後遺障害等級11級とは?他の等級との症状の違いや賠償金の相場などを解説
2025年9月15日 カテゴリー:後遺障害

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までの等級に分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。11級は、比較的軽い後遺症が対象となる等級です。
「後遺障害11級にはどのような症状が分類されるの?」「11級に認定されたら賠償金はどれくらいもらえるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、後遺障害等級11級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
後遺障害等級11級の主な症状と認定基準
後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。11級は、その中で4番目に軽い等級です。
後遺障害等級11級の認定対象となる症状は、次のとおりです。
- 1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
- 2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
- 3.一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
- 4.十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
- 6.一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
- 7.脊柱に変形を残すもの
- 8.一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
- 9.一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
- 10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。
1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
眼球の調節機能とは、いわゆるピントを合わせる力のことです。近くや遠くのものに焦点を合わせる能力に障害が残ると、日常生活に大きな支障が生じます。調節機能が正常時の2分の1以下に低下した場合は、「著しい」調節機能障害とされます。
また、眼球の運動障害とは、眼球を動かして見える範囲(注視野)が狭くなる症状のことを指します。見える範囲が通常の2分の1以下になると、「著しい」運動障害として後遺障害等級12級に該当します。
これらの調節機能障害や運動障害が片目だけに生じた場合は、12級1号が適用されます。ただし、調節機能や運動機能は加齢によって低下するため、55歳以上の方は12級1号の対象外とされています。
2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
まぶたの著しい運動障害とは、自分の意思でまぶたを開けようとしても瞳孔が隠れた状態になってしまったり、逆にまぶたを閉じようとしても角膜が完全には隠れない状態になることを指します
片目に同様の症状が残る場合には、12級2号の認定対象となります。
3.一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
まぶたの「著しい欠損」とは、まぶたの欠損により目を閉じても角膜を完全には覆いきれない状態のことを指します。
両目のまぶたに著しい欠損が残ってしまった場合は、9級4号の認定対象となります。
4.十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
「歯科補綴」とは、歯が欠けたり、抜けたりした場合に人工の歯や補綴物(ほてつぶつ)で歯の機能を回復させる治療方法のことです。具体的な治療法としては、入れ歯やインプラント、金属の被せ物などが挙げられます。
歯科補綴の対象となる歯の本数によって、認定される後遺障害等級は異なります。10本以上に歯科補綴を行った場合は11級4号、14本以上になると10級4号の認定対象となります。
5.両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
1m以上の距離では小声を解することができない程度とは、具体的な数値で平均純音聴力レベルが40dB以上の状態を指します。
平均純音聴力レベルとはどの程度小さな音を聞き取れるかを示す指標です。つまり、両耳で40dB以上の音しか聞き取れない状態になると11級5号の認定対象となります。
両耳の聴力の程度がさらに低くなり「40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度」になると、10級5号の認定対象となります。
6.一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度とは、次のいずれかの状態を指します。
- 平均純音聴力レベルが70から80dB未満の状態
- 平均純音聴力レベルが50dB以上かつ最高明瞭度が50%以下の状態
最高明瞭度とは、言葉をはっきり聞き取れる能力を示す指標です。最高明瞭度50%以下とは、言葉を半分以下しか聞き取れない状態のことを指します。
片耳の聴力がさらに悪化して「耳に接しなければ大声を解することができない程度」になると、10級6号の認定対象となります。
7.脊柱に変形を残すもの
脊柱の変形とは、次のいずれかの状態を指します。
- 脊椎圧迫骨折が画像で確認できる状態
- 脊椎固定手術を行い、移植した骨が脊椎に吸収されていない状態
- 3個以上の脊椎に椎弓切除術などの椎弓形成術を施した状態
さらに、脊柱の変形が運動障害を引き起こしている場合には「脊柱に運動障害を残すもの」として8級2号、または「脊せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの」として6級5号の認定対象となります。
8.一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
後遺障害認定における指を失った状態とは、指が第二関節より先の骨から切断された状態のことです。人差し指、中指、薬指のいずれか1本を失った場合には11級8号が認定されます。
失った指の本数が多くなると、9級12号や8級3号などより重い等級の認定対象となります。
9.一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
指の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態のことです。
- 関節が強直して全く動かせない状態となった
- 末関節の長さの半分以上を失った
- 第二関節、第三関節を失った、可動域が1/2以下に制限された
第一の足指とは親指を示すので、11級9号は親指を加えた2本以上の指が「用を廃した」状態となった場合に認定される等級です。親指以外が「用を廃した」状態となった場合は、13級10号や12級11号の認定対象となります。
10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
11級10号の胸腹部臓器の機能障害とは、呼吸器・循環器・消化器・泌尿器の機能障害のことです。「労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」とは、働くことはできるものの業務を遂行するうえで差し障りがある状態のことを指します。
胸腹部臓器の機能障害により働ける業務の内容が制限されたり、働くことができなくなったりした場合には、9級11号や7級5号など、より重い等級の認定対象となります。
後遺障害等級11級の慰謝料・逸失利益
後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級11級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

このうち、自賠責基準と弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。
後遺障害等級11級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。
- 自賠責基準:136万円
- 弁護士基準:420万円
自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。11級では、300万円近い差があります。
自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は331万円となっており、弁護士基準の慰謝料すら下回る金額となっています。弁護士基準では、さらに逸失利益として数百万円を請求できます。
逸失利益
逸失利益とは、後遺障害によって将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。
逸失利益の計算式は、次のようになっています。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級11級の労働能力喪失率は20%です。
なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級11級でも症状によって数値は変動する可能性があります。
労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間です。
まとめ
後遺障害等級11級に該当する症状は、比較的軽度とされながらも、日常生活や仕事に影響を及ぼす可能性があります。等級認定を受けるには、医学的な裏付けや事故との因果関係の証明が求められ、適切な資料の収集と専門的な対応が重要です。また、慰謝料や逸失利益についても、基準によって受け取れる金額に大きな差が生じるため、慎重に対応する必要があります。
後遺障害の申請や賠償金の交渉でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。
