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人身傷害保険とは?補償内容や利用するメリットなどを解説

人身傷害保険とは?補償内容や利用するメリットなどを解説

人身傷害保険とは?補償内容や利用するメリットなどを解説

人身傷害保険は、自動車を運転する人の多くが自動車保険の特約として加入している保険です。相手が無保険であっても、人身傷害保険に加入していれば、相手が任意保険に加入していた場合と同等の補償を受けられます。

この記事では、人身傷害保険とは何か人身傷害保険の補償内容という基本的な内容を説明したうえで、人身傷害保険を利用するメリットを解説します。交通事故に遭って人身傷害保険を利用すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

人身傷害保険とは?

人身傷害保険とは、契約車両に乗っている運転者や同乗者が交通事故で怪我をしたり、亡くなったりした場合に、治療費や休業損害などを補償してくれる保険です。

人身傷害保険は、多くの場合、自動車保険の特約として付帯されています。損害保険料率算出機構の調査によると、自家用普通乗用車の人身傷害保険加入率は81.7%となっています(2023年3月末時点)。

参照:損害保険料率算出機構|自動車保険の概況

人身傷害保険の最大の特徴は、契約者の過失の有無・割合を問わず補償を受けられることです。

通常の場合、運転者に過失があると過失割合に応じて受け取れる賠償金の額が減額されます。たとえば、300万円の損害が生じていたとしても、3割の過失があると受け取れる賠償金の額は210万円となります。この際、人身傷害保険を利用すると300万円満額の補償を受けられる可能性があるのです。

人身傷害保険の補償内容

ここでは人身傷害保険の補償対象となる事故、項目について詳しく解説します。

補償対象となる事故

人身傷害保険には、補償の範囲に応じて「車内のみ補償型」と「車内+車外補償型」の2つの種類があります。それぞれのタイプで補償対象となる事故は、次のとおりです。

車内のみ補償型車内+車外補償型
契約車両(乗用車)の事故補償対象補償対象
他の車両に同乗者として乗車中の事故補償対象外補償対象
歩行中などの事故補償対象外補償対象

車内+車外補償型」の場合、契約車両に乗車しているときだけでなく、他の人が運転する車両に乗車中の事故歩行中の事故自転車を運転中の事故まで幅広く補償対象となります。

相手が不明のひき逃げ事故も補償対象となるため、ひき逃げされたうえで一切の賠償を受けられないという最悪の事態を避けることができます。

補償対象となる項目

交通事故で怪我をした場合に人身傷害保険で補償対象となる項目は、次のとおりです。

人身傷害保険で補償対象となる項目

  • 治療費
  • 入院雑費
  • 交通費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料など

また、後遺障害を負った場合には、逸失利益後遺障害慰謝料など、死亡した場合には、逸失利益死亡慰謝料葬儀費用などの補償も受けられます。

つまり、人身傷害保険に加入していれば、基本的には加害者側の保険会社から賠償金を受け取る場合とほぼ同等の賠償金を受け取れます。ただし、慰謝料の金額については、いわゆる「任意保険基準」となる点には注意が必要です。弁護士に手続きを依頼した場合でも、弁護士基準での補償を受けることはできません。

また、人身傷害保険の名のとおり、車両や携行品などの物損は補償対象外です。

人身傷害保険を利用するメリット

人身傷害保険を利用するメリットとしては、次のものが挙げられます。

人身傷害保険を利用するメリット

  • 加害者が無保険でも保険金を受け取れる
  • 被害者に過失があっても、無過失時と同等の保険金を受け取れる
  • 自損事故でも保険金を受け取れる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

加害者が無保険でも保険金を受け取れる

人身傷害保険を利用すると、加害者が任意保険に加入しておらず加害者から賠償を受けられない場合でも、相手が任意保険に加入していた場合と同等の保険金を受け取れます

加害者が任意保険に加入しておらず、賠償金の支払能力もない場合、被害者としては泣き寝入りせざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。しかし、人身傷害保険を利用すると、治療費や慰謝料、休業損害などを自身が加入する保険会社から受け取ることが可能です。

被害者に過失があっても無過失と同等の保険金を受け取れる

人身傷害保険とは?」の項目でも説明したとおり、人身傷害保険を利用すると、契約者の過失の有無・割合を問わず無過失の場合と同等の保険金を受け取れます

交通事故の被害者であっても、過失があるとその分だけ受け取れる賠償金は減額されてしまいます。また、加害者と過失割合について争いがあると、賠償金を受け取れる時期が遅れることもあります。

人身傷害保険を利用すると、被害者に過失がある場合や過失割合の交渉が完了していない段階であっても無過失の場合に加害者側の保険会社から支払われるのと同等の補償を受けられます。

自損事故でも保険金を受け取れる

人身傷害保険は、損害賠償を請求する相手方がいない場合でも利用できます。つまり、自損事故・単独事故の場合でも利用可能です。

自損事故・単独事故の場合には、自賠責保険への請求もできないため、人身傷害保険を利用しなければ自身の損害を補填することはできません。

まとめ

人身傷害保険は、相手方が無保険の場合や自分自身にも過失がある場合などに有効活用できる保険です。利用しても自動車保険の等級に影響がないため、利用できる場面では積極的に利用することをおすすめします。

ただし、人身傷害保険で受け取れる保険金の金額は、利用のタイミングや加害者側との交渉の状況によって変動することがあります

ご自身の事故で人身傷害保険を使うべきかどうか、また、より多くの保険金を受け取るためにはどのように手続きを進めればよいか迷っている方は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。

【解決事例】約1,500万円以上の賠償金増額

【解決事例】約1,500万円以上の賠償金増額

【解決事例】約1,500万円以上の賠償金増額

ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。

本事例の概要
事故内容バイク事故
後遺障害等級併合11級
傷病名足関節の骨折
下腿皮膚剥脱創
鎖骨遠位端骨折
後遺障害肩関節の可動域制限
足関節の可動域制限

当事務所の交通事故弁護における特徴の一つに、「事故直後からの弁護」があります。事故直後から弁護士が関与することで、後遺障害に関しては、症状の経過を把握しながら必要な検査を提案できる点や、残存する症状と後遺障害等級の認定内容との間に齟齬がないかを早期に確認できる点が大きなメリットとなります。

ご依頼者は二輪車に乗っていた際に交通事故に遭い、足関節の骨折、下腿の皮膚剥脱創(テグロービング)、鎖骨遠位端骨折などの重傷を負われました。

二輪車での事故は、衝撃が大きくなる傾向があるため、ケガの程度も重くなりやすいのが特徴です。また、走行中の事故では、二輪車側にも過失が問われるケースが少なくありません。

なお、二輪車利用者にとって「人身傷害保険」が非常に重要な保険であることについては、以下の記事をぜひご覧ください。

弁護士の対応

ご依頼者は、治療とリハビリにしっかりと取り組まれた結果、骨折は癒合し、皮膚剥脱創についても皮膚移植が施され、ある程度の回復が見られました。

しかし、症状固定の時点では、肩関節および足関節に可動域制限が残っており、いずれも健側の4分の3以下の可動域に制限されていたため、後遺障害等級12級が認定される可能性がありました。

そこで自賠責保険に後遺障害申請を行ったところ、残念ながら肩関節と足関節の可動域制限については「非該当」と判断され、皮膚移植痕についてのみ、醜状痕として12級が認定される結果となりました。

この判断に対し、当事務所では医学的にも、また賠償交渉の観点からも重大な問題があると考えました。医学的には、事故により可動域制限が生じている以上、その原因を明確に立証する必要があります。

また、賠償の面では、醜状痕による12級と、関節可動域制限による12級では、認められる賠償金に大きな差が生じるため、可動域制限による等級認定をあきらめることはできませんでした。

そこで、当事務所では顧問医師と協議し、肩関節および足関節の可動域制限が生じた医学的根拠について詳しく検討しました。レントゲン画像から読み取れる所見や、治療経過の中で足関節の拘縮(関節が硬くなること)の発生機序を丁寧に整理し、自賠責保険に対して異議申立てを行いました。

その結果、肩関節・足関節いずれの可動域制限も「他覚的所見に基づくもの」として認められ、それぞれ後遺障害等級12級が新たに認定されました。

他覚的所見に基づくものとは

医師が診察や検査を通して客観的に確認できる症状のこと

これにより、等級が併合され最終的に「後遺障害等級11級」が認定され、当初の醜状痕12級だけのケースと比べて、約1,500万円以上の賠償金増額という大きな成果を得ることができました。

今回の事例は、たとえ一つ一つの後遺障害が12級であっても、認定される等級が増えることで補償額に大きな違いが生まれることを示す好例です。適切な医学的根拠をもとに粘り強く主張していくことの重要性を再確認できた事例でした。

【解決事例】信号機のない交差点での追い越し事故で過失ゼロ判決

【解決事例】信号機のない交差点での追い越し事故で過失ゼロ判決

【解決事例】信号機のない交差点での追い越し事故で過失ゼロ判決

ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。

当事務所の交通事故弁護の大きな特徴は、「事故直後からの弁護」にあります。特に後遺障害が問題となる事案においては、症状の経過を把握しながら、必要に応じて適切な検査を提案できる点、また残存する症状と後遺障害等級の認定内容との間に齟齬(食い違い)がないかを早期に確認できる点が大きなメリットです。

今回ご紹介する事案は、信号機による規制のない交差点で右折しようとした際、後方から追い越しをかけてきた相手車両と交差点内で衝突した事故です。このようなケースにおいて参考になる事故態様は、別冊判例タイムズ38号の【135】および【136】です。

  • 追い越しが禁止された交差点(【135】)の場合、当方の過失は1割、相手方の過失は9割となります。
  • 追い越しが禁止されない交差点(【136】)では、最初の過失割合は当方5割、相手方5割となります。

本件事故の交差点がどちらに該当するかが問題となりました。また、過失の修正要素として、以下のような運転行為が争点となりました。

当方に有利な要素

  • 相手方車両が追い越し時に速度超過していたかどうか
  • 追越し車両として必要な運転動作を守っていたかどうか

当方に不利な要素

  • 右折時に方向指示器を点灯させていたかどうか
  • 交差点中央を右折していたかどうか
  • 右折時に徐行していたかどうか

幸い、当方車両にはドライブレコーダーが搭載されており、その映像をもとに、当方が道路交通法上求められる右折時の注意義務を遵守していたことを証明しました。また、相手方車両が追越し車両として求められる運転動作を守っていなかったことを具体的に指摘しました。

和解協議では解決できませんでしたが、証人尋問を実施し、相手方が追越し時に高速度で運転し、方向指示器を点灯させていなかったことを尋問で明らかにしました。その結果、当方過失0:相手方過失100という判決が下り、当方の運転行為が正当であることが認められました。

交通事故の弁護においては、事故直後から交通事故に詳しい弁護士に依頼することが重要です。当事務所は、年間数百件の自賠責患者を取り扱う、静岡の交通事故に強い法律事務所です。事故に遭った場合は、「事故に遭ったらすぐHOPE」(商標登録済)と覚えて、まず弁護士法人HOPE法律事務所にご相談ください。

交通事故の慰謝料とは?―種類・算定基準・3倍ルール

交通事故の慰謝料とは?―種類・算定基準・3倍ルール

交通事故の慰謝料とは?―種類・算定基準・3倍ルール

交通事故に遭ってしまった場合、治療や修理の対応に追われながら、加害者側の保険会社とのやり取りもしなければならず、大きなストレスを抱える方が少なくありません。中でも「慰謝料」に関しては、「いくらもらえるのか」「提示された金額は妥当なのか」といった不安や疑問の声が多く寄せられます。

本記事では、交通事故における慰謝料の種類や算定基準、さらには「3倍ルール」や増額が認められるケースなど、慰謝料に関する重要なポイントをわかりやすく解説します。保険会社との交渉で不利にならないために、ぜひ参考にしてください。

慰謝料の種類と基準

慰謝料の種類

交通事故における慰謝料は、被害者が受けた精神的損害に対する賠償として支払われ、主に以下の3つに分類されます。

整形外科を受診する際の重要なポイント

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料):ケガの治療のために通院・入院した期間に応じて支払われるもの
  • 後遺障害慰謝料:症状固定後に残った後遺症の程度に応じて支払われるもの
  • 死亡慰謝料:被害者が亡くなった場合に支払われるもの

慰謝料の算定基準

慰謝料の算定には、以下の3つの基準が存在します。それぞれに特徴があり、状況によって受け取れる金額が大きく変わるため、注意が必要です。

3つの算定基準
基準特徴
自賠責基準最低限の補償を目的とした国の基準
任意保険基準自賠責よりは高いが明確な算定根拠がない
裁判(弁護士)基準「赤い本」に基づく最も高額な基準

それぞれの算定基準の違いを入院慰謝料を参考に解説します。

自賠責基準

自賠責基準は、国が定めた強制保険に基づく最低限の補償を目的とした基準であり、交通事故の被害者に対して一定の損害賠償を行うために用いられます。入通院慰謝料の計算は、1日あたり4,300円×2×実通院日数(但し≦通院期間)で算定されますが、その上限は通院期間内に限られる点に注意が必要です。たとえば、通院回数が非常に多くても、通院期間を超えて日数をカウントすることはできません。

また、自賠責基準では、傷害に対する補償全体に120万円という限度額が設けられており、この枠には治療費や休業損害、文書料などすべての損害が含まれます。そのため、通院回数が多かったり、治療費や休業損害が高額になった場合には、慰謝料に充てられる金額が相対的に少なくなることがあります。

ただし、自賠責基準の大きな特徴として、被害者に一定の過失があったとしても慰謝料などの算定に影響せず、過失割合による減額が行われない点が挙げられます。

「自賠責基準よりも、弁護士さんが使う基準の方が高いんでしょ?」とお話いただくこともありますが、被害者に過失がある場合には自賠責基準で慰謝料を算定する方が裁判基準よりも高くなる可能性もあります。

任意保険基準

任意保険基準は、各保険会社が独自に設定している社内基準に基づいて慰謝料の金額を算定するものであり、明確な法的根拠や統一的な計算方式が存在するわけではありません。

提示される金額は、一般的に自賠責基準よりは高額であるものの、裁判(弁護士)基準よりは低額であることが多く、その中間程度に位置づけられます。しかしながら、任意保険基準はあくまでも保険会社側が提示する交渉の出発点にすぎず、被害者側としてはそれを鵜呑みにせず、交渉や見直しの余地があるものとして慎重に対応すべきです。

裁判(弁護士)基準

裁判(弁護士)基準は、交通事故に関する裁判実務で広く使用されている「赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)」に基づいた基準です。一般的には、自賠責基準や任意保険基準と比べて最も高額な慰謝料が算出される傾向にありますが、この基準はあくまで目安に過ぎず、実際の慰謝料額はケガの部位や程度、通院頻度などの事情によって増減します。

また、裁判基準では、被害者側に過失がある場合にはその割合に応じて慰謝料が減額されるため、過失相殺による実際の受取額が大きく下がる可能性もあります。このように、裁判基準は高額を見込める反面、過失の影響を大きく受ける点に留意が必要です。

入通院慰謝料と「3倍ルール」

「3倍ルール」とは、いわゆる「赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)」に記載されている、むち打ち症のように他覚的所見がないケースに関する慰謝料算定の特例を指します。

赤い本では、「むち打ち症で他覚所見がない場合には、入通院期間を基準に別表Ⅱを使用する。ただし、通院が長期にわたる場合には、症状や治療内容、通院頻度を考慮して、実通院日数の3倍程度を通院期間の目安とすることがある」とされています。この「実通院日数の3倍を目安とする」という部分が、通称「3倍ルール」と呼ばれているのです。

わかりやすく言えば、軽微な事故でむち打ち症と診断され、例えば180日間の治療期間中に月に1回しか通院せず、合計6回しか受診していないような場合、たとえ通院期間が180日であっても、慰謝料はその全期間ではなく、実通院日数6日×3=18日分として計算される、という扱いになります。

つまり、通院期間の長さだけを根拠に高額な慰謝料を請求するのを防ぐために設けられた、裁判基準における例外的なルールです。

※保険会社の不当な慰謝料減額事例はタップで開きます

保険会社の不当な慰謝料減額

しかし、相手方の保険会社は、本来限定的に使われるべき「3倍ルール」を過度に適用し、慰謝料の大幅な減額を主張してくることがあります。

たとえば、赤信号で突然追突され、車が廃車になるほどの損傷を受けたAさんがいたとします。Aさんは平日9時から18時までのフルタイム勤務で、整形外科の診療時間に頻繁に通院することが難しい状況でした。それでも職場の上司にお願いし、月に2〜3回有給を取得して早退し、痛み止めや湿布、電気治療などを受けながら180日間通院を続けていました。

ところが、このケースでの実際の通院日数は12〜18日程度だったため、保険会社は「3倍ルール」を機械的に適用し、12日×3=36日〜18日×3=54日と換算。慰謝料を20万円〜35万円程度にとどめるよう主張してきたのです。

しかし、このような扱いは不当といえます。仮にAさんの同乗者Bさんが、Aさんと同じ事故に遭い、同程度の症状だったとします。Bさんは夜勤勤務だったため整形外科に週3回ほど通院でき、Aさんと同じ内容の治療を受けた結果、180日間で約77日の通院実績がありました。この場合、Bさんは通院期間180日として計算され、慰謝料は約89万円となります。

つまり、AさんとBさんは事故の内容もけがの程度も同じであるにもかかわらず、「通院できたかどうか」という事情だけで慰謝料の金額に大きな差が生じてしまうのです。

このようなケースでは、保険会社の主張する3倍ルールの適用が妥当かどうかを丁寧に検討する必要があります。基本的には、裁判基準が「通院期間」をもとに慰謝料を画一的に算定する方式を採っていることを前提に、例外である3倍ルールの適用が相当かどうか、事故の態様、傷害の程度、治療内容などを踏まえて、具体的な資料に基づいて保険会社と交渉していくことが重要です。

慰謝料の増額が認められる場合

裁判基準では、ある程度類型化された精神的損害が前提ですが、以下のような「非類型的」または「通常を超える」事情がある場合には、慰謝料が増額される可能性があります。

慰謝料増額が認められやすい例

  • 悪質な事故態様:飲酒運転や赤信号無視など
  • 事故後の極めて悪質な行動:ひき逃げや罪証隠滅など
  • 胎児の死産
  • 重度の後遺障害
  • 治療が極めて過酷だった場合
  • スポーツ生命の断絶など特別な事情

こんなことを書きますと、「先生、轢き逃げは慰謝料増額理由って書いてありますよ」と怒られそうですが、轢き逃げが問題となった事案は、飲酒運転などで重大事故を起こして救護義務を果たさず、その後の刑事事件などでも犯行を否認したりなど轢き逃げそのものだけを理由とした増額というものは多くは見かけません。

事故を起こした当初、驚愕により現場から立ち去ってしまい、しばらくして現場に立ち戻って事故手続きに服する場合や、後日みずからの事故を申告して自身の非を認めたような場合には、慰謝料増額に必ずしも当たるとはいえないかと思います。

慰謝料の増額理由は、個別性が高く、インターネット等の情報のみでは正しい判断はできないことから、もし苦しい状況に陥ってしまっている事故被害者様がおられましたら専門家への相談をお勧めいたします。

まとめ

交通事故の慰謝料は、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つに分類され、算定には「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判(弁護士)基準」という異なる基準が用いられます。一般的には、裁判基準が最も高額とされますが、過失相殺や「3倍ルール」の適用によって、実際に受け取れる金額が大きく変動することがあるため注意が必要です。

また、悪質な事故態様や重篤な後遺障害など、通常を超える事情があれば慰謝料が増額される可能性もありますが、その判断には高度な専門的知見が求められます。

適正な賠償を受けるためには、保険会社任せにせず、早期に交通事故に詳しい弁護士へ相談することが重要です。交通事故の被害に遭い、お困りの際は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。

交通事故発生から解決までの流れ

交通事故発生から解決までの流れ

交通事故発生から解決までの流れ

交通事故の被害に遭うと、多くの被害者は気が動転し、まず何をすればよいのか戸惑ってしまいます。

しかし、被害に遭った直後の対応が、交通事故では極めて重要です。事故発生から時間が経過するほど、事故に関する記憶は薄れ、証拠も散逸する可能性があることを自覚しておく必要があります。

この記事では、交通事故発生から解決までの流れを大まかに把握してもらうため、事故発生直後の対応、治療と症状固定、後遺障害等級認定の申請手続、後遺障害等級認定、示談交渉、ADR、調停や訴訟、損害賠償金の受け取り(解決)などについて説明します。

事故発生直後の対応

事故発生直後に被害当事者が取るべき対応について、順を追って確認していきましょう。

車両の運転者

車両の運転者には、事故当事者として次の義務が課されています(道路交通法72条)。

①運転の停止

②負傷者の救護活動
-負傷者の傷の応急措置、119番通報(消防署への救急車の要請)、病院への搬送など

③危険防止の措置
-事故現場で、後続車を誘導するなどの措置

④警察への事故報告(110番通報)
-交通事故証明書の発行には警察への事故報告が必須

なお、運転者が死亡または負傷して報告ができない場合には、他の乗務員が④の警察への事故報告を行います。

交通事故証明書は、事故の発生を証明する最も確実かつ簡便な方法であるため、軽傷事故や物損事故であっても、被害者自身が警察に連絡する必要があります。難しい場合には、加害者に事故報告を促しましょう。

この報告を行わないと、「交通事故証明書」が警察で作成されず、後日事故発生を理由とした保険利用が出来なくなる可能性もあります。

 「きちんと賠償はするから、警察には連絡せず、示談でやらせてほしい」などと事故の相手方から言われることがありますが、上記道路交通法72条に違反(3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金)するほか、事故当初は当事者双方が正確に損害の範囲を予測できないため、後日車両損害や怪我の損害が深刻になった場合、保険利用ができなくなったりすることで解決が困難になってしまう可能性があります。

道路交通法72条の義務ではないが、やっておくべき事故後の対応も併せて紹介します。

⑤ドライブレコーダー動画の保存
-ドライブレコーダー映像があれば、多くの過失案件がスムーズに解決できます。

事故後、ドライブレコーダーをそのままにしておくと、映像の上書きによって事故映像が消えてしまうことがよくあります。事故の現場で動画を再生し、スマートフォンで撮影したり、修理業者さんでドライブレコーダー映像を保存してもらったり、自宅PCに映像を保存したり、自身の加入する保険会社の担当者に映像を送付しておくなどの保存をしておきましょう。

⑥誠意ある対応

親から「連帯保証人にはなるな、事故現場では謝るな」などと教えられた人がいるかもしれません。プロの観点からすると、事故現場で謝罪をしても過失割合に影響は与えません。

事故発生までの運転動作が過失判断の対象になるので、事故後謝罪をしたなどの事情は過失割合には直接影響を与えません。ただ、事故態様にあたる事実を認めつつ謝罪すること(赤信号になってすぐに交差点に入ってしまい…、一時停止で全く減速もせずに交差点に入ってしまい…など)は、過失に影響を与える可能性がありますのでお気を付けください。

⑦相手方及び車両に関する情報収集

  • 住所
  • 氏名
  • 生年月日
  • 連絡先
  • 車両ナンバー
  • 所有者の氏名または名称
  • 保険の種類および加入状況(任意保険・自賠責保険の有無など)

これらの情報は、後の示談交渉や保険金請求を行ううえで、重要な資料となります。事故の混乱時でも、可能な限り冷静に確認しましょう。

⑧事故状況のメモや撮影

事故現場の見取り図や事故の経過、現場の状況(信号や一時停止の有無、優先道路の有無)をメモに残します。事故車の状況、衝突箇所、破損の程度、負傷の状態などをスマートフォン等で撮影しておきます。 

事故の目撃者がいる場合は、その氏名、住所、連絡先を聞いてメモを取り、目撃者の存在を警察にも伝えます。

保険会社への連絡

被害者は、自身が加入している保険会社に事故の内容を連絡します。加害者に対しては、加入保険会社への事故連絡を促します。

実況見分の立会い

実況見分が実施される際には、被害者も原則として立ち会うように努めます。実況見分の結果が記載された実況見分調書は、示談交渉や裁判で重要な証拠として扱われます。

実況見分調書は、ドライブレコーダーには現れない運転操作情報が記載されたり、ドライブレコーダーの映像が無い場合には、過失割合を判断する重要書類となります。

医療機関の受診

交通事故後に怪我や不調を感じた場合は、医師の診断が受けられる「整形外科」を受診するようにしましょう。接骨院への通院では、医学的な診断書が発行できないため、事故との因果関係が証明しにくくなります。

整形外科を受診する際の重要なポイントは、できるだけ早く受診することです。理由は主に以下の2つです。

整形外科を受診する際の重要なポイント

  • 事故から日数が経過してから受診すると、事故と怪我との因果関係が認められにくくなる(目安:10日〜14日以内)
  • 時間が経ってから診察を受けると、軽傷と判断され、保険の補償範囲が狭くなる可能性がある

また、受診時には、自覚しているすべての不調や症状を医師に伝えましょう

交通事故による軟部組織(筋肉・靭帯など)の損傷は、時間が経つにつれて痛みが明確になることがあります。事故直後は興奮や緊張で痛みに気づきにくいこともあるため、たとえば最初に首の痛みだけで診察を受けた場合でも、後から腰の痛みを感じたときは、遅くとも2週間以内には再度診察を受ける必要があります

そうしないと、事故との関連を認めてもらえず、保険の対象外になる恐れがあります。診断書を受け取ったら保険会社の指示に従い随時連絡を取るようにしてください。

人身事故として扱う場合の注意点

人身事故として届け出るには、警察に診断書を提出する必要があります。ただし、人身事故扱いにすることで、以下のような影響が出る場合もあります。

相手だけでなく自分にも過失がある場合、双方が診断書を提出すると、免許の処分が重くなる可能性がある
※ただし、最終的な処分の有無や重さは公安委員会の判断によります。

一方で、物損事故のままでも自動車保険は利用できます。保険の適用範囲については、加入している保険会社に必ず確認しておきましょう。

治療と症状固定

被害者が交通事故で怪我を負った場合は、入院や通院などの治療を継続し、症状固定(治療を続けてもそれ以上の改善が見込めない状態)まで治療を受けます。

後遺障害等級認定の申請手続

被害者は、症状固定によって後遺障害が残ることが明らかになった時点で、後遺障害等級認定の申請手続を行うことが可能になります。

後遺障害等級認定の申請手続には、被害者が自ら自賠責保険会社に申請する「被害者請求」と、任意保険会社が被害者に代わって申請する「事前認定」の2通りがあります。

後遺障害等級認定

損害保険料率機構の自賠責損害調査事務所は、いずれの申請手続の場合も、自賠責保険会社または任意保険会社から提出された資料に基づき審査を行い、等級認定を行います。

示談交渉

示談は、事故当事者双方の話し合いにより、損害項目ごとに金額を確定し、加害者が被害者に一定額を支払うことに合意して、紛争を解決する手続きです。

示談交渉の相手方は、通常、任意保険会社の担当者か、加害者の代理人である弁護士です。ただし、加害者が保険に加入していない場合は、加害者本人が交渉の相手となります。

一方で、被害者も弁護士に依頼することが一般的です。自動車保険に弁護士費用特約が付帯していれば、弁護士に依頼しても費用倒れを防ぐことができます。

交通事故の損害賠償額の算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判(弁護士)基準があります。保険会社は、最も低額な自賠責保険基準や、次に低額な任意保険基準に基づいて損害賠償額を提示しますが、弁護士は最も高額な裁判(弁護士)基準で対応します。

人身事故の多くは、示談によって解決されています。示談では、当事者双方の過失割合に応じて損害賠償額を調整したり、賠償金を分割払いにするなど、柔軟な方法で解決することが可能です。

しかし、示談交渉がまとまらない場合には、交通事故の裁判外紛争処理機関(ADR)や、調停・訴訟といった裁判所の手続で解決することになります。 

ADR

ADRには、日弁連交通事故相談センター、交通事故紛争処理センター、そんぽADRセンター、自賠責保険・共済紛争処理機構などがあり、被害者はこれらを利用して解決を図ることが可能です。

調停や訴訟

示談やADRで解決できなかった場合は、調停や訴訟といった裁判所の手続によって解決を図ることになります。調停や訴訟は、被害者本人が起こすことも可能です。ただし、交通事故の損害賠償に関する問題は、法律知識に加えて交通事故特有の専門的な知識も必要となるため、弁護士に依頼することが望ましいといえます。

損害賠償金の受け取り(解決)

被害者は、示談の成立、ADRでの解決、調停の成立、訴訟における和解の成立や判決の確定により、一定額の損害賠償金を受け取った時点で、交通事故の解決に至ったとされます。

まとめ

交通事故に遭った場合、保険会社や加害者と示談交渉を行い、損害賠償問題の解決を図ることになりますが、これを有利に進めるには、事故発生直後から解決までの流れに沿って適切に対応する必要があります。

しかし、交通事故の解決に至るまでの過程は複雑であり、被害者がすべてを一人で対応するのは困難を伴います。事故当初から弁護士が関与して適切に対応することで、被害者の不利益を最小限に抑え、高額な損害賠償金を獲得しやすくなります。交通事故の被害に遭い、お困りの際は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。

交通事故とレッカー費用|搬送費用の賠償は認められる?

交通事故とレッカー費用|搬送費用の賠償は認められる?

交通事故とレッカー費用|搬送費用の賠償は認められる?

交通事故に遭い、車両が損傷してその場で走行できなくなることがあります。その場合、事故現場から修理工場までレッカー移動が必要となりますが、この搬送費用は通常、交通事故による損害賠償の対象となります。

ただし、一言でレッカー費用といっても様々なケースがあり、費用をめぐって争いになることも少なくありません。にもかかわらず、法律書籍ではレッカー費用について詳しく解説しているものがほとんどないのが現状です。

今回は、このレッカー費用・搬送費用について分かりやすく解説します。

レッカー費用が損害賠償の対象となるための条件

事故で車両が傷ついた場合でも、必ずしもレッカー費用が賠償対象となるわけではありません。まず重要なのはレッカーの必要性があることです。

レッカーの必要性が認められる典型例は以下のとおりです。

レッカーの必要性が認められる典型例

  • エンジンや電気系統の故障で走行不能な場合
  • 計器類は正常だが、タイヤがボディに干渉するなど安全走行ができない場合
  • ウインカーが点灯しない、ランプ類が破損して保安基準を満たさない場合

レッカー費用の「相当性」も必要

必要性を満たした上で、次に問われるのがレッカーの相当性です。

明確な法律上の定義はありませんが、実務上は一次レッカー二次レッカーで判断が分かれます。

一次レッカー

事故現場から最初にレッカーされた場合を指し、基本的には損害賠償の対象となります。

二次レッカー

一度運ばれた後、別の修理業者に運び直す場合を指します。例えば、当初ディーラーに入庫したが、後に知り合いの修理工場へ運び直すケースなどです。このような場合は、事故当事者の都合による搬送と判断され、相当因果関係がないとして賠償対象外となることが多いです。

二次レッカーでも認められるケースがある

ただし、二次レッカーでも賠償が認められる場合もあります。

二次レッカーでも賠償が認められる場合

  • 遠方の高速道路で事故に遭い、最寄りの警察署や保管所へ一時的に搬送し、その後修理工場へ移動する場合
  • 夜間レッカーで一旦保管場所へ搬送し、後日修理業者へ移動する場合

このように、一次レッカー先が十分に検討されず、実際の修理場所として適していなかった場合には、二次レッカーでも賠償対象とされる可能性があります。

レッカー費用の「距離」や「金額」も争点に

レッカー費用の相当性は、

  • 費用の妥当性
  • レッカー距離の合理性

なども検討されます。例えば、合理的理由なく遠方の修理工場に入庫する場合や、あまりに高額な搬送費用を請求する場合には、レッカーの相当性が否定される可能性があります。

総合判断が必要

このように、レッカー費用の賠償可否には明確な基準がなく、

  • 事故現場の状況
  • 搬送の経緯
  • 二次レッカーの必要性
  • 費用・距離

などを総合的に判断する必要があります。

まとめ

当事務所では、レッカー費用が問題となった場合、損害調査報告書や事故車の現状から

  • 走行上の安全性
  • 保安基準との整合性

を詳細に調査し、相手保険会社と交渉してレッカー費用を認めさせた実績が複数あります

交通事故でレッカー費用・搬送費用の賠償が気になる方は、事案ごとに請求可能性を判断し、必要資料の作成までサポートする交通事故賠償に強いHOPE法律事務所へご相談ください。静岡県全域対応でご依頼を承っています。

交通事故の代車費用|支払われる範囲・期間・保険実務の注意点

交通事故の代車費用|支払われる範囲・期間・保険実務の注意点

交通事故の代車費用|支払われる範囲・期間・保険実務の注意点

交通事故に遭った場合、事故車両の修理期間または買替期間中に代車(レンタカー)が必要となることがあります。今回は、この代車費用の賠償範囲や実務上の注意点について解説します。

代車費用とは

代車費用(レンタカー費用)は、交通事故で自家用車を使用できない間、被害者が日常生活や仕事を維持するために必要な費用として請求できる損害項目です。

法理論的な結論

代車の必要性が認められる場合、事故車両と同種・同程度の代車費用が請求可能とされています。

しかし、実際の賠償実務では必ずしもこの理論通りにはいきません。


実務上の支払拒否事例

(1)過失相殺のある事故

被害者側にも過失がある場合(例:過失割合が0:10でない事故)、代車の必要性があっても保険会社が代車費用を支払わないケースが多いです。

損害保険会社は「お互い様」という論理を採用しますが、法的には過失相殺後の支払いを拒む根拠はありません。

(2)工場代車の場合

修理工場が無償で貸し出す「工場代車」についても、保険会社は「無料貸出だから費用負担不要」と主張することがあります。

しかし、修理業者も代車保有のために整備費・保険料・税金などの維持費を負担しており、本来無償提供されるものではありません。

弁護士介入の効果

弁護士が交渉すればこれらのケースでも代車費用を認めさせる可能性があります。ただし、代車費用は修理業者の利益になるため、事故被害者が弁護士費用をかけてまで争う必要性が高くない場合もあり、実務では修理業者側が泣き寝入りして解決している状況があります。

代車が認められる期間

代車費用が認められるのは、修理期間中または買替期間中の「相当期間」に限られます。

代車使用料は、一般的に「修理期間中または買替期間中の相当な期間」が賠償の対象とされています。ただ、この「相当な期間」は、被害者の方が思っているよりも短く判断されることが多いです。

交通事故実務でよく参照される「赤い本」では、「修理期間は1週間から2週間が通例」とされています(2003年版)。しかし、実際にはこれでは短すぎると感じる人も多いでしょう。

地域によっても差はありますが、加害者側の損害保険会社が被害者に説明する目安としては、

  • 修理期間:3週間程度
  • 買替期間:全損通知後2週間程度

とされることが多い印象です。

代車期間に関する被害者の主張と法的評価

被害者からよくある主張と法的評価は以下の通りです。

よくある主張と法的評価
主張内容法的評価
私には過失がないのだから修理・納車まで代車費用を払うべき過失の有無と代車期間の相当性は別問題のため、考慮されないことが多い
相手が過失を認めず修理着手が遅れたため代車期間が長くなった賠償は金銭賠償が原則のため、代車費用の延長理由にはなりにくい
修理部品の入荷遅れや修理不具合で長引いた一部考慮されることもあるが、所有車の部品入手困難性や修理業者選定リスクは被害者側の負担とされやすい

まとめ

交通事故における代車費用は、法理論上認められる賠償項目ですが、実務では支払範囲や利用期間について厳しく判断されることが多いのが現状です。

このように、代車期間はシビアに判断されることが多いため、いざというときに備えて、

  • ご自身の自動車保険に「レンタカー特約」を付けておくこと
  • 修理期間や買替期間が長引きそうな場合には、事前に担当業者へ代車を出してもらえないか早めに相談すること

が大切です。

トラブルを回避するためにも、事故後は早期に専門家へ相談し、自身の保険内容も再確認しておきましょう。

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットは?

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットは?

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットは?

交通事故の被害に遭った際、相手方保険会社との示談交渉は、多くの方にとって大きなストレスとなるものです。示談金の金額や過失割合後遺障害の等級など、交渉の結果によっては、受け取れる賠償額に大きな差が生じることも少なくありません。

こうした重要な交渉を有利に進めるためには、専門的な知識と交渉力を持つ弁護士のサポートが欠かせません。実際に弁護士へ依頼することで、慰謝料の増額や適正な後遺障害等級の認定保険会社への対応負担の軽減など、さまざまなメリットが得られます。

この記事では、交通事故の示談交渉を弁護士に依頼することによって得られる具体的なメリットについて、わかりやすく紹介します。

事故手続きに対する情報格差

交通事故の手続きは、通常、加害者側の任意保険会社の担当者によって進められます。

保険会社の担当者は、日々多数の案件をこなすプロですが、被害者は多くの場合、人生で初めての事故です。知識や経験に大きな差があるため、交渉がうまく進んでいるのかどうかさえ分からないケースも珍しくありません。これは、初心者がプロと将棋やチェスで勝負するようなものです。

保険担当者が親切だった」という声もありますが、担当者は保険金の支払いを抑える立場にある社員であり、被害者の利益を優先してくれるわけではありません。そのため、不利な条件に気づかないまま示談が成立してしまうこともあります。

また、被害者が最も困るのは、事故直後からです。

「入庫先?全損?代車期間?買替?車両保険?物損と人損?整形外科と接骨院?保険の打切り?後遺障害?」など、慣れない対応を迫られますが、相手保険会社がすべて親切に教えてくれるわけではなく、自分の保険会社も対応には限界があります。特に、過失がゼロのもらい事故では、「保険を使わないなら対応できない」と断られることもあります。

相手が保険会社というプロを使う以上、こちらも交通事故に強い弁護士を早期に代理人として立てるべきです。ただし、交通事故対応に消極的な弁護士もいるため、初動から熱意を持って対応してくれる弁護士を選ぶことが重要です。事故発生直後からのサポートこそが、適切な後遺障害認定や賠償に直結するのです。

適正な過失割合に修正できる

過失割合は、交通事故に対する責任の割合を比率で表したものですが、被害者にも不注意(過失)がある場合には、その賠償額は過失割合に応じて減額されます。

被害者の過失割合が大きくなるほど、賠償額の減額幅も大きくなりますので、過失割合は被害者が受け取れる金額に大きな影響を与えるのです。

このように、交通事故では、いかにして適正な過失割合で示談できるかが重要になります。

過失割合の判断は、実務上、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)」(別冊判例タイムズ38号)の過失割合認定基準表(以下「基準表」といいます)を参考にしています。しかし保険会社は、基準表に準拠するのではなく、自らの判断に基づき過失割合を提示してきます。 

そして、過失割合に争いが生じた場合、弁護士は、被害者から事故の状況をよく聞き取るとともに、手続を踏んで取得した刑事記録を検討します。

さらに、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像など種々の証拠を踏まえて検討します。

事故態様が「基準表」の類型にあてはまる場合にはそれに基づき、あてはまらない場合には過去の裁判例を調査し、実際の事故と類似したケースがどのように判断されているかを参考にします。

そのうえで、保険会社の提示する過失割合が適正かどうかを十分に検証し、客観的なデータに基づいた適正な過失割合を提示すれば、保険会社の担当者を説得することも可能になります。

保険会社の担当者も、調停や訴訟といった裁判になっても、客観的なデータを示されれば、弁護士の提示した過失割合と同じ判断になると理解できますので、結果的に、保険会社の提示した過失割合を適正な過失割合に修正できるのです。

過失割合が争点となった当事務所の解決事例

慰謝料を増額できる

交通事故で請求できる慰謝料には、実務上、被害者が入通院した場合の入通院慰謝料、後遺障害が残った場合の後遺障害慰謝料、死亡した場合の死亡慰謝料の3種類があります。

3つの算定基準

実務では、ある程度統一的に処理する必要から、損害賠償額の算定基準としては、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあり、慰謝料もこの基準により算定されています。そして、慰謝料は、上述した算定基準の順に従い、順次高額になります。

保険会社は、自賠責保険基準あるいは任意保険基準で慰謝料を算定して示談交渉に臨みますが、弁護士は、弁護士基準で慰謝料を算定して示談交渉に応じます。保険会社が提示する慰謝料と弁護士が提示する慰謝料では、算定の基準が異なるため、かなり顕著な差となります。

保険会社が弁護士の提示額を拒否すれば、被害者側は訴訟を起こすこともできますが、裁判所の算定基準も弁護士基準と同じなため、現状では、保険会社も弁護士基準を受け入れ増額に応じていますので、結果的に、慰謝料を増額できるのです。

具体的な例として、入通院慰謝料の場合は、次のようになります。

自賠責保険基準では、入通院慰謝料は1日あたり4,300円です。対象となる日数は、支払基準においては「傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内」とされ、実務上、治療期間と実入通院日数を2倍したものを比べて、どちらか少ない方の日数を使います。

入院1か月、通院1か月(実通院日数10日)の場合、治療期間が2か月(60日)、実入通院日数の2倍が80日ですので、60日の方を使います。4,300円×60日で、入通院慰謝料は25万8,000円になります。

ただし、自賠責保険で補償される傷害による損害は、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料およびその他の費用を含めて、被害者1人につき最大120万円までです(したがって、それを超える分については、任意保険で補填する必要があります)。

任意保険基準では、各社とも非公表ですが、自賠責保険基準を下回るものではないものの、弁護士基準よりも低額とされています。

弁護士基準では、赤い本(日弁連交通事故相談センター東京支部編「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」)を基準とした金額が参考とされます。弁護士基準での入通院慰謝料は、2か月で77万円になります。

このように、入通院慰謝料1つをとっても、大きな差が出ることがわかります。後遺障害慰謝料や死亡慰謝料についても、弁護士基準が高額になります。

慰謝料を増額となった当事務所の解決事例

適切な後遺障害等級認定を受けられる

交通事故の損害賠償額は、適切な後遺障害等級が認定されるか否かに大きく左右されます。症状固定時に後遺障害が残った場合、その症状の内容や程度が後遺障害等級表のどの等級に該当するかが問題になります。

そして、後遺障害の等級は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が、自賠責保険会社または任意保険会社から送付された必要書類に基づいて審査をし、認定を行います。

後遺障害等級認定は、書面審査が基本となっていますので、提出される書類が、後遺障害等級を正しく判断できるのに相応しく、後遺障害の等級認定に必要な資料である必要があります。その中でも、最も重視されるのが主治医作成の「後遺障害診断書」です。

後遺障害診断書に記載されていない症状は、審査の対象とされませんし、自覚症状を裏付ける他覚的所見(たとえば、MRIやレントゲンなどの画像所見、各種検査結果を踏まえた電気生理学的所見や神経学的所見)が非常に重視されます。

後遺障害診断書は、主治医が医学的観点から判断し、客観的に作成するものです。

しかし、主治医は、診察や治療を行う専門家であって、後遺障害等級認定の専門家というわけではありませんので、適切な後遺障害等級認定を受けるのに必要な情報を過不足のないように、後遺障害診断書を作成してくれるとは限りません。

しかし、弁護士は、「どのような等級が見込めるか」、「症状に見合った等級が認定されるためには後遺障害診断書にどのような記載があることが望ましいか」などが判断でき、その旨を主治医に伝えて、症状に見合った適切な後遺障害診断書を作成してもらうことができます。

また、弁護士であれば、被害者の訴えている症状を全部カバーしているか、後遺障害等級認定のために必要な検査データが落ちていないかなどにも注意を払って、等級認定に必要な内容の後遺障害診断書かどうかをチェックし、主治医作成の後遺障害診断書が、必要な情報を網羅した内容になるように、主治医に対し、アドバイスしてもらうことも期待できます。

このように、弁護士が必要資料や後遺障害診断書の内容をチェックし、万全の準備を整えたうえで、後遺障害等級認定の申請を行うことで、適切な後遺障害等級認定を受けられるのです。

後遺障害等級認定が争点となった当事務所の解決事例

示談交渉を有利に進められる

弁護士は、被害者が保険会社の担当者と接触を持っていた場合には、被害者から保険会社の対応について聞き取りをし、その問題点を把握したうえ、交通事故に関する知識と経験を踏まえ、保険会社の担当者が納得できるだけの根拠を示しながら、示談交渉にあたります。

示談交渉では、上述したように、保険会社は、自賠責保険基準あるいは任意保険基準で算定した賠償額を提示し、弁護士は弁護士基準で算定した賠償額で対応します。

弁護士は、保険会社の提示する内容を十分に検討し、賠償額や過失割合で不合理な点があればその旨を指摘し、裁判になれば弁護士基準によることになる旨を説得します。

示談の話合いが長引くような場合には、弁護士としても、裁判も辞さないという姿勢を示して保険会社の再考を促せば、裁判になれば不利な結果になると察し、保険会社も示談に応じることもあり、結局、弁護士基準を前提とした示談交渉を行うことになるため、保険会社から提示される示談金よりも高額な賠償金を得ることが期待できます。

このように、弁護士は、弁護士基準に基づき、保険会社との示談交渉を有利に進められます。

肉体的・精神的な負担から解放される

被害者自らが保険会社と示談交渉をすることになれば、保険会社の担当者は、交通事故の示談交渉に精通し、その分野のプロともいえるわけですから、被害者がその担当者と対等な立場で交渉することは大変に難しく、被害者にとって肉体的・精神的な負担は計り知れません。

他方で、被害者が弁護士に示談交渉を依頼すれば、自分自身で示談交渉に臨まなくてもよくなるため、肉体的・精神的な負担から解放され、治療や本来の仕事等に専念できるようになります。

まとめ

交通事故に遭った場合、その損害賠償額や過失割合をめぐって、保険会社との間で争いが生じやすいものです。示談交渉は、法律のプロである弁護士に依頼するのが賢明です。

示談交渉を弁護士に依頼すれば、保険会社とは、弁護士基準に基づく損害賠償額や事故態様に沿った適正な過失割合で合意され、被害者にも納得できる内容での示談が可能になります。交通事故の示談交渉でお悩みの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。

弁護士費用特約を賢く活用しよう

弁護士費用特約を賢く活用しよう

弁護士費用特約を賢く活用しよう

交通事故は、多くの方にとって初めての経験であり、事故が発生すると日常生活が一変し、大切な財産である車が損なわれることもあります。場合によっては、重大な怪我を負い、治療のために医療機関に通う必要も生じます。その間、治療の進行や賠償内容、保険に関する複雑な問題に直面することになります。

こうした難しい状況を解決し、被害者の権利を守るのが、交通事故に強い弁護士の役割です。さらに、弁護士費用特約を活用することで、費用面の不安を軽減し、専門家のサポートを受けることができます。事故後の手続きをスムーズに進めるために、弁護士費用特約を活用することは、非常に有効な手段と言えるでしょう。

この記事では、弁護士費用特約について徹底解説をします。

弁護士費用特約とは?

弁護士費用特約は、自動車保険や火災保険などに付帯する特約で、交通事故などで弁護士に依頼した際の費用を補償するものです。特約を活用することで、自己負担なく弁護士に相談でき、事故後の手続きをスムーズに進めることができます。

一般的に、弁護士費用特約の限度額は一事故一名につき300万円で、この補償額は通常の交通事故や怪我の場合、十分な額といえます。

弁護士費用特約を活用する際には、保険会社が定めた費用基準に従う必要があります。一般的な費用基準として、次のような計算が行われます。

  • 着手金:請求金額 × 5% + 9万円
  • 報酬金:獲得利益 × 10% + 18万円

この基準を基に試算してみると、相手に約1700万円の賠償金を請求した場合、弁護士報酬が300万円の補償額を超えることになります。この1700万円という請求額は、交通事故においてはかなり高額であり、目安として後遺障害等級12級以上の後遺障害が残る場合などで発生することがあります。

しかし、弁護士費用特約が複数適用できる場合があるため、補償額を超えても心配は不要です。例えば、事故に遭った車以外にも、同居親族の車の保険や自宅の火災保険に弁護士費用特約が付いている場合、その補償枠を併せて使うことができることがあります。

大きな事故に遭った場合は、どの保険に弁護士費用特約が付いているかを確認し、複数の補償枠を活用できるかをチェックしておくことをおすすめします。

弁護士費用特約の活用タイミング

弁護士費用特約を活用するタイミングに関して「まだ揉めていないから弁護士を入れない」という考え方がありますが、実際には事故手続きの初期段階から弁護士を介入させることが、揉め事を未然に防ぐために重要です。特に、保険会社の担当者が「揉めていないので特約を使わなくても良い」とアドバイスしてきても、弁護士費用特約を使って早期に弁護士を入れるべきです。

この理由は、弁護士費用特約を使っても基本的に保険料が上がらないことにあります。しかし、保険会社としては、特約を使うと自分の会社が弁護士費用を負担しなければならないため、利用を思いとどまらせようとすることがあります。しかし、事故の専門家である弁護士が介入することで、被害者が直面するデメリットはなく、むしろスムーズに問題を解決できる可能性が高いです。

また、事故後に「揉めてから」弁護士を入れるという考え方は、手続き上で見解の相違や、希望通りの進展ができない事態に陥るリスクがあります。弁護士を入れてもリカバリーが可能な場合もありますが、過ぎてしまった問題は取り戻せません。ですから、「揉めてから」ではなく、「揉め事を避けるために」早期に弁護士を介入させることが非常に重要です。

私自身も、事故を主力分野とする弁護士であり、弁護士費用特約を3つほど保険に付保しています。実際に私が事故に遭った際も、自分とは別の弁護士に早期に手続きを依頼しました。自分の巻き込まれた事故に長期間向き合うのは非常にストレスが大きく、保険料が上がる心配もないため、早期に友人の弁護士に依頼したことを非常に良かったと感じています。

弁護士費用特約の補償範囲とその他の特約

弁護士費用特約は、弁護士に支払う費用に加え、調査費用や実費(例:ドライブレコーダーの復旧費用、協力医の医学鑑定書、裁判所の印紙代など)も補償対象となります。このため、弁護を依頼した際の総費用が大きくなった場合でも、特約を活用することで負担が軽減されます。

また、交通事故に関連するその他の有用な特約として、以下のものがあります。

おすすめ特約・保険

  • レンタカー特約:事故後の代車費用が補償され、納車までの期間をカバーします
  • 対物超過特約:相手車両が全損となった場合に修理費が補償されます
  • 車両保険:自分の車両の損害を補償する保険で、過失があった場合にも役立つ
  • 全損時諸費用特約:事故で車両が全損となった場合に廃車費用や買替費用を補償されます
  • 人身傷害保険:特に二輪車に乗る方におすすめ。過失がある場合でも補償が充実します

弁護士費用の算定方法と判例

弁護士費用特約に加入していない場合、弁護士費用を自費で支払わなければなりませんが、場合によっては加害者にその費用を負担させることができることもあります。

最判昭和44年2月27日判決によると

「相手方の故意または過失によって自己の権利を侵害された者が損害賠償義務者たる相手方から容易にその履行を受け得ないため、自己の権利擁護上、訴えを提起することを余儀なくされた場合においては、一般人は弁護士に委任するにあらざれば、充分な訴訟活動をなし得ない」から、「訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に損害」については相手方に請求することを認めています。

訴訟での弁護士費用の算定方法ですが、弁護士費用を除いた総損害額を確定し、これに過失相殺・損益相殺・既払金控除をおこなった残額の1割程度を弁護士費用相当額の損害として計上することが多いと思います。

この計算基準は、主に判決を念頭においたものであり、訴訟における和解の場ではこの金額よりも部分的なものとなります。静岡地方裁判所では、和解協議において弁護士費用と不法行為時からの遅延損害金を含めて半分程度とすることが多いかと思います。簡易裁判所では、弁護士費用は数%の付加にとどまったり、弁護士費用の加算がない場合も多くあります。

弁護士費用特約が付保されていても、損害の項目自体としては弁護士費用相当額の損害が認められます。裁判例でも「仮に、原告が自動車保険契約の弁護士費用特約を利用していたとしても、弁護士費用相当額の保険金は、原告の負担した保険料の対価として支払われるものであるから、原告に弁護士費用相当額の損害が発生していないとはいえない」として弁護士費用を損害として認めています。

弁護士費用特約を利用している場合、損害項目に関して弁護士費用相当額の損害が認められます。裁判で弁護士費用相当額が認められても、弁護士費用特約から支払われた限度内で、保険会社に対して返金する必要が生じることもあります。ただし、和解の場合は調整金として支払われることが多く、返金しないこともあります。

事故の賠償金については、解決方法により手元に残る金額が異なるため、専門家に相談し、適切な対応を検討することが重要です。

まとめ

交通事故に遭った際、弁護士費用特約を活用することで、費用面の心配を軽減し、専門家のサポートを受けることができます。事故後、早期に弁護士を介入させることで、揉め事を未然に防ぎ、スムーズな手続きを進めることが可能です。

また、複数の保険に弁護士費用特約が付帯していれば、補償額を超えても安心です。事故後は、どの保険に特約が付いているかを確認し、最大限に活用することをお勧めします。

当事務所は、年間数百件の自賠責案件を取り扱う、静岡の交通事故に強い法律事務所です。「事故に遭ったらすぐHOPE」(商標登録済)と覚えていただき、万が一の際は、ぜひ弁護士法人HOPE法律事務所にご相談ください。

【解決事例】追突事故による右肩亜脱臼-非該当から後遺障害等級12級

【解決事例】追突事故による右肩亜脱臼-非該当から後遺障害等級12級

【解決事例】追突事故による右肩亜脱臼、非該当から後遺障害等級12級

ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。

本事例の概要
事故内容追突事故
後遺障害等級12級5号
傷病名右肩関節の亜脱臼
後遺障害鎖骨の変形障害

当事務所の交通事故弁護の大きな特徴は、「事故直後からの弁護」にあります。特に後遺障害が問題となる事案においては、症状の経過を把握しながら、必要に応じて適切な検査を提案できる点、また残存する症状と後遺障害等級の認定内容との間に齟齬(食い違い)がないかを早期に確認できる点が大きなメリットです。

今回ご紹介するのは、幹線道路を直進中に追突事故に遭われた依頼者の事例です。依頼者は、前方の信号が赤に変わったため停車したところ、後続車に追突され、右肩関節の亜脱臼という傷害を負いました。

弁護士の対応

事故後、継続して治療を受けたものの、右肩の痛みや痺れが改善せず、後遺障害の申請を行いました。しかし、画像上は肩鎖関節の脱臼が確認できないとして、非該当の通知を受けました。

依頼者の訴える日常生活の不自由さは非常に深刻であり、治療経過を踏まえると、肩鎖関節の受傷および他覚的所見が存在すると考えられました。

ただし、依頼者は弁護士費用特約に加入していなかったため、医学的資料の収集や分析にかかる費用が自己負担となるという保険上の制約がありました。

そこで当事務所では、顧問医師と相談のうえ、医学的意見書ではなく簡易な医証として「画像鑑定報告書」を作成し、異議申立ての資料とする方針を取りました。

また、非該当と判断された要因として、以下の点が挙げられると分析しました。

非該当と判断された要因

  • 肩鎖関節の受傷を裏付ける医学的証拠が不足
  • 車内事故のため肩鎖関節の脱臼の機序が不明なこと
  • 事故の規模が不明瞭なこと
  • 事故による症状の推移が初回申請では十分に伝わっていないこと

これらの点を補うため、必要な補足説明と資料を収集・提出しました。

異議申立てでは、以下のような点を丁寧に主張しました。

異議申し立てでのポイント

  • 乗車時の姿勢やシートベルトの位置と受傷箇所との整合性
  • 車両の損傷状況からみる衝突規模の重大性
  • 臨床経過上残存症状に整合性があること
  • 症状固定後も一貫した症状を訴えていること

これらの主張が認められ、後遺障害等級12級5号(鎖骨の変形障害)が認定されました。

鎖骨の変形障害は、労働能力喪失率が争点となりやすい障害です。そのため、任意保険会社との示談交渉も慎重に進めました。

最終的に、

  • 労働能力喪失率14%
  • 労働能力喪失期間は就労可能年数

として、非常に良い内容での示談を成立させることができました

もし訴訟へ移行した場合、喪失率や喪失期間を強く争われ、弁護士費用や遅延損害金の増加を加味しても、最終的な回収額が示談時より減少するリスクが高い事案でした。

本件の成功要因とまとめ

本件の成功要因は、事故態様や症状経過、症状固定後の症状残存の丁寧な説明による後遺障害獲得と、訴訟になった際のリスクを考慮して示談交渉において依頼者に有利な解決ラインを確保できたことにあると思います。

交通事故に遭われた際は、できるだけ早い段階から、交通事故に詳しい弁護士へ相談することが重要です。

当事務所は、年間数百件の自賠責申請を手がける、静岡の交通事故に強い弁護士事務所です。

事故に遭ったらすぐHOPE」(商標登録済)と覚えていただき、ぜひ弁護士法人HOPE法律事務所にご相談ください。