通院方法⑥

2024年7月26日 カテゴリー:通院方法

交通事故に遭い被害者が怪我を負った場合、医療機関等で支払いが必要となる治療費については、交通事故による治療として必要性があり相当な範囲で相手方が支払義務を負うことになります。
もっとも、相手方保険会社が、自賠責保険の一括対応をしている場合には、相手方保険会社が、医療機関に対し、治療費を直接支払うことになるのはこれまでもブログでご説明した通りです。
今回は、この治療費の一括対応がいつまでなされるか、打切りをどの段階でしてくるのか、その判断を相手保険会社がどのようにしているのかを説明したいと思います。
まず、事故の後すぐに保険担当者は、被害者の方に連絡をしてきて、受傷状況を確認します。そこでは、事故態様を聞き取り、自社の契約者(相手方)の事故態様と齟齬がないか、衝突による受傷の合理性などを判断していきます。例えば、追突事故である場合に、「頚椎捻挫」や「腰椎捻挫」といった診断書が発行されていれば、それ自体不自然ではありませんが、「肘関節打撲」「下腿部打撲」といった傷病名の場合には、追突という事故態様でどのように受傷したのか疑義を生じさせます。
また、症状が強く出ている場所などを聞かれた際に、腰が一番痛い、肩関節が上がらないなどの症状が真っ先に出てくると、事故前から身体の不調があったのではないか(事故前からの腰痛、事故前からの凍結肩)と疑われる場合があります。
他には、受診した医療機関で、通常ならば医師が撮影すべきレントゲンを撮影していない、鎮痛剤の処方がされていない、途中で処方が中止された、受診の際に消炎鎮痛処置を実施されていないなど、医師の見立てが軽症を疑わせるような経過の場合にも打切り要因となります。
他の治療の内容としては、漫然と同じ内容の治療が繰り返されている、治療回数が少ない、又は濃密に一定期間減少がないなどの症状の改善が乏しく、慢性症状となっている場合には、治療の必要性が乏しくなり打切りが考慮されます。
また、相手保険会社は営利企業ですので、自賠責保険の保障枠120万円をどれだけ超えてしまうかということも考慮にいれています。
例えばタクシー通院が多い、休業が多い、治療の対象部位が多い、高額な検査を多数回行っているなどの事情により、自賠責の保障枠を大きく超えてしまう場合には、保険の打切り要因となってしまいます。
このほかにも、事故車両の損傷の程度、治療が進むにしたがって治療回数が増える等外傷の治癒経過に合致しない、整形外科への定期診療が1カ月以上空いてしまうなど無数の考慮要素があります。
これらの要因の中から、不当な早期打ち切りを避けるために、必要となる対応をしなければなりませんが、これらの要素を適切に把握、統合そして臨床経過に反映するのは非常に困難です。
そこで、必要なのは、事故に遭ったらなるべく早期に、「治療期間中の弁護に強い弁護士」に相談することですね。治療期間中の保険会社の対応に困ったら、静岡の交通事故の弁護に強いHOPE法律事務所にご相談ください。