交通事故発生から解決までの流れ

2025年7月24日 カテゴリー:事故手続き

交通事故発生から解決までの流れ

交通事故の被害に遭うと、多くの被害者は気が動転し、まず何をすればよいのか戸惑ってしまいます。

しかし、被害に遭った直後の対応が、交通事故では極めて重要です。事故発生から時間が経過するほど、事故に関する記憶は薄れ、証拠も散逸する可能性があることを自覚しておく必要があります。

この記事では、交通事故発生から解決までの流れを大まかに把握してもらうため、事故発生直後の対応、治療と症状固定、後遺障害等級認定の申請手続、後遺障害等級認定、示談交渉、ADR、調停や訴訟、損害賠償金の受け取り(解決)などについて説明します。

事故発生直後の対応

事故発生直後に被害当事者が取るべき対応について、順を追って確認していきましょう。

車両の運転者

車両の運転者には、事故当事者として次の義務が課されています(道路交通法72条)。

①運転の停止

②負傷者の救護活動
-負傷者の傷の応急措置、119番通報(消防署への救急車の要請)、病院への搬送など

③危険防止の措置
-事故現場で、後続車を誘導するなどの措置

④警察への事故報告(110番通報)
-交通事故証明書の発行には警察への事故報告が必須

なお、運転者が死亡または負傷して報告ができない場合には、他の乗務員が④の警察への事故報告を行います。

交通事故証明書は、事故の発生を証明する最も確実かつ簡便な方法であるため、軽傷事故や物損事故であっても、被害者自身が警察に連絡する必要があります。難しい場合には、加害者に事故報告を促しましょう。

この報告を行わないと、「交通事故証明書」が警察で作成されず、後日事故発生を理由とした保険利用が出来なくなる可能性もあります。

 「きちんと賠償はするから、警察には連絡せず、示談でやらせてほしい」などと事故の相手方から言われることがありますが、上記道路交通法72条に違反(3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金)するほか、事故当初は当事者双方が正確に損害の範囲を予測できないため、後日車両損害や怪我の損害が深刻になった場合、保険利用ができなくなったりすることで解決が困難になってしまう可能性があります。

道路交通法72条の義務ではないが、やっておくべき事故後の対応も併せて紹介します。

⑤ドライブレコーダー動画の保存
-ドライブレコーダー映像があれば、多くの過失案件がスムーズに解決できます。

事故後、ドライブレコーダーをそのままにしておくと、映像の上書きによって事故映像が消えてしまうことがよくあります。事故の現場で動画を再生し、スマートフォンで撮影したり、修理業者さんでドライブレコーダー映像を保存してもらったり、自宅PCに映像を保存したり、自身の加入する保険会社の担当者に映像を送付しておくなどの保存をしておきましょう。

⑥誠意ある対応

親から「連帯保証人にはなるな、事故現場では謝るな」などと教えられた人がいるかもしれません。プロの観点からすると、事故現場で謝罪をしても過失割合に影響は与えません。

事故発生までの運転動作が過失判断の対象になるので、事故後謝罪をしたなどの事情は過失割合には直接影響を与えません。ただ、事故態様にあたる事実を認めつつ謝罪すること(赤信号になってすぐに交差点に入ってしまい…、一時停止で全く減速もせずに交差点に入ってしまい…など)は、過失に影響を与える可能性がありますのでお気を付けください。

⑦相手方及び車両に関する情報収集

  • 住所
  • 氏名
  • 生年月日
  • 連絡先
  • 車両ナンバー
  • 所有者の氏名または名称
  • 保険の種類および加入状況(任意保険・自賠責保険の有無など)

これらの情報は、後の示談交渉や保険金請求を行ううえで、重要な資料となります。事故の混乱時でも、可能な限り冷静に確認しましょう。

⑧事故状況のメモや撮影

事故現場の見取り図や事故の経過、現場の状況(信号や一時停止の有無、優先道路の有無)をメモに残します。事故車の状況、衝突箇所、破損の程度、負傷の状態などをスマートフォン等で撮影しておきます。 

事故の目撃者がいる場合は、その氏名、住所、連絡先を聞いてメモを取り、目撃者の存在を警察にも伝えます。

保険会社への連絡

被害者は、自身が加入している保険会社に事故の内容を連絡します。加害者に対しては、加入保険会社への事故連絡を促します。

実況見分の立会い

実況見分が実施される際には、被害者も原則として立ち会うように努めます。実況見分の結果が記載された実況見分調書は、示談交渉や裁判で重要な証拠として扱われます。

実況見分調書は、ドライブレコーダーには現れない運転操作情報が記載されたり、ドライブレコーダーの映像が無い場合には、過失割合を判断する重要書類となります。

医療機関の受診

交通事故後に怪我や不調を感じた場合は、医師の診断が受けられる「整形外科」を受診するようにしましょう。接骨院への通院では、医学的な診断書が発行できないため、事故との因果関係が証明しにくくなります。

整形外科を受診する際の重要なポイントは、できるだけ早く受診することです。理由は主に以下の2つです。

整形外科を受診する際の重要なポイント

  • 事故から日数が経過してから受診すると、事故と怪我との因果関係が認められにくくなる(目安:10日〜14日以内)
  • 時間が経ってから診察を受けると、軽傷と判断され、保険の補償範囲が狭くなる可能性がある

また、受診時には、自覚しているすべての不調や症状を医師に伝えましょう

交通事故による軟部組織(筋肉・靭帯など)の損傷は、時間が経つにつれて痛みが明確になることがあります。事故直後は興奮や緊張で痛みに気づきにくいこともあるため、たとえば最初に首の痛みだけで診察を受けた場合でも、後から腰の痛みを感じたときは、遅くとも2週間以内には再度診察を受ける必要があります

そうしないと、事故との関連を認めてもらえず、保険の対象外になる恐れがあります。診断書を受け取ったら保険会社の指示に従い随時連絡を取るようにしてください。

人身事故として扱う場合の注意点

人身事故として届け出るには、警察に診断書を提出する必要があります。ただし、人身事故扱いにすることで、以下のような影響が出る場合もあります。

相手だけでなく自分にも過失がある場合、双方が診断書を提出すると、免許の処分が重くなる可能性がある
※ただし、最終的な処分の有無や重さは公安委員会の判断によります。

一方で、物損事故のままでも自動車保険は利用できます。保険の適用範囲については、加入している保険会社に必ず確認しておきましょう。

治療と症状固定

被害者が交通事故で怪我を負った場合は、入院や通院などの治療を継続し、症状固定(治療を続けてもそれ以上の改善が見込めない状態)まで治療を受けます。

後遺障害等級認定の申請手続

被害者は、症状固定によって後遺障害が残ることが明らかになった時点で、後遺障害等級認定の申請手続を行うことが可能になります。

後遺障害等級認定の申請手続には、被害者が自ら自賠責保険会社に申請する「被害者請求」と、任意保険会社が被害者に代わって申請する「事前認定」の2通りがあります。

後遺障害等級認定

損害保険料率機構の自賠責損害調査事務所は、いずれの申請手続の場合も、自賠責保険会社または任意保険会社から提出された資料に基づき審査を行い、等級認定を行います。

示談交渉

示談は、事故当事者双方の話し合いにより、損害項目ごとに金額を確定し、加害者が被害者に一定額を支払うことに合意して、紛争を解決する手続きです。

示談交渉の相手方は、通常、任意保険会社の担当者か、加害者の代理人である弁護士です。ただし、加害者が保険に加入していない場合は、加害者本人が交渉の相手となります。

一方で、被害者も弁護士に依頼することが一般的です。自動車保険に弁護士費用特約が付帯していれば、弁護士に依頼しても費用倒れを防ぐことができます。

交通事故の損害賠償額の算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判(弁護士)基準があります。保険会社は、最も低額な自賠責保険基準や、次に低額な任意保険基準に基づいて損害賠償額を提示しますが、弁護士は最も高額な裁判(弁護士)基準で対応します。

人身事故の多くは、示談によって解決されています。示談では、当事者双方の過失割合に応じて損害賠償額を調整したり、賠償金を分割払いにするなど、柔軟な方法で解決することが可能です。

しかし、示談交渉がまとまらない場合には、交通事故の裁判外紛争処理機関(ADR)や、調停・訴訟といった裁判所の手続で解決することになります。 

ADR

ADRには、日弁連交通事故相談センター、交通事故紛争処理センター、そんぽADRセンター、自賠責保険・共済紛争処理機構などがあり、被害者はこれらを利用して解決を図ることが可能です。

調停や訴訟

示談やADRで解決できなかった場合は、調停や訴訟といった裁判所の手続によって解決を図ることになります。調停や訴訟は、被害者本人が起こすことも可能です。ただし、交通事故の損害賠償に関する問題は、法律知識に加えて交通事故特有の専門的な知識も必要となるため、弁護士に依頼することが望ましいといえます。

損害賠償金の受け取り(解決)

被害者は、示談の成立、ADRでの解決、調停の成立、訴訟における和解の成立や判決の確定により、一定額の損害賠償金を受け取った時点で、交通事故の解決に至ったとされます。

まとめ

交通事故に遭った場合、保険会社や加害者と示談交渉を行い、損害賠償問題の解決を図ることになりますが、これを有利に進めるには、事故発生直後から解決までの流れに沿って適切に対応する必要があります。

しかし、交通事故の解決に至るまでの過程は複雑であり、被害者がすべてを一人で対応するのは困難を伴います。事故当初から弁護士が関与して適切に対応することで、被害者の不利益を最小限に抑え、高額な損害賠償金を獲得しやすくなります。交通事故の被害に遭い、お困りの際は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。