後遺障害等級10級とは?症状や認定基準、慰謝料などを解説
2025年8月22日 カテゴリー:後遺障害

交通事故による後遺障害は、1級から14級までに分類され、1級が最も重く、14級が最も軽い等級です。10級は、その中で下から5番目にあたる等級で、軽度とはいえ一定の後遺症が認められる水準です。
「後遺障害10級にはどのような症状が分類されるの?」「10級に認定されたら慰謝料や逸失利益はどれくらいもらえるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、後遺障害等級10級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
後遺障害等級10級の主な症状と認定基準
後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。10級は、その中で5番目に軽い等級です。
後遺障害等級10級の認定対象となる症状は、次のとおりです。
- 1.一眼の視力が〇・一以下になつたもの
- 2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの
- 3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
- 4.十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
- 6.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
- 7.一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
- 8.一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
- 9.一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
- 10.一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
- 11.一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。
1.一眼の視力が〇・一以下になつたもの
「一眼の視力が0.1以下になったもの」とは、矯正視力が0.1以下になった状態を指します。矯正視力とは、メガネやコンタクトレンズを装着しての視力のことです。当然のことながら、事故前から視力が0.1以下の場合には認定対象とはなりません。交通事故が原因と認められるためには、事故前の視力検査の結果が残っていることが必要です。
なお、片目だけでなく両目の視力が0.1以下になった場合は、より重い後遺障害等級6級1号に該当します。
2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの
「複視」とは、物が二重に見える症状を示します。複視が起こる主な原因は、目の周りの筋肉の麻痺です。交通事故が原因で目の周りの筋肉が麻痺し、正面を見た際に複視の症状が残る場合に10級2号が認定されます。
なお、正面以外を見た場合の複視については、後遺障害等級13級2号が認定されます。
3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
ここでの咀嚼機能の障害とは、普通の固さの食材は十分に咀嚼できるが、ピーナッツや沢庵などの固い食材を十分に咀嚼できない状態のことを示します。咀嚼機能の障害が認められるには、不正咬合や顎関節の障害など咀嚼障害の原因が医学的見地から確認できることが必要です。
言語機能の障害とは、口唇音(ま行やぱ行など)、歯舌音(な行、さ行など)、口蓋音(か行やや行など)、喉頭音(は行)の4種の子音のうち1種類以上の発音が十分にできない状態のことを示します。
なお、咀嚼機能と言語機能の両方に障害が残った場合は、より重い9級6号が認定されます。
4.十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
「歯科補綴」とは、歯が欠けたり、抜けたりした場合に人工の歯や補綴物(ほてつぶつ)で歯の機能を回復させる治療方法のことです。具体的な治療法としては、入れ歯やインプラント、金属の被せ物などが挙げられます。
歯科補綴についての後遺障害は、14本以上の10級4号が最も重い等級です。歯科補綴の本数が14本より少ない場合は、11級4号や12級3号などより軽い等級の認定対象となります。
5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度とは、次のいずれかの状態を指します。
- 平均純音聴力レベルが50dB以上の状態
- 平均純音聴力レベルが40dB以上かつ最高明瞭度が70%以下の状態
平均純音聴力レベルとはどの程度まで小さな音を聞き取れるかのレベルのことです。最高明瞭度とは、言葉をはっきり聞き取れる程度のことです。最高明瞭度70%以下とは、1m先の会話を70%未満しか聞き取れない状態を指します。
聴力の障害については細かく等級が分けられているため、専門医による詳しい検査が必要です。両耳の聴力障害については、10級5号以外にも、11級5号、9級7号、7級2号などがあります。
6.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
耳に接しなければ大声を解することができない程度とは、平均純音聴力レベルが80から90dB未満の状態を指します。80dBとは近くの救急車のサイレンやパチンコ店の店内くらいの音量です。
片耳の聴力がさらに悪化して完全に聴力が失われてしまった場合は、9級9号の認定対象となります。
7.一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
指の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態のことです。
- 関節が強直して全く動かせない状態となった
- 末関節の長さの半分以上を失った
- 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された
片手の親指もしくは親指以外の2本が「用を廃した」状態になったときは10級7号の認定対象となります。
手指の「用を廃した」状態については、指の種類や本数によって8級4号や9級13号などの等級に分けられています。
8.一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
10級8号は、片方の下肢の上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)から下腿内果下端までの長さが、もう片方と比べて3cm以上短くなった場合に認定されます。上前腸骨棘とは、骨盤の出っ張り部分、下腿内果下端とはくるぶしの内側部分のことです。
つまり、上前腸骨棘から下腿内果下端までの長さとは、骨盤からくるぶしにかけての長さを示します。短縮の程度が1cm以上3cm未満のときは、13級8号の認定対象となります。
9.一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
「足指を失った」とは、足指が足指の根元にある中足指節関節から先で切断された状態のことです。第一の足指とは親指を示します。
つまり、足の親指1本もしくは他の4本をすべて失ったときに10級9号の認定対象となります。失った指の種類や本数が異なる場合は、12級11号や9級14号など他の等級の認定対象です。
10.一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
上肢の三大関節とは肩・肘・手首関節のことです。このうち1つの関節に「著しい」機能障害が残ったときは、10級10号の認定対象となります。関節の「著しい」機能障害として認定されるのは、次のいずれかの症状です。
- 関節の可動域が2分の1以下に制限された
- 人工関節や人工骨頭に置き換えた関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1を超える
可動域制限が認定されるには、器具による測定に加えて、画像所見などの客観的な裏付けが必要です。つまり、自己申告だけで可動域制限が認定されることはありません。なお、機能障害の程度によっては「障害を残すもの」として12級6号が認定されたり、「用を廃したもの」として8級6号が認定されたりする可能性があります。
11.一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
下肢の三大関節とは、股関節・膝関節・足首の関節のことです。10級10号と同じく可動域が2分の1以下に制限された場合に、10級11号の認定対象となります。
なお、機能障害の程度によっては「障害を残すもの」として12級7号が認定されたり、「用を廃したもの」として8級7号が認定されたりする可能性があります。
後遺障害等級10級の慰謝料・逸失利益
後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級10級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

このうち、自賠責基準と弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。
後遺障害等級10級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。
- 自賠責基準:190万円
- 弁護士基準:550万円
自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。10級では、約360万円もの差があります。
自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は461万円で、弁護士基準の慰謝料を下回る基準となっています。弁護士基準では慰謝料550万円に加えて、被害者の方の年齢や収入に応じた逸失利益が支払われるため、金額の差が数倍になることもあるでしょう。
逸失利益
逸失利益とは、後遺障害によって将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。
逸失利益の計算式は、次のようになっています。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級10級の労働能力喪失率は27%です。
なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級10級でも症状によって数値は変動する可能性があります。
労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間です。
まとめ
後遺障害等級10級に該当する症状は、比較的軽度とはいえ、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすこともあります。適切な等級認定を受けるためには、症状に応じた医学的証拠や事故との因果関係を正しく証明することが重要です。また、慰謝料や逸失利益についても、選択する基準によって受け取れる金額に大きな差が生じるため、慎重な対応が求められます。
後遺障害の申請や賠償金の請求でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。
