もらい事故の特徴と適正な賠償を受けるために行うべきこと
2025年7月24日 カテゴリー:交通事故

「もらい事故」とは、事故の原因がもっぱら相手にあり、自分には全く過失がない事故のことをいいます。
例えば以下のようなケースです。
- 赤信号で停止中に後続車に追突された
- 赤信号無視の車と衝突した
- 対向車がセンターラインを越えてきて正面衝突した
- 駐車場で正しく駐車していたら、走行してきた車にぶつけられた
なお、一時停止標識のある道路から交差点に進入してきた車と衝突した場合、優先道路を走行していた自分には過失がないと思いがちですが、法的には10~40%程度の過失が認められることが多いです。「全く過失がない事故」は意外と限られる点に注意が必要です。
もらい事故の特徴
(1)損害負担がない
通常の事故では「過失割合」が問題となりますが、もらい事故の場合、被害者に過失がないため、原則として加害者側が全ての損害を負担します。また、違反点数が加算されることもありません。
(2)自分の保険会社が介入できないことがある
被害者に過失がない場合、自分の自動車保険(特に対人・対物賠償保険)は使えず、保険会社が示談交渉を代行できないケースがあります。
双方に過失のある事故の場合には、保険会社が自社負担を減らす利益があるため、弁護士法72条に反せず示談交渉が可能です。しかし、もらい事故の場合は相手が全額負担するため、自分の保険会社には独自の利益がなく、示談交渉は被害者自身が行わなければなりません。
これは、弁護士法72条が弁護士や弁護士法人以外の者が報酬を得る目的で法律事務をすることを禁じていることによります。
そのため、もらい事故の場合は、被害者が自ら示談交渉を行って治療内容や通院期間が適切であることを主張する必要があり、その手続のために精神的・時間的な負担が大きくなりがちです。
被害者が請求できる損害
もらい事故に限らず、交通事故の被害者は、加害者や加害者側の保険会社に対して以下の損害を請求できます。
- 車両の修理費などの物的損害
- 治療費、通院交通費、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益などの人身損害
実際にいくら支払ってもらえるかは、損害を受けた車両の状態や怪我の状況などによって異なります。事故によって怪我をした場合の傷害慰謝料額は、概ね事故日から症状固定までの通院期間によって算定されます。
もらい事故に遭った場合の対応
(1)事故状況の記録
現場写真、ドライブレコーダー映像、事故証明書(自動車安全運転センター都道府県方面事務所長が発行)など、過失がないことを証明するための証拠を残しておきましょう。
(2)医師の診断を受ける
事故直後には痛みを感じなくても、後から症状が出ることがあります。もし症状が出た場合は、できるだけ早く医師の診察を受けて、必要な治療や処方を受けることが大切です。
医師の診断書は、相手の保険会社に治療費などを請求する際に重要な役割を果たします。保険会社は診断書を確認して、治療が本当に必要だったのか、通院期間が妥当だったのかを判断します。
また、被害者側としても、診断書があれば必要な治療であったことを証明でき、交渉を有利に進められます。治療費の請求だけでなく、傷害慰謝料を算定する際にも診断書は重要な資料となります。
(3)弁護士へ相談する
もらい事故の場合、被害者が加入している保険会社が示談交渉を代行してくれないため、被害者が不利な立場に置かれてしまうことがあります。
事故の被害者は、相手に対して、通院慰謝料、通院交通費、休業損害、後遺障害慰謝料など、さまざまな損害賠償を請求できます。しかし、加害者側の保険会社は、支払額をできるだけ抑えようとする傾向があり、提示される金額が本来の相場より低くなることも少なくありません。
そのため、適正な賠償額を受け取るためにも、また保険会社との交渉をスムーズに進めるためにも、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士費用特約の活用
ご自身の保険に弁護士費用特約がついていれば、弁護士費用を心配せずに、相手の保険会社との交渉を弁護士に任せることができます。
弁護士費用特約は、事故発生から示談成立まで、いつでも利用可能です。
通常、弁護士に示談交渉を依頼すると、相談料や着手金、成功報酬などで数十万円以上かかることがあります。しかし、弁護士費用特約を使えば、相談費用は10万円まで、依頼費用は1回の事故につき1人あたり300万円まで保険でカバーされます。ほとんどの場合、この補償範囲を超えることはなく、追加費用なしで弁護士に依頼できます。
さらに、弁護士への費用は保険会社が直接支払うため、被害者が立て替える必要はありません。
また、個人契約(ノンフリート契約)の自動車保険であれば、弁護士費用特約を利用しても保険等級が下がらず、保険料が上がる心配もありません。ただし、会社などのフリート契約の場合は保険料が増額される可能性があるため注意が必要です。
この特約は、ご自身が加入していなくても、同居家族が加入していれば利用できることがあります。また、事故に遭った際の同乗者であれば、友人や恋人など家族以外でも適用されるのが一般的です。
ご自身が弁護士費用特約に加入していない場合でも、ご家族や運転者の保険に付帯していないか、ぜひ確認してみてください。
まとめ
もらい事故は、自分に落ち度がないにもかかわらず、精神的・手続的負担が大きい事故です。保険会社が交渉を代行してくれないため、早期に弁護士へ相談することが重要です。
当事務所では、もらい事故を含む交通事故全般のご相談を承っております。「自分で対応するのは不安」「保険会社の対応に納得できない」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。特に、弁護士費用特約をご利用いただければ、費用負担なく交渉を任せることができます。
