後遺障害等級1級とは?最も重い等級が認定される症状や賠償金の相場などを解説
2025年9月26日 カテゴリー:後遺障害

交通事故による後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までに分類されており、数字が小さいほど症状が重くなります。後遺障害等級1級は、14の等級の中で最も重い症状が分類される等級です。
「最も重い等級にはどのような症状が分類されるの?」「後遺障害1級の慰謝料相場はどのくらい?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、後遺障害等級1級の主な症状と認定基準および後遺障害慰謝料と逸失利益について解説します。後遺障害認定の申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
後遺障害等級1級の主な症状と認定基準
後遺障害等級は、前述のとおり1級から14級に分かれており、数字が大きくなるほど障害の程度は軽くなります。1級は最も重度の後遺障害が該当し、認定対象となる症状は全部で8種類です。
以下では、後遺障害等級1級に該当する主な症状について解説します。
- 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
- 2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
- 1.両眼が失明したもの
- 2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの
- 3.両上肢をひじ関節以上で失つたもの
- 4.両上肢の用を全廃したもの
- 5.両下肢をひざ関節以上で失つたもの
- 6.両下肢の用を全廃したもの
それぞれの症状について、具体的な内容を解説します。
別表第1-1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要する」状態とは、脳や脊髄といった神経系統に重い障害が残り、生命維持に欠かせない身の回りの処理を自分自身では行えず、常に介護が必要な状態のことを言います。
生命維持に欠かせない身の回りの処理とは、排泄や食事、入浴、着替えなどのことです。
別表1の1級1号は、高次脳機能障害、外傷性脳損傷、脊髄損傷などを原因とするケースが多くなっています。なお、常に介護が必要な状態とは言えず、状況によっては介護が必要な状態の場合には、1級1号ではなく2級1号の認定対象となります。
別表第1-2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要する」状態とは、胸腹部の臓器、主に呼吸器の障害により、生命維持に欠かせない身の回りの処理を自分自身では行えず、常に介護が必要な状態のことを言います。
常に介護が必要な状態とは言えず、状況によっては介護が必要な状態の場合には、1級2号ではなく2級2号の認定対象となります。
別表第2-1.両眼が失明したもの
後遺障害認定における「失明」とは、次のいずれかの状態のことです。
- 眼球を摘出した状態
- 光の明暗がわからない、もしくはかろうじてわかる程度の状態
視力低下の後遺障害等級は細かく分類されていますが、両目の失明については最も重い1級1号が認定されます。
別表第2-2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの
咀嚼機能を廃した状態とは、スープ状の流動食以外は食べられない状態のことです。
言語機能を廃した状態とは、口唇音(ま行、ぱ行など)、歯舌音(な行、さ行など)、口蓋音(か行、や行など)、喉頭音(は行)の4種の子音のうち3種類以上の発音が十分にできない状態のことです。
咀嚼機能と言語機能の両方を廃した状態になった場合、1級2号が認定されます。咀嚼機能と言語機能のうちいずれか一方を廃した状態になったときは、3級2号の認定対象となります。
別表第2-3.両上肢をひじ関節以上で失つたもの
1級3号は、両方の上肢がひじ関節以上で切断された場合に認定される等級です。片方の上肢がひじ関節以上で切断された場合には、4級4号の認定対象となります。
別表第2-4.両上肢の用を全廃したもの
上肢の用を全廃したものとは、上肢の三大関節(肩・肘・手首関節)がすべて「用を廃した」状態にあることを指します。上肢の三大関節が「用を廃した状態」とは、次のいずれかの状態のことです。
- 関節が強直した状態(癒着により動かなくなった状態)を画像所見で確認できる状態
- 関節の可動域が10分の1以下に制限された状態
上肢の全廃が片側にとどまる場合には5級6号の認定対象となりますが、両方が全廃となった場合には1級4号が認定されます。
別表第2-5.両下肢をひざ関節以上で失つたもの
1級5号は、両方の下肢がひざ関節以上で切断された場合に認定される等級です。片方の下肢がひざ関節以上で切断された場合には、4級5号の認定対象となります。
別表第2-6.両下肢の用を全廃したもの
下肢の用を全廃したものとは、下肢の三大関節(股関節・膝関節・足首の関節)がすべて「用を廃した」状態にあることを指します。「用を廃した」の基準は、1級4号と同様です。
下肢の全廃が片側にとどまる場合には5級7号の認定対象となりますが、両方が全廃となった場合には1級6号が認定されます。
後遺障害等級1級の慰謝料・逸失利益
後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の賠償を受けられます。ここでは、後遺障害等級1級の後遺障害慰謝料と逸失利益について詳しく解説します。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害慰謝料には、次の3つの基準があります。

このうち、自賠責基準と弁護士基準については具体的な金額が明らかにされています。任意保険基準については算定方法が明らかではありませんが、自賠責基準よりは高いものの、弁護士基準よりかなり低い金額を提案されるケースがほとんどです。
後遺障害等級1級の自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料は、次のようになっています。
- 自賠責基準:1150万円(要介護状態となり被扶養者がいるときは1850万円・要介護状態となり被扶養者がいないときは1650万円・要介護状態ではなく被扶養者がいるときは1350万円)
- 弁護士基準:2800万円
このように、自賠責基準と弁護士基準とでは、慰謝料の金額に倍以上の差があります。
自賠責保険における慰謝料と逸失利益を含めた賠償金の上限額は4,000万円です。
弁護士基準では、慰謝料と逸失利益を合わせた金額に上限の設定はありません。後遺障害等級1級の逸失利益は、被害者が若年または高収入の場合など、1億円を超えるケースも多く見られます。自賠責基準と弁護士基準とでは大きな差になるため、必ず弁護士に相談してください。
逸失利益
逸失利益とは、後遺障害により将来得られるはずだった収入が得られなくなることに対する損害賠償金です。
逸失利益の計算式は、次のようになっています。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失率は、後遺障害によって失われる労働能力の割合のことで、等級ごとに目安となる数値が設定されています。後遺障害等級1級の場合、労働能力が完全に失われた状態となるため労働能力喪失率は100%です。
労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの年数で計算します。なお、高齢者の労働能力喪失期間は、67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間が適用されます。
まとめ
後遺障害等級1級は、日常生活や就労に重大な影響を及ぼす極めて重度な後遺障害に該当します。適正な等級認定を受け、正当な賠償を得るためには、医療や法律の専門的な知識が欠かせません。
当事務所では、交通事故や後遺障害に関する豊富な実績をもとに、被害者の方の権利を最大限に守るためのサポートを行っております。後遺障害の申請や賠償請求でお困りの方は、どうぞお気軽にHOPE法律事務所へご相談ください。
