レッカー費用・搬送費用

2025年1月31日 カテゴリー:車両損害

交通事故に遭って車両が損傷し、事故現場で走行ができなくなってしまうことがあります。その場合には、事故現場から修理工場まで、レッカー移動をしなければなりませんが、その搬送費用はレッカー費用として通常交通事故による損害賠償の対象になります。
ただ、レッカー費用と一言でいっても様々なケースがあり、レッカー費用をめぐって争いが起こることもありますが、他方で法律書籍ではこのレッカー費用について取り上げたものはほとんどありません。
そこで、今回はこのレッカー費用・搬送費用について解説したいと思います。
まず、事故にあった車両が傷ついているから走行に不安があるといってもすべての場合にレッカー費用が損害と認められるわけではありません。レッカー費用が損害と認められるには、レッカーの必要性を満たす必要があります。
レッカーの必要性は、典型的には①事故によりエンジンや電気系統の故障が生じて走行ができない②計器類は正常であるが、タイヤがボディに干渉するなど故障により安全な走行ができない場合③ウインカーが転倒しない、ランプ類が破損しているなどの保安基準を満たさないものなどが該当します。
レッカーの必要性を満たした後は、レッカーの相当性も充足する必要があります。
明確な定義はありませんが、実務上一次レッカーと二次レッカーでレッカーの相当性の判断が異なる場合があります。一次レッカーは、事故現場から最初にレッカーされた場合のレッカーのことを指すようですが、これは基本的に賠償の対象になります。問題は二次レッカーで、これが紛争の対象になりやすいです。典型的には、当初ディーラーに修理のために入庫したが、その後知り合いの業者で修理をすることになり、ディーラーから知り合いのモータースに再搬送するような場合です。
このような二次レッカーは事故当事者の都合で搬送を行うので相当因果関係を欠く場合が多いと言えます。
他方で、二次レッカーでも賠償の対象になる場合があります。例えば、遠方の高速道路での事故などで最寄りの警察や保管所に一旦保管するために一時レッカーし、その後実際の修理業者へ二次レッカーする場合や、夜間レッカーで保管のために一旦保管場所に一次レッカーし後日修理業者にレッカーをする場合など、一次レッカー先が十分な考慮のもとで修理場所に適するところとして運ばれていないケースについては、賠償の対象になりやすいと言えます。
また、レッカーの相当性については、レッカー費用の相当性、レッカー距離の相当性なども問題になり、あまりに高額な搬送費用や、合理的理由なく遠方の修理工場に入庫するために搬送を依頼する行為による搬送費用はレッカーの相当性を欠く場合が多いと言えます。
このように、明確な基準がなく、事故発生の場所、搬送の経緯、二次レッカーの必要が生じた理由、費用、距離などを総合してレッカー費用の相当性を判断していくことになります。
当事務所でも、レッカー費用について必要になった際には、損害調査報告書や事故車の現状から、走行上の安全性、保安基準との整合性などを調査し、相手保険会社とレッカー費用の交渉を行い、レッカー費用を認めさせた実績が複数ございます。
交通事故賠償に強い弁護士法人HOPE法律事務所なら、事案ごとにレッカー費用の請求可能性を判断し、請求が可能な場合には、必要な資料の作成についてサポートいたします。そのため事故にあってレッカー費用・搬送費用などの損害が気になる方は、静岡(静岡市、浜松市、沼津市、焼津市、藤枝市、富士市など全域対応)の交通事故に強いHOPE法律事務所にご相談いただくのをお勧めいたします。