代車期間の相当性~代車費用②~

2023年8月16日 カテゴリー:代車費用

自動車で交通事故に遭うと、事故車両の修理期間又は車両買替期間中の代車が必要となります。代車が認められる期間はいつまでなのかというのが今回のテーマです。
この代車費用はとても揉めやすい損害項目ですので今回はこちらを説明させていただきます。過失が双方に出る事故の場合には、代車費用が支払われないことが多いことについては過去のブログ記事(代車費用①)をご覧ください。
さて、代車使用料は一般的に、「修理期間中又は買替期間中の相当期間」が賠償の対象となるといわれています。この相当期間は被害者の方が考える期間より、かなり短く判断されることが多いです。交通事故実務でよく使われる「赤い本」では「修理期間は1週間~2週間が通例である(2003年赤い本)」と解説されていますが、さすがに短すぎる印象があります。地域によって違うと思いますが、加害者側損害保険担当者が、被害者に対して、説明する期間としては「修理3週間、買替は全損通知時より2週間」とすることが多い印象です。
ご相談者にとっては、自身に非の無い事故で慣れない代車を利用させられている中、その利用期間まで制限されてしまうというのは非常に納得がいかないことだと思います。だからこそ、過去の事故被害者の経験から学んで不利益を回避していくことが大切になります。
代車利用期間の相当性につき、ご相談者様からよく主張される理由をご紹介します。
①私には過失がない事故なので修理が終わる期間・納車までの期間の代車費用を出すべきです。
②相手が過失を認めなかったり、修理金額の支払を早期にしなかったりしたので、修理に着手できず代車期間が長くなったんです。
③修理部品が入らなかったり、修理がうまくいかなかったりしたのは私の責任ではないので長くなった期間はみて欲しいです。
①は残念ながら法的にはあまり考慮されません。事故発生について過失がどの程度あるかと、代車期間としてどこまでの期間が正当かという判断は理論的な関係性がないためです。
②についても残念ながら法的にはあまり考慮されません。賠償金は金銭で賠償されるという金銭賠償の原則がありますので、被害者の方が修理や買替を主体的に判断して早期に着手し、後に金銭での賠償を受けるというのが法の原則となっているからです。
③については、場合によっては考慮されますが、それでも修理期間が長くなり過ぎた場合には否定される可能性があります。修理部品が入手困難な車両に乗っていたリスクについては所有者にも負担を求められてしまったり、修理の不具合についてはその業者を選定した被害者の要因もあるため、延長修理期間は修理業者に代車を出してもらって解決するなどのリスク回避を求められるためです。

このように、代車期間はシビアに判断されることが多いことから、自衛のためにご自身の自動車保険に「レンタカー特約」を付保したり、修理期間・買替期間が長くなった場合には事前に担当業者様に代車を出していただけないかと早期に相談したりすることが必要となります。