弁護士に相談するタイミング~弁護士費用特約②~
2023年9月27日 カテゴリー:自動車保険
交通事故に遭った被害者の方が、事故手続きで困った際に、いつ弁護士に相談するのがよいのかについてよく相談者から質問を受けます。
その答えは、「事故にあったらなるべく早く弁護士に相談する」が私の回答になります。事故から早期に専門家に相談を行う必要性について以下説明します。
1 事故手続きに対する情報格差の存在
事故手続きは、相手方の任意保険会社の保険担当者が行っていくことが通常です。しかし、保険担当者は、仕事で日々何十~何百件もの保険手続きを行っている一方で、事故に遭われた被害者さんの多くの方が人生初めての事故となります。
事故被害者さんが、事故で被った被害を何とか回復させようと、相手保険担当者と交渉しますが、多くの場合、上手くいきませんし、そもそも、上手くいっているのか、それとも上手くいっていないのか、どちらなのかもわかりません。
これは、例えると、初めて将棋やチェスなど理屈が必要なゲームにおいて、初めのプレーヤーと、プロのプレーヤーが対決するほど無謀な戦いと言えます。
よく、「相手の担当者の方凄く親切で、事故を起こした相手は許せませんが、保険担当者はいい人です」ということを聞きますが、保険担当者は、保険会社に雇われた社員ですので、基本的に支払義務を負う側の考えに従って動きますので、被害者側の考えに立ってくれていません。どうしても、保険会社の支払が少なくなるように手続きを進められてしまうし、それに気づくことが中々できません。
この立場や、事故手続きの情報格差を埋めるために、早期に交通事故弁護の専門家に相談すべきなのです。
2 事故手続きで困るのは事故発生直後から
慣れない事故に遭った方が困るのは、事故にあったその瞬間からです。
事故に遭うとその瞬間から、「入庫先?全損?代車期間?買替?車両保険?物損と人損?整形外科と接骨院?保険の打切り?後遺障害?」と次々に慣れない問題が生じます。
これらは、相手の保険会社担当者が、こちらに親切に教えてくれるとは限りません。教えてくれても、それは相手保険会社の利益を反映したアドバイスに過ぎないことが多いです。
自分の保険会社担当者も助けてくれるときはありますが、自分の保険会社の担当者の仕事は、被害者になった契約者の援助ではないため、やはり対応に限界があります。また、追突された事故のような過失が0の事案では、保険を使わないからお手伝い出来ないと言われてしまいます(某保険会社のCMでも、「もらい事故は自分で交渉?」と熱血俳優がやっていました)。
そんなときこそ弁護士費用特約です!
相手が保険会社の利益を守るプロを担当者としてつけるのであれば、こちらも自分の利益を守るために事故弁護のプロを代理人に立てるべきですね!
なお、交通事故のプロではない弁護士や、情熱の無い弁護士に相談すると「事故手続きが進んで、怪我の治療が終わったら(また)相談して」といわれることがあります。これは、事故の物損手続は複雑であることや、事故にあった被害者の方の不安を細やかにフォローするのが手間と考えていることに加えて、弁護士の報酬が「賠償金をいくら上昇させたか」で評価されるので、こういった物損手続や治療期間中の仕事が自分の報酬に影響が少ないため、早期に事故弁護を開始しないのが理由だと思われます。
しかし、事故被害者が一番困るのは事故最初ですし、医療問題にかかわる弁護士としては、治療期間をサポートせずにどうやって適切な後遺障害を獲得していけるのか不明です。
このような弁護士は選ばないほうがよいと思います。
3 まだ揉めていないから弁護士を入れなくても
自分の保険会社の担当者は、弁護士費用特約を使おうとすると、「まだ相手と揉めていませんし、特約を使う必要がないのでは?」と利用を思いとどまるように言われてしまうこともよくあります。
これは、弁護士費用特約は使っても基本的に保険料が上がらないのにもかかわらず、特約を使われれば弁護士費用を自分の保険会社が払わなければならないため、嫌なのです。事故に慣れた弁護士が介入することの被害者さんのデメリットはありません。それにもかかわらず、弁護士費用特約の利用を思いとどまらせるようなアナウンスをする担当者もまた親切ではありません。
そもそも、「揉めてから」弁護士を入れるということは、事故手続き上何か、見解の相違が生まれてしまったり、何らかの手続き上自分の要望が実現できない方向へ進んでしまった状態になってしまっていることを指します。弁護士をいれてリカバリーが可能な問題もありますが、過ぎ去ってしまった過去は変えられないため手遅れになってしまっている問題もあります。
「揉めてから」ではなく、「避けられる揉め事を避けるために」に弁護士を早期に介入させる必要があるのです。
弁護士である私が「早期に弁護士費用特約を使って!
というのは少し胡散臭い側面がありますが、私は事故を主力分野とする弁護士ですが、弁護士費用特約は3つほど保険に付保していますし、私自身が事故に遭った際には、自分とは別の弁護士に早期に事故手続きを依頼しました。自分のまきこまれた事故にずっと向き合っているのはストレスですので、保険料もあがりませんし、早く友人の弁護士に依頼をしてよかったと思っています。