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【解決事例】治療終了後から保険会社と交渉し賠償額を増額

【解決事例】治療終了後から保険会社と交渉し賠償額を増額

【解決事例】治療終了後から保険会社と交渉し賠償額を増額

ご本人の特定を避けるために、事案については適宜抽象化を行っております。

当事務所の交通事故弁護の大きな特徴は、「事故直後からの弁護」にあります。特に後遺障害が問題となる事案においては、症状の経過を把握しながら、必要に応じて適切な検査を提案できる点、また残存する症状と後遺障害等級の認定内容との間に齟齬(食い違い)がないかを早期に確認できる点が大きなメリットです。

交通事故後、様々な事情から治療中に弁護士へ相談できず、怪我が完治しないまま治療が終了してしまうケースがあります。今回ご紹介するのは、そうした事案の一例です。

依頼者の方は、交通事故により強い追突を受け、車内での事故で外傷性硬膜下血腫を発症し、救急搬送されました。数日間入院し経過観察が行われた結果、出血の拡大がないと判断され、退院。その後、1週間後に再診し、問題がないことから「有事再診」となりました。

有事再診とは

緊急時や症状が悪化した場合に、患者に再度医療機関を受診するよう促すことです。

このケースで注意すべき点は、次の2つです。

本事案での注意すべきポイント

  • 診断の限界:外傷性硬膜下血腫が発生するほどの大きな衝撃を受けた事故でしたが、総合病院では生命にかかわる重大な傷病しか診断名に記載されないことが多い
  • 治療の偏り:本人には頚椎捻挫や腰椎捻挫、頭痛などの症状があったものの、退院後の診察は脳出血に関する経過観察のため脳神経外科のみが対応し、それ以外の痛みについての治療は行われなかった

その結果、退院後に首や腰の痛み、頭痛などが続いたにもかかわらず、処方された痛み止めを飲んで我慢してしまい、最終通院日から1カ月以上経過したことで、自賠責保険による治療費の対応が打ち切られ、保険会社からはわずか10日分程度の賠償提案しかされませんでした。

弁護士の対応

当事務所では、通院終了後にご相談を受けましたが、最終通院日からかなり日数が経っていたため、通院再開は難しいと判断しました。

しかし、通院再開が困難であることと、賠償の対象が「最終通院日まで」に限られることは別問題です。そこで、当事務所は、実際に必要とされていた治療期間をもとに、相当な範囲で賠償を認めるよう交渉しました。

その結果、当初約15万円だった賠償額は、30万円を超える金額まで引き上げられ、依頼者の方も早期解決を希望されていたため、示談が成立しました。

このように、交通事故の被害を適切に回復させるためには、事故直後から交通事故に詳しい弁護士に相談・依頼することが非常に重要です。

交通事故の弁護においては、事故直後から交通事故に詳しい弁護士に依頼することが重要です。当事務所は、年間数百件の自賠責患者を取り扱う、静岡の交通事故に強い法律事務所です。事故に遭った場合は、「事故に遭ったらすぐHOPE」(商標登録済)と覚えて、まず弁護士法人HOPE法律事務所にご相談ください。

休業損害-会社役員の場合

休業損害-会社役員の場合

休業損害-会社役員の場合

会社の役員(取締役や監査役など)が交通事故に遭って会社を休業した場合、その休業損害を請求できるかどうか、また後遺障害が残った場合に逸失利益をどう算定するかについては、非常に難しい問題があるので別の記事にて解説いたします。

この記事では、特に「会社役員の休業損害」について焦点を当て、分かりやすくご説明します。

休業損害の基礎的な解説は以下の記事をご覧ください。

「会社役員は休業損害を請求できない」って本当?

よく耳にするのが、「会社役員は休業損害を請求できない」という言葉ですが、これは正確ではありません。正しくは、「休業損害を請求できないことが多い」というのが正しい表現です。

その理由は、会社役員個人に「損害」が生じていないケースが多いためです。

会社役員と会社の関係は、従業員と異なり「雇用契約」ではなく「委任契約」です。つまり、役員には出社義務がないため、多少の休業や通院があっても、株主総会や取締役会で定められた役員報酬がそのまま支払われる限り、役員個人には休業による損害が発生しないという考え方がとられます。

請求が認められるケースもある

とはいえ、会社役員がまったく休業損害を請求できないわけではありません。

たとえば、骨折などで長期の通院が必要となり、正式な手続きを経て役員報酬が減額または不支給とされた場合には、役員個人に損害が生じたと評価され、休業損害の請求が可能になることがあります。

ただし注意すべき点として、会社の役員報酬は、たとえ株主総会などで減額の決議がなされたとしても、それだけで税務上ただちに有効になるとは限りません。事故対応のためだけに一時的に報酬を減額した場合には、その報酬減額が会社の経費として認められない可能性があるため、慎重な対応が必要です。

「会社」が請求できることも

役員が実際には業務に支障をきたしていたとしても、会社が定めどおりの報酬を支払っていた場合、役員個人に損害は発生していないため、原則として休業損害は請求できません。

しかし一方で、会社は休業中の役員に対して報酬を支払ったことによって損害を被ったと見ることもできます。このような場合には、会社が「反射損害」として、保険会社などに賠償を請求できる可能性があります。これは、休業損害を立て替えた会社が損害を被ったという構成であり、賠償者代位の考え方に近いものです。

賠償者代位とは

債権者が損害賠償として債権の目的である物や権利の価額の全部の支払いを受けた場合に、債務者が当然にその物や権利について債権者に代わる権利を取得する制度(民法422条)

このように、会社役員の休業損害は請求できる可能性があるものの、法的な関係性や手続き、必要資料(株主総会議事録など)が複雑なため、実際に請求されることは多くありません。

まとめ:会社役員の休業損害について

会社役員の休業損害は、雇用関係にある従業員とは異なり、法的にも税務上も複雑な問題が絡みます。請求の可否や方法については、事案ごとに丁寧な検討が必要です。

交通事故により業務に支障が出た場合や、役員報酬の扱いに不安がある方は、交通事故に強いHOPE法律事務所へお気軽にご相談ください。

事案ごとに請求の可否を判断し、必要に応じて資料作成のサポートも行っております。専門的な視点から、最適な対応をご提案いたします。

休業損害-主婦(家事従事者)の場合

休業損害-主婦(家事従事者)の場合

休業損害-主婦(家事従事者)の場合

交通事故の被害にあった専業主婦や兼業主婦の方でも、「主婦休損(主婦としての休業損害)」として賠償を受け取れる可能性があります。この記事では、その考え方認定のポイントについて、具体例を交えてわかりやすく解説します。

休業損害とは?

交通事故によりけがを負い、治療のために仕事を休まざるを得なくなった場合、その間の収入減を補うのが「休業損害」です。

たとえば、会社員であれば、仕事を休んだことにより給与が支払われなかった損害が該当します。

休業損害の基礎的な解説は以下の記事をご覧ください。

では、給与をもらっていない専業主婦の場合はどうでしょうか?

主婦でも休業損害が認められる?

専業主婦は収入がないため、一見すると休業損害が生じないように思えます。

しかし、交通事故実務では、専業主婦やパートタイム勤務をしている「兼業主婦」であっても、「主婦休損」として休業損害を請求できるケースが多くあります。

「主婦休損」が認められるための要件

主婦休損を請求するためには、「他人のために家事労働を行っている人(家事従事者)」であることが必要です。

例えば、以下のような場合に認定が争われることがあります:

認定が争われる事例

  • 子どもがいない内縁関係の同居者
  • 子どもがおらず、配偶者が単身赴任している
  • 配偶者の親と同居し家事を分担している
  • 女性が働きに出て、男性が家事を担当している(男性主夫)

これらのケースでは、家事分担の実態を証拠により示し、保険会社や裁判所に家事従事者であることを認めてもらう必要があります。

主婦休損の1日あたりの金額(基礎収入)

主婦休損が認められた場合、その金額は「基礎収入」をもとに計算されます。この基礎収入としては、一般的に「賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均賃金」が使われ、日額およそ1万円前後となることが多いです。

ただし、個別事情に応じて調整が入ることもあります。以下のようなケースでは、金額が変動する可能性があります

認定が争われる事例

  • 高齢夫婦の世帯
  • 他に従たる家事従事者がいる
  • 兼業主婦
  • 男性主夫

このような場合、全年齢平均の金額の何割かとされることもあり、なるべく不利益を受けないように主張を組み立てることが重要です。

争点となる「休業日数」の立証方法

主婦休損では、「何日分の休業があったか」という日数の認定が大きな争点になります。
給与所得者のように出勤記録がないため、事故によって家事がどの程度できなくなったかの証明が難しいからです。

そのため、以下のような事情をもとに、多角的に主張・立証していく必要があります。

休業日数の立証方法

  • 事故の内容(被害の大きさ)
  • 事故前にどんな家事をしていたか
  • ケガの内容や治療経過(医療記録)
  • 通院方法(徒歩か車か)
  • 家族構成(家事の必要性)

このような立証方法を基本として、現実に通院した日数を基準とする方式、症状固定までの通院期間をもとに支障の割合を遁減させていく方式などがよく採用される方法だと思います。

主婦休損の金額はケースによって大きく異なる

主婦休損は、ケースによって認定額の幅に非常にバラつきがあり、事故の規模や、相手保険会社の傾向、傷害の程度、示談交渉か裁判上の認定かによって認定金額にかなりの差がでます。

場合によっては、裁判を行うとかなり主婦休損が減少してしまうケースなどもあり、戦略的に示談を行うべきケースも一定程度存在します。相場を見誤らないように、交通事故案件の扱いが豊富な法律事務所に相談することをおすすめいたします。

まとめ:主婦休損の請求には専門的な判断が必要

専業主婦や兼業主婦であっても、交通事故による家事労働の支障が認められれば、「主婦休損」として休業損害を請求できる可能性があります。

ただし、家事従事者であることの認定や、基礎収入・休業日数の算定には複雑な判断が必要で、個別事情によって大きく結果が変わることもあります。適正な賠償を受けるためには、実態に即した主張と立証が重要です。

主婦休損について不安のある方は、交通事故に詳しい法律事務所に早めにご相談されることをおすすめします。

静岡でのご相談は、HOPE法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

休業損害-給与所得者の場合

休業損害-給与所得者の場合

休業損害-給与所得者の場合

交通事故でけがを負ってしまうと、仕事を休まざるを得なくなることがあります。その結果、収入が減ってしまうことがあるため、「休業損害」として相手方に損害賠償を請求できる場合があります。

しかし実際には、どのような場合に休業損害が認められるのか、金額の算定方法はどうなっているのかといった点で多くの誤解や落とし穴があります。

この記事では、交通事故被害者の大半を占める「給与所得者(会社員など)」に焦点を当てて、休業損害の基礎知識をご紹介します。

休業損害の基礎的な解説は以下の記事をご覧ください。

休業損害を請求できるのはどんな場合?

休業損害を請求するには、事故によって実際に収入が減ったことが必要です。

たとえば、公務員が「病気休暇」を取得した場合、事故で休業しても給与が全額支給されることがあります。このような場合は休業そのものはあっても「損害」がないため、休業損害として請求することはできません。

休業損害証明書に記載される内容とは?

給与所得者が休業損害を請求するには、勤務先に「休業損害証明書」を作成してもらうのが一般的です。この書類には、以下のような情報が記載されます。

休業損害証明書の記載される内容

  • 事故前3か月の給与額
  • 休業した日数
  • 休業中の給与支給の有無

ここで注意したいのが、有給休暇を使って休んだ場合でも休業損害として請求が可能だという点です。会社には、有給使用の事実を必ず記載してもらうよう依頼しましょう。

また、事故とは無関係の理由で欠勤した日について、誤って「事故による休業」と記載されてしまうケースもあるため、完成した証明書は必ずご自身で確認してください。

休業損害の計算式と“落とし穴”

休業損害は、基本的に以下の計算式で算出されます。

休業損害の計算式

休業損害=休業日額×休業日数

問題は、「休業日額」の算出方法です。

保険会社は、事故前3か月の給与総額を90日で割って1日あたりの金額を出すことが多いですが、これは本来の労働日数ではなく休日も含めた日数で割っているため、1日あたりの金額が低くなってしまいます。

労働契約上、休日は労働義務を免除され、実労働日を対象に給与が支払われているため基本的には、3カ月の総収入を「実労働日」で割ることが妥当です。

計算例:実労働日数で計算するとどうなる?

前提条件

  • 事故日:10月1日
  • 休業期間:10月1日〜31日(実労働日数21日)
  • 7〜9月の給与総額:90万円
  • 7〜9月の実労働日数:60日(週休2日制)

休業損害:保険会社の算定と弁護士の算定の比較

このように、弁護士が採用する適正な方法で計算すると、約1.5倍の差が出ることもあります。

保険会社の提案は必ずしも「適正」ではない

保険会社は、支払い額をできるだけ抑えたいと考えているため、自ら不利になるような計算方法は用いません。

適正な休業損害を受け取るためには、保険会社の計算方法をそのまま鵜呑みにするのではなく、専門的な視点から見直す必要があります。

まとめ:休業損害が気になる方は弁護士に相談を

交通事故による休業損害は、正しい知識がなければ大きな損をしてしまう可能性があります。特に給与所得者の場合、証明書の取り扱いと日額の算定方法が重要なポイントです。

休業損害について不安のある方は、交通事故に強い法律事務所に早めに相談することをおすすめします。

静岡で交通事故に関するご相談は、HOPE法律事務所までお気軽にご相談ください。

休業損害-自営業者の場合

休業損害-自営業者の場合

休業損害-自営業者の場合

交通事故の被害者の中には、自営業者として休業損害を請求したいと相談する方が多くいます。自営業者の休業損害請求では、「基礎収入」と「休業期間・休業割合」が特に重要な争点となります。

この記事では、自営業者の休業損害を請求する際に知っておきたいことを中心に解説します。

休業損害の基礎的な解説は以下の記事をご覧ください。

自営業者とは?

交通事故損害額算定基準(通称青本)の中で自営業者と分類されているのは、個人で事業を営む者を指し、商工業・農林水産業・サービス業・自由業(開業医、弁護士、税理士、芸能人、ホステスなど)に従事している方が対象です。原則として、会社役員(法人代表など)はここに含まれず、別途検討が必要です。

自営業者の休業損害の請求額は①基礎収入と②休業期間・休業割合が争点となることが多いです。

基礎収入の算定方法

基礎収入で争点となるのが「休業1日あたりの単価をいくらとするか?」ということです。

基礎収入の算定方法は、確定申告書に記載された所得額を基本とします。青色申告控除がある場合には、その控除前の金額を用いるのが原則ですが、実際には、これに固定経費を加えたものを基礎収入とする計算方法が一般的です。

厳密に言えば、基礎収入の所得と、固定経費の損害は別の概念なのですが、基礎収入を把握するために固定経費を加えるという評価方法も簡便だと思いますので、比較的主流なこの方法で計算することが多いです。

基礎収入

基礎収入=所得額+固定経費

次に問題となるのは、基礎収入に加算できる「固定経費」の範囲をどう考えるかという点です。

この点を理解するには、固定経費と対になる「流動経費」の概念を知っておく必要があります。流動経費とは、売上高に応じて増減する費用を指します。たとえば、同じ費目であっても、事業の内容によっては流動経費にも固定経費にもなり得ます。

そのため、固定経費として扱えるかどうかは、業種ごとに個別の判断が必要です。一般的には、固定経費になりやすい費目の目安を参考にして検討していきます。

また、固定経費には、毎月かかる通常の経費だけでなく、税務上の特例によって認められている経費も含まれます。これらが明確に区別されないまま「固定経費」として議論されていることが、この問題をより複雑にしている要因となっています。

固定経費の例

  • 公租公課
  • 損害保険料
  • 減価償却費
  • 地代家賃
  • リース料
  • 修繕費、宣伝広告費、専従者給与(業種により)

水道光熱費、消耗品、通信費などは基本的には流動経費とされますが、常時水を使用する必要がある生物を養殖・飼育する業態であれば水道代も固定費になる可能性があります。

相手方の保険会社の担当者の中には、この問題についてしっかりと勉強しており、法的な観点から議論できる人もいます。しかし一方で、多くの担当者は、費目を見て「これは流動経費なので基礎収入には加算できません」と、形式的・画一的な対応をする傾向があります。

そのため、こちらとしては、法的根拠をもって理論的に説明しながら交渉することが重要です。

基礎収入の算定においては、弁護士が裁判基準を用いるのに対し、保険会社は自賠責や任意保険の基準で判断することが多いため、両者の間で認識のズレが生じやすくなります。

休業期間・休業割合の考え方

青本によると、そもそも休業損害とは、「けがやその治療のために仕事を休み、実際に失ったと認められる本来得られたはずの収入」のことを指します。

また、「けがが治るまで、あるいは後遺障害として症状が固定されるまでの間に、仕事ができなかった、または通常どおり働けなかったことによる収入の減少」が損害として認められます。

①現実に休業ないしは十分な就労が出来なかった事実とともに
②実際に収入減が生じていること

が必要とされます。

それぞれ①や②に関係する問題について以下深堀していきます。

自営業者特有の問題点

給与所得者の休業損害の場合には、会社に休業損害証明書を作成していただければ概ね良いのですが、自営業者の場合には、まず休業によって就労が出来なかったわけではないが通院などで本来の仕事以外の時間を使わされてしまったこと(①関係)や売り上げの減少が立証できなかったり、売り上げの減少がそのまま休業損害として認められないという問題(②関係)などが頻出します。

まず、自営業者は、自ら休業するとその間は売上が上がらず、将来の顧客獲得にも悪影響を及ぼす可能性があるため、怪我による体調不良があっても事業に従事しないわけにはいかないという現実があります。

その場合であっても休業損害が全く請求できないというわけではなく、休業の中には業務が全くできなかったという中核部分もありますが、仕事自体はできたが、仕事を行うために治療や身体を休めなくてはならなかったという意味で十分な就労が出来なかった場合でも休業損害が認められる可能性があります(①関係)。

たまに、休業損害を払ってもらうことを前提に、仕事を安易に休んでしまう事業者の方がいますが、仕事を休むことは事業継続に支障をきたすリスクがあるうえに、実際に休業した売上の減少を基準とする計算方法は、立証が難しく(キャンセルした仕事の証拠は通常ありません)、結局、仕事は休んだのに損害額の立証ができなくて休んだ分の休業損害を請求できないという結論になる場合もあります(②関係)。

そのため、受注していた仕事のキャンセルが契約書などで立証できるならば、その仕事によって失った利益の損害の請求ができますが、そのような資料が乏しい場合には、安易に休業損害を保険から払ってもらおうとして、休業したり仕事を断ってしまうことはリスクであることがわかると思います。

現実的な請求方法|休業率の段階的設定

では、自営業者は怪我をしても仕事も休めないのかというとそうではなく、請求の確実性としては少し下がりますが、「収入日額×期間1+収入日額×期間2×X%…」といった一種のフィクションによる休業損害の請求方法があります。上記計算式は難しいので簡単に示すと

休業率をかけた算定例
期間休業率(目安)
事故日~1か月80〜100%
1か月~3か月40%
3か月~6か月20%

このように治療期間を区切って、事故から近い期間は症状も強く多くの支障が事業に生じたとして、事業収入の基礎収入に高い休業率をかけて休業損害を算出し、治療にしたがって症状が改善していくにつれて休業率が漸減していくという計算方法です。

このような方法を使えば、事業を続けて収入を得ながらも、「本来であればもっと十分に働けたはずなのに、それができなかった」という点を根拠に、見えにくい損害として休業損害を請求することが可能になります。

ただし注意が必要なのは、この方法は、実際の仕事のキャンセルなどを証拠として立証する方法とは異なり、「見込み計算(フィクション)」による請求であるため、必ず認められるとは限らないという点です。

たとえば、以下のような場合には、保険会社や裁判所も慎重な対応を取る傾向があります。

  • 事業が夕方17時までで、その後に問題なく通院できている
  • 事故の規模が小さく、けがの程度も軽い

このような場合には、「事業への影響が少なかった」と判断され、見込み計算による休業損害が認められにくくなります。

結論として、治療期間中における自営業者の最適な対応は次のとおりです。

自営業者の最適な対応

  • できる限り仕事を継続する
  • 事業に支障が出たことを示す証拠(例:日報、取引記録、通院時間の記録など)を残す
  • 実際に得た利益は確保しながら、見えない損害を「見込み計算」で補足して請求する

このように、現実的かつ証拠に基づいた請求方法をとることで、休業損害が認められる可能性が高まります。

まとめ:自営業者の休業損害は早めの専門相談がカギ

自営業者の休業損害は、基礎収入や休業割合の立証が難しく、判断には専門的な知識が求められます。特に「収入はあったが十分に働けなかった」場合などは、適切な主張と証拠の準備が重要です。

交通事故による休業損害でお悩みの方は、交通事故に詳しい法律事務所に早めに相談することをおすすめします。

静岡でのご相談は、HOPE法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

交通事故休業損害の計算方法と3つの基準

交通事故休業損害の計算方法と3つの基準

交通事故休業損害の計算方法と3つの基準

交通事故に遭い、入院や通院を余儀なくされ、仕事を休まざるを得なかった場合、職種によっては、多大な損害が発生しますが、その一つに休業損害があります。

では、交通事故による休業損害は、どのように算定されるのでしょうか。これを理解するためには、休業損害の計算方法を知っておくことが大切です。

この記事では、休業損害とは、休業損害の内容、休業損害の計算方法などについて説明します。

休業損害とは

休業損害とは、被害者が交通事故による受傷のために休業し、または十分に就労できなかったために、傷害の治癒ないし症状固定時までに得られたはずの収入を失ったことによる損害のことを言います。

原則として、現に仕事を休み、収入が減少していることが必要です。

休業損害の内容

休業損害は、被害者の収入と休業相当期間を認定したうえで算定されます。その際、主に問題となるのは「基礎収入」と「休業日数」です。

休業期間中の実際の収入減少額が明確に把握できる場合は、その金額を基に算定します。

一方で、収入減少額の把握が難しい場合には、休日を含めた一定期間の平均収入を日割りし、それを1日あたりの基礎収入として、実際の休業日数を掛けて算定する方法が用いられることもあります。この方法は、控えめな算定として採用されることがあります。

休業損害の算定は、原則として、事故当時の被害者の現実の所得額を基準とします。ただし、以下のような例外的な場合にはこの限りではありません。

所得額の例外的な判断が必要な場合

  • 家事に従事するパート主婦の休業損害を算定する場合
  • 就労後間もない若年者の、複数年にわたる休業損害を算定する場合
  • その他、事故当時の現実の所得額を基準とすることが不合理と認められる場合

このような例外的なケースでは、「賃金センサス」が収入認定の基準として用いられ、休業損害の算定には、原則として事故当時の年度の賃金センサスが適用されます。

したがって、休業損害を正確に算定するためには、事故当時の現実の所得額を主張、立証する必要があります。その立証には、公的な書類(源泉徴収票、給与明細、確定申告書など)が基本となります。

また、休業の必要性については、通常は診断書などの医療資料によって証明します。仮に相手方と争いになった場合には、診療録や医師の意見書など、さらに詳細な資料が求められることもあります。

立場によって異なる休業損害の参考例は以下の記事からご覧ください。

休業損害の計算方法

休業損害は、事故によるけがの治療中や、症状が固定するまでの間に、休業したことで得られなかった収入に対して認められるものです。

休業損害は、原則として、次のような計算方法により算定します。

休業損害の計算方法

休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数

交通事故による損害賠償の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの算定基準がありますが、休業損害についても、この3つの算定基準が用いられます。

以下、3つの算定基準、基礎収入、休業日数について見てみましょう。

3つの算定基準

3つの算定基準

3つの算定基準は、以下のとおりです。

自賠責基準

自賠責基準は、自動車損害賠償法に基づく自賠責保険の支払基準です。強制加入とされ、最低限の保障をするものですので、3つの算定基準の中で最も低い金額になっています。

自賠責基準では、休業による収入の減少があった場合または有給休暇を使用した場合に、原則として1日につき6,100円の休業損害が認められます。ただし、家事従事者については、休業による収入の減少があったものとみなされます。

休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし、被害者の傷害の程度、実治療日数その他を勘案して治療期間の範囲内とされています。

休業による収入の減少が1日につき6,100円を超えることが証明されれば、最高で1日につき1万9,000円までの休業損害が認められます(自動車損害賠償法施行令3条の2)。

任意保険基準

任意保険基準は、任意保険会社全社に統一的な基準はなく、各社が独自に設けている基準です。各社とも非公表ですが、自賠責基準を下回るものではなく、自賠責基準と弁護士基準の中間になります。

弁護士基準・裁判基準

弁護士基準は、弁護士として保険会社との示談交渉で解決を目指すことができる賠償額の算定基準です。3つの算定基準の中で最も高い金額になります。

弁護士基準は、訴訟になった場合に見込むことができる賠償額の算定基準と同じものですので、裁判基準ともいわれます。

基礎収入

1日あたりの基礎収入については、3つの算定基準によって異なります。その内容は、以下のとおりです。

自賠責基準

上述したように、1日あたりの基礎収入は、6,100円から1万9,000円までの範囲になります。

任意保険基準

非公表ですが、一般的に、1日あたりの基礎収入は、自賠責基準と弁護士基準の中間になります。 

弁護士基準・裁判基準

基礎収入は、事故前の収入が基本とされます。代表的な例では、次のようになります。1日あたりの基礎収入は、それぞれの収入を日割りにした金額になります。

給与所得者は事故前3か月の平均収入(税金控除前)、事業所得者は事故前年の申告所得額、専業の家事従事者(主婦、主夫)は賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金、兼業の家事従事者(主婦、主夫)は現実収入額と賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金との高い方が基礎とされます。

休業日数

休業日数は、原則として、傷害の治癒ないし症状固定時までの間で現実に休業した日数です。ただし、症状の内容・程度、治療経過等から、就労可能であったと認められる場合は、現実に休業していても休業とは認められない場合があります。

まとめ

交通事故に遭い、仕事を休まざるを得なくなったような場合、被害者やその家族の生活への影響を最小限にとどめるためには、休業損害についての迅速な解決が求められます。しかし、保険会社との示談交渉では、休業損害をめぐって、職種によっては難航が予想されます。

保険会社との示談交渉を弁護士に任せることで、被害者の基礎収入を裏付ける資料を適切に準備し、交渉に臨むことができます。その結果、被害者が納得できる休業損害の補償を受けられる可能性が高まります。

交通事故による休業損害でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。

買替諸費用とは?忘れられがちな損害賠償

買替諸費用とは?忘れられがちな損害賠償

買替諸費用とは?忘れられがちな損害賠償

事故で車両が全損となった場合に、新たに車を購入する際に必要となる各種費用のことを買替諸費用といいます。

例えば、事故車が全損扱いとなった場合、被害者は新たな車両を購入しなければなりません。その際に発生する登録費用や納車費用などが「買替諸費用」です。

今回は、交通事故の損害項目の中でも見落とされやすい「買替諸費用」について解説します。

そもそも全損とは?

全損」とは、「事故時の時価+買替諸費用<修理費」の場合を指しています。

例えば、

  • 事故車両の時価が60万円
  • 修理費が100万円

この場合、修理費よりも時価の方が低いため、賠償額は修理費ではなく事故時の時価60万円となります。

なぜ買替諸費用の請求は忘れられやすいのか?

買替諸費用は、請求できるにもかかわらず忘れられがちです。その理由としては以下が挙げられます。

  1. 買替自体をしないケース
    例えば、自宅に別の車があり、代替車両を購入しなかったため示談までに買替諸費用が発生しない場合です。
  2. 保険会社が教えてくれない
    相手方保険会社には、被害者に買替諸費用の請求方法を教える義務はありません。そのため、被害者が知らないまま示談が終わることがあります。
  3. 被害者側保険会社も積極的に教えない
    自分の車両保険で補償される場合、保険会社は車両保険金額を支払えば業務終了となるため、契約者が請求できる買替諸費用については積極的に案内しないケースもあります。

物損賠償を最大化するためには

一般に物損は、修理費や時価など客観的に決まるため賠償金額を大きく上げるのは難しいとされています。しかし、

  • 事故車両の時価交渉
  • 事故車両を適正価格で処分する
  • 買替諸費用を請求する

といった工夫をすることで、これらを行わない場合に比べ、数十万円もの賠償差額が生じることもあります。

しかし一般の法律事務所は…

これらの交渉は、事故後早期に行わなければなりませんが、慰謝料などに比べ経済的効果が小さいことから、一般の法律事務所では対応してもらえないことが多いのが現実です。

簡単にいえば、「細かくて面倒なことは被害者さんが自分でやって、治療が終わって慰謝料等の請求の段階になったら相談にきてよ」という法律事務所がメインではないかと思います。

当事務所の方針

しかしこれでは、事故の最初にこそ慣れない事故処理で苦しむ依頼者を救えませんし、治療段階で関与しなければ適切な人身賠償も実現できないことから、当事務所ではこのような方針はとっていません。

当事務所の方針

  • 事故直後から物損処理についても一緒に考え
  • 治療経過にも積極的に関与し
  • 不当な治療打切りや難しい症例にも対応

これらのことを大切にしています。

事故直後から依頼者と共に悩み、考え、寄り添うことでこそ、適正かつ十分な賠償を受けられると信じています。それが、依頼者の希望になりたいという当事務所の理念です。

保険会社による治療費の「打ち切り」とは?仕組みと回避のポイントを解説

保険会社による治療費の「打ち切り」とは?仕組みと回避のポイントを解説

保険会社による治療費の「打ち切り」とは?仕組みと回避のポイントを解説

交通事故に遭ってケガを負った場合、多くの方が医療機関や接骨院などで治療を受けることになります。その際、治療費は加害者側の保険で対応されることが一般的ですが、

保険会社から治療費の支払いを打ち切られた
被害者の意見も聞かずに、一方的に打ち切るなんて許されるのでしょうか?

というご質問をいただくことがあります。

結論から申し上げると、保険会社による治療費打ち切りは、一方的に行われることがあっても、制度上やむを得ないものであり、違法とされる可能性はほとんどありません。

その背景には、「自賠責の一括対応」と呼ばれる仕組みが関係しています。

この記事では、交通事故後の「治療費打ち切り」がなぜ起きるのか、その仕組みや打ち切りを避けるための通院方法、注意点をわかりやすく解説します。

治療費打ち切りとは?

交通事故の治療費は、原則として被害者が一時的に立て替えたうえで、加害者に請求する仕組みとなっています。しかし、実際には被害者の経済的負担を軽減するため、加害者側の任意保険会社が「自賠責保険」分を含めて一括して対応する制度(自賠責の一括対応)が用いられています。

この「自賠責の一括対応」はあくまで任意保険会社のサービスに過ぎず、法律上、保険会社がその対応をいつ終了しても基本的には違法ではありません。そのため、被害者の意思にかかわらず、保険会社が一方的に治療費の支払いを打ち切ることが可能となっているのです。

被害者の意見を聞くのはあくまで全体的な円満な解決を目指すという側面と、被害者の治療状況を確認して、治療期間を適切な範囲にとどめたいという保険会社の思惑とが重なって対応されているだけで、被害者の通院継続の意見があっても任意保険会社が保険対応を終了することに法的な問題はありません。

そのため治療費の打切りを回避するためには、この自賠責の一括対応はあくまで円満解決のためのサービスに過ぎないという出発点を押さえなくてはなりません。

なぜ保険会社は打ち切るのか?

保険会社が治療費の支払いを打ち切る背景を、①保険制度②治療経過③その他に分けて解説します。

①保険制度による打ち切り

自賠責保険には支払限度額がある

交通事故による傷害(ケガ)の場合、自賠責保険で補償される上限は120万円までと定められています。この中に含まれるのは以下のような項目です。

自賠責保険で補償される項目例

  • 治療費(診療報酬)
  • 交通費(通院交通費やタクシー代)
  • 慰謝料(通院日数に応じて算出)
  • 文書料(診断書など)
  • 休業損害(仕事を休んだことによる収入減)など

これらすべてが120万円以内に収まるよう、保険会社は費用全体を管理・調整しています。

特に打ち切り要因となりやすい(金額が大きくなりやすい)のが「過剰通院、濃厚通院」「多部位の治療」「長期タクシー利用、長期の休業損害の請求」などになります。

なぜ早期打ち切りにつながるのか

加害者側の任意保険会社は、被害者の治療費について「自賠責部分」も含めて一括して支払う(自賠責の一括対応)ことが多くあります。このとき、保険会社はまず自賠責保険の120万円を充当し、それを超えた分については自社(任意保険)で負担することになります。

つまり、支払い総額が120万円に近づくと、保険会社が自分たちの財布から払う必要が出てくるため、「それ以上の支払いを避けたい」という動機から、治療費の早期打ち切りに動くことになるのです。

たとえば、通院頻度が高く治療費がかさんでいたり、タクシー通院が多く交通費が高額になっていたりすると、それだけ早く120万円の枠に到達してしまいます。加えて、休業損害の請求が長期に及べば、残りの枠はさらに圧迫されます。

保険会社の損益計算と打ち切り判断

保険会社は、内部の損害査定システムを用いて、被害者に支払う総額を日々積算しています。そこでは、治療費・交通費・休業損害・慰謝料などを加味して、総額が120万円にどの程度近づいているかをリアルタイムで把握しています。

このような事情から、被害者に明確な治療効果が見られない、あるいは通院実績に疑問がある場合には、自賠責枠内で収めるために打ち切りを検討する圧力が非常に高くなるのです。

とくに、むちうちや軽度の捻挫など「他覚所見に乏しい症状」の場合、保険会社は「医学的な必要性がない」と判断しやすく、枠を超える支払いを避けようとする傾向が強まります。

他覚所見に乏しい症状:患者が感じる自覚症状はあるものの、医師が客観的に確認できる症状(他覚所見)が少ない、または見られない状態

②治療経過による打ち切り

保険会社は、通院の頻度や治療の経過も重視しており、治療内容に医学的な合理性がないと判断された場合には、早期の打ち切りにつながることがあります。ここでは、特に打ち切りの判断に影響しやすいポイントをご紹介します。

過剰通院・濃厚通院

通院頻度が過度に高く、毎日通っていたり、機能回復訓練やリハビリ、ブロック注射などの処置を頻繁に受けている場合には、医学的な必要性に乏しい「過剰な治療」と評価されることがあります。

とくに、保存的治療(手術を伴わない治療)であれば、回数を重ねることで効果が比例的に高まるわけではないため、保険会社からは「通院頻度に対して治療効果が薄い=打ち切り対象」とみなされるリスクが高まります。

過少通院(通院回数が少なすぎる)

捻挫や打撲など、比較的軽度な外傷でありながら月に1〜2回しか通院していないような場合、「通院の必要性が低い=症状が軽い」と判断され、保険会社から「今月末で保険対応は終了します」と打ち切りを通告されることがあります。

骨折などで安静が必要なケースとは異なり、打撲捻挫系の治療で通院が少ないと、保険会社に「治療の必要性が乏しい」とみなされやすくなります。

症状の変化がない・症状固定と判断される

治療中の症状に改善傾向が見られない場合、保険会社は「これ以上の治療効果が見込めない=症状固定」と判断し、打ち切りを検討します。

たとえば、事故から数ヶ月が経過しているにもかかわらず、「痛みは10のまま」「むしろ悪化して15になった」といった申告をしてしまうと、これは外傷の治療経過としておかしいため、保険打切りの対象となります。

乱暴な言い方ですが、骨がめちゃくちゃに折れても、数カ月すれば自発痛自体は大幅に改善するはずです。しかし、数カ月経っても7割8割程度にしか改善していないとか、受傷時と痛みが変わらないとか、場合によって受傷時より悪化しているとの答えは、その怪我にとって治療が功を奏していないことを示しています。

これはその怪我がこれ以上医学的に改善しないことを示していたり、今の症状が外傷以外の別の要因での疼痛であることを示すと考えられてしまいます。

実際、主治医にとっては、交通事故による怪我以外の何らかの理由による症状申告があるのではないかと考えられてしまい、面倒ごとに関わりたくないとして保険会社に「症状固定相当」と医療照会に回答してしまう動機となります。

多部位の治療

事故によって複数の部位にケガを負った場合でも、それぞれの症状に応じた治療の進め方が求められます。すでに改善している部位についてまで漫然と通院を続けていると、「不要な治療」と評価され、打ち切りの要因となります。

また、保険会社としては、部位が多いからといってその分だけ保険枠が増えるわけではなく、支払総額に制限がある中で「支出が膨らみすぎている」と判断されやすくなります。

③その他の理由での打ち切り

長期タクシー利用

通院手段としてタクシーを頻繁に利用していると、それだけで交通費が高額となり、自賠責保険の120万円の枠を圧迫します。タクシー代は患者の手元に残るお金ではないものの、「交通費」として治療費と同じく補償対象となるため、保険会社は慎重にその妥当性を見極めます。

長期の休業損害請求

休業損害も、保険会社が慎重にチェックする費目のひとつです。確かに事故直後に数日間の休業が必要となるケースは多くありますが、症状が軽度であるにもかかわらず長期間にわたる全休を続けていると、「労働の制限に見合った症状ではない」と判断され、打ち切りの要因となります。

事故態様が一般的に小規模損害といわれるもの

事故の内容が比較的軽微(修理金額が30万円以下、駐車場内での事故、重量差のある衝突、低速度での衝突など)であると判断される場合、それに見合わない長期通院や高額な補償請求は、保険会社から疑問視されやすく、早期の打ち切りにつながる大きな要因となります。

治療内容や医師の判断で打ち切りもある

治療内容や通院頻度だけでなく、保険会社は事故の状況や初期対応、医療機関での診療経過なども確認し、受傷の合理性や治療の必要性があるかどうかを総合的に判断しています。

初期の聞き取りで受傷の整合性をチェック

交通事故の後、保険会社の担当者は、比較的早い段階で被害者に連絡を取り、受傷状況や通院先、事故の態様について詳しく聞き取りを行います。

ここでは、被害者の説明が加害者側(契約者)の事故状況と矛盾していないかどうかが重要視されます。

たとえば、追突事故であれば「頚椎捻挫」や「腰椎捻挫」といった傷病名はよく見られ、不自然ではありませんが、「肘関節打撲」や「下腿部打撲」といった部位にケガがあると、「追突でどうやってそこを負傷したのか?」という合理性が問われ、受傷そのものへの疑義が生じることがあります。

また、症状の強く出ている部位について「肩がまったく上がらない」「以前から腰が痛かったが、さらに悪化した」などと申告すると、「事故以前からの持病ではないか?」という疑いを持たれることもあります。

医療機関での診療内容が軽症を印象づけることも

診療を受けた医療機関での対応内容も、保険会社は詳細にチェックしています。以下のようなケースは、「医師の見立てが軽症」と判断されやすく、打ち切りの根拠になり得ます。

軽症と判断される例

  • レントゲンなどの画像検査が行われていない
  • 鎮痛薬の処方がなされていない、または途中で中止されている
  • 消炎鎮痛処置が施されていない
  • 医師の所見が簡素で、精密検査や治療方針が立てられていない

このような対応が続くと、保険会社は「医師自身が軽症と判断しているのでは?」と受け取り、保険対応の終了を検討する材料になります。

治療内容が漫然としている、改善が見られない場合も注意

治療の内容に変化がなく、漫然と同じ施術や処置を続けているだけで、症状の改善が見られない場合も、保険会社から「慢性化しており、これ以上の治療は不要」と判断される可能性があります。

また、通院間隔が空きすぎていたり、整形外科の診察が1か月以上空いている場合にも、「医学的な管理がなされていない」と評価され、治療費打ち切りを招く原因になります。

まとめ:治療費打ち切りを避けるためにできること

保険会社の治療費打ち切りの背景と打ち切り理由になることを中心に解説しました。打ち切りを避けるためには、打ち切り要因となる点に注意して行動することが大切です。

治療費打ち切りとなる要因

  • 自賠責保険には支払限度額がある
  • 過剰通院・濃厚通院
  • 過少通院(通院回数が少なすぎる)
  • 症状の変化がない・症状固定と判断される
  • 多部位の治療
  • 長期タクシー利用
  • 長期の休業損害請求
  • 事故態様が一般的に小規模損害といわれるもの
  • 治療内容や医師の判断

治療費が打ち切られて慌てて対応するよりも、交通事故で大きな怪我をした場合はできるだけ早く交通事故に精通しているHOPE法律事務所へご相談ください。