後遺障害獲得事例②
2023年9月22日 カテゴリー:後遺障害
当事務所は、医療過誤訴訟、交通事故医療訴訟を得意としていることから、事故に遭われた被害者の方で、適正な後遺障害等級が認定されるよう尽力しております。
今回は、当事務所の後遺障害申請サポートにより、後遺障害獲得に至ったクライアントの事例をご紹介いたします。なお、個人の特定を避けるため、事案は多少デフォルメしております。
当事務所の依頼者様で、二輪車での事故に遭い、足関節の骨折、下腿皮膚剥脱創、鎖骨遠位端骨折などの傷害を負った方がいました。二輪車で事故に遭いますと生じる傷害が非常に重たいものになる傾向がありますし、動いている状態で事故に遭うことが多いことから二輪車の方にも過失が生じる場合が多いと思います。二輪車に乗られる方に、人身傷害保険が大切な役割を果たすことについては過去のブログ記事をご覧ください。
さて、この依頼者様ですが、療養に努めたことから、骨折は癒合し、下腿皮膚剥脱創(テグロービング)についても皮膚移植がなされ、ある程度快方に向かいました。
しかし、症状固定時の症状としては、肩関節の可動域制限、足関節の可動域制限が残存してしまっており、ともに健側の4分の3以下の可動域に制限されていることから後遺障害が認定されれば後遺障害等級12級が認定される可能性がありました。
これらについて後遺障害申請をしたところ、残念ながら、関節の可動域制限については、ともに非該当、下腿皮膚剥脱創部分の皮膚移植痕が、醜状痕として後遺障害等級12級が認定されました。
当事務所としては、この自賠責の判断が、医学的にも賠償交渉的にも非常に問題があると考えました。医学的には、本件事故により肩関節及び足関節の可動域制限が生じていることから、その原因となる医学的知見を正確に指摘する必要がありました。また、賠償交渉的には、醜状痕の12級と可動域制限の12級では、今後認められる賠償金には雲泥の差が出てしまうことから、保障される金額の点からも、可動域制限による後遺障害の認定を諦めるわけにはいきませんでした。
そこで、当事務所の顧問医師とも協議を行い、肩関節及び足関節の可動域制限を生じることになった医学的な知見について協議を行いました。肩関節及び足関節の可動域制限を生じることになったレントゲン上の所見を細かく指摘し、また治療経過上、下腿皮膚剥脱創の皮膚移植に伴う足関節の拘縮の機序を細かく指摘したところ、自賠責への異議申立てにおいて、肩関節及び足関節の可動域制限が、他覚的所見に基づくものとして後遺障害等級12級をそれぞれ獲得することが出来ました。
そのため、賠償交渉的にも、後遺障害等級が併合され後遺障害等級11級となったことから、醜状痕の12級のみでの賠償交渉よりおよそ1500万円以上の賠償金の上昇効果を確認できました。
認められた個別の等級の上限は12級でしたが、醜状痕の12級にとどまっていた場合と、その他の関節可動域制限による12級の認定が加わったことで大変大きな補償の違いを依頼者様にお見せ出来た事例ですので紹介させていただきました。