後遺障害等級5級とは?認定対象となる症状や基準による賠償金などを解説
2025年8月22日 カテゴリー:後遺障害

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までに分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。なかでも5級は、重度の障害が残るケースに該当し、8種類の症状が認定対象とされています。
「どのくらい重い症状が5級に認定されるの?」「後遺障害5級の認定を受けたけど、自賠責保険以外から賠償金を受け取れるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、後遺障害等級5級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
後遺障害等級5級の主な症状と認定基準
後遺障害等級5級には、具体的に以下の8つの症状が認定対象として定められています。
- 1.一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
- 2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 4.一上肢を手関節以上で失つたもの
- 5.一下肢を足関節以上で失つたもの
- 6.一上肢の用を全廃したもの
- 7.一下肢の用を全廃したもの
- 8.両足の足指の全部を失つたもの
それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。
1.一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
後遺障害認定における「失明」とは、次のいずれかの状態のことです。
- 眼球を摘出した状態
- 光の明暗がわからない、もしくはかろうじてわかる程度の状態
片目が失明状態となり、もう片方の目についてもメガネやコンタクトレンズを装着した矯正視力が0.1以下になってしまった場合、5級1号の認定対象となります。
さらに、失明していない目の視力が、0.06以下の場合には3級1号、0.02以下の場合には2級1号とより重い等級が認定されます。
2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
神経系統の機能または精神の障害は、主に高次脳機能障害と脳挫傷や脊髄損傷による身体的機能障害に分けられます。
高次脳機能障害とは、次のいずれかの能力が相当程度失われた状態のことです。
- 意思疎通能力
- 問題解決能力
- 作業負荷に対する持続力・持久力
- 社会行動能力
これらの能力のうち1つ以上の大部分が失われた状態もしくは2つ以上が半分程度失われた状態になると5級2号の認定対象となります。
5級2号の認定対象となる身体的機能障害の具体例としては、次のものが挙げられます。
- 四肢すべてに軽度の麻痺がある状態
- 片側の腕と足に中程度の麻痺がある状態
- 四肢のいずれかに高度の麻痺がある状態
軽度の麻痺による症状には、次のものがあります。
【軽度の麻痺】
- 麻痺のある手では文字を書くのが困難
- 足の麻痺により転倒しやすい
- 両足の軽度の麻痺により杖や装具なしで階段を上ることができない
中程度の麻痺の具体例は、次のとおりです。
【中程度の麻痺】
- 麻痺のある手では文字を書くことができない
- 片側の足の麻痺により杖や装具なしで階段を上ることができない
高度の麻痺の症状としては、次のものが挙げられます。
【高度の麻痺】
- 麻痺により手や足を全く動かすことができない
- 足の三大関節を自力では動かすことができない
神経系統の機能または精神の障害について、より症状が重く終身労務に服することができない状態になった場合には、より重い3級3号が認定されます。
3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
胸腹部臓器の機能障害とは、呼吸器・循環器・消化器・泌尿器の機能障害のことです。5級2号と同じく、特に軽易な労務以外の労務に服することができない状態の場合に5級3号が認定されます。
症状の程度がより重くなると、3級4号の認定対象となります。
4.一上肢を手関節以上で失つたもの
手関節以上で上肢を失った状態とは、次のいずれかの状態を指します。
- 手首から先が切断された状態
- 肘から手首の間で上肢が切断された状態
上肢の切断が肘関節以上となる場合には、より重い4級4号が認定されます。
5.一下肢を足関節以上で失つたもの
足関節以上で下肢を失った状態とは、次のいずれかの状態を指します。
- 足首から先が切断された状態
- 膝から足首の間で下肢が切断された状態
下肢の切断が膝関節以上となる場合には、より重い4級5号が認定されます。
6.一上肢の用を全廃したもの
上肢の用を全廃したものとは、上肢の三大関節(肩・肘・手首関節)がすべて「用を廃した」状態にあることを指します。上肢の三大関節が「用を廃した状態」とは、次のいずれかの状態のことです。
- 関節が強直した状態(癒着により動かなくなった状態)を画像所見で確認できる状態
- 関節の可動域が10分の1以下に制限された状態
三大関節の用廃が1つの関節にとどまる場合には8級6号の、2つが用廃となった場合には6級6号の認定対象となります。
7.一下肢の用を全廃したもの
下肢の用を全廃したものとは、下肢の三大関節(股関節・膝関節・足首の関節)がすべて「用を廃した」状態にあることを指します。「用を廃した」の基準は、5級6号と同様です。
三大関節の用廃が1つの関節にとどまる場合には8級7号の、2つが用廃となった場合には6級7号の認定対象となります。
8.両足の足指の全部を失つたもの
「足指を失った」とは、足指が足指の根元にある中足指節関節から先で切断された状態のことを指します。5級8号は、両足の指が全て失われた場合に認定される等級です。
片足の指がすべて失われた場合には、8級10号が認定されます。
後遺障害等級5級の慰謝料・逸失利益
後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級5級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

このうち、自賠責基準と弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。
後遺障害等級5級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。
- 自賠責基準:618万円
- 弁護士基準:1400万円
このように、自賠責基準と弁護士基準とでは慰謝料の金額に倍以上の差があります。
自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は1,574万円です。弁護士基準では慰謝料の1,400万円だけでなく、逸失利益も請求できます。後遺障害等級5級の逸失利益は、数千万円になることもあるため、弁護士基準と自賠責基準とでは大きな開きがあります。
逸失利益
逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。
逸失利益の計算式は、次のようになっています。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級5級の労働能力喪失率は79%です。
なお、等級に応じた労働能力喪失率はあくまで目安であるため、同じ後遺障害等級5級でも症状によって実際の数値が変動する可能性があります。
労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、年長者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方を基準として算定されます。
まとめ
後遺障害等級5級に該当する症状は、日常生活や就労に大きな支障をきたす重度のものが多く、適正な等級認定や賠償を受けるには専門的な判断が不可欠です。
保険会社から提示された金額が妥当かどうか分からない、後遺障害認定をどう進めればよいか不安があるといった方もいらっしゃるかもしれません。後遺障害に関することでお困りの方は、ぜひHOPE法律事務所にご相談ください。
