交通事故で被害者が死亡した場合に請求できる損害
2025年7月24日 カテゴリー:交通事故

交通事故によって被害者が死亡した場合に、加害者に請求できる損害には、入通院治療費、付添介護費、入院雑費、入通院交通費等の治療にかかった費用のほか①葬儀関係費用・遺体搬送費用、②死亡による逸失利益、③慰謝料などがあります。今回は、被害者が死亡した場合特有の損害項目について説明します。
多くの損害項目は定型化・定額化されていますが、自賠責保険が用いる基準、任意加入の保険会社が用いる基準、弁護士や裁判所が用いる基準といった、複数の異なる基準があります。今回は、弁護士や裁判所が用いる基準をもとに死亡事故特有の損害について説明しますが、いずれもあくまで一応の目安にとどまることにご留意ください。
葬儀関係費用・遺体搬送料
加害者に請求できる葬儀関係費用には、
- 葬祭費
- 供養料
- 墓碑建立費
- 仏壇費
- 仏具購入費
などがあります。ただし香典返しは損害として認められませんが、香典を受け取った場合でも損害額から控除されることはありません。
葬儀関係費用は150万円前後が基準額とされ、これを超える支出は認められないことが多いです。他方、支出額が150万円未満の場合には、実際の支出額のみが損害として計上されます。
なお、遺体搬送料は葬儀費用とは別個に計上されます。
死亡による逸失利益
被害者が死亡した場合、もし生きていれば得られたであろう将来の収入が失われます。この損害を「死亡による逸失利益」といい、遺族が請求できます。
ただし、被害者本人の生活費は不要となるため、逸失利益から生活費が控除されます。
計算方法
逸失利益 = 被害者の年収 × (1 – 生活費控除率) × ライプニッツ係数
※生活費控除率は、被害者が一家の支柱である場合には30~40%、被害者が独身男性の場合は50%など、それぞれ異なります。
※将来得られる収入を一度にもらうため、将来の分は一定割合の利息分を差し引く必要があり、そのためにライプニッツ係数をかけることとされています。
被害者の属性ごとの算定
(1)給与所得者
事故前の実収入額を基礎として算定します。
(2)事業所得者
事故前の申告所得を基礎としますが、申告額が実際より低い場合は、実収入額を立証できればそれを基礎に算定できます。
(3)会社役員
報酬のうち労務提供の対価部分は算定基礎になりますが、利益配当部分は認められない場合があります。
(4)主婦(夫)
原則として賃金センサスの女性労働者平均賃金が基礎です。仕事をしており収入が平均賃金以上なら、実収入額が基礎となり、家事労働分の加算は通常認められません。
(5)幼児・学生
賃金センサスの男女別全年齢平均賃金を基礎とします。進学が確実視される場合は、進学後学歴の平均賃金が用いられることもあります。
(6)失業者
無職でも労働能力・意欲があり、就労の可能性が高ければ逸失利益が認められます。通常は失業前収入を基礎としますが、平均賃金以下の場合、平均賃金を基礎に算定することがあります。
(7)年金受給者
国民年金(老齢年金)は逸失利益として認められますが、遺族年金や障害年金加給分は対象外です。
(8)高齢者
事故時に就労していた場合は、逸失利益を請求できることがあります。
一方で、事故時に就労しておらず、年金も受給していなかった場合は、通常、逸失利益を請求することはできません。ただし、家族のために家事をしていた場合や、労働能力・意欲があり、将来的に就労する可能性が高かったと考えられるときには、逸失利益が認められることがあります。
この場合、就労の可能性があると判断されれば、賃金センサスの学歴別・男女別・年齢別の平均賃金を基礎として算定されることになります。
死亡慰謝料
被害者死亡の場合、被害者本人分の慰謝料と遺族の慰謝料を請求できます。

弁護士・裁判基準の目安は以下の通りです(あくまで目安で、満額認められるとは限りません)。
| 一家の支柱 | 2800万円 |
|---|---|
| 母親・配偶者 | 2500万円 |
| その他 | 2000~2500万円 |
なお、この金額には近親者固有の慰謝料も含まれているため、別途請求することは通常ありません。
注意点
被害者側にも過失がある場合は、過失割合に応じて減額されます。詳しくは別記事で解説します。
まとめ
このように請求できる金額は、被害者の立場や過失割合によって異なります。適切な賠償額を請求するためには、まず弁護士に相談することをおすすめします。
当事務所では、各事案ごとに問題点を検討し、適切な賠償額をご提案いたします。交通事故の慰謝料や賠償でお困りの際は、静岡の交通事故に強いHOPE法律事務所までご相談ください。
