後遺障害等級12級とは?認定の対象となる症状や慰謝料の相場などを解説
2025年9月15日 カテゴリー:後遺障害

交通事故の後遺障害は、全部で14段階の等級に分類されています。後遺障害等級12級は、後遺障害の中で3番目に軽い症状が分類される等級です。
「後遺障害12級と14級の神経症状にはどのような違いがあるの?」「12級に認定されたら慰謝料や逸失利益はどれくらいもらえるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、後遺障害等級12級の主な症状や認定基準、後遺障害慰謝料および逸失利益について解説します。後遺障害等級の申請を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
後遺障害等級12級の主な症状と認定基準
後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。12級は、その中で3番目に軽い等級です。
後遺障害等級12級の認定対象となる症状は、次のとおりです。
- 1.一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
- 2.一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
- 3.七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 4.一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
- 5.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
- 6.一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
- 7.一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
- 8.長管骨に変形を残すもの
- 9.一手のこ指を失つたもの
- 10.一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
- 11.一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
- 12.一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
- 13.局部に頑固な神経症状を残すもの
- 14.外貌に醜状を残すもの
それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。
1.一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
眼球の調節機能とは、近くの物や遠くの物にピントを合わせる機能のことです。調節機能に障害が残ると、目に負担がかかって疲れを感じやすくなったり、遠近感覚が鈍って日常生活に支障をきたしたりします。「著しい調節機能障害」とは、調節機能が正常時の2分の1以下に低下した場合を示します。
眼球の運動障害とは、眼球の動きが制限され、見える範囲が狭くなる症状のことです。視野が2分の1以下に狭まると、「著しい運動障害」として後遺障害等級12級に該当します。
なお、調節機能や運動機能は年齢と共に衰えるため、障害が見られる場合でも年齢が原因と考えられるケースでは後遺障害認定の対象とはなりません。
両眼に著しい調節機能障害または運動障害が残った場合は、11級1号に該当します。
2.一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
まぶたの著しい運動障害とは、まぶたを開けても瞳孔が隠れたままになったり、閉じても角膜が露出したままになる状態を指します。
同様の症状が両眼に残る場合は、11級2号に該当します。
3.七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
「歯科補綴」とは、歯の欠損を入れ歯やインプラント、金属の被せ物などで補う治療方法のことです。
歯科補綴の対象となる歯の本数が7本以上になると、12級3号に該当します。さらに、10本以上になると11級4号、14本以上になると10級4号の認定対象となります。
4.一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
耳殻とは、耳の最も外側にあり、音を集める機能を持つ部分のことです。交通事故で耳殻の半分以上を失った場合、耳殻の大部分を欠損したものとして12級4号に該当します。
耳殻の欠損は、「外貌に著しい醜状を残すもの」として7級12号に該当する可能性もあります。12級と7級では慰謝料や逸失利益の金額が大きく異なるため、12級にとどまった場合は専門家に相談することをおすすめします。
5.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
交通事故で骨折した骨が正常な形に戻らず変形した場合は、12級5号に該当する可能性があります。「著しい変形」とは、目視で確認できる程度の変形を示します。レントゲンで変形が確認できても、目視で確認できない場合は12級5号に該当しません。
12級5号でよく見られる事例として、肩鎖関節脱臼により肩の骨が浮き上がったまま戻らないケースが挙げられます。
6.一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
上肢の三大関節とは、肩・肘・手首の関節のことです。このうち1つの関節に機能障害が残った場合は、12級6号に該当します。関節の機能障害として認定されるのは、次のいずれかの症状です。
- 関節の可動域が4分の3以下に制限された
- 手のひらを上に向けたり下に向けたりする運動(回内・回外運動)の可動域が2分の1以下に制限された
可動域の測定には、ゴニオメーターという器具が用いられます。可動域制限が認定されるには、器具による測定だけでなく、画像所見での客観的な証拠が必要です。
なお、機能障害の程度が重くなると、「著しい障害を残すもの」として10級10号、「用を廃したもの」として8級6号に該当する可能性があります。
7.一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
下肢の三大関節とは、股関節・膝関節・足首の関節のことです。可動域が4分の3以下に制限された場合は、12級7号に該当します。
なお、機能障害の程度が重くなると、「著しい障害を残すもの」として10級11号、「用を廃したもの」として8級7号に該当する可能性があります。
8.長管骨に変形を残すもの
長管骨とは、腕や脚にある長い骨のことです。長管骨が骨折し、癒着がうまくいかなかったり、ねじれてしまった場合は、12級8号に該当します。
長管骨の変形障害により偽関節が残った場合は、より重い8級9号や7級10号に該当する可能性があります。
9.一手の小指を失つたもの
「小指を失った」とは、小指が第一関節から第二関節の骨から切断された状態を指します。
小指以外も失った場合や、他の指に障害が残る場合には、11級8号や10級7号など、より重い等級に該当する可能性があります。
10.一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
指の「用を廃した」とは、次のいずれかの状態を指します。
- 関節が強直して全く動かせない状態となった
- 末関節の長さの半分以上を失った
- 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された
片手の人差し指、中指もしくは薬指が「用を廃した」状態になった場合は、12級10号に該当します。これらの指を失った場合は、より重い11級8号に該当します。
11.一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
「足指を失った」とは、足指が中足指節関節から切断された状態を指します。中足指節関節とは、足指の根元にある関節のことです。第二の足指とは人差し指、第三の足指とは中指を指します。したがって、12級11号に該当するのは、次のいずれかの場合です。
- 片足の人差し指が切断されたとき
- 片足の人差し指に加えて、中指、薬指、小指のいずれか1本が切断されたとき
- 片足の中指、薬指、小指の3本が切断されたとき
12.一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
「指の用を廃した」とは、12級10号で説明した状態を指します。第一の足指とは、親指のことを指します。したがって、12級12号に該当するのは、次のいずれかの場合です。
- 片足の親指が「用を廃した」状態となったとき
- 片足の人差し指、中指、薬指、小指の4本が「用を廃した」状態となったとき
親指もしくは他の4本の指を失った場合は、より重い10級9号に該当します。親指に加えて他のいずれかの指が「用を廃した」状態になった場合は、11級9号に該当します。
13.局部に頑固な神経症状を残すもの
「神経症状」とは、身体のしびれ、痛み、耳鳴り、めまいなどの症状を指します。神経症状による後遺障害は、14級9号と12級13号の2つに分類されます。
神経症状による後遺障害は、主にむち打ち症で問題となります。12級13号が認定されるには、むち打ち症による痛みやしびれなどの自覚症状が、レントゲンやMRIなどの画像所見によって裏付けられることが必要です。具体的には、画像により神経が圧迫されている状態を確認できる場合に12級13号が認定されます。
痛みやしびれなどの自覚症状が画像所見で裏付けられない場合は、14級9号に該当するかどうかが問題となります。ただし、14級9号についても、自覚症状があるだけでは不十分であり、事故や治療の経過などから継続性を医学的に説明できることが必要です。
神経症状による後遺障害は、認定が難しい症状のひとつです。神経症状で後遺障害の認定を受けるには、早い段階で専門家へ相談することをおすすめします。
14.外貌に醜状を残すもの
「外貌」とは、頭部や顔、首など、日常的に露出している部位を指します。頭髪や衣類で隠れる部分の醜状については、12級14号の対象とはなりません。
「醜状」とは、火傷や手術痕などによる傷跡を指します。醜状の後遺障害は、醜状の大きさや身体の部位によって認定される等級が異なります。
12級14号に該当する「醜状」は、以下のとおりです。
- 頭部・首に鶏の卵より大きい傷跡
- 顔に十円玉以上の傷跡、長さ3㎝以上の線状痕
醜状の程度がより重い場合は、その程度に応じて9級16号または7級12号に該当する可能性があります。
後遺障害等級12級の慰謝料・逸失利益
後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級12級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、交通事故により後遺症が残ったことによる精神的苦痛への賠償です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

このうち、自賠責基準と弁護士基準については、具体的な金額が明示されています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。
後遺障害等級12級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。
- 自賠責基準:94万円
- 弁護士基準:290万円
自賠責基準と弁護士基準の差額は、等級が高くなるほど大きくなります。12級では、約200万円もの差があります。
自賠責保険では、慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は224万円です。弁護士基準では、逸失利益だけで数百万円になることもあり、後遺障害慰謝料と合わせた場合、自賠責基準との差はさらに拡大します。
逸失利益
逸失利益とは、後遺障害によって将来得られるはずだった利益が失われたことに対する損害賠償です。
逸失利益の計算式は、次のようになっています。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われる労働能力の割合であり、等級ごとに目安となる数値が定められています。後遺障害等級12級の労働能力喪失率は14%です。
なお、労働能力喪失率はあくまで目安であるため、同じ後遺障害等級12級でも、症状により数値が変動する可能性があります。
労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で算出されます。なお、年長者の場合は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方を労働能力喪失期間とします。
まとめ
後遺障害等級12級に該当する症状は多岐にわたり、症状の内容や証明の難易度によって、認定の可否や最終的な賠償金額に影響することがあります。
適正な等級認定を受け、正当な補償を得るためには、医学的な裏付けと法的な知識の両面から対応することが重要です。
交通事故による後遺症でお悩みの方や、等級認定に不安のある方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。
