玉突き事故の責任は?過失割合の考え方

2025年9月26日 カテゴリー:交通事故

玉突き事故の責任は?過失割合の考え方

玉突き事故では、3台以上の車両が絡むため、誰の責任になるのか、また過失割合がどうなるのかが問題になります。

しかも、高速道路での玉突き事故は、高速走行中に起きることが多いため、責任や過失割合の判断がより複雑になります。

以下では、玉突き事故とは玉突き事故の責任は誰にあるのか玉突き事故における過失割合の考え方などについて説明します。

玉突き事故とは

玉突き事故とは、後方の車両が前方の車両(中間の車両)に追突し、その反動で中間の車両がさらに前方の車両(先頭の車両)に追突するなど、3台以上の車両が絡む事故のことをいいます。

このように、玉突き事故は、2つ以上の追突事故が連続して起こっているため、事故の責任は誰にあるのかをめぐって争いになりやすいのが特徴です。

玉突き事故の責任は誰にあるのか

追突事故では、追突した側の運転者に前方不注視や車間距離不保持といった過失があるのが一般的です。そのため、追突した車両の運転者が過失責任を負うのが基本的な考え方です。

そして、玉突き事故も基本的に追突事故の一種とされ、原則として追突事故と同様に扱われます

追突事故では、最初に追突した車両、つまり事故のきっかけを作った車両の運転者の責任が問われるのが一般的です。事故の状況によっては、過失割合が100%になることもあります。

ただし、玉突き事故では、発生時の状況によって過失の割合が変わります。そのため、誰にどの程度の責任があるかもケースによって異なります

玉突き事故の場合には、その事故の発生の原因を作った側の過失割合が、一般的に大きくなる傾向があり、前方の車両に追突した後方の車両にはある程度の過失割合が認められます。

その一方で、先頭の車両や中間の車両に何らかの落ち度(過失)があり、そのことが原因で追突事故が起きた場合には、後方の車両以外の車両にも一定の過失割合が認められます。

以上から、玉突き事故では、過失割合が認められる車両の運転者に責任があるため、損害賠償の観点からは、賠償責任を負う者が1人の場合もあれば、2人以上となる場合もあります

玉突き事故における過失割合の考え方

以下では、一般道路と高速道路に分けて、玉突き事故における過失割合の考え方について見てみましょう。

一般道路での玉突き事故の場合

一般道路での玉突き事故の場合、基本となる過失割合は以下のとおりです。

後方の車両が追突したケース

後方の車両が追突したケース

後方の車両が追突したケースでは、先頭の車両、中間の車両、後方の車両の順で走行中に、あるいは、先頭の車両と中間の車両が赤信号で停車中に、後方の車両が中間の車両に追突したことで中間の車両が押し出され、中間の車両が先頭の車両に追突したことで起こる玉突き事故になります。

このケースの場合には、後方の車両の一方的な過失になるため、後方の車両の過失割合は100%、中間と先頭の各車両の過失割合はいずれも0%になります。

このケースの玉突き事故では、中間および先頭の各車両には過失がなく、後方の車両の前方不注視や車間距離不保持といった一方的過失によるものと考えられます。

もっとも、先頭の車両、中間の車両、後方の車両の順で走行中であれば、道路交通法24条では、「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、またはその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」とされていますので、先頭や中間の各車両にこのような違反(以下「法24条違反の急ブレーキ」といいます)がある場合には、先頭や中間の各車両にも過失が認められます。

中間の車両が急ブレーキをかけたケース

中間の車両が急ブレーキをかけたケース

中間の車両が急ブレーキをかけたケースでは、先頭の車両、中間の車両、後方の車両の順で走行中に、中間の車両が法24条違反の急ブレーキをかけたことが原因で、後方の車両が中間の車両に追突し、さらに中間の車両が先頭の車両に追突したことで発生する玉突き事故です。

このケースの場合には、中間の車両に法24条違反があるため、後方の車両の過失割合は70%、中間の車両の過失割合は30%、先頭の車両の過失割合は0%になります。

先頭の車両が急ブレーキをかけたケース

先頭の車両が急ブレーキをかけたケース

先頭の車両が急ブレーキをかけたケースでは、先頭の車両が法24条違反の急ブレーキをかけたことにより中間の車両が急ブレーキをかけたため、後方の車両が中間の車両に追突したことで中間の車両が押し出され、中間の車両が先頭の車両に追突したことで起こる玉突き事故になります。

このケースの場合には、急ブレーキをかけた先頭の車両の過失割合は30%、中間の車両の過失割合は0%、後方の車両の過失割合は70%になります。

中間の車両が先頭の車両に追突し、さらに後方の車両が中間の車両に追突したケース

このようなケースでは、2つの追突事故として扱われます。「順次追突事故」または「順次衝突」と呼ばれ、中間の車両と先頭の車両の間で最初の事故が起きており、それに対して後方の車両がまた別の事故を起こしたという扱いになるのです。

過失割合の考え方も、玉突き事故とは異なります。

中間の車両と先頭の車両との関係では、中間の車両の過失割合は100%、先頭の車両の過失割合は0%になります。ただし、先頭の車両が法24条違反の急ブレーキをかけた場合には、先頭の車両にも過失が認められます。

一方、後方の車両と中間の車両の関係では、後方の車両の過失割合は100%、中間の車両の過失割合は0%になります。この追突事故は、後方の車両の前方不注視や車間距離不保持などの一方的過失によるものと考えられます。

高速道路での玉突き事故の場合

高速道路での玉突き事故は、高速走行が前提とされているため、一般道路での玉突き事故と過失割合の考え方が若干異なる点があります。

玉突き事故の基本となる過失割合に影響する修正要素

玉突き事故の過失割合は、実際の事故の状況によって大きく変わります。

玉突き事故の基本となる過失割合に影響する主な修正要素としては、次のようなものが挙げられます。

玉突き事故の主な修正要素

  • 15km以上(高速道路では20km以上)の速度違反
  • 著しい前方不注視
  • 酒酔い運転
  • 運転操作ミス
  • 車両の整備状況
  • 車間距離不保持
  • 住宅街・商店街
  • 事故が一般道路で起きたか高速道路で起きたか
  • 故障や事故によって車両が駐停車した際の後続の車両への警告措置(ハザードランプの点滅、停止表示器材の設置等)の有無
  • 危険を防止するためやむを得ない場合を除き、車両を急に停止させ、またはその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキの有無

まとめ

玉突き事故では、上述したように、誰の責任になるのか、また過失割合がどうなるのかが問題になります。

玉突き事故に巻き込まれ、示談交渉や過失割合についてお困りの方は、早期に交通事故に詳しい弁護士へ相談することが重要です。交通事故の被害に遭い、お困りの際は、ぜひHOPE法律事務所へご相談ください。