後遺障害①

2023年10月13日 カテゴリー:後遺障害

後遺障害に関する問題は多岐にわたります。まずは、後遺障害等級そのものの認定について今回は説明させていただきます。
交通事故被害者は、適正な治療を行い、症状が一進一退の状態になった時(症状固定)に残存する症状を、後遺障害として認定してもらうために自賠責への後遺障害申請を行います。
このためには、主治医に後遺障害診断書を作成してもらうことになりますが、これまで治療費を相手保険会社が払っていてくれていても、この後遺障害診断書の作成費用については原則として一旦被害者自身が医療機関に支払う必要があります。後遺障害の認定が得られた場合には、後遺障害診断書作成費用も、事故と相当因果関係のある損害として相手保険会社が支払ってくれますが、結果として非該当となった場合には自己負担となってしまいます。
また、通常は、症状固定時まで相手保険会社が治療費を支払っていますので、症状固定時までの自賠責様式の診断書・診療報酬明細書といった後遺障害申請に必要な資料は、相手保険会社より一式交付を受けられます。
注意が必要なのは、相手保険会社が自賠責一括対応を早期に打ち切った場合や保険会社に一括対応されておらず、被害者自身で治療費を払っているようなケースです。
自賠責へ後遺障害の申請を行う場合には、症状固定時までの自賠責様式の診断書・診療報酬明細書を要求されますので、適切な時期に後遺障害診断書を作成しておらず、長期間通院を続けたあとで後遺障害診断書を作成した場合には、自賠責から求められる診断書・明細書の範囲が広くなってしまいます。医療機関への作成依頼方法にもよりますが、基本的には診断書と明細書の作成で1カ月あたり8000円ほどの文書料を請求されますので症状固定時期を適正な時期に限定することは重要です。
また、自賠責での治療は自由診療のため、治療単価が非常に高いです。そのため、自賠責での治療期間が長期化すると、症状固定時期を巡り争いとなり、最終的な治療期間より早期に症状固定時期が判断されてしまうと、症状固定以後の治療費が相当因果関係を欠く治療費として自己負担となってしまいます。そのため一般的な治療期間(又は標準的な治療期間)を経過したあとは、健康保険を利用するなどの工夫が必要となります。 自賠責で認定された後遺障害等級は非常に実務において尊重されています。自賠責は損害保険料率算出機構に後遺障害の認定を委ねており、同機構ではこれまでの多数の認定実績から相当な情報とノウハウを蓄積しており、事故の後遺障害認定に関しては保険会社、裁判所を含めてその判断を非常に尊重します。
そのため、自賠責における等級認定が得られるにはどのようにしたらよいかとのノウハウについても法律事務所ごとに大きな差異がある状態だといえます。
後遺障害の申請には、保険会社が事前に自賠責に後遺障害該当性を審査してもらう事前認定という方式と、交通事故被害者において申請を行う被害者請求(自賠法16条請求)とがありますが、当事務所では基本的に被害者請求を行います。その理由は、基本的に被害者請求の方が、症状に合わせた資料を提出できるため被害者に有利であるからです。他方で事前認定は、最低限の資料しか自賠責に送られませんし、場合によっては、保険会社担当者が後遺障害該当を否定する旨の意見書を添付するケースなどもあります。
法律事務所によっては、事前認定も被害者請求もどちらも変わらないですよといった説明をされるところもありますが、医学的な所見で等級認定が確実であるような場合以外は被害者請求の方が優れていることは明らかであるので、そのような説明を行う法律事務所は交通事故に習熟した事務所ではないといえます。
当事務所は、年間300件以上の交通事故案件を扱っており、後遺障害の申請をほぼ被害者請求で実施しています。後遺障害の申請に関しては相当なノウハウを有しておりますので、ぜひご相談ください。