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後遺障害等級3級とは?認定基準や賠償額の基準などを解説

後遺障害等級3級とは?認定基準や賠償額の基準などを解説

後遺障害等級3級とは?認定基準や賠償額の基準などを解説

交通事故によって生じる後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級に分類されており、数字が小さいほど障害の程度が重くなります。その中でも後遺障害等級3級は、重度の障害とされ、5つの症状が認定対象となります。

3級の“終身労務に服することができない状態”とはどういう意味?」「逸失利益を請求するにはどうすればいいの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級3級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害の認定申請を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

後遺障害等級3級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、前述のとおり1級から14級に分かれており、数字が大きくなるほど障害の程度は軽くなります。3級では、以下の5つの症状が認定対象とされています。

後遺障害等級3級に該当する主な症状

  • 1.一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  • 2.咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  • 3.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  • 4.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  • 5.両手の手指の全部を失つたもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの

後遺障害認定における「失明」とは、次のいずれかの状態のことです。

失明の状態

  • 眼球を摘出した状態
  • 光の明暗がわからない、もしくはかろうじてわかる程度の状態

片目が失明状態となり、もう片方の目についてもメガネやコンタクトレンズを装着した矯正視力が0.06以下になってしまった場合が3級1号の認定対象です。

視力に関する後遺障害の等級は、「失明か視力低下か」「片目か両目か」といった条件によって異なります。

たとえば、片目が失明し、もう一方の目の視力が0.02以下の場合は、より重い等級である2級1号の認定対象となります。さらに、両目とも失明している場合には、最も重い1級1号として認定されます。

2.咀嚼又は言語の機能を廃したもの

咀嚼機能を廃した状態とは、スープ状の流動食以外は食べられない状態のことです。

言語機能を廃した状態とは、口唇音(ま行、ぱ行など)、歯舌音(な行、さ行など)、口蓋音(か行、や行など)、喉頭音(は行)の4種の子音のうち3種類以上の発音が十分にできない状態のことです。

咀嚼機能と言語機能の両方を廃した状態になった場合には、より重い1級2号が認定されます。

3.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

神経系統の機能または精神の障害は、主に高次脳機能障害脳挫傷や脊髄損傷による身体的機能障害に分けられます。

高次脳機能障害とは、次のいずれかの能力が相当程度失われた状態のことです。

高次脳機能に関わる主要な能力

  • 意思疎通能力
  • 問題解決能力
  • 作業負荷に対する持続力・持久力
  • 社会行動能力

これらの能力のうち1つ以上が完全に失われた状態もしくは2つ以上の大部分が失われた状態になると3級3号の認定対象となるのです。

3級3号に該当する身体的機能障害の例としては、軽度の四肢麻痺や中等度の両足の麻痺により、日常生活は送れても就労が困難な状態などが挙げられます。

高次脳機能障害や身体的機能障害による労働の制限については、その重さに応じて等級が分かれます。その中でも3級3号は、これらの障害に関する等級の中で最も重いものとされています。

4.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

胸腹部臓器の機能障害とは、呼吸器・循環器・消化器・泌尿器の機能障害のことです。このうち3級4号は、重度の呼吸器障害が対象となります。具体的には、血中酸素不足による呼吸困難により、身の回りの行動はできても働くことはできない状態の場合に3級4号が認定されます。

5.両手の手指の全部を失つたもの

指を失った」とは、親指については第一関節から先、それ以外の指については第二関節より先の骨から切断された状態のことを指します。

3級5号は、両手のすべての指を失った場合に認定される等級です。

指を失った」場合の後遺障害は、失われた指の種類や本数によって細かく等級が分けられています。このうち3級5号は、最も重い等級となっています。

後遺障害等級3級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級3級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料の算定には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級3級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:861万円(要介護状態となり被扶養者がいるときは1005万円)
  • 弁護士基準:1990万円

このように、自賠責基準と弁護士基準とでは慰謝料の金額に倍以上の差があります

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は2,219万円です。弁護士基準では、慰謝料の1,990万円だけでなく、逸失利益も請求できます。後遺障害等級3級の逸失利益は、数千万円になることもあるため、弁護士基準と自賠責基準とでは大きな開きがあります。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害によって将来得られるはずだった利益が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率とは、後遺障害によってどの程度労働能力が失われたかを示す割合であり、等級ごとに目安となる数値が定められています。後遺障害等級3級以上は、原則として労務に全く従事できない状態とされるため、労働能力喪失率は100%と評価されます。

ただし、等級ごとに定められた労働能力喪失率はあくまで目安にすぎません。後遺障害等級3級であっても、症状の内容によっては100%の喪失率が認められないこともあります

たとえば、言語機能を廃した場合でも、言葉を必要としない仕事に従事できるようなケースでは、わずかではあるが労働能力が残っていると評価され、数パーセント程度の喪失率とされることもあります。

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数を基準に計算します。なお、高齢者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間が適用されます。

まとめ

後遺障害等級3級に該当する場合、認定基準の理解や賠償金の算定には専門的な知識が必要となります。適正な慰謝料や逸失利益を受け取るためには、早い段階で専門家のサポートを受けることが重要です。

当事務所では、交通事故に精通した弁護士が後遺障害の認定手続きから賠償請求まで丁寧にサポートいたします。後遺障害に関するお悩みをお持ちの方は、どうぞお気軽にごHOPE法律事務所にご相談ください。

後遺障害等級4級とは?認定対象となる症状や基準による賠償金などを解説

後遺障害等級4級とは?認定対象となる症状や基準による賠償金などを解説

後遺障害等級4級とは?認定対象となる症状や基準による賠償金などを解説

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までに分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。なかでも4級は重度の後遺障害に該当し、7種類の症状が認定対象とされています。

視力障害はどの等級に認定されるの?」「後遺障害4級の賠償金の相場はいくらなの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級4級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級4級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。4級では、7種類の症状が認定対象とされています。

具体的な認定対象は、以下のとおりです。

後遺障害等級4級に該当する主な症状

  • 1.両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  • 2.咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  • 3.両耳の聴力を全く失つたもの
  • 4.一上肢をひじ関節以上で失つたもの
  • 5.一下肢をひざ関節以上で失つたもの
  • 6.両手の手指の全部の用を廃したもの
  • 7.両足をリスフラン関節以上で失つたもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの

両眼の視力が0.06以下になったもの」とは、両眼での矯正視力が0.06以下になった状態のことを指します。矯正視力とはメガネやコンタクトレンズを装着した視力のことです。矯正用のメガネやコンタクトレンズを装着しても、視力を0.06以上に上げることができない場合、4級1号が認定されます。

視力低下の後遺障害認定を受けるには、事故前と比較して視力が低下したことを証明しなくてはなりません。健康診断や眼科での視力検査結果がない場合、視力低下による後遺障害認定を受けるのは難しくなります。

なお、両目が失明してしまった場合には、最も重い後遺障害等級1級1号が認定されます。

2.咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

咀嚼機能の著しい障害とは、おかゆや柔らかい麺類程度のものしか咀嚼(噛み砕く)できない状態のことを指します。

言語機能の著しい障害とは、口唇音(ま行、ぱ行など)、歯舌音(な行、さ行など)、口蓋音(か行、や行など)、喉頭音(は行)の4種の子音のうち2種類以上の発音が十分にできない状態のことです。また、4種の子音のうち3種類以上の発音ができても、音をつなげることができず、言葉による意思疎通ができない状態になった場合には、言語機能の著しい障害と認定されます。

咀嚼機能と言語機能の両方に著しい障害が残った場合、4級2号が認定されます。咀嚼機能と言語機能のいずれかに著しい障害が残った場合については、6級2号の認定対象です。

3.両耳の聴力を全く失つたもの

聴力を失った状態とは、平均純音聴力レベルが90dB以上の状態を指します。平均純音聴力レベルとは、聞き取れる音の大きさのレベルのことです。平均純音聴力レベルが90dB以上になると、90dB以上の大きな音でなければ聴き取ることができない状態となり、日常生活ではほとんど音が聞こえなくなります。そのため、聴力を失ったと判断されます。

また、後遺障害等級3級3号では、平均純音聴力レベルが80dB以上で最高明瞭度が30%以下の状態についても、聴力を失った状態としています。最高明瞭度が30%以下の状態とは、聞き取れる音の内容が30%以下の状態のことです。

4.一上肢をひじ関節以上で失つたもの

4級4号は、片方の上肢がひじ関節以上で切断された場合に認定される等級です。片方の上肢がひじ関節より手前で切断された場合には、5級4号の認定対象となります。

5.一下肢をひざ関節以上で失つたもの

4級5号は、片方の下肢がひざ関節以上で切断された場合に認定される等級です。片方の下肢がひざ関節より手前で切断された場合には、5級5号の認定対象となります。

6.両手の手指の全部の用を廃したもの

指の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態のことです。

指の用を廃した状態

  • 関節が強直して全く動かせない状態となった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された

両手のすべての指が「用を廃した」状態となった場合、4級6号が認定されます。片手のすべての指が「用を廃した」状態となった場合には、7級7号が認定されます。

7 両足をリスフラン関節以上で失つたもの

リスフラン関節とは、中足骨と足根骨をつなぐ関節のことを言います。足をリスフラン関節以上で失った状態とは、次のいずれかの状態のことです。

足をリスフラン関節以上で失った状態

  • 足根骨以降(リスフラン関節以降)で足が切断された状態
  • 中足骨と足根骨が切り離された状態

中足骨と足根骨が切り離された状態とは、切断されていなくても関節が離れて足として機能しない状態を指します。

片足のみがリスフラン関節以上で失われた場合には、7級8号が認定されます。

後遺障害等級4級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級4級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級4級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:737万円
  • 弁護士基準:1670万円

自賠責基準と弁護士基準とでは、後遺障害慰謝料の金額だけでも1,000万円近い差があります。

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は1,889万円です。

弁護士基準では、慰謝料と逸失利益を合わせた金額の上限は設定されていません。後遺障害等級4級の認定を受けた場合、被害者の年齢や収入状況によっては逸失利益だけで数千万円という額になることがあります。

自賠責基準では十分な賠償を受けられないため、後遺障害の認定を受けた際には弁護士への相談をおすすめします

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級4級の労働能力喪失率は92%です。後遺障害等級4級の症状には極めて重い症状が並べられており、労働能力をほとんど失ったと判断されます。

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間です。

まとめ

後遺障害等級4級に該当する症状は、日常生活や仕事に大きな支障をきたす深刻なものです。そのため、適切な後遺障害等級の認定と、妥当な賠償金の請求が非常に重要となります。

しかし、後遺障害の申請や賠償交渉は専門的な知識を要するため、ご自身だけで対応するのは困難な場合もあります。

適切な補償を受けるためには、交通事故に詳しい弁護士のサポートが有効です。お困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。

後遺障害等級5級とは?認定対象となる症状や基準による賠償金などを解説

後遺障害等級5級とは?認定対象となる症状や基準による賠償金などを解説

後遺障害等級5級とは?認定対象となる症状や基準による賠償金などを解説

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までに分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。なかでも5級は、重度の障害が残るケースに該当し、8種類の症状が認定対象とされています。

どのくらい重い症状が5級に認定されるの?」「後遺障害5級の認定を受けたけど、自賠責保険以外から賠償金を受け取れるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級5級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級5級の主な症状と認定基準

後遺障害等級5級には、具体的に以下の8つの症状が認定対象として定められています。

後遺障害等級5級に該当する主な症状

  • 1.一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
  • 2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 4.一上肢を手関節以上で失つたもの
  • 5.一下肢を足関節以上で失つたもの
  • 6.一上肢の用を全廃したもの
  • 7.一下肢の用を全廃したもの
  • 8.両足の足指の全部を失つたもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの

後遺障害認定における「失明」とは、次のいずれかの状態のことです。

失明の状態

  • 眼球を摘出した状態
  • 光の明暗がわからない、もしくはかろうじてわかる程度の状態

片目が失明状態となり、もう片方の目についてもメガネやコンタクトレンズを装着した矯正視力が0.1以下になってしまった場合、5級1号の認定対象となります。

さらに、失明していない目の視力が、0.06以下の場合には3級1号、0.02以下の場合には2級1号とより重い等級が認定されます。

2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

神経系統の機能または精神の障害は、主に高次脳機能障害脳挫傷や脊髄損傷による身体的機能障害に分けられます。

高次脳機能障害とは、次のいずれかの能力が相当程度失われた状態のことです。

高次脳機能に関わる主要な能力

  • 意思疎通能力
  • 問題解決能力
  • 作業負荷に対する持続力・持久力
  • 社会行動能力

これらの能力のうち1つ以上の大部分が失われた状態もしくは2つ以上が半分程度失われた状態になると5級2号の認定対象となります。

5級2号の認定対象となる身体的機能障害の具体例としては、次のものが挙げられます。

5級2号の認定対象となる身体的機能障害の具体例

  • 四肢すべてに軽度の麻痺がある状態
  • 片側の腕と足に中程度の麻痺がある状態
  • 四肢のいずれかに高度の麻痺がある状態

軽度の麻痺による症状には、次のものがあります。

軽度の麻痺

  • 麻痺のある手では文字を書くのが困難
  • 足の麻痺により転倒しやすい
  • 両足の軽度の麻痺により杖や装具なしで階段を上ることができない

中程度の麻痺の具体例は、次のとおりです。

中程度の麻痺

  • 麻痺のある手では文字を書くことができない
  • 片側の足の麻痺により杖や装具なしで階段を上ることができない

高度の麻痺の症状としては、次のものが挙げられます。

高度の麻痺

  • 麻痺により手や足を全く動かすことができない
  • 足の三大関節を自力では動かすことができない

神経系統の機能または精神の障害について、より症状が重く終身労務に服することができない状態になった場合には、より重い3級3号が認定されます。

3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

胸腹部臓器の機能障害とは、呼吸器・循環器・消化器・泌尿器の機能障害のことです。5級2号と同じく、特に軽易な労務以外の労務に服することができない状態の場合に5級3号が認定されます。

症状の程度がより重くなると、3級4号の認定対象となります。

4.一上肢を手関節以上で失つたもの

手関節以上で上肢を失った状態とは、次のいずれかの状態を指します。

手関節以上で上肢を失った状態

  • 手首から先が切断された状態
  • 肘から手首の間で上肢が切断された状態

上肢の切断が肘関節以上となる場合には、より重い4級4号が認定されます。

5.一下肢を足関節以上で失つたもの

足関節以上で下肢を失った状態とは、次のいずれかの状態を指します。

足関節以上で下肢を失った状態

  • 足首から先が切断された状態
  • 膝から足首の間で下肢が切断された状態

下肢の切断が膝関節以上となる場合には、より重い4級5号が認定されます。

6.一上肢の用を全廃したもの

上肢の用を全廃したものとは、上肢の三大関節(肩・肘・手首関節)がすべて「用を廃した」状態にあることを指します。上肢の三大関節が「用を廃した状態」とは、次のいずれかの状態のことです。

関節が用を廃した状態

  • 関節が強直した状態(癒着により動かなくなった状態)を画像所見で確認できる状態
  • 関節の可動域が10分の1以下に制限された状態

三大関節の用廃が1つの関節にとどまる場合には8級6号の、2つが用廃となった場合には6級6号の認定対象となります。

7.一下肢の用を全廃したもの

下肢の用を全廃したものとは、下肢の三大関節(股関節・膝関節・足首の関節)がすべて「用を廃した」状態にあることを指します。「用を廃した」の基準は、5級6号と同様です。

三大関節の用廃が1つの関節にとどまる場合には8級7号の、2つが用廃となった場合には6級7号の認定対象となります。

8.両足の足指の全部を失つたもの

足指を失った」とは、足指が足指の根元にある中足指節関節から先で切断された状態のことを指します。5級8号は、両足の指が全て失われた場合に認定される等級です。

片足の指がすべて失われた場合には、8級10号が認定されます。

後遺障害等級5級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級5級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級5級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:618万円
  • 弁護士基準:1400万円

このように、自賠責基準と弁護士基準とでは慰謝料の金額に倍以上の差があります

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は1,574万円です。弁護士基準では慰謝料の1,400万円だけでなく、逸失利益も請求できます。後遺障害等級5級の逸失利益は、数千万円になることもあるため、弁護士基準と自賠責基準とでは大きな開きがあります。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級5級の労働能力喪失率は79%です。

なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安であるため、同じ後遺障害等級5級でも症状によって実際の数値が変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方を基準として算定されます。

まとめ

後遺障害等級5級に該当する症状は、日常生活や就労に大きな支障をきたす重度のものが多く、適正な等級認定や賠償を受けるには専門的な判断が不可欠です。

保険会社から提示された金額が妥当かどうか分からない、後遺障害認定をどう進めればよいか不安があるといった方もいらっしゃるかもしれません。後遺障害に関することでお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。

後遺障害等級6級とは?具体的な症状や基準ごとの慰謝料などを解説

後遺障害等級6級とは?具体的な症状や基準ごとの慰謝料などを解説

後遺障害等級6級とは?具体的な症状や基準ごとの慰謝料などを解説

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までに分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。なかでも6級は重い部類に含まれ、厳しい症状が対象となります。

6級に分類されるのはどのような症状なの?」「6級で保険会社が提示してきた慰謝料の金額は妥当なの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級6級の主な症状や認定基準、後遺障害慰謝料および逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級6級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。後遺障害等級6級では、8種類の症状が認定対象とされています。

後遺障害等級6級の認定対象となる症状は、次のとおりです。

後遺障害等級6級に該当する主な症状

  • 1.両眼の視力が〇・一以下になつたもの
  • 2.咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  • 3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  • 4.一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 5.脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  • 6.一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  • 7.一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  • 8.一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.両眼の視力が〇・一以下になつたもの

両眼の視力が0.1以下になったもの」とは、両眼での矯正視力が0.1以下になった状態を指します。矯正視力とはメガネやコンタクトレンズを装着した視力のことです。

後遺障害認定を受けるには視力低下の原因が交通事故でなくてはならないため、もともと視力が低下していた場合には、後遺障害認定の対象とはなりません

交通事故が原因の視力低下であることを証明するには、過去の眼科検診などで交通事故前の視力検査結果が残っていることが必要となります。

なお、両目の視力が0.06以下になった場合は、より重い後遺障害等級4級1号が認定されます。

2.咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの

咀嚼機能の著しい障害とは、おかゆや柔らかい麺類のようなものしか噛み砕けない状態を指します。

言語機能の著しい障害とは、口唇音(ま行、ぱ行など)、歯舌音(な行、さ行など)、口蓋音(か行、や行など)、喉頭音(は行)の4種の子音のうち2種類以上の発音が十分にできない状態のことです。

また、4種の子音のうち3種類以上の発音ができても、音をつなげられずに言葉での意思疎通ができない状態になったときには、言語機能の著しい障害と認定されます。

咀嚼機能と言語機能の両方に著しい障害が残る場合は、より重い4級2号が認定されます。

3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの

聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度とは、次のいずれかの状態を指します。

聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度

  • 平均純音聴力レベルが80dB以上の状態
  • 平均純音聴力レベルが50dB以上80dB未満で最高明瞭度が30%以下の状態

平均純音聴力レベルとは、どの程度まで小さな音を聞き取れるかのレベルのことです。

最高明瞭度とは、言葉をはっきり聞き取れる程度のことです。最高明瞭度30%以下とは、言葉を聴き取れる割合が3割以下の状態のことを指します。

両耳の聴力が失われてしまった場合には、より重い4級3号の認定対象となります。

4.一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

聴力を失った状態とは、平均純音聴力レベルが90dB以上の状態を指します。90dBとは、カラオケ店の店内や近くの犬の鳴き声くらいの騒音レベルです。

平均純音聴力レベルが90dB以上になると、90dB以上の音しか聴き取れない状態となり、日常生活ではほとんど音が聞こえなくなるため、聴力を失ったと判断されます

他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度とは、片方の耳の平均純音聴力レベルが70dB以上であることを意味します。

まとめると、片耳の聴力を失い、もう片方の耳の平均純音聴力レベルが70dB以上になった場合、6級4号が認定されます。

5.脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

脊柱の著しい変形とは、X線写真やMRIなどの画像によって脊椎圧迫骨折を確認できることに加えて、次のいずれかの条件を満たすもののことです。

脊柱の著しい変形が認められる条件

  • 2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じた状態
  • 1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生ずるとともに、コブ法による側彎度が50度以上となった状態

前方椎体高とは、変形した椎体の前方部分の高さのことです。前方椎体高が減少すると、脊柱が前方に丸まった状態となり後彎(こうわん・背中が丸くなった状態)が発生します。

側彎度(そくわんど)とは、前方ではなく横方向のゆがみのことです。前方椎体高が減少した椎体が1個であっても、背中が丸まった状態になることに加えて脊柱が横方向にも曲がった状態になると6級5号の認定対象となります。

脊柱の運動障害とは、頸部と胸腰部が強直した状態のことです。強直とは脊柱が癒着して動かなくなる状態を指します。6級5号が認定されるには、強直の原因が次のいずれかであることが必要です。

6級5号が認定される強直の原因

  • 頸椎と胸腰椎両方に脊椎圧迫骨折が発生したことがX線写真やMRIなどの画像で確認できる状態
  • 頸椎と胸腰椎両方に脊椎固定術が施された状態
  • 首から腰にかけての組織に明らかな器質的変化が認められる状態

脊柱の変形や運動障害の程度が6級5号より軽い場合には、11級7号8級2号の認定対象となる可能性があります。

6.一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

上肢の三大関節とは肩・肘・手首関節のことです。関節の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態を指します。

関節の用を廃した状態

  • 関節が強直した状態(癒着により動かなくなった状態)を画像所見で確認できる状態
  • 関節の可動域が10分の1以下に制限された状態
  • 人工関節や人工骨頭に置き換えた間接の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限された状態

関節の可動域は器具による測定で判断します。ただし、測定の結果で可動域制限が認められたとしても、画像所見による裏付けがなければ後遺障害の認定を受けることはできません

6級6号は、上肢の三大関節のうち2つが用を廃した状態となった場合に認定される等級です。用を廃した関節が1つの場合には、8級6号が認定されます。

7.一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

下肢の三大関節とは、股関節・膝関節・足首の関節のことです。6級6号と同じ基準で関節が「用を廃した」状態になった場合、6級7号の認定対象となります。

なお、下肢の三大関節の1つが用を廃した状態になった場合は、8級7号の認定対象となります。

8.一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの

指を失った」とは、親指については第一関節から先、それ以外の指については第二関節より先の骨から切断された状態のことを指します。

6級8号は、次のいずれかの状態になった場合に認定される等級です。

6級8号に該当する具体的なケース

  • 親指と他にもう3本を失った場合
  • 5本の指すべてを失った場合

両手の指を全部失った場合には、より重い3級5号が認定されます。

後遺障害等級6級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級6級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級6級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:512万円
  • 弁護士基準:1180万円

自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。6級では、700万円ほどの差があります。

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は1,296万円です。弁護士基準では慰謝料1,180万円に加えて、被害者の年齢や収入に応じた逸失利益を請求できるため、自賠責保険と弁護士基準とでは最終的に受け取れる賠償金に数倍の差が生じることも珍しくありません。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級6級の労働能力喪失率は67%です。

なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級6級でも症状によって数値は変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のうち、長いほうの期間です。

まとめ

後遺障害等級6級に該当する症状は、日常生活や就労に大きな影響を及ぼす重大なものです。そのため、認定を受ける際には、正確な資料の準備や専門的な知識が求められます。また、保険会社から提示される慰謝料や逸失利益の金額が適正かどうかを判断するためにも、法的な視点からのアドバイスが重要です。

後遺障害の認定や示談交渉、損害賠償請求でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所までご相談ください。

後遺障害等級7級とは?認定対象となる症状や賠償金の相場などを解説

後遺障害等級7級とは?認定対象となる症状や賠償金の相場などを解説

後遺障害等級7級とは?認定対象となる症状や賠償金の相場などを解説

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までに分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。7級はそのちょうど中間に位置する等級で、比較的重い後遺障害が認定されるケースです。

この症状は7級に該当するの?」「7級に認定されたら、どのくらいの賠償金が受け取れるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級7級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級7級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。7級は、真ん中あたりに位置する等級で、13種類の症状が認定対象とされています。

後遺障害等級7級の認定対象となる症状は、次のとおりです。

後遺障害等級7級に該当する主な症状

  • 1.一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
  • 2.両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 3.一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 4.神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 5.胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 6.一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
  • 7.一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
  • 8.一足をリスフラン関節以上で失つたもの
  • 9.一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  • 10.一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  • 11.一足をリスフラン関節以上で失つたもの
  • 12.両足の足指の全部の用を廃したもの
  • 13.両側の睾丸を失つたもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの

後遺障害認定における「失明」とは、次のいずれかの状態のことです。

失明の状態

  • 眼球を摘出した状態
  • 光の明暗がわからない、もしくはかろうじてわかる程度の状態

片目が失明状態となり、もう片方の目についてもメガネやコンタクトレンズを装着した矯正視力が0.6以下になってしまった場合、7級1号が認定されます。

さらに、失明していない目の視力が、0.1以下の場合には5級1号、0.06以下の場合には3級1号、0.02以下の場合には2級1号とより重い等級の認定対象となります。

2.両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度とは、次のいずれかの状態を指します。

40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度

  • 平均純音聴力レベルが70dB以上の状態
  • 平均純音聴力レベルが50dB以上かつ最高明瞭度が50%以下の状態

平均純音聴力レベルとは、どの程度まで小さな音を聞き取れるかのレベルのことです。最高明瞭度とは、言葉をはっきり聞き取れる程度のことです。7級2号での最高明瞭度50%以下とは、40cm以上先の話し声が両耳でも半分以下しか聞き取れない状態のことを指します。

3.一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

聴力を失った状態」とは、平均純音聴力レベルが90dB以上の状態を指します。90dBとは、たとえばカラオケ店の店内や犬の鳴き声のような大きな音に相当します。このレベルになると、90dB以上の音でなければ聞き取れず、日常生活での会話や環境音がほとんど聞こえなくなるため、聴力を失ったと判断されます

また、「他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度」とは、片方の耳の平均純音聴力レベルが60dB以上であることを意味します。60dBは通常の会話音よりも大きく、たとえば掃除機の音に近いレベルです。

つまり、片耳の聴力を完全に失い、もう片方の耳の聴力も60dB以上の状態となった場合には、後遺障害等級7級3号に該当します。

4.神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

神経系統の機能または精神の障害は、大きく分けて「高次脳機能障害」と、「脳挫傷や脊髄損傷による身体的機能障害」の2つに分類されます。

高次脳機能障害とは、以下のいずれかの能力が大きく損なわれた状態を指します。

高次脳機能に関わる主要な能力

  • 意思疎通能力
  • 問題解決能力
  • 作業負荷に対する持続力・持久力
  • 社会行動能力

これらのうち、2つ以上の能力が相当程度失われている場合は、7級4号に該当します。症状が軽く失われた能力が1つの場合は、9級10号が認定される可能性があります。

7級4号の認定対象となる身体的機能障害の具体例としては、次のものが挙げられます。

7級4号に該当する具体的なケース

  • 片腕および片足に軽度の麻痺がある状態
  • 片腕または片足に中程度の麻痺がある状態

軽度の麻痺がある場合、たとえば文字を書くのが難しくなるといった症状が見られます。中程度の麻痺になると、文字を書くこと自体ができない状態になります。

軽易な労務以外の労務に服することができない」かどうかは、実際にどのような仕事に就けるかではなく、後遺障害としてどのような症状が残っているかによって判断されます。

つまり、高次脳機能障害や身体的機能障害によって、前述のような症状が認められる場合には、「軽易な労務以外の労務に服することができない」状態と判断されるのです。

なお、神経系統の機能または精神の障害については、症状の程度に応じて7級4号のほか、9級10号5級2号などが認定される場合もあります。

5.胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

胸腹部臓器の機能障害とは、呼吸器・循環器・消化器・泌尿器の機能障害のことです。7級4号と同じく、軽易な労務以外の労務に服することができない状態の場合に7級5号が認定されます。

7級5号の認定対象となる症状の具体例は、呼吸困難不整脈排泄障害などです。

症状が軽い場合は9級11号、重い場合は5級3号の認定対象となることもあります。

6.一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの

指を失った」とは、親指については第一関節から先、それ以外の指については第二関節より先の骨から切断された状態のことを指します。

7級6号は、次のいずれかの状態になった場合に認定される等級です。

7級6号に該当する具体的なケース

  • 親指と他にもう2本を失った場合
  • 親指以外の4本を失った場合

片手の指を全部失った場合には、より重い6級8号が認定されます。

7.一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの

指の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態のことです。

指の用を廃した状態

  • 関節が強直して全く動かせない状態となった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された

7級7号は、次のいずれかの場合に認定されます。

7級7号に該当する具体的なケース

  • 5本の指が全て用を廃した状態になった
  • 親指と親指以外の3本が用を廃した状態になった

片手だけでなく両手の全ての指が「用を廃した」状態になった場合には、4級6号が認定されます。

8.一足をリスフラン関節以上で失つたもの

リスフラン関節とは、中足骨と足根骨をつなぐ関節のことを言います。足をリスフラン関節以上で失った状態とは、次のいずれかの状態のことです。

足をリスフラン関節以上で失った状態

  • 足根骨以降(リスフラン関節以降)で足が切断された状態
  • 中足骨と足根骨が切り離された状態

中足骨と足根骨が切り離された状態とは、足が切断されていなくても関節が切り離されたことで足として機能しない状態のことです。

足を失うことによる後遺障害については切断された箇所によって分類されており、足関節で切断された場合には5級5号、膝関節で切断された場合には4級5号の認定対象となります。

9.一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

偽関節とは、骨折した部分が元どおりに癒着せず、癒着しなかった部分が関節のように不自然に動いてしまう状態を指します。このような状態になると、本来は動かないはずの部位がグラグラと動くようになります。

著しい運動障害」とは、偽関節が残り、常に硬性補装具で患部を固定しなければならない状態をいいます。なお、硬性補装具とは、偽関節による異常な動きを抑えるために使用する固定装具です。

一方、偽関節があっても、常に硬性補装具を必要としない場合には、後遺障害等級8級8号の認定対象となります。

10.一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

大腿骨や脛骨などの下肢に偽関節が残り、著しい運動障害が残った場合には、7級10号の認定対象となります。

7級9号と同様に、常に硬性補装具による固定が必要と言えない状態の場合には、より軽い8級9号の認定対象となります。

11.両足の足指の全部の用を廃したもの

指の「用を廃した」の意味は、手の指の7級7号と同様です。両足のすべての指が「用を廃した」状態になった場合、7級11号が認定されます。

12.外貌に著しい醜状を残すもの

外貌」とは、頭や顔、首など日常的に露出されている箇所のこと、「醜状」とは、火傷や手術痕などの傷跡のことを言います。

7級12号の認定対象となる著しい醜状とは、次のいずれかの症状のことです。

著しい醜状に該当する状態

  • 顔面部に鶏の卵以上の大きさの瘢痕または10円玉以上の大きさの組織陥没が残る状態
  • 頚部に手のひら以上の大きさ(指は含まない)の瘢痕が残る状態
  • 頭部に手のひら以上の大きさの瘢痕または頭蓋骨に手のひら以上の大きさの欠損が残る状態

外貌に残る醜状は、その部位や程度によって、12級14号9級16号など、別の等級が認定される可能性もあります。

13.両側の睾丸を失つたもの

両側の睾丸を失った状態とは、両側の睾丸を失って完全に生殖機能を喪失した状態を指します。

7級13号は、両側の睾丸を失った場合以外にも、生殖機能を喪失した場合全般に準用されます。具体的には女性が卵巣を失った場合や、睾丸が残っているものの精子を作り出せなくなった場合も、7級13号の認定対象です。

後遺障害等級7級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級7級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料の算定には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級7級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:618万円
  • 弁護士基準:1400万円

自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。7級では、600万円近い差があります。

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は1,051万円です。弁護士基準では慰謝料1,000万円に加えて、被害者の年齢や収入に応じた逸失利益を請求できるため、自賠責保険と弁護士基準とでは最終的に受け取れる賠償金に数倍の差が生じることも珍しくありません。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級7級の労働能力喪失率は、56%とされています。

なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級7級でも症状によって数値は変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間です。

まとめ

後遺障害等級7級に該当する症状は、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすことが多く、適切な補償を受けるためには、正確な等級認定と十分な立証が欠かせません。また、保険会社との交渉では、提示された賠償金が本来受け取れる額に満たないケースも少なくありません。

こうした状況を放置せず、早い段階で専門家に相談することが、適正な賠償を得るための第一歩です。

当事務所では、後遺障害等級の認定申請から示談交渉、裁判対応まで一貫してサポートしております。お困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。

後遺障害等級8級とは?具体的な症状や受け取れる賠償金などを解説

後遺障害等級8級とは?具体的な症状や受け取れる賠償金などを解説

後遺障害等級8級とは?具体的な症状や受け取れる賠償金などを解説

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までの等級に分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。後遺障害等級8級では、10種類の症状が認定対象となっています。

後遺障害8級に分類される症状にはどのようなものがあるの?」「8級に認定されるとどのくらいのお金を受け取れるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級8級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級8級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。8級は、ちょうど真ん中あたりに位置する等級です。

後遺障害等級8級の認定対象となる症状は、次のとおりです。

後遺障害等級8級に該当する主な症状

  • 1.一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  • 2.脊柱に運動障害を残すもの
  • 3.一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
  • 4.一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
  • 5.一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
  • 6.一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  • 7.一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  • 8.一上肢に偽関節を残すもの
  • 9.一下肢に偽関節を残すもの
  • 10.一足の足指の全部を失つたもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの

後遺障害認定における「失明」とは、次のいずれかの状態を指します。

失明の状態

  • 眼球を摘出した状態
  • 光の明暗がわからない、もしくはかろうじてわかる程度の状態

片目が失明もしくはメガネやコンタクトレンズを装着しての矯正視力が0.02以下になってしまった場合は、8級1号が認定されます。

もう片方の目にも障害が残った場合、さらに重い7級1号5級1号などの認定対象となります。

2.脊柱に運動障害を残すもの

脊柱の運動障害とは、次のいずれかの状態を指します。

脊柱の運動障害

  • 首・胸・腰の可動域が2分の1以下に制限された状態
  • 頭と首の間の関節に明らかな異常可動性が生じた状態(通常ではありえない方向に曲がる状態)

脊柱の運動障害は、主に脊柱圧迫骨折が原因で起こります。脊柱の変形や運動障害の程度がさらに重くなった場合は、より重い6級5号の認定対象です。

3.一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの

指を失った」とは、親指については第一関節から先、それ以外の指については第二関節より先の骨から切断された状態のことを指します。

8級3号は、次のいずれかの状態になった場合に認定される等級です。

8級3号に該当する具体的なケース

  • 親指と他にもう1本を失った場合
  • 親指以外の3本を失った場合

指を失った」後遺障害については、失った指の種類や本数で認定される等級が異なります。最も重いものでは、両手の手指を全部失った場合に3級5号が認定されます。

4.一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの

指の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態のことです。

指の用を廃した状態

  • 関節が強直して全く動かせない状態となった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された

8級4号は、次のいずれかの場合に認定されます。

8級4号に該当する具体的なケース

  • 親指と親指以外の2本が用を廃した状態になった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 親指以外の4本の指が全て用を廃した状態になった

指の「用を廃した」ことによる後遺障害は、指の種類や本数によって細かく等級が分けられています。最も重いものでは、両手の全ての指が「用を廃した」状態になった場合に4級6号が認定されます。

5.一下肢を五センチメートル以上短縮したもの

8級5号は、片方の下肢の上前腸骨棘から下腿内果下端までの長さが、もう片方と比べて5cm以上短くなった場合に認定されます。上前腸骨棘とは、骨盤の出っ張り部分、下腿内果下端とはくるぶしの内側部分のことです。上前腸骨棘から下腿内果下端までの長さとは、骨盤からくるぶしにかけての長さを指します。

短縮の程度が1cm以上3cm未満のときは、13級8号の認定対象、3cm以上5cm以下のときは、10級8号の認定対象となります。

6.一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

上肢の三大関節とは肩・肘・手首関節のことです。関節の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態を指します。

関節の用を廃した状態

  • 関節が強直した状態(癒着により動かなくなった状態)を画像所見で確認できる状態
  • 関節の可動域が10分の1以下に制限された状態
  • 人工関節や人工骨頭に置き換えた関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限された状態

関節の可動域は器具による測定で判断します。ただし、測定の結果で可動域制限が認められたとしても、画像所見による裏付けがなければ後遺障害の認定を受けることはできません

なお、上肢の三大関節の2つが用を廃した状態になった場合は、より重い6級6号の認定対象となります。

7.一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

下肢の三大関節とは、股関節・膝関節・足首の関節のことです。8級6号と同じ基準で関節が「用を廃した」状態になった場合、8級7号の認定対象となります。

なお、下肢の三大関節の2つが用を廃した状態になった場合は、より重い6級7号の認定対象となります。

8.一上肢に偽関節を残すもの

偽関節とは、骨折した部分が元どおりにくっつかず、あたかも関節のように不自然に動く状態を指します。このような状態になると、本来は動かないはずの部位がグラグラと動いてしまいます。

後遺障害等級8級8号は、上腕骨や尺骨などの上肢に偽関節が見られるものの、常に硬性補装具による固定までは必要としないケースが対象です。なお、硬性補装具とは、偽関節が動かないように患部を固定するための装具です。

一方で、偽関節の影響により常時硬性補装具が必要な状態となった場合には、より重い7級9号に認定される可能性があります。

9.一下肢に偽関節を残すもの

大腿骨や脛骨などの下肢に偽関節が残ってしまった場合は、8級9号の認定対象となります。

8級8号と同様の基準で、常に硬性補装具による固定が必要となってしまった場合には、より重い7級10号の認定対象となります。

10.一足の足指の全部を失つたもの

足指を失った」とは、足指が足指の根元にある中足指節関節から先で切断された状態のことを指します。片足の指が全て失われた場合、8級10号の認定対象となります。

後遺障害等級8級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級8級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料の算定には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準は算定方法が公表されていませんが、自賠責基準よりは高額である一方、弁護士基準よりはかなり低額になることが一般的です。

 後遺障害等級8級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のとおりです。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:331万円
  • 弁護士基準:830万円

自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。8級では、500万円近い差があります。

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含む賠償金の上限額は819万円です。弁護士基準では慰謝料830万円に加えて、被害者の年齢や収入に応じた逸失利益も請求できるため、自賠責保険と比べて最終的に受け取れる賠償金に数倍の差が生じることもあります

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益は、以下の計算式で求められます。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級8級の労働能力喪失率は、45%とされています。

なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級8級でも、症状の内容によって喪失率が変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の場合は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方が労働能力喪失期間となります。

まとめ

後遺障害等級8級に該当する場合、日常生活や仕事に大きな支障が生じるだけでなく、適切な賠償金を受け取るためには、正確な等級認定や損害額の算出が欠かせません。症状の内容や資料の整え方によって、受け取れる賠償額に大きな差が出ることもあります。

ご自身やご家族が後遺障害8級に該当する可能性がある、あるいは保険会社から提示された賠償額に納得できないと感じている場合は、早めの専門家への相談が重要です。

後遺障害の申請や賠償金の交渉でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。

後遺障害等級9級とは?症状や認定基準、慰謝料などを解説

後遺障害等級9級とは?症状や認定基準、慰謝料などを解説

後遺障害等級9級とは?症状や認定基準、慰謝料などを解説

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までに分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。なかでも9級は、他の等級と比べて最も多い17種類の症状が認定対象とされています。

後遺障害9級に分類される症状にはどのようなものがあるの?」「他の等級とはどのように区別されるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級9級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級9級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。9級は、中ほどに位置する等級です。

後遺障害等級9級の認定対象となる症状は、以下のとおりです。

後遺障害等級9級に該当する主な症状

  • 1.両眼の視力が〇・六以下になつたもの
  • 2.一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  • 3.両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  • 4.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  • 5.鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  • 6.咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  • 7.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 8.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  • 9.一耳の聴力を全く失つたもの
  • 10.神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  • 11.胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  • 12.一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
  • 13.一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
  • 14.一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
  • 15.一足の足指の全部の用を廃したもの
  • 16.外貌に相当程度の醜状を残すもの17 生殖器に著しい障害を残すもの
  • 17.生殖器に著しい障害を残すもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.両眼の視力が〇・六以下になつたもの

両眼の視力が0.6以下になったもの」とは、両眼でのメガネやコンタクトレンズを装着した矯正視力が0.6以下になった状態を指します。当然ですが、事故前から視力が0.1以下の場合には認定対象とはなりません。

交通事故が原因の視力低下を証明するには、過去の眼科検診などで交通事故前の視力検査結果が残っていることが必要となります。

なお、両目の視力が0.1以下になった場合は、より重い後遺障害等級6級1号に該当します。

2.一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの

9級1号と同様に、ここでの視力は矯正視力のことです。片目の矯正視力が0.06以下になった場合は、9級2号が認定されます。

交通事故が原因で片目を失明してしまった場合や矯正視力が0.02以下になってしまった場合は、より重い8級1号が認定されます。

3.両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

半盲症」とは、視界の右半分または左半分が見えなくなる視野障害のことをいいます。「視野狭窄」は視野が狭くなる視野障害のこと、「視野変状」は視野の一部に点状や斑模様の欠損が生じる視野障害のことです。いずれの症状についても、視野が欠けて通常時の60%以下となった場合、後遺障害等級9級3号が認定されます。

なお、視野障害が片目だけの場合については、後遺障害等級13条3号が認定されます。

4.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

まぶたの「著しい欠損」とは、目を閉じようとしても、まぶたの欠損により角膜を完全には覆いきれない状態のことを指します。

なお、まぶたの著しい欠損が片目にとどまる場合には、11級3号が認定されます。

5.鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

鼻を欠損」とは、鼻の軟骨部の全部もしくは大部分が失われた状態のことです。鼻の欠損により、呼吸や嗅覚といった鼻の機能に著しい障害が残った場合9級5号が認定されます。

なお、鼻の欠損が「外貌に著しい醜状を残すもの」に該当する場合には、より重い7級12号が認定されます。醜状が鼻だけに止まらない場合には、9級5号7級12号の併合により併合6級が認定される可能性もあるでしょう。

6.咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

後遺障害認定における咀嚼機能の障害とは、通常の固さの食材は問題なく噛めても、ピーナッツや沢庵のような固い食材をまったく噛めない、または十分に噛めない状態を指します。

この障害が認定されるためには、不正咬合顎関節の異常など、咀嚼障害の原因が医学的に確認されている必要があります。

言語機能の障害とは、口唇音(ま行やぱ行など)、歯舌音(な行、さ行など)、口蓋音(か行やや行など)、喉頭音(は行)の4種の子音のうち1種類以上の発音が十分にできない状態のことを指します。

9級6号は、咀嚼機能と言語機能の両方に障害が残った場合に認定される等級です。咀嚼機能と言語機能のどちらか一方のみに障害が残った場合は、10級3号が認定されます。

7.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度とは、次のいずれかの状態を指します。

1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度

  • 平均純音聴力レベルが60dB以上の状態
  • 平均純音聴力レベルが50dB以上かつ最高明瞭度が70%以下の状態

平均純音聴力レベルとはどの程度まで小さな音を聞き取れるかのレベルのことです。最高明瞭度とは、言葉をはっきり聞き取れる程度のことです。最高明瞭度70%以下とは、1m先の会話の7割以下しか聞き取れない状態のことを指します。

聴力障害については、聞き取れる音によって認定される後遺障害等級が区別されています。たとえば1m以上の距離では普通の話声を解することが「困難である」程度の場合、9級7号より軽い10級5号の認定対象です。

8.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの

耳に接しなければ大声を理解することができない程度とは、平均純音聴力レベルが80〜90dB未満の状態を指します。

そして、1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度とは、次のいずれかの状態のことです。

1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度

  • 平均純音聴力レベルが50dB以上の状態
  • 平均純音聴力レベルが40dB以上かつ最高明瞭度が70%以下の状態

それぞれの耳が各条件を満たす場合、9級8号が認定されます。

9.一耳の聴力を全く失つたもの

片耳の聴力が失われたときには、9級9号が認定されます。具体的な数値としては、平均純音聴力レベルが90dB以上の状態のことです。

もう一方の耳にも障害が残った場合、7級3号6級4号など、より重い等級の認定対象となります。

10.神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

9級10号の神経系統の機能または精神の障害とは、主に高次脳機能障害もしくは脳挫傷脊髄損傷による身体的機能障害に分けられます。

高次脳機能障害とは、次のいずれかの能力が相当程度失われた状態のことです。

高次脳機能に関わる主要な能力

  • 意思疎通能力
  • 問題解決能力
  • 作業負荷に対する持続力・持久力
  • 社会行動能力

これらの能力のうち1つが相当程度失われた状態になると9級10号が認定されます。さらに、これらの能力のうち2つ以上が失われた状態になると7級4号の認定対象となります。

身体的機能障害としては、腕や足に麻痺が残り、文字を書くのが困難になったり、転倒しやすくなったりする状態が挙げられるでしょう。

服することができる労務が相当な程度に制限される」とは、障害により従事できる業務内容に大きな制限が生じる状態を指します。

11.胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

胸腹部臓器の機能障害とは、呼吸器、循環器、消化器、泌尿器の機能障害を指します。9級10号と同じく、障害が原因で働くことのできる業務内容にかなりの制限がかかる状態の場合に9級11号が認定されます。

制限される程度によっては、軽い11級10号が認定されたり、より重い7級5号が認定されたりする可能性があります。

12.一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの

指を失った」とは、親指については第一関節から先、それ以外の指については第二関節より先の骨から切断された状態のことを指します。9級12号は、親指もしくは親指以外の2本が失われた場合に認定される等級です。

13.一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの

指の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態のことです。

指の用を廃した状態

  • 関節が強直して全く動かせない状態となった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された

9級13号は、次のいずれかの場合に認定されます。

9級13号に該当する具体的なケース

  • 親指と親指以外の1本が用を廃した状態になった
  • 親指以外の3本の指が用を廃した状態になった

指の「用を廃した」ことによる後遺障害は、指の種類や本数によって細かく等級が分けられています。等級を判断する際は、どの指が、何本の指が用を廃したのかという点を正確に確認するようにしてください。

14.一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの

足指を失った」とは、足指が足指の根元にある中足指節関節から先で切断された状態のことです。第一の足指とは、足の親指のことを指します。

9級14号は、足の親指とそれ以外の指1本を失った場合に認定される等級です。

15.一足の足指の全部の用を廃したもの

指の「用を廃した」の意味は、手の指の9級13号と同様です。片足のすべての指が「用を廃した」状態になった場合、9級15号が認定されます。

16.外貌に相当程度の醜状を残すもの

外貌」とは、頭や顔、首など日常的に露出されている箇所のことです。「醜状」とは、火傷や手術痕などの傷跡のことを言います。

9級16号の認定対象となる外貌の醜状とは、顔面部に残る長さ5cm以上の線状痕で、人目につく程度以上の傷跡を指します。

外貌の醜状については、程度によって12級14号7級12号など他の等級が認定される可能性があります。

17.生殖器に著しい障害を残すもの

生殖器の著しい障害とは、生殖機能は残っているものの、通常の性交では生殖できない状態のことを指します。男性の場合、陰茎の欠損や勃起障害により膣に挿入できない状態が生殖器の著しい障害に該当します。女性の場合には、膣口狭窄両側卵管閉塞が生殖器の著しい障害に該当します。

男性が両方の睾丸を失い、完全に生殖機能が失われた場合には、より重い7級13号が認定されます。

後遺障害等級9級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級9級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級9級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:249万円
  • 弁護士基準:690万円

自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。9級では、400万円以上もの差があります。

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は616万円弁護士基準の慰謝料を下回る基準となっています。弁護士基準では慰謝料690万円に加えて、被害者の方の年齢や収入に応じた逸失利益が支払われるため、慰謝料と逸失利益を合算した場合、賠償額の差が数倍に及ぶこともあります

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われる労働能力の割合を示す数値で、等級ごとに目安が定められています。後遺障害等級9級の場合、その目安は35%とされています。

なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級9級でも症状によって数値は変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間です。

まとめ

後遺障害等級9級に該当するかどうかの判断や、適切な慰謝料・逸失利益の請求には、専門的な知識と的確な対応が求められます。

適正な補償を受けるためには、後遺障害の内容や等級認定、損害額の算定について丁寧に検討することが重要です。

交通事故後の対応や後遺障害に関してお悩みの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。

後遺障害等級10級とは?症状や認定基準、慰謝料などを解説

後遺障害等級10級とは?症状や認定基準、慰謝料などを解説

後遺障害等級10級とは?症状や認定基準、慰謝料などを解説

交通事故による後遺障害は、1級から14級までに分類され、1級が最も重く、14級が最も軽い等級です。10級は、その中で下から5番目にあたる等級で、軽度とはいえ一定の後遺症が認められる水準です。

後遺障害10級にはどのような症状が分類されるの?」「10級に認定されたら慰謝料や逸失利益はどれくらいもらえるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級10級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級10級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。10級は、その中で5番目に軽い等級です。

後遺障害等級10級の認定対象となる症状は、次のとおりです。

後遺障害等級10級に該当する主な症状

  • 1.一眼の視力が〇・一以下になつたもの
  • 2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  • 3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  • 4.十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  • 5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  • 6.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  • 7.一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
  • 8.一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  • 9.一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
  • 10.一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 11.一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.一眼の視力が〇・一以下になつたもの

一眼の視力が0.1以下になったもの」とは、矯正視力が0.1以下になった状態を指します。矯正視力とは、メガネやコンタクトレンズを装着しての視力のことです。当然のことながら、事故前から視力が0.1以下の場合には認定対象とはなりません。交通事故が原因と認められるためには、事故前の視力検査の結果が残っていることが必要です。

なお、片目だけでなく両目の視力が0.1以下になった場合は、より重い後遺障害等級6級1号に該当します。

2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの

複視」とは、物が二重に見える症状を示します。複視が起こる主な原因は、目の周りの筋肉の麻痺です。交通事故が原因で目の周りの筋肉が麻痺し、正面を見た際に複視の症状が残る場合に10級2号が認定されます。

なお、正面以外を見た場合の複視については、後遺障害等級13級2号が認定されます。

3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

ここでの咀嚼機能の障害とは、普通の固さの食材は十分に咀嚼できるが、ピーナッツや沢庵などの固い食材を十分に咀嚼できない状態のことを示します。咀嚼機能の障害が認められるには、不正咬合顎関節の障害など咀嚼障害の原因が医学的見地から確認できることが必要です。

言語機能の障害とは、口唇音(ま行やぱ行など)、歯舌音(な行、さ行など)、口蓋音(か行やや行など)、喉頭音(は行)の4種の子音のうち1種類以上の発音が十分にできない状態のことを示します。

なお、咀嚼機能と言語機能の両方に障害が残った場合は、より重い9級6号が認定されます。

4.十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

歯科補綴」とは、歯が欠けたり、抜けたりした場合に人工の歯や補綴物(ほてつぶつ)で歯の機能を回復させる治療方法のことです。具体的な治療法としては、入れ歯やインプラント、金属の被せ物などが挙げられます。

歯科補綴についての後遺障害は、14本以上の10級4号が最も重い等級です。歯科補綴の本数が14本より少ない場合は、11級4号12級3号などより軽い等級の認定対象となります。

5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの

1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度とは、次のいずれかの状態を指します。

1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度

  • 平均純音聴力レベルが50dB以上の状態
  • 平均純音聴力レベルが40dB以上かつ最高明瞭度が70%以下の状態

平均純音聴力レベルとはどの程度まで小さな音を聞き取れるかのレベルのことです。最高明瞭度とは、言葉をはっきり聞き取れる程度のことです。最高明瞭度70%以下とは、1m先の会話を70%未満しか聞き取れない状態を指します。

聴力の障害については細かく等級が分けられているため、専門医による詳しい検査が必要です。両耳の聴力障害については、10級5号以外にも、11級5号9級7号7級2号などがあります。

6.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの

耳に接しなければ大声を解することができない程度とは、平均純音聴力レベルが80から90dB未満の状態を指します。80dBとは近くの救急車のサイレンやパチンコ店の店内くらいの音量です。

片耳の聴力がさらに悪化して完全に聴力が失われてしまった場合は、9級9号の認定対象となります。

7.一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの

指の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態のことです。

指の用を廃した状態

  • 関節が強直して全く動かせない状態となった
  • 末関節の長さの半分以上を失った
  • 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された

片手の親指もしくは親指以外の2本が「用を廃した」状態になったときは10級7号の認定対象となります。

手指の「用を廃した」状態については、指の種類や本数によって8級4号9級13号などの等級に分けられています。

8.一下肢を三センチメートル以上短縮したもの

10級8号は、片方の下肢の上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)から下腿内果下端までの長さが、もう片方と比べて3cm以上短くなった場合に認定されます。上前腸骨棘とは、骨盤の出っ張り部分、下腿内果下端とはくるぶしの内側部分のことです。

つまり、上前腸骨棘から下腿内果下端までの長さとは、骨盤からくるぶしにかけての長さを示します。短縮の程度が1cm以上3cm未満のときは、13級8号の認定対象となります。

9.一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの

足指を失った」とは、足指が足指の根元にある中足指節関節から先で切断された状態のことです。第一の足指とは親指を示します。

つまり、足の親指1本もしくは他の4本をすべて失ったとき10級9号の認定対象となります。失った指の種類や本数が異なる場合は、12級11号9級14号など他の等級の認定対象です。

10.一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

上肢の三大関節とは肩・肘・手首関節のことです。このうち1つの関節に「著しい」機能障害が残ったときは、10級10号の認定対象となります。関節の「著しい」機能障害として認定されるのは、次のいずれかの症状です。

関節の著しい機能障害

  • 関節の可動域が2分の1以下に制限された
  • 人工関節や人工骨頭に置き換えた関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1を超える

可動域制限が認定されるには、器具による測定に加えて、画像所見などの客観的な裏付けが必要です。つまり、自己申告だけで可動域制限が認定されることはありません。なお、機能障害の程度によっては「障害を残すもの」として12級6号が認定されたり、「用を廃したもの」として8級6号が認定されたりする可能性があります。

11.一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

下肢の三大関節とは、股関節・膝関節・足首の関節のことです。10級10号と同じく可動域が2分の1以下に制限された場合に、10級11号の認定対象となります。

なお、機能障害の程度によっては「障害を残すもの」として12級7号が認定されたり、「用を廃したもの」として8級7号が認定されたりする可能性があります。

後遺障害等級10級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級10級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級10級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:190万円
  • 弁護士基準:550万円

自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。10級では、約360万円もの差があります。

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は461万円で、弁護士基準の慰謝料を下回る基準となっています。弁護士基準では慰謝料550万円に加えて、被害者の方の年齢や収入に応じた逸失利益が支払われるため、金額の差が数倍になることもあるでしょう。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害によって将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級10級の労働能力喪失率は27%です。

なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級10級でも症状によって数値は変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間です。

まとめ

後遺障害等級10級に該当する症状は、比較的軽度とはいえ、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすこともあります。適切な等級認定を受けるためには、症状に応じた医学的証拠や事故との因果関係を正しく証明することが重要です。また、慰謝料や逸失利益についても、選択する基準によって受け取れる金額に大きな差が生じるため、慎重な対応が求められます。

後遺障害の申請や賠償金の請求でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。

むち打ちで慰謝料はいくらもらえる?

むち打ちで慰謝料はいくらもらえる?

むち打ちで慰謝料はいくらもらえる?

交通事故によってむち打ちになり、入院・通院をしたり、治療後も後遺症が残ったりする場合、どのくらいの慰謝料がもらえるのかが重要なポイントになります。

そこで以下では、むち打ちの概要慰謝料相場について説明します。

むち打ちとは

むち打ちとは、交通事故によって頭が大きく揺さぶられ、首がむちのようにしなることで、首に大きな負担がかかり、痛みやしびれなどのさまざまな症状が生じる状態を総称したものです。

ただし、「むち打ち」は正式な医学的診断名ではありません。医学的には、次のような名称で診断されます。

むち打ちに関連する医学的診断名の例

  • 頸椎捻挫
  • 頸部挫傷
  • 外傷性頸部症候群
  • 神経根症


このように、むち打ちは日常的な呼び方であり、実際の診断名は症状や検査結果に応じて使い分けられています。

むち打ちの原因

交通事故におけるむち打ちは、追突や衝突、急停車によって身体に強い衝撃が加わり、頭が前後に大きく揺さぶられ、首がむちのようにしなったことが原因で発症します。

むち打ちの症状

むち打ちは、頭が前後に大きく揺さぶられることで、首が急激に伸展(上を向く動き)や屈曲(下を向く動き)を強いられ、通常の可動域を超える動きが生じることで発症します。

このとき、首まわりの筋肉や靭帯、神経などが損傷し、次のような症状が現れることがあります。

むち打ちの症状

  • 首や肩、背中の痛み
  • 頭痛
  • 吐き気
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 手足のしびれなど

むち打ちの診断には、医師による診察のほか、レントゲン検査に加え、症状に応じてCT検査MRI検査なども用いられ、これらを総合的に判断して診断が行われます。

むち打ちの種類とその症状

むち打ちは、損傷部位や症状の違いにより、大きく5つの種類に分類されます。その内容は、下記表のとおりです。

むち打ちの種類症状
頸椎捻挫型むち打ちの多くは頸椎捻挫型に該当するといわれています。首周囲の筋肉や靭帯の損傷により首の痛みや可動域の制限をきたします。
神経根損傷型首の骨の間から出ている「神経根」と呼ばれる部分に障害が起こると、その神経が支配する領域に知覚障害や筋力低下、反射の異常、放散痛などの症状が現れます。
脊髄症状型頚椎の骨折や脱臼を合併することがあります。手の巧緻運動障害、痺れ、筋力低下、重度では下肢の麻痺、膀胱直腸障害が出現することがあります。
バレー・リュー症候群型自律神経系の交感神経に異常をきたし、頭痛や首の痛みとともに、めまい、耳鳴り、吐き気、視力低下、聴力低下などの症状が生じます。
脳脊髄液減少型脳と脊髄を覆う硬膜が破れて、そこから髄液が漏れ出すことで、頭痛やめまい、吐き気、全身倦怠感などの症状が生じます。

むち打ちが後遺障害となる要件

自動車損害賠償保障法施行令が規定する後遺障害等級表によれば、むち打ちは、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」または、14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当した場合に、当該後遺障害等級に認定されます。

そのためには、交通事故でむち打ちになり、症状固定時(治療を続けても、それ以上の症状の改善を望めない状態)に後遺症が残った場合に、「後遺障害等級認定」を申請し、「損害保険料率算出機構」の自賠責損害調査事務所の審査を経て、「後遺障害等級認定」を受けなければなりません。

むち打ちが、これら12級13号および14級9号の後遺障害となる要件は、以下のようになります。

12級13号の場合

12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」とは、実務では、通常、「他覚的所見により神経系統の障害が証明される」必要があるとされています。これは、被害者の自覚症状が他覚的所見によって医学的に証明できた場合に該当すると理解されています。

12級13号の認定を受けるためには、被害者が訴える首の痛みやしびれ、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気といった自覚症状が、レントゲン、CT、MRIなどの画像や神経学的検査によって異常所見として客観的に確認され、その異常が交通事故によるものであると認められる必要があります。

このように、自覚症状が他覚的所見によって医学的に裏付けられている場合、12級13号の後遺障害として認定される可能性があります。

なお、画像診断については、レントゲン検査、CT検査、MRI検査がありますが、MRI検査は必須とされています。そして、現実問題として、MRIの画像所見がなければ、12級13号として認定されるのは困難です。

14級9号の場合

14級9号の「局部に神経症状を残すもの」とは、実務では、通常「医学的に神経系統の障害が説明される」必要があるとしています。その趣旨は、被害者の自覚症状が、医学的に説明できた場合と理解されています。

14級9号の認定を受けるためには、首の痛みやしびれ、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などの自覚症状が、たとえ他覚的所見では確認できなくても、医師による理学的検査(触診、打診、聴診など)や、神経根症状誘発テスト、深部腱反射検査・筋萎縮検査などの神経学的所見と一致している必要があります。

加えて、治療の経過や症状の推移から、一貫した症状が見られ、将来的にも回復が困難であると判断されることが重要です。

このような場合には、被害者の自覚症状が医学的に説明可能と認められ、14級9号として後遺障害等級に該当する可能性があります。

むち打ちの慰謝料相場

慰謝料とは

交通事故により被害者が被った精神的損害(苦痛)に対する賠償金のことをいいます。
慰謝料は、本来、精神的損害の程度に応じて決まるため、被害者が被った損害の内容・程度、過失行為の内容、被害者の年齢、職業、収入、家族構成など、さまざまな事情が総合的に考慮されます。

交通事故によってむち打ちを発症し、被害者が入通院した場合には入通院慰謝料が支払われるほか、むち打ちの治療後も痛みやしびれなどの後遺症が残った場合には、入通院慰謝料とは別に、後遺障害慰謝料が支払われる場合もあります。

慰謝料の算定基準

実務では、交通事故における損害賠償を一定の基準に基づいて処理する必要があるため、慰謝料の算定には、自賠責保険基準任意保険基準裁判基準という3つの基準が用いられています。

以下では、それぞれの基準の内容について詳しく見ていきます。

自賠責保険基準

自賠責保険基準は、自動車損害賠償保障法に基づく自賠責保険の支払基準であり、加入が義務付けられている保険です。この基準は被害者に対する最低限の補償を目的としているため、慰謝料の金額も3つの基準の中で最も低くなっています

3つの算定基準

任意保険基準

任意保険基準は、各保険会社が独自に定めている基準であり、金額の水準は自賠責保険基準と弁護士基準の中間程度に位置します。一般的に弁護士基準よりも低く設定されていますが、各社の基準は公開されていないため、ここでは詳細な説明を省略します。

裁判(弁護士)基準

裁判基準は、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)」(以下「赤い本」といいます)に基づく基準で、最も高額になります

裁判基準は、保険会社との示談交渉において、弁護士が基準とする損害賠償額の目安です。訴訟に発展した場合に裁判所で認められると見込まれる金額と同等であることから、「裁判基準」とも呼ばれています。

東京地方裁判所では、一般的にこの裁判基準(いわゆる「赤い本」の基準)に沿って判断される傾向があります。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は、交通事故により怪我を負って後遺症が残り、「後遺障害等級認定」を正式に受けた場合にのみ支払われる慰謝料です。

むち打ちで認定される可能性のある後遺障害等級は、上述したように、14級9号か12級13号になります。他覚的所見がない場合は、低い等級である14級9号が、他覚的所見がある場合には、高い等級である12級13号が認定されます。

上述した基準に基づく、むち打ちの後遺障害慰謝料は以下のとおりです。

自賠責保険基準の場合

自動車損害賠償保障法施行令・別表第2によれば、後遺障害慰謝料は次のようになります。

等級14級12級
後遺障害慰謝料32万円94万円

裁判基準の場合

裁判基準(赤い本)による後遺障害慰謝料は、次のとおりです。

等級14級12級
後遺障害慰謝料110万円290万円

まとめ

交通事故でむち打ちになり、入院や通院をした場合や、症状固定後に後遺症が残った場合には、適用される基準である自賠責保険基準、任意保険基準、裁判(弁護士)基準によって、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の金額には大きな差が生じます。

慰謝料の金額や請求方法でお悩みの際は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。

ドライブレコーダー等の証拠は過失割合に関係する?

ドライブレコーダー等の証拠は過失割合に関係する?

ドライブレコーダー等の証拠は過失割合に関係する?

ドライブレコーダーの設置率は年々増加しており、最近の調査では50%を超えています。当然のことですが、ドライブレコーダーを設置する目的は、交通事故やトラブルが起こったときの状況を記録しておくことです。

それでは、実際に交通事故が起こった場合に、ドライブレコーダーは過失割合を認定する証拠となるのでしょうか?

この記事では、ドライブレコーダーが証拠になるのか過失割合にどのような影響を与えるのかドライブレコーダーを利用する際の注意点などを解説します。

そもそも交通事故における「証拠」とは?

交通事故の裁判で「証拠」として利用できるのは、証拠能力が認められるものだけです。交通事故を取り扱う民事裁判の場合、基本的に証拠能力が制限されることはありません。ただし、不正な手段で入手した証拠については証拠能力を否定されることがあります。

また、裁判における「証拠」については、証拠として利用できるか否かという証拠能力に加えて、証拠としてどの程度の価値があるかという証明力も問題となります。一般的には、虚偽や付け加えの表現が加わりやすい証言よりも、客観的な物証の方が証明力が高いです。

次の項目では、ドライブレコーダーの証拠能力と証明力について、それぞれ詳しく解説していきます。

ドライブレコーダーは「証拠」になる?

ドライブレコーダーは、交通事故の場面を客観的に記録した資料であり、不正な手段で入手した証拠とは言えないため、基本的には証拠能力が認められ、裁判の証拠として利用できます

また、ドライブレコーダーは、交通事故の状況を客観的に記録した証拠であるため、一般的には目撃者の証言よりも証明力が高い証拠として取り扱われます。ただし、ドライブレコーダーの設置状況や事故の衝撃などが原因で、事故の場面が明確に記録されていない場合、証明力は低いものとして扱われることもあるでしょう。

また、ドライブレコーダーの映像を編集すると、都合の良い形で加工したのではないか、有利な部分だけを切り取ったのではないかなどと疑われて、証明力が低い証拠となってしまう可能性もあります。そのため、ドライブレコーダーを証拠として利用する場合は、編集せず、そのまま利用すべきです

ドライブレコーダーが過失割合に与える影響

先ほども説明したとおり、ドライブレコーダーは交通事故の状況を客観的に記録した証拠です。そのため、事故の状況が鮮明に記録されたドライブレコーダーの映像は、過失割合の認定に決定的な影響を与える可能性が高いでしょう。

特に、次のようなケースでは、ドライブレコーダーが過失割合の認定における決定的な証拠となる可能性があります。

ドライブレコーダーが有効となる主なケース

  • 交通事故の状況について当事者間で争いがあるケース
  • 当事者が交通事故の状況を説明できないケース

当事者間で事故の状況について争いがない場合には、ドライブレコーダーなどの証拠がなくても過失割合の認定は可能です。

しかし、当事者の主張が食い違っていたり、目撃者の証言や車両の損傷状況だけでは判断が難しい場合も少なくありません。

そのようなとき、事故当時の状況がドライブレコーダーに記録されていれば、客観的かつ決定的な証拠として過失割合の認定に大きく役立ちます。

ひき逃げや当て逃げのケース、被害者が交通事故の状況を説明できないケースにおいても、ドライブレコーダーの映像は、事故の状況を客観的に説明する証拠となります。

ドライブレコーダーを証拠として利用する際の注意点

ドライブレコーダーは過失割合の認定における有力な証拠となり得るものです。ただし、次の2点には注意すべきでしょう。

ドライブレコーダーを証拠として利用する際の注意点

  • ドライブレコーダーの提出義務はない
  • 自分の提出した映像が不利に扱われることもある

それぞれの注意点を解説します。

ドライブレコーダーの提出義務はない

ドライブレコーダーの映像を提出するかどうかの判断は、所有者の裁量に委ねられています。相手車両にドライブレコーダーが搭載されており、自分に有利な証拠として利用できると考えられる場合でも、強制的に映像を提出させることはできません

自分の提出した映像が不利に扱われることもある

自分が提出した映像であっても、必ずしも有利に扱われるわけではありません

映像に自分にとって不利な場面が記録されていた場合、自分が提出した映像であっても不利な証拠として取り扱われます。また、不利に扱われることを恐れて自分に都合の良い形で編集した映像は、証明力が低くなってしまいます。

ドライブレコーダーの映像を提出する際は、映像をそのまま提出することを前提に、自分に有利な証拠として利用できるかを事前に検討すべきです。

まとめ

ドライブレコーダーの映像は、過失割合の認定において決定的な証拠となることがあります。今後もドライブレコーダーの設置率は増加し続けると考えられますので、現時点で設置していない方は、万が一の事故に備えて設置を検討してみてはいかがでしょうか。

また、ドライブレコーダーの映像を有利な証拠として活用するためには、交通事故に詳しい弁護士への相談がおすすめです。ドライブレコーダーの活用方法を含めた交通事故に関するご相談は、どうぞお気軽にHOPE法律事務所にお問い合わせください。