後遺障害等級14級とは?主な症状や認定基準などを解説
2025年9月15日 カテゴリー:後遺障害

後遺障害等級14級は、後遺障害の中で最も軽い等級であり、9つの症状に分類されています。
「どのような症状が14級に分類されるのか?」「14級に認定されるとどのくらいの賠償金を受け取れるのだろう?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、後遺障害等級14級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害等級の申請を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
後遺障害等級14級の主な症状と認定基準
後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きいほど症状が軽いものとなります。つまり、後遺障害等級14級に分類されるのは、後遺障害の中では最も症状が軽いものです。
後遺障害等級14級の症状は、次のとおりです。
- 1.一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
- 2.三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 3.一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
- 4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
- 5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
- 6.一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
- 7.一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
- 8.一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
- 9.局部に神経症状を残すもの
それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。
1.一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
1号の「まぶたの一部に欠損」とは、片方の目のまぶたの一部が欠損して、目を閉じても眼球を覆い隠せない状態のことを示します。「まつげはげ」とは、一時的な脱毛を含むものではなく、片方の目のまつげの半分以上が生えてこなくなった状態のことです。
なお、「一眼の」と規定されているとおり、両方の目に同様の症状がある場合には、13級4号の「両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」に該当します。
2.三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
「歯科補綴」とは、歯が欠けたり、抜けてしまったりした場合に人工の歯や補綴物(ほてつぶつ)で歯の機能を回復させる治療方法のことです。具体的には、入れ歯やインプラント、金属のかぶせものなどがこれに当たります。
3本以上の歯に歯科補綴の治療を行った場合に、認定されるのが14級2号です。さらに、5本以上の歯科補綴は13級5号、7本以上の歯科補綴は12級3号と歯科補綴の本数が増えると、上位の等級が認定されるかが問題となります。
3.一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
3号は、交通事故により聴力が落ちてしまった場合の規定です。具体的には、平均純音聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満になった場合に14級3号に該当するかが問題となります。
両耳の聴力が同程度にまで低下してしまった場合には、11級5号の「両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの」に該当するか否かが問題となります。
4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
「上肢の露出面」とは、肩関節から指先までのことです。腕や手に手のひら大の傷跡が残った場合には、14条4号の該当性が問題となります。
なお、「上肢の露出面」については、自賠責基準と労災基準に違いがあります。労災基準では、ひじ関節から指先までが「上肢の露出面」とされており、自賠責基準よりも範囲が狭くなっているため、労災で後遺障害認定を受ける際には注意が必要です。
5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
「下肢の露出面」とは、股関節から足先までのことです。14級4号と同じく手のひら大の傷跡が残った場合に後遺障害認定の対象となります。
なお、14級4号と共通で「てのひら」とは、指を除く手のひらのことで、被害者の手のひらの大きさを基準に判断します。
6.一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
片手の親指以外の指の骨について、一部が欠損した場合には14条6号該当性が問題となります。後遺障害認定を受けるには、レントゲン写真により医学的な見地から骨の欠損が認められるだけでなく、それが交通事故の影響によるものと判断されなければなりません。
親指の骨の一部が欠損した場合には、13条7号の「一手のおや指の指骨の一部を失つたもの」に該当するかが問題となります。骨の欠損の程度によっては、「指の用を廃したもの」として、より高い等級認定を受ける可能性もあります。
7.一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
「遠位指節間関節」とは第一関節のことです。親指以外の第一関節の曲げ伸ばしができなくなってしまった場合には、14級7号の該当性が問題となります。
「屈伸することができなくなった」状態とは、被害者の自己申告だけではなく、医師の診察により可動域を確認するとともに、レントゲンやCTなどで客観的に関節や筋繊維の損傷が見受けられる状態のことを示します。
8.一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
「第三の足指以下」とは、中指、薬指、小指のことを指します。これらのうち1本もしくは2本が「用を廃した」状態になると、14級8号該当性が問題となります。
「用を廃した」とは、次のいずれかの状態のことです。
- 指が切断された
- 関節が強直して全く動かせない状態となった
- 末関節の長さの半分以上を失った
- 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された
このうち、強直や可動域制限については、実際に症状が残っていたとしても交通事故との因果関係が問題となり、後遺障害認定のハードルは高いものとなっています。
9.局部に神経症状を残すもの
「神経症状」とは、神経系の損傷により現れる症状のことです。具体的には、むち打ち症による痛みやしびれ、打撲による耳鳴りやめまいなどが挙げられます。
「神経症状」は、被害者の自己申告に基づくもので客観的な判断が難しいものです。レントゲンやCTなどで神経症状を示す他覚初見が見当たらない場合には、交通事故の状況、通院歴やカルテの記載などから14級9号の該当性を判断することになります。
レントゲンやCTの画像で他覚初見を説明できないないむち打ち症で後遺障害認定を受けるには、少なくとも半年以上の通院が必要です。なお、神経症状の程度によっては「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号に該当するか否かが問題となりますが、画像で他覚初見を確認できないむち打ち症で12級の認定を受けるのは極めて難しいでしょう。
後遺障害等級14級の慰謝料・逸失利益
後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級14級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

このうち、自賠責基準と弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。
後遺障害等級14級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。
- 自賠責基準:32万円
- 弁護士基準:110万円
このとおり、自賠責基準と弁護士基準とでは大きな差があります。さらに、自賠責基準については、逸失利益を含めた上限額が75万円と定められており、後遺障害慰謝料と逸失利益を合算した金額では、自賠責基準と弁護士基準との差がより大きなものとなります。
逸失利益
逸失利益は、後遺障害によって、将来得られるはずであった利益が得られなくなることにたいする損害賠償金の性質を持つものです。
逸失利益の計算式は、次のようになっています。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級14級の労働能力喪失率は5%です。ただし、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級14級でも症状によって数値は変動する可能性があります。
労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間です。
ただし、14級9号のむち打ち症の場合、労働能力喪失期間は、2年から5年の範囲内が一応の目安とされています。
まとめ
後遺障害等級14級は、最も軽い等級とはいえ、将来にわたる生活や仕事に影響を及ぼすケースも少なくありません。認定を受けるためには、医師の診断書や画像所見、通院状況など、客観的な資料を適切にそろえることが重要です。また、慰謝料や逸失利益についても、基準によって受け取れる金額に大きな差が生じるため、慎重な対応が求められます。
後遺障害の申請や損害賠償請求でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。
