えない時期は、事故の内容や被害の程度によって次のように異なります。

示談を行っても差し支えない時期

  • 物損事故の場合:事故時に近い段階
  • 死亡事故の場合:事故直後(遅くとも四十九日の法要後)
  • 怪我の場合:後遺症が残らずに治癒した段階
  • 後遺症が残った場合:症状が固定し、後遺障害等級の認定を受けた段階

これらの時期が、それぞれ被害者にとって示談を行うのに適切なタイミングといえるでしょう。

弁護士が示談交渉に介入することが望ましいケース

弁護士が示談交渉に介入することが望ましいケースとしては、以下のような場合が挙げられます。

弁護士が示談交渉に介入することが望ましいケース

  • 被害者が重傷や死亡のため、実況見分に立ち会えない場合
  • 事故当事者双方の過失割合に争いがある場合
  • 損害賠償額の算定基準の違いから、賠償額の総額に差が出る場合
  • 怪我が治癒したのか、症状が固定したのか、後遺症が残っているのかについて争いがある場合
  • 症状固定時に後遺症が残り、後遺障害等級認定を受ける必要がある場合

弁護士に示談交渉を依頼する適切な時期

上述した諸点をふまえ、特に、「被害者側にとって示談をしても差し支えない時期」と「弁護士が示談交渉に介入することが望ましいケース」を前提に、弁護士に示談交渉を依頼する適切な時期について見ていきましょう。

物損事故の場合

物損事故の場合には、弁護士に示談交渉を依頼する時期としては、事故時に近い段階が望ましいといえます。

しかし、弁護士費用特約がない場合は、被害者が得られる損害賠償額より弁護士費用の方が高くなり、費用倒れとなる可能性があります。

弁護士費用特約がない場合には、弁護士に示談交渉を依頼すべきかどうかの慎重な判断が求められます。

死亡事故の場合

死亡事故の場合には、弁護士に示談交渉を依頼する時期としては、事故時に近い段階(遅くても四十九日の法要が終わったころ)が望ましいといえます。

死亡事故では、加害者のみの立会いで実況見分が行われるため、過失割合の認定などで、被害者が不利になる可能性があります。

したがって、死亡事故の場合には、事故後のできるだけ早い段階で、弁護士に示談交渉を依頼するのがより望ましいといえます。

怪我が後遺症を残さずに治癒した場合

怪我が後遺症を残さずに治癒した場合には、その治癒の段階で弁護士に示談交渉を依頼するのが望ましいといえます。

ただし、長期間の入通院を余儀なくされた場合を除き、怪我の程度が軽い場合には注意が必要です。

弁護士費用特約がない場合、被害者が得られる損害賠償額よりも弁護士費用のほうが高くなり、結果として費用倒れになる可能性があります。

弁護士費用特約がない場合には、弁護士に示談交渉を依頼すべきかどうかの慎重な判断が求められます。

症状が固定して後遺症が残り後遺障害等級認定を受けた場合

後遺症が残り、症状が固定したうえで後遺障害等級の認定を受けた場合は、その時点が被害者にとって示談を行っても差し支えない時期といえます。

ただし、その段階はあくまで「示談をしても差し支えない時期」であるにすぎません。

怪我の症状が固定し、後遺症が残った場合でも、その内容や程度に見合った適切な後遺障害等級の認定を受けられなければ、被害者にとって不利な損害賠償額で示談が成立してしまうおそれがあります。

そのため、適切な後遺障害等級の認定を受けたい場合は、症状が固定し後遺症が残った段階で、後遺障害等級認定の申請手続とあわせて弁護士に示談交渉を依頼するのが望ましいといえます。

まとめ

交通事故の被害に遭った場合、多くの人は、できるだけ加害者との話し合いによって、適正な損害賠償額で示談をまとめたいと考えることでしょう。

被害の程度によっては、法律の専門家である弁護士に示談交渉を依頼することで、幅広いサポートを受けながら手続きをスムーズに進めることができます。

その結果、被害者(またはその遺族)にとって、より適切な損害賠償額を得やすくなるといえるでしょう。

交通事故の被害に遭い、弁護士に示談交渉を依頼すべきかお悩みの際は、どうぞお気軽にHOPE法律事務所までご相談ください。

後遺障害等級11級とは?他の等級との症状の違いや賠償金の相場などを解説

後遺障害等級11級とは?他の等級との症状の違いや賠償金の相場などを解説

後遺障害等級11級とは?他の等級との症状の違いや賠償金の相場などを解説

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までの等級に分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。11級は、比較的軽い後遺症が対象となる等級です。

後遺障害11級にはどのような症状が分類されるの?」「11級に認定されたら賠償金はどれくらいもらえるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級11級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級11級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。11級は、その中で4番目に軽い等級です。

後遺障害等級11級の認定対象となる症状は、次のとおりです。

後遺障害等級11級に該当する主な症状

  • 1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  • 2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  • 3.一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  • 4.十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  • 6.一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 7.脊柱に変形を残すもの
  • 8.一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
  • 9.一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
  • 10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

眼球の調節機能とは、いわゆるピントを合わせる力のことです。近くや遠くのものに焦点を合わせる能力に障害が残ると、日常生活に大きな支障が生じます。調節機能が正常時の2分の1以下に低下した場合は、「著しい」調節機能障害とされます。

また、眼球の運動障害とは、眼球を動かして見える範囲(注視野)が狭くなる症状のことを指します。見える範囲が通常の2分の1以下になると、「著しい」運動障害として後遺障害等級12級に該当します。

これらの調節機能障害や運動障害が片目だけに生じた場合は、12級1号が適用されます。ただし、調節機能や運動機能は加齢によって低下するため、55歳以上の方は12級1号の対象外とされています。

2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

まぶたの著しい運動障害とは、自分の意思でまぶたを開けようとしても瞳孔が隠れた状態になってしまったり、逆にまぶたを閉じようとしても角膜が完全には隠れない状態になることを指します

片目に同様の症状が残る場合には、12級2号の認定対象となります。

3.一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

まぶたの「著しい欠損」とは、まぶたの欠損により目を閉じても角膜を完全には覆いきれない状態のことを指します。

両目のまぶたに著しい欠損が残ってしまった場合は、9級4号の認定対象となります。

4.十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

歯科補綴」とは、歯が欠けたり、抜けたりした場合に人工の歯や補綴物(ほてつぶつ)で歯の機能を回復させる治療方法のことです。具体的な治療法としては、入れ歯やインプラント、金属の被せ物などが挙げられます。

歯科補綴の対象となる歯の本数によって、認定される後遺障害等級は異なります。10本以上に歯科補綴を行った場合は11級4号、14本以上になると10級4号の認定対象となります。

5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの

1m以上の距離では小声を解することができない程度とは、具体的な数値で平均純音聴力レベルが40dB以上の状態を指します。

平均純音聴力レベルとはどの程度小さな音を聞き取れるかを示す指標です。つまり、両耳で40dB以上の音しか聞き取れない状態になると11級5号の認定対象となります。

両耳の聴力の程度がさらに低くなり「40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度」になると、10級5号の認定対象となります。

6.一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度とは、次のいずれかの状態を指します。

40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度

  • 平均純音聴力レベルが70から80dB未満の状態
  • 平均純音聴力レベルが50dB以上かつ最高明瞭度が50%以下の状態

最高明瞭度とは、言葉をはっきり聞き取れる能力を示す指標です。最高明瞭度50%以下とは、言葉を半分以下しか聞き取れない状態のことを指します。

片耳の聴力がさらに悪化して「耳に接しなければ大声を解することができない程度」になると、10級6号の認定対象となります。

7.脊柱に変形を残すもの

脊柱の変形とは、次のいずれかの状態を指します。

脊柱の変形

  • 脊椎圧迫骨折が画像で確認できる状態
  • 脊椎固定手術を行い、移植した骨が脊椎に吸収されていない状態
  • 3個以上の脊椎に椎弓切除術などの椎弓形成術を施した状態

さらに、脊柱の変形が運動障害を引き起こしている場合には「脊柱に運動障害を残すもの」として8級2号、または「脊せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの」として6級5号の認定対象となります。

8.一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの

後遺障害認定における指を失った状態とは、指が第二関節より先の骨から切断された状態のことです。人差し指、中指、薬指のいずれか1本を失った場合には11級8号が認定されます。

失った指の本数が多くなると、9級12号8級3号などより重い等級の認定対象となります。

9.一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの

指の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態のことです。

指の用を廃した状態

  • 関節が強直して全く動かせない状態となった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された

第一の足指とは親指を示すので、11級9号は親指を加えた2本以上の指が「用を廃した」状態となった場合に認定される等級です。親指以外が「用を廃した」状態となった場合は、13級10号12級11号の認定対象となります。

10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

11級10号の胸腹部臓器の機能障害とは、呼吸器・循環器・消化器・泌尿器の機能障害のことです。「労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」とは、働くことはできるものの業務を遂行するうえで差し障りがある状態のことを指します。

胸腹部臓器の機能障害により働ける業務の内容が制限されたり、働くことができなくなったりした場合には、9級11号7級5号など、より重い等級の認定対象となります。

後遺障害等級11級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級11級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級11級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:136万円
  • 弁護士基準:420万円

自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。11級では、300万円近い差があります。

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は331万円となっており、弁護士基準の慰謝料すら下回る金額となっています。弁護士基準では、さらに逸失利益として数百万円を請求できます。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害によって将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級11級の労働能力喪失率は20%です。

なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級11級でも症状によって数値は変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間です。

まとめ

後遺障害等級11級に該当する症状は、比較的軽度とされながらも、日常生活や仕事に影響を及ぼす可能性があります。等級認定を受けるには、医学的な裏付けや事故との因果関係の証明が求められ、適切な資料の収集と専門的な対応が重要です。また、慰謝料や逸失利益についても、基準によって受け取れる金額に大きな差が生じるため、慎重に対応する必要があります。

後遺障害の申請や賠償金の交渉でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。

後遺障害等級12級とは?認定の対象となる症状や慰謝料の相場などを解説

後遺障害等級12級とは?認定の対象となる症状や慰謝料の相場などを解説

後遺障害等級12級とは?認定の対象となる症状や慰謝料の相場などを解説

交通事故の後遺障害は、全部で14段階の等級に分類されています。後遺障害等級12級は、後遺障害の中で3番目に軽い症状が分類される等級です。

後遺障害12級と14級の神経症状にはどのような違いがあるの?」「12級に認定されたら慰謝料や逸失利益はどれくらいもらえるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級12級の主な症状や認定基準、後遺障害慰謝料および逸失利益について解説します。後遺障害等級の申請を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級12級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。12級は、その中で3番目に軽い等級です。

後遺障害等級12級の認定対象となる症状は、次のとおりです。

後遺障害等級12級に該当する主な症状

  • 1.一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  • 2.一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  • 3.七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 4.一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  • 5.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  • 6.一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  • 7.一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  • 8.長管骨に変形を残すもの
  • 9.一手のこ指を失つたもの
  • 10.一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  • 11.一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
  • 12.一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
  • 13.局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14.外貌に醜状を残すもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

眼球の調節機能とは、近くの物や遠くの物にピントを合わせる機能のことです。調節機能に障害が残ると、目に負担がかかって疲れを感じやすくなったり、遠近感覚が鈍って日常生活に支障をきたしたりします。「著しい調節機能障害」とは、調節機能が正常時の2分の1以下に低下した場合を示します。

眼球の運動障害とは、眼球の動きが制限され、見える範囲が狭くなる症状のことです。視野が2分の1以下に狭まると、「著しい運動障害」として後遺障害等級12級に該当します。

なお、調節機能や運動機能は年齢と共に衰えるため、障害が見られる場合でも年齢が原因と考えられるケースでは後遺障害認定の対象とはなりません

両眼に著しい調節機能障害または運動障害が残った場合は、11級1号に該当します。

2.一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

まぶたの著しい運動障害とは、まぶたを開けても瞳孔が隠れたままになったり、閉じても角膜が露出したままになる状態を指します。

同様の症状が両眼に残る場合は、11級2号に該当します。

3.七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

歯科補綴」とは、歯の欠損を入れ歯やインプラント、金属の被せ物などで補う治療方法のことです。

歯科補綴の対象となる歯の本数が7本以上になると、12級3号に該当します。さらに、10本以上になると11級4号、14本以上になると10級4号の認定対象となります。

4.一耳の耳殻の大部分を欠損したもの

耳殻とは、耳の最も外側にあり、音を集める機能を持つ部分のことです。交通事故で耳殻の半分以上を失った場合、耳殻の大部分を欠損したものとして12級4号に該当します。

耳殻の欠損は、「外貌に著しい醜状を残すもの」として7級12号に該当する可能性もあります。12級と7級では慰謝料や逸失利益の金額が大きく異なるため、12級にとどまった場合は専門家に相談することをおすすめします

5.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの

交通事故で骨折した骨が正常な形に戻らず変形した場合は、12級5号に該当する可能性があります。「著しい変形」とは、目視で確認できる程度の変形を示します。レントゲンで変形が確認できても、目視で確認できない場合は12級5号に該当しません。

12級5号でよく見られる事例として、肩鎖関節脱臼により肩の骨が浮き上がったまま戻らないケースが挙げられます。

6.一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

上肢の三大関節とは、肩・肘・手首の関節のことです。このうち1つの関節に機能障害が残った場合は、12級6号に該当します。関節の機能障害として認定されるのは、次のいずれかの症状です。

関節の機能障害

  • 関節の可動域が4分の3以下に制限された
  • 手のひらを上に向けたり下に向けたりする運動(回内・回外運動)の可動域が2分の1以下に制限された

可動域の測定には、ゴニオメーターという器具が用いられます。可動域制限が認定されるには、器具による測定だけでなく、画像所見での客観的な証拠が必要です。

なお、機能障害の程度が重くなると、「著しい障害を残すもの」として10級10号、「用を廃したもの」として8級6号に該当する可能性があります。

7.一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

下肢の三大関節とは、股関節・膝関節・足首の関節のことです。可動域が4分の3以下に制限された場合は、12級7号に該当します。

なお、機能障害の程度が重くなると、「著しい障害を残すもの」として10級11号、「用を廃したもの」として8級7号に該当する可能性があります。

8.長管骨に変形を残すもの

長管骨とは、腕や脚にある長い骨のことです。長管骨が骨折し、癒着がうまくいかなかったり、ねじれてしまった場合は、12級8号に該当します。

長管骨の変形障害により偽関節が残った場合は、より重い8級9号7級10号に該当する可能性があります。

9.一手の小指を失つたもの

小指を失った」とは、小指が第一関節から第二関節の骨から切断された状態を指します。

小指以外も失った場合や、他の指に障害が残る場合には、11級8号10級7号など、より重い等級に該当する可能性があります。

10.一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの

指の「用を廃した」とは、次のいずれかの状態を指します。

指の用を廃した状態

  • 関節が強直して全く動かせない状態となった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された

片手の人差し指、中指もしくは薬指が「用を廃した」状態になった場合は、12級10号に該当します。これらの指を失った場合は、より重い11級8号に該当します。

11.一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの

足指を失った」とは、足指が中足指節関節から切断された状態を指します。中足指節関節とは、足指の根元にある関節のことです。第二の足指とは人差し指、第三の足指とは中指を指します。したがって、12級11号に該当するのは、次のいずれかの場合です。

12級11号に該当する具体的なケース

  • 片足の人差し指が切断されたとき
  • 片足の人差し指に加えて、中指、薬指、小指のいずれか1本が切断されたとき
  • 片足の中指、薬指、小指の3本が切断されたとき

12.一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの

指の用を廃した」とは、12級10号で説明した状態を指します。第一の足指とは、親指のことを指します。したがって、12級12号に該当するのは、次のいずれかの場合です。

12級12号に該当する具体的なケース

  • 片足の親指が「用を廃した」状態となったとき
  • 片足の人差し指、中指、薬指、小指の4本が「用を廃した」状態となったとき

親指もしくは他の4本の指を失った場合は、より重い10級9号に該当します。親指に加えて他のいずれかの指が「用を廃した」状態になった場合は、11級9号に該当します。

13.局部に頑固な神経症状を残すもの

神経症状」とは、身体のしびれ、痛み、耳鳴り、めまいなどの症状を指します。神経症状による後遺障害は、14級9号12級13号の2つに分類されます。

神経症状による後遺障害は、主にむち打ち症で問題となります。12級13号が認定されるには、むち打ち症による痛みやしびれなどの自覚症状が、レントゲンやMRIなどの画像所見によって裏付けられることが必要です。具体的には、画像により神経が圧迫されている状態を確認できる場合に12級13号が認定されます。

痛みやしびれなどの自覚症状が画像所見で裏付けられない場合は、14級9号に該当するかどうかが問題となります。ただし、14級9号についても、自覚症状があるだけでは不十分であり、事故や治療の経過などから継続性を医学的に説明できることが必要です。

神経症状による後遺障害は、認定が難しい症状のひとつです。神経症状で後遺障害の認定を受けるには、早い段階で専門家へ相談することをおすすめします

14.外貌に醜状を残すもの

外貌」とは、頭部や顔、首など、日常的に露出している部位を指します。頭髪や衣類で隠れる部分の醜状については、12級14号の対象とはなりません。

醜状」とは、火傷や手術痕などによる傷跡を指します。醜状の後遺障害は、醜状の大きさや身体の部位によって認定される等級が異なります。

12級14号に該当する「醜状」は、以下のとおりです。

12級14号に該当する醜状

  • 頭部・首に鶏の卵より大きい傷跡
  • 顔に十円玉以上の傷跡、長さ3㎝以上の線状痕

醜状の程度がより重い場合は、その程度に応じて9級16号または7級12号に該当する可能性があります。

後遺障害等級12級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級12級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、交通事故により後遺症が残ったことによる精神的苦痛への賠償です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については、具体的な金額が明示されています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級12級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:94万円
  • 弁護士基準:290万円

自賠責基準と弁護士基準の差額は、等級が高くなるほど大きくなります。12級では、約200万円もの差があります。

自賠責保険では、慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は224万円です。弁護士基準では、逸失利益だけで数百万円になることもあり、後遺障害慰謝料と合わせた場合、自賠責基準との差はさらに拡大します

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害によって将来得られるはずだった利益が失われたことに対する損害賠償です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われる労働能力の割合であり、等級ごとに目安となる数値が定められています。後遺障害等級12級の労働能力喪失率は14%です。

なお、労働能力喪失率はあくまで目安であるため、同じ後遺障害等級12級でも、症状により数値が変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で算出されます。なお、年長者の場合は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方を労働能力喪失期間とします。

まとめ

後遺障害等級12級に該当する症状は多岐にわたり、症状の内容や証明の難易度によって、認定の可否や最終的な賠償金額に影響することがあります。

適正な等級認定を受け、正当な補償を得るためには、医学的な裏付けと法的な知識の両面から対応することが重要です。

交通事故による後遺症でお悩みの方や、等級認定に不安のある方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。

後遺障害等級13級とは?認定基準や慰謝料などを解説

後遺障害等級13級とは?認定基準や慰謝料などを解説

後遺障害等級13級とは?認定基準や慰謝料などを解説

後遺障害等級13級は、14段階に分類された後遺障害等級の中で2番目に症状が軽い等級です。11の症状が後遺障害等級13級に分類されています。

後遺障害13級の認定を受けるにはどうしたら良いの?」「13級に認定された場合の慰謝料の金額はいくら?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級13級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害等級の申請を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級13級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。13級は、その中で2番目に軽い等級です。

後遺障害等級13級の症状は、次のとおりです。

後遺障害等級13級に該当する主な症状

  • 1.一眼の視力が〇・六以下になつたもの
  • 2.正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  • 3.一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  • 4.両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  • 5.五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 6.一手のこ指の用を廃したもの
  • 7.一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
  • 8.一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
  • 9.一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
  • 10.一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
  • 11.胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.一眼の視力が〇・六以下になつたもの

1号の「一眼の視力が0.6以下になったもの」とは、交通事故が原因で視力が0.6以下になった状態を指します。ここでの視力はメガネやコンタクトレンズを装着しての矯正視力のことです。交通事故が原因であると認められるためには、事故前の視力検査の結果が必要です。

なお、片目だけでなく両目の視力が0.6以下になった場合は、より重い後遺障害等級9級1号に該当します。

2.正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

複視の症状」とは、物が二重に見える症状のことです。複視は、目の周りの筋肉が麻痺することによって起こります。つまり、交通事故により目の周りの筋肉に麻痺が残り、物が二重に見える状態が後遺障害等級13条2号に該当します。

なお、正面を見た場合の複視については、より重い後遺障害等級10級2号の症状です。

3.一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

半盲症」とは、視界の右半分もしくは左半分が見えなくなる視野障害のことです。「視野狭窄」は視野が狭くなる視野障害、「視野変状」は視野の一部に点状や斑模様の欠損が生じる視野障害のことです。これらの症状のいずれかにより視野が欠け、通常の視野の60%以下となった場合は、後遺障害等級13級3号に該当します。

両目の視野障害については、より重い後遺障害等級9条3号に該当します。

4.両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

まぶたの一部に欠損」とは、まぶたを閉じたときに黒目は隠れるものの白目の一部が露出してしまう状態のことです。「まつげはげ」とは、片目のまつげの半分以上がはげて生えてこなくなった状態を示します。

5.五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

歯科補綴」とは、歯が欠けたり、抜けたりした場合に人工の歯や補綴物(ほてつぶつ)で歯の機能を回復させる治療方法のことです。入れ歯やインプラント、金属の被せ物などが歯科補綴の具体例です。

13級5号は、歯科補綴が5本以上の場合に認定される等級です。歯科補綴が3〜4本の場合は14級2号が、7本以上になると12級3号が認定されます。

6.一手の小指の用を廃したもの

指の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態を示します。

指の用を廃した状態

  • 指が切断された
  • 関節が強直して全く動かせない状態となった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された

片手の小指が「用を廃した」状態になった場合は、13級6号の該当性が問題となります。指の「用を廃した」状態については、手なのか、足なのか、どの指なのか、何本なのかによって、さまざまな等級認定の対象となっています。

片手の親指以外の指の骨について、一部が欠損した場合には14条6号該当性が問題となります。後遺障害認定を受けるには、レントゲン写真により医学的な見地から骨の欠損が認められるだけでなく、それが交通事故の影響によるものと判断されなければなりません。

親指の骨の一部が欠損した場合には、13級7号の「一手のおや指の指骨の一部を失ったもの」に該当するかが問題となります。骨の欠損の程度によっては、「指の用を廃したもの」として、より高い等級認定を受ける可能性もあります。

7.一手のおや指の指骨の一部を失つたもの

片手の親指の骨について一部が欠損した場合は、13級7号該当性が問題となります。親指以外に骨の欠損があるときには、14級6号に該当するかが問題となります。

骨の欠損の程度が大きい場合には、指の「用を廃した」状態として、より重い等級認定の対象となる可能性があるため注意が必要です。

8.一下肢を一センチメートル以上短縮したもの

片方の下肢の上前腸骨棘から下腿内果下端までの長さが、もう片方と比べて1センチメートル以上短くなった場合、13級8号該当性が問題となります。上前腸骨棘とは、骨盤の出っ張り部分、下腿内果下端とはくるぶしの内側部分のことです。

つまり、レントゲン写真で確認したときに、骨盤からくるぶしにかけての長さが他方よりも1センチメートル以上短くなっていることが確認できた場合は、13級8号が認定されます。

なお、3センチメートル以上短縮された場合は、より重い10級8号に該当するかが問題となります。

9.一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの

足指を失った」とは、足指が中足指節関節から切断された状態のことです。中足指節関節とは、足指の根元にある関節のことを言います。第三の足指とは中指のことです。つまり、中指、薬指、小指のうち1本もしくは2本が根元から切断された場合に13級9号に該当するかが問題となります。

中指、薬指、小指が3本とも欠損してしまった場合は、より重い12級11号の該当性が問題となります。

10.一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの

第二の足指とは人差し指のことです。つまり、次のいずれかに当てはまる場合に13級10号が認定されます。

13級10号に該当する具体的なケース

  • 片足の人差し指が「用を廃した」状態となったとき
  • 片足の人差し指に加えて、中指、薬指、小指のいずれか1本が「用を廃した」状態となったとき
  • 片足の中指、薬指、小指の3本が「用を廃した」状態となったとき

11.胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

胸腹部臓器の機能障害とは、消化器・泌尿器の機能障害のことです。13級11号に該当する具体的な症状としては、次のものが挙げられます。

13級11号に該当する具体的なケース

  • 胃の入口もしくは出口を含む胃の一部を失った
  • 胆のうもしくは脾臓を失った
  • 腎臓を失った、腎臓の機能が低下した
  • 性行為そのものは可能だが生殖器の機能が低下した(睾丸・卵巣の片方を失った)

後遺障害等級13級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級13級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級13級における自賠責基準と弁護士基準での慰謝料額は、次のとおりです。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:57万円
  • 弁護士基準:180万円

自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。13級では、123万円もの差があります。

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は139万円です。弁護士基準では、逸失利益だけでも数百万円になるケースがあります。つまり、後遺障害慰謝料と逸失利益を合算すれば、自賠責基準と弁護士基準との差はさらに広がります。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害によって将来得られるはずだった利益が得られなくなることに対する損害賠償です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われる労働能力の割合を示すものです。等級ごとに目安となる数値が定められており、後遺障害等級13級では9%とされています。

なお、等級に応じた労働能力喪失率は、あくまでも目安に過ぎないため、同じ後遺障害等級13級でも症状によって数値は変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と、平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間が適用されます。

まとめ

後遺障害等級13級は、症状こそ比較的軽度とされるものの、日常生活や就労に影響を及ぼす重大な後遺症です。正確な等級認定を受けるには、医学的な根拠や事故との因果関係を適切に主張する必要があります。

認定結果によって受け取れる慰謝料や逸失利益の金額は大きく変わるため、専門的な知識を持つ弁護士のサポートを受けることが重要です。

後遺障害の申請や、慰謝料・逸失利益の賠償でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所までご相談ください。

後遺障害等級14級とは?主な症状や認定基準などを解説

後遺障害等級14級とは?主な症状や認定基準などを解説

後遺障害等級14級とは?主な症状や認定基準などを解説

後遺障害等級14級は、後遺障害の中で最も軽い等級であり、9つの症状に分類されています。

どのような症状が14級に分類されるのか?」「14級に認定されるとどのくらいの賠償金を受け取れるのだろう?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級14級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害等級の申請を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級14級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きいほど症状が軽いものとなります。つまり、後遺障害等級14級に分類されるのは、後遺障害の中では最も症状が軽いものです。

後遺障害等級14級の症状は、次のとおりです。

後遺障害等級14級に該当する主な症状

  • 1.一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  • 2.三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 3.一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  • 4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  • 5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  • 6.一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  • 7.一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  • 8.一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
  • 9.局部に神経症状を残すもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

1号の「まぶたの一部に欠損」とは、片方の目のまぶたの一部が欠損して、目を閉じても眼球を覆い隠せない状態のことを示します。「まつげはげ」とは、一時的な脱毛を含むものではなく、片方の目のまつげの半分以上が生えてこなくなった状態のことです。

なお、「一眼の」と規定されているとおり、両方の目に同様の症状がある場合には、13級4号の「両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」に該当します。

2.三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

歯科補綴」とは、歯が欠けたり、抜けてしまったりした場合に人工の歯や補綴物(ほてつぶつ)で歯の機能を回復させる治療方法のことです。具体的には、入れ歯やインプラント、金属のかぶせものなどがこれに当たります。

3本以上の歯に歯科補綴の治療を行った場合に、認定されるのが14級2号です。さらに、5本以上の歯科補綴は13級5号、7本以上の歯科補綴は12級3号と歯科補綴の本数が増えると、上位の等級が認定されるかが問題となります。

3.一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの

3号は、交通事故により聴力が落ちてしまった場合の規定です。具体的には、平均純音聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満になった場合に14級3号に該当するかが問題となります。

両耳の聴力が同程度にまで低下してしまった場合には、11級5号の「両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの」に該当するか否かが問題となります。

4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

上肢の露出面」とは、肩関節から指先までのことです。腕や手に手のひら大の傷跡が残った場合には、14条4号の該当性が問題となります。

なお、「上肢の露出面」については、自賠責基準と労災基準に違いがあります。労災基準では、ひじ関節から指先までが「上肢の露出面」とされており、自賠責基準よりも範囲が狭くなっているため、労災で後遺障害認定を受ける際には注意が必要です。

5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

下肢の露出面」とは、股関節から足先までのことです。14級4号と同じく手のひら大の傷跡が残った場合に後遺障害認定の対象となります。

なお、14級4号と共通で「てのひら」とは、指を除く手のひらのことで、被害者の手のひらの大きさを基準に判断します。

6.一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの

片手の親指以外の指の骨について、一部が欠損した場合には14条6号該当性が問題となります。後遺障害認定を受けるには、レントゲン写真により医学的な見地から骨の欠損が認められるだけでなく、それが交通事故の影響によるものと判断されなければなりません。

親指の骨の一部が欠損した場合には、13条7号の「一手のおや指の指骨の一部を失つたもの」に該当するかが問題となります。骨の欠損の程度によっては、「指の用を廃したもの」として、より高い等級認定を受ける可能性もあります。

7.一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの

遠位指節間関節」とは第一関節のことです。親指以外の第一関節の曲げ伸ばしができなくなってしまった場合には、14級7号の該当性が問題となります。

屈伸することができなくなった」状態とは、被害者の自己申告だけではなく、医師の診察により可動域を確認するとともに、レントゲンやCTなどで客観的に関節や筋繊維の損傷が見受けられる状態のことを示します。

8.一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの

第三の足指以下」とは、中指、薬指、小指のことを指します。これらのうち1本もしくは2本が「用を廃した」状態になると、14級8号該当性が問題となります。

「用を廃した」とは、次のいずれかの状態のことです。

用を廃した状態

  • 指が切断された
  • 関節が強直して全く動かせない状態となった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された

このうち、強直や可動域制限については、実際に症状が残っていたとしても交通事故との因果関係が問題となり、後遺障害認定のハードルは高いものとなっています。

9.局部に神経症状を残すもの

神経症状」とは、神経系の損傷により現れる症状のことです。具体的には、むち打ち症による痛みやしびれ、打撲による耳鳴りやめまいなどが挙げられます。

「神経症状」は、被害者の自己申告に基づくもので客観的な判断が難しいものです。レントゲンやCTなどで神経症状を示す他覚初見が見当たらない場合には、交通事故の状況、通院歴やカルテの記載などから14級9号の該当性を判断することになります。

レントゲンやCTの画像で他覚初見を説明できないないむち打ち症で後遺障害認定を受けるには、少なくとも半年以上の通院が必要です。なお、神経症状の程度によっては「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号に該当するか否かが問題となりますが、画像で他覚初見を確認できないむち打ち症で12級の認定を受けるのは極めて難しいでしょう。

後遺障害等級14級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級14級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級14級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:32万円
  • 弁護士基準:110万円

このとおり、自賠責基準と弁護士基準とでは大きな差があります。さらに、自賠責基準については、逸失利益を含めた上限額が75万円と定められており、後遺障害慰謝料と逸失利益を合算した金額では、自賠責基準と弁護士基準との差がより大きなものとなります。

逸失利益

逸失利益は、後遺障害によって、将来得られるはずであった利益が得られなくなることにたいする損害賠償金の性質を持つものです。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級14級の労働能力喪失率は5%です。ただし、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級14級でも症状によって数値は変動する可能性があります。

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間です。

ただし、14級9号のむち打ち症の場合、労働能力喪失期間は、2年から5年の範囲内が一応の目安とされています。

まとめ

後遺障害等級14級は、最も軽い等級とはいえ、将来にわたる生活や仕事に影響を及ぼすケースも少なくありません。認定を受けるためには、医師の診断書や画像所見、通院状況など、客観的な資料を適切にそろえることが重要です。また、慰謝料や逸失利益についても、基準によって受け取れる金額に大きな差が生じるため、慎重な対応が求められます。

後遺障害の申請や損害賠償請求でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。