事故手続①

2023年8月30日 カテゴリー:事故手続き

事故に遭ったらどうしたらよいでしょうか?
「えっと、まず警察に電話して…」と何となく知っていますが、正確にお分かりになる方はそう多くないと思います。そこで、事故に遭った方がやっておくべき、やっておいた方がよい対応をお話させていただきます。
 まず事故に遭ってしまったら、当然負傷者を救護し、後続事故の発生を防止する措置を取りましょう。
 そして、次に警察に連絡しましょう。道路交通法72条で事故発生時の報告義務が定められています。この報告を行わないと、「事故証明書」が警察で作成されず、後日事故発生を理由とした保険利用が出来なくなる可能性もあります。
 「きちんと賠償はするから、警察には連絡せず、示談でやらせてほしい」などと事故の相手方から言われることがありますが、上記道路交通法72条に違反(3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金)するほか、事故当初は当事者双方が正確に損害の範囲を予測できないため、後日車両損害や怪我の損害が深刻になった場合、保険利用ができなくなったりすることで解決が困難になってしまう可能性があります。
 そして、忘れがちですが「ドライブレコーダー動画の保存」があります。ドライブレコーダー映像があれば、多くの過失案件がスムーズに解決できます。しかし、事故後、ドライブレコーダーをそのままにしておくと、映像の上書きによって事故映像が消えてしまうことがよくあります。事故の現場で動画を再生し、スマートフォンで撮影したり、修理業者さんでドライブレコーダー映像を保存してもらったり、自宅PCに映像を保存したり、自身の加入する保険会社の担当者に映像を送付しておくなどの保存をしておきましょう。
 また、事故の現場では、誠意をもって相手方と対応しましょう。親から「連帯保証人にはなるな、事故現場では謝るな」などと教えられた人がいるかもしれません。プロの観点からすると、事故現場で謝罪をしても過失割合に影響は与えません。事故発生までの運転動作が過失判断の対象になるので、事故後謝罪をしたなどの事情は過失割合には直接影響を与えません。ただ、事故態様にあたる事実を認めつつ謝罪すること(赤信号になってすぐに交差点に入ってしまい…、一時停止で全く減速もせずに交差点に入ってしまい…など)は、過失に影響を与える可能性がありますのでお気を付けください。
 怪我や不調を感じた場合には、「整形外科」を受診しましょう。「接骨院」への通院では、事故による怪我の診断として不十分になる可能性がありますので、医師免許がある外傷を対象とする「整形外科」を受診しましょう。「整形外科」への受診で気を付けたいのは、事故からなるべく早く受診することです。理由は①事故から時間が経過してから受診すると、事故と怪我との因果関係が認められなくなることがある(概ね10日~14日経過)②事故から時間を置いて受診すると、受傷が軽いとしてその後の保険手続きを進められてしまう可能性があることなどが主です。
 また、「整形外科」を受診した際は、症状や不調を感じる部位を全て申告しましょう。交通外傷による軟部組織の損傷は、ある程度時間をかけて完成するとの知見もあり、事故直後には、事故による緊張などにより症状を自覚しにくいことがあります。事故当初は首の痛みだけで診断を受けたら、その夜から腰の痛みを自覚しても、その後早期に(概ね事故から2週間以内)腰の診断も受けないと、交通事故治療では腰を対象とすることができません。  そして、人身事故にする場合には「診断書」を警察に提出するのを忘れないようにしましょう。人身事故にすることは、メリットデメリットがあります。免許の処分は、生じた怪我の重さによっても変わりますので、こちらにも過失がある場合双方が診断書を提出することで、免許処分が重くなる可能性があります(但し、免許処分は公安委員会が行いますので必ずという関係には立ちません)。また、物件事故でも、自動車保険を使うことに支障はありませんので対応してくれる保険会社によく確認しましょう。もっとも大事な点は、診断書を提出することで、静岡では警察作成の実況見分調書の開示を受けられるということです。実況見分調書は、ドライブレコーダーには現れない運転操作情報が記載されたり、ドライブレコーダーの映像が無い場合には、過失割合を判断する重要書類となります。
 そして、事故にあったら、被害者又は加害者関係なくご自身の加入する保険会社に事故報告をしましょう。被害者の方でも、傷害一時金などの事故によって給付される保険加入があるかもしれませんので、加害者側が保険対応してくれていても事故報告をすることをお勧めします。
 事故にあったら気を付けること、色々ありますが知っていると知らないとではその後の手続きが大きく異なりますので、知らなくて不利益を被ることを回避していただければと思います。