後遺障害等級6級とは?具体的な症状や基準ごとの慰謝料などを解説

2025年8月22日 カテゴリー:後遺障害

後遺障害等級6級とは?具体的な症状や基準ごとの慰謝料などを解説

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までに分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。なかでも6級は重い部類に含まれ、厳しい症状が対象となります。

6級に分類されるのはどのような症状なの?」「6級で保険会社が提示してきた慰謝料の金額は妥当なの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、後遺障害等級6級の主な症状や認定基準、後遺障害慰謝料および逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

後遺障害等級6級の主な症状と認定基準

後遺障害等級は、1級から14級までに分類されており、数字が大きくなるほど症状は軽くなります。後遺障害等級6級では、8種類の症状が認定対象とされています。

後遺障害等級6級の認定対象となる症状は、次のとおりです。

後遺障害等級6級に該当する主な症状

  • 1.両眼の視力が〇・一以下になつたもの
  • 2.咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  • 3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  • 4.一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  • 5.脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  • 6.一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  • 7.一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  • 8.一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの

参照:後遺障害等級|自賠責保険・共済紛争処理機構

それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。

1.両眼の視力が〇・一以下になつたもの

両眼の視力が0.1以下になったもの」とは、両眼での矯正視力が0.1以下になった状態を指します。矯正視力とはメガネやコンタクトレンズを装着した視力のことです。

後遺障害認定を受けるには視力低下の原因が交通事故でなくてはならないため、もともと視力が低下していた場合には、後遺障害認定の対象とはなりません

交通事故が原因の視力低下であることを証明するには、過去の眼科検診などで交通事故前の視力検査結果が残っていることが必要となります。

なお、両目の視力が0.06以下になった場合は、より重い後遺障害等級4級1号が認定されます。

2.咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの

咀嚼機能の著しい障害とは、おかゆや柔らかい麺類のようなものしか噛み砕けない状態を指します。

言語機能の著しい障害とは、口唇音(ま行、ぱ行など)、歯舌音(な行、さ行など)、口蓋音(か行、や行など)、喉頭音(は行)の4種の子音のうち2種類以上の発音が十分にできない状態のことです。

また、4種の子音のうち3種類以上の発音ができても、音をつなげられずに言葉での意思疎通ができない状態になったときには、言語機能の著しい障害と認定されます。

咀嚼機能と言語機能の両方に著しい障害が残る場合は、より重い4級2号が認定されます。

3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの

聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度とは、次のいずれかの状態を指します。

聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度

  • 平均純音聴力レベルが80dB以上の状態
  • 平均純音聴力レベルが50dB以上80dB未満で最高明瞭度が30%以下の状態

平均純音聴力レベルとは、どの程度まで小さな音を聞き取れるかのレベルのことです。

最高明瞭度とは、言葉をはっきり聞き取れる程度のことです。最高明瞭度30%以下とは、言葉を聴き取れる割合が3割以下の状態のことを指します。

両耳の聴力が失われてしまった場合には、より重い4級3号の認定対象となります。

4.一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの

聴力を失った状態とは、平均純音聴力レベルが90dB以上の状態を指します。90dBとは、カラオケ店の店内や近くの犬の鳴き声くらいの騒音レベルです。

平均純音聴力レベルが90dB以上になると、90dB以上の音しか聴き取れない状態となり、日常生活ではほとんど音が聞こえなくなるため、聴力を失ったと判断されます

他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度とは、片方の耳の平均純音聴力レベルが70dB以上であることを意味します。

まとめると、片耳の聴力を失い、もう片方の耳の平均純音聴力レベルが70dB以上になった場合、6級4号が認定されます。

5.脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

脊柱の著しい変形とは、X線写真やMRIなどの画像によって脊椎圧迫骨折を確認できることに加えて、次のいずれかの条件を満たすもののことです。

脊柱の著しい変形が認められる条件

  • 2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じた状態
  • 1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生ずるとともに、コブ法による側彎度が50度以上となった状態

前方椎体高とは、変形した椎体の前方部分の高さのことです。前方椎体高が減少すると、脊柱が前方に丸まった状態となり後彎(こうわん・背中が丸くなった状態)が発生します。

側彎度(そくわんど)とは、前方ではなく横方向のゆがみのことです。前方椎体高が減少した椎体が1個であっても、背中が丸まった状態になることに加えて脊柱が横方向にも曲がった状態になると6級5号の認定対象となります。

脊柱の運動障害とは、頸部と胸腰部が強直した状態のことです。強直とは脊柱が癒着して動かなくなる状態を指します。6級5号が認定されるには、強直の原因が次のいずれかであることが必要です。

6級5号が認定される強直の原因

  • 頸椎と胸腰椎両方に脊椎圧迫骨折が発生したことがX線写真やMRIなどの画像で確認できる状態
  • 頸椎と胸腰椎両方に脊椎固定術が施された状態
  • 首から腰にかけての組織に明らかな器質的変化が認められる状態

脊柱の変形や運動障害の程度が6級5号より軽い場合には、11級7号8級2号の認定対象となる可能性があります。

6.一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

上肢の三大関節とは肩・肘・手首関節のことです。関節の「用を廃した」状態とは、次のいずれかの状態を指します。

関節の用を廃した状態

  • 関節が強直した状態(癒着により動かなくなった状態)を画像所見で確認できる状態
  • 関節の可動域が10分の1以下に制限された状態
  • 人工関節や人工骨頭に置き換えた間接の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限された状態

関節の可動域は器具による測定で判断します。ただし、測定の結果で可動域制限が認められたとしても、画像所見による裏付けがなければ後遺障害の認定を受けることはできません

6級6号は、上肢の三大関節のうち2つが用を廃した状態となった場合に認定される等級です。用を廃した関節が1つの場合には、8級6号が認定されます。

7.一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

下肢の三大関節とは、股関節・膝関節・足首の関節のことです。6級6号と同じ基準で関節が「用を廃した」状態になった場合、6級7号の認定対象となります。

なお、下肢の三大関節の1つが用を廃した状態になった場合は、8級7号の認定対象となります。

8.一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの

指を失った」とは、親指については第一関節から先、それ以外の指については第二関節より先の骨から切断された状態のことを指します。

6級8号は、次のいずれかの状態になった場合に認定される等級です。

6級8号に該当する具体的なケース

  • 親指と他にもう3本を失った場合
  • 5本の指すべてを失った場合

両手の指を全部失った場合には、より重い3級5号が認定されます。

後遺障害等級6級の慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級6級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

3つの算定基準

このうち、自賠責基準弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。

後遺障害等級6級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

それぞれの慰謝料額

  • 自賠責基準:512万円
  • 弁護士基準:1180万円

自賠責基準と弁護士基準との差は、等級が高くなるにつれて大きくなります。6級では、700万円ほどの差があります。

自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は1,296万円です。弁護士基準では慰謝料1,180万円に加えて、被害者の年齢や収入に応じた逸失利益を請求できるため、自賠責保険と弁護士基準とでは最終的に受け取れる賠償金に数倍の差が生じることも珍しくありません。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。

逸失利益の計算式は、次のようになっています。

逸失利益の計算式

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級6級の労働能力喪失率は67%です。

なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安となるものなので、同じ後遺障害等級6級でも症状によって数値は変動する可能性があります

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のうち、長いほうの期間です。

まとめ

後遺障害等級6級に該当する症状は、日常生活や就労に大きな影響を及ぼす重大なものです。そのため、認定を受ける際には、正確な資料の準備や専門的な知識が求められます。また、保険会社から提示される慰謝料や逸失利益の金額が適正かどうかを判断するためにも、法的な視点からのアドバイスが重要です。

後遺障害の認定や示談交渉、損害賠償請求でお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所までご相談ください。