交通事故の通院をやめるタイミングはいつ?
2025年10月26日 カテゴリー:通院方法

交通事故で怪我を負い、治療のために通院を続けることは、被害者にとって時間的・精神的・経済的など、さまざまな面で負担となります。そのため、中には自己判断で通院をやめてしまう方もいます。
しかし、通院をやめるタイミングを誤ると、怪我が悪化するだけでなく、通院後の治療費を請求できなくなったり、慰謝料が減額されたり、後遺障害等級認定を受けにくくなったりするおそれがあります。
通院をやめるかどうかについては、弁護士に相談すれば、いろいろな助言を受けられ、不利益を免れることができます。
以下では、通院はいつまで続けるのか、通院期間の目安、通院をやめるタイミング、被害者が勝手に通院をやめるデメリット、弁護士に相談するメリットなどについて説明します。
通院はいつまで続けるのか
交通事故で怪我を負った場合、通院はいつまで続けるのでしょうか。
怪我を負った場合は治療が必要ですので、常識的に考えれば、通院は治療の必要がなくなるまで続けるのが基本といえます。
治療の必要がなくなるのは、怪我が治癒したとき、または治療を続けてもこれ以上の症状改善が見込めない「症状固定」と判断されたときです。
通院は、怪我が治癒した時点か、症状固定と判断された時点で終了するのが一般的です。
治癒や症状固定の判断は、一般的に専門的な知識と経験を持つ医師が行います。治癒については異論の余地はありません。しかし、症状固定は医学的な概念ではなく、損害賠償における損害の範囲を定める法的概念であるため、その時期が争いになった場合は、最終的に裁判所が判断します。
しかし、症状固定の時期が争いになるケースは少なく、訴訟で解決するのはごく一部です。実際には、被害者の治療経過を客観的に判断できる医師の意見が尊重されます。実務上は、医師が「今日で症状固定しましょう」「次回の受診日で症状固定しましょう」などと打診し、被害者の了承を得て症状固定日を決めることが多いです。また、被害者と保険会社が合意して決めた症状固定日を、事後報告を受けた医師が異論なければ追認するケースもあります。
通院期間の目安
交通事故における打撲・むち打ち・骨折の通院期間の目安は、俗に「DMK136」と呼ばれます。Dは打撲、Mはむち打ち、Kは骨折を指し、数字の1・3・6は1か月、3か月、6か月で、DMKに対応する通院期間を示しています。
以下で示す通院期間はあくまで目安であり、怪我の程度や部位、被害者の年齢や健康状態によって変動します。それぞれのケースについて見ていきましょう。
打撲の場合
打撲の通院期間は、おおむね1か月が標準です。打撲は交通事故で最も軽く、一般的な怪我の一つです。単純な打撲や打ち身であれば、痛みや腫れが治まれば治癒とされます。
むち打ちの場合
むち打ちの通院期間は、おおむね3か月が標準です。ただし、被害の程度が大きい場合は、3か月以上かかることもあります。
骨折の場合
骨折の通院期間は、おおむね6か月が標準です。交通事故による骨折は、指や脚にとどまらず広範囲に及ぶことも多く、打撲やむち打ちよりも長い通院期間が想定されます。
通院をやめるタイミング
上述のとおり、通院をやめるタイミングは、怪我が治癒したとき、または症状が固定したときです。
被害者が勝手に通院をやめるデメリット
被害者が、自分の都合で医師からの指示もなく通院をやめた場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。治療を受けないことで怪我の回復が遅れるのはもちろんですが、ほかにもさまざまな不利益があります。以下で詳しく見ていきましょう。
通院をやめた後の治療費を請求することができなくなる
勝手に通院をやめると、治療が途中で終わり、症状が悪化する可能性があります。仮に再び通院を始めても、事故との因果関係を疑われ、保険会社から治療費の支払いを拒否されるおそれがあり、その結果、通院をやめた後の治療費を請求できなくなることがあります。
慰謝料を満額受け取れない
交通事故の慰謝料には、入通院によって発生する「入通院慰謝料」があります。
入通院慰謝料は、実際の入通院期間や実治療日数をもとに算定されます。そのため、勝手に通院をやめると、その時点で怪我の治療は終了したとみなされ、通院を続けていれば受け取れたはずの入通院慰謝料が減額されてしまいます。
適切な入通院慰謝料を受け取るためには、医師の指導に従って治療を続け、通院記録を確実に残すことが重要です。
適切な後遺障害等級認定を受けづらくなる
後遺障害等級認定を受けるには、交通事故で怪我を負い、症状固定時に後遺症が残った場合に申請を行い、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所による審査を経る必要があります。
勝手に通院をやめると治療日数が減り、後遺症の診断や治療経過が不明確になります。その結果、継続的な回復状況を確認・把握できず、適切な後遺障害等級認定を受けにくくなります。
後遺障害等級認定を受けられない場合、加害者に「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」を請求できなくなります。
弁護士に相談するメリット
通常の通院期間の目安から見て治療が長引くと、被害者はしびれを切らし、通院をやめようと思うことがあるかもしれません。また、仕事の都合など、個人的な事情で通院をやめようとする場合もあるでしょう。
しかし、ここで早まってはいけません。どのような事情があっても、通院をやめる前に弁護士へ相談すべきです。いったん通院をやめてしまうと、上述したように、被害者が受けるデメリットが大きいからです。
弁護士は、被害者から通院をやめたいという相談を受けると、今後の治療の必要性や期間、内容を確認する必要がある場合には、電話、書面、面談で医師に意見を求めることもあります。。主に確認する内容は次のとおりです。
- 現在の症状
- 現在行っている治療の内容と効果の程度
- 治癒または症状固定の時期
- 現在の症状が仕事に与える影響の有無
- 休職中であれば、職場復帰の時期
弁護士は、医師の意見を踏まえて通院をやめることが適切かどうかを判断し、法律の専門家として被害者に助言できます。
そして、弁護士は、被害者と十分に話し合ったうえで、治癒または症状固定まで通院を続けることが望ましいと判断すれば、その方針を支援します。
もし通院をやめる場合は、損害賠償額が確定したものとして保険会社と速やかに示談交渉を進めます。
また、症状固定時に後遺症が残る場合は、適切な後遺障害等級認定を受けられるよう申請手続を行い、被害者に不利にならないよう尽力します。
このように、弁護士に相談することで、上述したようなメリットが得られます。
まとめ
交通事故で怪我を負い、通院を続けている場合、そのやめどきについて悩む被害者もいるでしょう。しかし、被害者が自己判断で通院をやめてしまうと、上述したようにさまざまなデメリットがあります。
交通事故で怪我を負い、通院をやめるタイミングのことでお悩みの際は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。
