交通事故休業損害の計算方法と3つの基準
2025年7月17日 カテゴリー:休業損害

交通事故に遭い、入院や通院を余儀なくされ、仕事を休まざるを得なかった場合、職種によっては、多大な損害が発生しますが、その一つに休業損害があります。
では、交通事故による休業損害は、どのように算定されるのでしょうか。これを理解するためには、休業損害の計算方法を知っておくことが大切です。
この記事では、休業損害とは、休業損害の内容、休業損害の計算方法などについて説明します。
休業損害とは
休業損害とは、被害者が交通事故による受傷のために休業し、または十分に就労できなかったために、傷害の治癒ないし症状固定時までに得られたはずの収入を失ったことによる損害のことを言います。
原則として、現に仕事を休み、収入が減少していることが必要です。
休業損害の内容
休業損害は、被害者の収入と休業相当期間を認定したうえで算定されます。その際、主に問題となるのは「基礎収入」と「休業日数」です。
休業期間中の実際の収入減少額が明確に把握できる場合は、その金額を基に算定します。
一方で、収入減少額の把握が難しい場合には、休日を含めた一定期間の平均収入を日割りし、それを1日あたりの基礎収入として、実際の休業日数を掛けて算定する方法が用いられることもあります。この方法は、控えめな算定として採用されることがあります。
休業損害の算定は、原則として、事故当時の被害者の現実の所得額を基準とします。ただし、以下のような例外的な場合にはこの限りではありません。
- 家事に従事するパート主婦の休業損害を算定する場合
- 就労後間もない若年者の、複数年にわたる休業損害を算定する場合
- その他、事故当時の現実の所得額を基準とすることが不合理と認められる場合
このような例外的なケースでは、「賃金センサス」が収入認定の基準として用いられ、休業損害の算定には、原則として事故当時の年度の賃金センサスが適用されます。
したがって、休業損害を正確に算定するためには、事故当時の現実の所得額を主張、立証する必要があります。その立証には、公的な書類(源泉徴収票、給与明細、確定申告書など)が基本となります。
また、休業の必要性については、通常は診断書などの医療資料によって証明します。仮に相手方と争いになった場合には、診療録や医師の意見書など、さらに詳細な資料が求められることもあります。
立場によって異なる休業損害の参考例は以下の記事からご覧ください。
休業損害の計算方法
休業損害は、事故によるけがの治療中や、症状が固定するまでの間に、休業したことで得られなかった収入に対して認められるものです。
休業損害は、原則として、次のような計算方法により算定します。
休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数
交通事故による損害賠償の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの算定基準がありますが、休業損害についても、この3つの算定基準が用いられます。
以下、3つの算定基準、基礎収入、休業日数について見てみましょう。
3つの算定基準

3つの算定基準は、以下のとおりです。
自賠責基準
自賠責基準は、自動車損害賠償法に基づく自賠責保険の支払基準です。強制加入とされ、最低限の保障をするものですので、3つの算定基準の中で最も低い金額になっています。
自賠責基準では、休業による収入の減少があった場合または有給休暇を使用した場合に、原則として1日につき6,100円の休業損害が認められます。ただし、家事従事者については、休業による収入の減少があったものとみなされます。
休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし、被害者の傷害の程度、実治療日数その他を勘案して治療期間の範囲内とされています。
休業による収入の減少が1日につき6,100円を超えることが証明されれば、最高で1日につき1万9,000円までの休業損害が認められます(自動車損害賠償法施行令3条の2)。
任意保険基準
任意保険基準は、任意保険会社全社に統一的な基準はなく、各社が独自に設けている基準です。各社とも非公表ですが、自賠責基準を下回るものではなく、自賠責基準と弁護士基準の中間になります。
弁護士基準・裁判基準
弁護士基準は、弁護士として保険会社との示談交渉で解決を目指すことができる賠償額の算定基準です。3つの算定基準の中で最も高い金額になります。
弁護士基準は、訴訟になった場合に見込むことができる賠償額の算定基準と同じものですので、裁判基準ともいわれます。
基礎収入
1日あたりの基礎収入については、3つの算定基準によって異なります。その内容は、以下のとおりです。
自賠責基準
上述したように、1日あたりの基礎収入は、6,100円から1万9,000円までの範囲になります。
任意保険基準
非公表ですが、一般的に、1日あたりの基礎収入は、自賠責基準と弁護士基準の中間になります。
弁護士基準・裁判基準
基礎収入は、事故前の収入が基本とされます。代表的な例では、次のようになります。1日あたりの基礎収入は、それぞれの収入を日割りにした金額になります。
給与所得者は事故前3か月の平均収入(税金控除前)、事業所得者は事故前年の申告所得額、専業の家事従事者(主婦、主夫)は賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金、兼業の家事従事者(主婦、主夫)は現実収入額と賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金との高い方が基礎とされます。
休業日数
休業日数は、原則として、傷害の治癒ないし症状固定時までの間で現実に休業した日数です。ただし、症状の内容・程度、治療経過等から、就労可能であったと認められる場合は、現実に休業していても休業とは認められない場合があります。
まとめ
交通事故に遭い、仕事を休まざるを得なくなったような場合、被害者やその家族の生活への影響を最小限にとどめるためには、休業損害についての迅速な解決が求められます。しかし、保険会社との示談交渉では、休業損害をめぐって、職種によっては難航が予想されます。
保険会社との示談交渉を弁護士に任せることで、被害者の基礎収入を裏付ける資料を適切に準備し、交渉に臨むことができます。その結果、被害者が納得できる休業損害の補償を受けられる可能性が高まります。
交通事故による休業損害でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。




